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八ヶ岳 阿弥陀岳北稜

  2007年1月20日
 今冬4回目の八ヶ岳。
 今回の目的の一つは、ベテランの人に頼らないで雪山に行くこと。
 私は縦走こそ長くやってきましたが岩も沢も雪も氷もまだまだ始めたばかりの初心者です。今回一緒に行った人も2年前に山の会に入って山登りを始めたばかりです。入会以来、ちょっと厳しい山行では登山経験の長いベテランの人に付いて行くものばかりでした。
 これからは少しずつ自分の力で行けるようにしようということで、経験の少ない者同士二人で行くことに。先月の甲斐駒もそんなわけで行ったのですが、今回は一般登山道ではなくバリエーションルートに行くこと、それからアイスクライミングをするのが目的です。
 山の会に提出した計画書では、初日に阿弥陀岳北稜を登り2日目に赤岳西壁主稜を登るというバリエーションルート2本立て。初心者のくせに欲張り過ぎだとの意見もありましたが。天候等の事情でこれらのルートに行けない場合は南沢小滝でアイスクライミングをする計画です。

【行者小屋まで】
 愛車で山に行くのは甲斐駒以来のこと。金曜日夜に中央道経由で諏訪南ICを降りました(途中、ETCの早朝夜間割引をしっかり使うべく甲府昭和ICで一旦降りました)。深夜1時頃、美濃戸口の八ケ岳山荘に到着。例によって、休憩スペースで仮眠しました。
 眠いのを我慢して4時に起き食事を済ませ、車で赤岳山荘まで行くことに。美濃戸口から赤岳山荘までは未舗装の林道で積雪があります。この冬は他の人の車でいつも赤岳山荘までは車で入っていました。で、今回も愛車で行こうとしたのですが、林道に入って50mほど進んだ登り坂でタイヤがスリップしてしまい全く前に進めなくなってしまいました。短い距離だけのようですが雪が凍ってアイスバーンになっています。進むどころか後退し始めるし、何度かトライしましたが諦めることにしました。後ろから着いてきた車に一旦広いところまで下がってもらい、もとの駐車場に引き返しました。スタッドレスタイヤを履いていたのですが駄目でした。行ってる他の車を見ると悔しいですが仕方ありません。
 というわけで、車で行ける道程を1時間ほどかけて歩くことに。同行者には本当に申し訳ない。今日中に阿弥陀岳北稜を登るというのに、予定が遅れてしまいました。1時間弱歩き6時35分頃に赤岳山荘に到着。そこから南沢経由で行者小屋に向かいます。登山地図のコースタイムでは、ここから行者小屋まで2時間。荷物が重いせいもありますが、この道程が大変でした。1時間15分ほど歩くと先日行った南沢小滝への入口に着きます。それを横目に見てさらに登って行くのですが、いっこうに行者小屋に着きません。小滝分岐から1時間歩いても1時間半歩いてもまだ着きません。
 あとで分かったのですが、トレースが間違っていたようで、相当に遠回りを強いられたのです。他の登山者も同じく遠回りしてました。いい加減にしてくれと思う中、開けたところに出て10時半過ぎにようやく行者小屋に着きました。
 小屋は冬期は閉鎖されていて、その近くにテントを張りました。予定が遅れてしまったので今日は北稜は止そうかとも一応相談しました。でも、快晴・無風なので気分的には行く気満々。計画書では、阿弥陀岳北稜に向かうためにここを出発するのは9時20分Cimg2979。実際に出発したのは11時55分でした。

