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アイス~♪(八ケ岳でアイスクライミング・小同心クラック)

2006年12月8夜~10日
 アイスクライミングをやってきました。氷結した滝を登るもので、岩登りならぬ氷登りです。
 私にとっては初めてのアイス体験。両手にはアックスとバイルを持ち足にはアイゼンを付けた格好で、氷った滝にガツガツと突き刺しながら登るのです。
 殴られようものなら大ケガ間違いないこれらの道具を振り回して氷の壁を登るのは、岩登りとはまた違う面白さがあります。岩だって欠けたり崩れたりしますがそう変化するものではありません。でも、氷は暖かくなれば溶けて無くなってしまう季節限定商品で、それをクライミングの対象とするというのが私には新鮮でした。
 それでは、さきの土日に行った八ヶ岳山行の報告です。ジョウゴ沢・裏同心ルンゼ・小同心クラックに行ったことがある人はお分かりいただけるかと。(※写真は同行者です)

【9日・ジョウゴ沢でアイスクライミング体験】
 前夜の金曜日に発って南八ヶ岳への登山口の一つ、美濃戸口に着いたのは深夜1時頃。今回のメンバーはベテランの人をリーダーに計3人。美濃戸口の駐車場にテントを張って仮眠をしましたが、今の時期にしては少し気温が高いそうで、ものすごく寒いという感じではありませんでした。
 明るくなってから起きました。雨がシトシトと降っています。この標高ではまだ雪になるほど冷えていないようです。そこから先は未舗装の林道になるのですが、クルマが乗り入れできるので行くことにしました。これで1時間ばかり歩くのを省けます。
 クルマからザックを降ろし、まずはベースとなる赤岳鉱泉のテント場まで約2時間歩きます。私の荷物の重さは24㎏ほど。冬山は防寒装備が増えて大変です。でも、直前に一人で30㎏超を背負って奥多摩に行ったので、それに比べれば軽く感じます。
 気温はけっこう低いはずですが、荷物の重さのせいで汗が噴き出してきます。暑い。オーバージャケットを脱ぎ、シャツをめくってお腹を丸出しにして歩きました。今にも雪が降ってきそうな空模様の中、お腹を出して歩いている姿はすれ違う登山者には奇異に映ったかも。クルマが乗り入れできる広場で休憩して、そこから先を進むと足元に雪が出てきて、そのうち、ちらちらと雪が降ってきました。
 赤岳鉱泉の小屋はすっかり雪に覆われています。ここには人工のアイスクライミングウォールがあります。鉄パイプなどでヤグラを組んだところに水をかけて凍らせたものだそうで、アイスキャンディーと呼ばれています。まだ氷が付いていない部分もあり、登られてはいませんでした。ちなみに小屋泊まりの人は登れるそうです。小屋には各社の最新のバイルがあってレンタルできるとのこと。
 テント場には他のパーティーもいます。我々もテントを張り、アイスクライミングに行く仕度をしました。装備としては、ヘルメット・ハーネス(チェストも)・ビナ類・ロープ、それからアックス・バイルにアイゼン。私はアックスとバイルを持っていないので、リーダーの人に借りました。アックスはDMM、バイルはカジタックスです。ほかの二人はともにシャルレのクォークを持っています。私もほしいところですが、元値が高いうえにユーロ高でさらに高くなっているそうで、とても財政的な決断がつきません。
 赤岳鉱泉から硫黄岳方面への登山道をしばらく歩くと、大同心ルンゼへの沢・裏同心ルンゼへの沢を通過して、ジョウゴ沢へと入っていきます。雪に覆われた沢を進むと正面に氷結した滝(F1)が現れました。別パーティーが登っています。私はもちろん他の二人も今期初アイスなので、まずは右岸の緩いルンゼを登る練習をしました。次に正面の滝をやることに。まずは滝の下部でバイルとアイゼンで氷に取り付く練習をしました。
 受けたアドバイスとしては、バイルは手首のスナップを振って打ち込み、刺さったあとは下に引いて食い込みを確認すること。一方、アイゼンは下から上に向かって前爪を蹴り込む感じで、刺さったら足先の角度を変えずに乗り込みます。慣れないとカカトが上がってしまうのですが、そうすると前爪が抜けやすくなるのです。
 いよいよ滝を越えることに。まずはリーダーが途中にランナーを取りながらリードで登ります。この途中支点がアイスの場合は特殊で、アイススクリューというネジを氷にグリグリとねじ込んでいくのです。これを一方のバイルで保持しながら片手で行うわけで291513807_22す。見ているだけでも大変そうだというのが分かります。ボ ルトが整備されたフリークライミングのゲレンデなら、ヌンチャクを引っかけるだけですから。下にいると砕けた氷が降ってきて体にぶつかります。大きいとけっこう痛いので、ビレイする位置も大切です。
 トップロープ状態で、私が登りました。バイルの打ち込みがうまくいった時はしっかり食い込んでいるのが分かります。一方、アイゼンを刺すのはなかなか難しく、立ち込んだ際にズルッと動いたりするとトップロープとはいえちょっと怖いです。それでもなんとかクリアできました。初アイスクライミングです。やった。
 続いて上部の滝に向かいます。F2も越え、途中の低い滝などはビレイせずに登っていきます。ボルダリング気分です。やがてナイアガラと呼ばれる滝に着きました(本物のナイアガラ滝とは比べものにならないほど小さな普通の滝です、念のため)。降雪に加え、ちょっと風も出てきてじっとしていると寒いです。今日はこの滝を最後にして、再びリーダーが張ってくれたロープにビレイされながら登りました。
 登っているうちに腕が疲れてきます。力のない左腕のバイルがフラフラして振り下ろしてもあっさり氷にはじかれてしまします。そうこうするうちに右腕もプルプルしてきて、さらにアイゼンも外れそうになってきました。落ちそうになるのに焦りながらも必死に堪えて、なんとか登りきりました。ふぅ。続けてもう一人も登りました。
 午後4時を過ぎ暗くなってきたので、鉱泉に戻ることにしました。ヘッドランプの灯りを頼りに、雪のジョウゴ沢を降りていきます。登ってきた滝を今度は懸垂下降で降ります。ここで確保器が役に立ちます。テント場に着いたのは午後5時20分。日の落ちるのが早い季節なので、すでに真っ暗です。テントには数cmの雪が積もっています。
 テント内に紐を張って、濡れたグローブやスパッツを干しました。湿雪のためかアウターウェアがびしょびしょです。夕食とお酒でお腹を満たして、早々に寝ることにしました。私としては雪上のテント泊は数年前の北八ヶ岳以来です。寒い思いをしたくないので、フリースやダウンを着込んで寝ました。