【阿弥陀岳北稜】
 初めは赤岳に至る文三郎道を進み、途中から中岳沢に入ります。中岳沢まではトレースが続いています。ここから右手の尾根に取り付いてジャンクションピークというところを目指して登って行くわけですが、どこを登っても良い感じの斜面ですCimg2983。見ると2人組の先行パーティーが雪の斜面を登っています。ロープを出しているようです。 私達は少し先から尾根に取り付き、ヒザくらいまでのラッセルをしながら急な斜面を登っていきました。先頭を行く同行者が疲れてきたようなので、早々にトップを替わり私がラッセルしながら進みました。それにしても、雪の中を進むのは大変です。私は両手にアイスクライミング用に持ってきたアックスとバイルを持って登りました。
 尾根筋に出たあたりで先行パーティーを抜きました。この先もトレースはありません。相変わらず私が先頭でラッセルして進みます。トレースが見えないとは言え、前に登ったパーティーにより踏み固められた部分は残っているので、足底でそれを探りながらなるべく足が沈み込まないところを選んで行きました。ヒザくらいまでもぐるのがスネくらいCimg2992になると随分楽に進めるのです。逆に外れて腿くらいまで潜ると大変です。
 ところどころにある潅木をつかみながら登って行き、2時過ぎにようやく第一岩峰に着きました。ここまではロープは使いません。ここからは岩稜上を2ピッチ行きます。1ピッチ目のほうが、2ピッチ目よりもちょっぴり難しいらしく、リーダーである同行者がまずトップをすることに。ロープを結んだりビレイ支点をセットしたりして、2時50分頃、トップが登り始めました。取り付きは正面を少し左に回り込んだところで、上のほうにペツルのボルトがあるのですぐに分かります。初めの登りがちょっと難しいようです。そこを乗っ越し、姿が岩の向こうに隠れて見えなくなりました。稜線伝いに進んでいるようです。
 しばらくするとビレイ解除の声が聞こえました。スリング類を回収しセカンドの私が登り始めました。アックス・バイルはザックにしまいます。グローブをした手で岩をつかんだり雪に突っ込んだりして登っていきます。これと言って難しい場所はありません。先月行った小同心クラックよりも易しいのが分かります。ビレイしていた同行者の所にたどり着くと、もう少し登ったところにまた岩が見えており支点がありそうです。そこに至る斜面がちょっと急で登れないからピッチを切ったというので、この短い区間を私が先行しました。手を雪の中に突っ込んで支えとして登りました。難しいわけではありません。
 ここCimg2996からが2ピッチ目で、正面の岩を登っ た先は短いながらも雪の積もったナイフリッジになっています。残置スリングや潅木でランナーをとり越えました。ガイドブックによると2ピッチ目はハイマツでビレイするとあります。ナイフリッジを越えその先の急な雪面を登ってからピッチを切ろうと思いました。そこを登ってちょっと緩いところに出たのはいいのですが、支点を取れるような潅木や岩はありません。
 ちょっと考えて、本で読んだだけのスタンディングアックスビレイをすることにしまCimg3019した。アックスを雪に刺して足で踏みつけて支点とするもので、強度は確かめようもありませんが、一応形にはなっているはずです。時刻は4時を回っています。じきに暗くなるでしょう。見ると阿弥陀岳と赤岳を結ぶ稜線がすぐそこであって、2人組みが下っています。この下りもちょっと急なので危ないらしいです。彼らから「今ごろ北稜を登ってくるのがいるぞ」という声が聞こえます。つまり我々のことですが。
 と、そのうちの一人が転倒して斜面を滑り落ちました。5mほど滑って何とか停止できたようです。勢いがついていたら、どこまで滑落していたか分かりません。危ない、危ない。
 そんな場面を私は肩がらみのビレイをしながら見ていました。同行者もたどり着き、そのまま進むと先ほどの稜線に出て、実質これで北稜は終了です。暗くなり始めていたので阿弥陀岳の頂上往復は止めました。ロープをしまい、中岳沢のコルに向かって降りて行きました。途中でヘッドランプを点け、コルに到着。中岳沢は雪崩の危険があるので特に降雪中・直後は避けなければならないそうです。計画でも遠回りながら中岳を経て文三郎道を降りることになっています。しかし、今回は時間が遅いこともあったのですが、ここ数日降雪もなく雪崩る危険も低いと判断して、降りることにしました。先行パーティーもここを降りています。星が少しずつ見えてきて、そのうちすっかり暗くなりました。暗くなったとは言え、北稜を登り終えた充実感で気分は良いです。おしゃべりをしながら6時ころテント場に戻ってきました。昼間よりもテントが増えています。10張り以上あるようです。
  それにしても大変な一日だった。車で行けなかったのと行者小屋まで遠回りした二つのことで大きく予定が遅れ、結構疲れました。話し合って、翌日の赤岳西壁主稜は止めることにしました。夕食はナベ。持ってきた缶チューハイを飲んで寝ました。

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