【10日・裏同心ルンゼから小同心クラック】
 八ヶ岳・横岳西面に大同心と小同心という二つの岩峰があります。ルンゼというのは沢が狭く急になったようなところで、クラックというのは岩に割れ目が走っているところです。
 この日の行程は、赤岳鉱泉を発って、裏同心ルンゼをつめ、大同心の下を抜けて、大同心ルンゼを渡り、小同心クラックを登り、主稜線に抜けるというもの。そのあとは計画では、主稜線を南下し、地蔵尾根から行者小屋に降りて、中山乗越を経て赤岳鉱泉に戻るというものです。
 時間のかかる行程なので、未明の4時半には起きることにしていました。そもそも私は雪山登山はほとんど初心者なのに、今期初の雪山がいきなりバリエーションルートなので、早発ちするに越したことはありません。それが目覚めたのが5時10分。朝食を取り支度をしてテント場を出たのが7時15分。ちょっと遅いです。
 天気は雲がとれて晴れてきているのが分かります。この時期にしては雪の積もり方が多いそうです。まずは裏同心ルンゼを登ります。F1に着くと別パーティーが取り付いていました。我々がロープを結び終える頃には抜けていたので、すぐに登り始めます。下から10人以上が登ってくるのが見えます。リーダーをトップに3人登攀するスタイルです。滝を抜け、緩い雪面ではコンティニュアスのスタイルで同時に進んでいきます。
 岩場にしろ雪山にしろ自然 条件の厳しい危険な場所にいるわけですから、のんびりせずにスピード感を持ってどんどん進んでいくのが大切だと言われています。もたもたしているとリーダ291513807_88ーから注意の声が飛んできます。
 裏同心ルンゼが思いのほか長く、大同心の下に着いたのが11時半頃でした。そこから小同心クラックの取り付きまでトラバース気味に雪の中を進んでいきます。お腹が空いてきましたが、ハイキングのようにのんびり休憩ということはしません。ようやく取り付きでチョコレートとクッキーを口に入れることができました。
 小同心クラックは3ピッチのルートとのこと。ここでバイルとアックスをザックにしまい、グローブをはめた手で岩場を登っていきます。しかし、正面に見る雪のついた岩壁をグローブをはめて登るというのは最初はちょっと驚きました。岩登りをしていると雨で濡れているから止めようなんて話になるのに、雪がついている岩場を登るわけですから。しかも厚いグローブをはめているので、岩をしっかり握るのがしづらいし。
 リーダーがトップで登っていきます。まずは左上し、縦のクラックを少し登ったところで1ピッチ目終了の支点があります。セカンドの人が登り、間をおいてサードの私が登ります。岩そのものが大きなホールドだらけなので下から見上げた時よりは楽に登れるこ291513807_1とが分かりました。無雪期なら何も難しくない岩場とのこと。
 続けて、2ピッチ目、3ピッチ目とチムニー状の岩場を登っていきます。近くに見える真っ白の八ヶ岳の峰々がきれいです。3ピッチを終了したところで終わりというわけではなく、ここから主稜線に出なければなりません。そこまで行くのにもちょっと危ない場所もあって気が抜けません。ずっと動いているので身体も疲れてきています。主稜線にでたところはまさに横岳の頂上。横岳の奥ノ院のようです。最後を行く私がここに着いたのはすでに午後3時25分。稜線東側の雲と西日のおかげで久々にブロッケン現象を見ることができました。すでに夕方なので地蔵尾根経由を止めて、硫黄岳を経由して鉱泉に戻ることにしました。
 稜線上は風が強く寒いです。横岳のクサリ場を抜け、なだらかで広い稜線をゆっくり進んでいきます。疲労と空腹で少し進んでは休むという有様。硫黄岳に着いたあたりでは日没寸前の陽に照らされた山々がとてもきれいです。硫黄岳を下るうちに、暗くなったのでヘッドランプを点けました。どんどん下っていくうちに樹林帯に入り、暗い中、テント場を目指しました。結局、二日続けてのヘッ電山行です。テント場に戻ったのは午後5時40分。日曜日なので他のテントはもう無くなっており、暗い中、我々は荷物をまとめテントをたたみました。星空がものすごくきれいでした。身体は疲れていても充実感で気持ちがいいです。
 しかし、ここから駐車場まで重い荷物を背負って降りなければなりません。ヘッドランプの灯りを頼りに、延々と歩いて車にたどり着いたのは9時。足の裏が痛いです。車の温度計を見るとマイナス5度とあります。中央道を走り、家に帰ってきたのは日付が替わって0時半頃でした。
  先週までは乾いた岩を登ってましたが、今週からがらりと変わって雪に覆われた山行になりました。今後の計画を考えるとますます気合が入ります。

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