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鹿島槍ヶ岳・東尾根

2007年4月27夜~30日
 GW前半戦は、北アルプス鹿島槍ヶ岳の東尾根へ。雪山のバリエーションルートです。
 予定は前夜発一泊二日で30日は予備日のはずでしたが、リーダーの予想どおり結局二泊三日となりました。しかし、二泊目は冷池山荘の予定だったのが、なんとか北峰は越えたもののメンバーの足取りの遅さのせいで南峰とのコルでビバークすることになりました。詳細は以下に。
Cimg3443
【第一日】
ベテランから初心者まで老若男女総勢8名で車二台に分Cimg3454乗し、4月27日夜に出発。関越道・上信越道経由で登山口となる大谷原へ。他にも何台か停まっています。車中での短い仮眠のあと、早朝に出発。林道をしばらく歩くと右手の斜面の木に赤布があり、そこが東尾根の取り付きのようです。ちょうど左手の川に砂防ダムがあるのでそれが目印になります。 
ヤブ漕ぎ気味に斜面をどんどん登っていきます。ひたすら登っていくうちに足元に雪がちらほらと出てきます。一方、空模様はだんだんと怪しくなってきます。やがて雪が降ってきました。するとピカッと光ったかとCimg3462思うとドオーンと雷鳴が聞こえるようにもなってきました。降雪とCimg3468雷鳴、なかなか嫌な組み合わせです。ところどころ急な雪の登りもあり、雪 山をほとんど歩いたことのない参加者は大変なようです。早めにピッケルをザックからはずして手に持ちました。
少しずつ回りの樹木が低く少なくなり森林限界も近いようです。この日はアイゼンを履くことなく、一の沢の頭を越え、どうやら二の沢の頭の手前の開けたところでビバークすることになりました。今回、ツエルトは持って来ていますがテントはありません。どうするかというと、イグルーという雪のドームを造ってその中で寝るのです。以前、西穂で一度雪洞を造ったことがありますが、イグルーは初めてです。スノーソーという雪を切り出すノコギリで雪のブロックを造ります。それを円形に積んでいって、ドーム状になるようにだんだんと上部をすぼめて積んで行くのです。
なかなかの重労働なので皆で協力してやらないといけません。少しずつイグルーの壁が高くなっていき、その中にいると風がしのげます。そのかわり、壁の外で作業している人は寒さを我慢しなければなりません。当初、8人分のイグルーを作ろうとかなり大きな円形にしたのですが、壁も高くなりすぎて無理とのことで規模を縮小。二手に分かれてもう一つのイグルーを造ることになりました。以前、雷が鳴っています。雷光Cimg3477と雷鳴の時間差からすると何㎞も先でありません。1秒も差がないようにも感じます。外で立っていた人の何人かは、どこかで落雷があった際に 、頭にパチッと感じたそうです。直撃だったら大変なことになってしまいますが、離れたところの落雷でも電撃が伝わってくるのかと思うと生きた心地がしません。危ない、危ない。
円を少しずつ小さくするように内側に雪のブロックを寄せながら積んでいき、ようやく完成。入口は壁がある程度できた段階で、下のほうを掘って造ります。
二つのイグルーに4人ずつ入りました。しかしこれが寒い。ブロックの隙間から風が吹き込んでくるのです。しっかり目止めをしておけば良かった。寒さを我慢して食事を済ませ、シュラフに入って寝ました。狭くて足をまっすぐ伸ばすことができず快眠というわけにはいきませんでした。風は夜中のうちに弱まってきました。

【第二日】
翌29日は快晴。この日のうちに鹿島槍の頂上を越え、冷池山荘まで行くつもりです。できればそのまま赤岩尾根から下山してしまうのですが、それはちょっと無理でしょう。
鹿島槍ヶ岳が眼前に見えます。きれいです。雪の尾根を登っていきます。やがて念のためリーダーがロープを出したところがあって、どうやらそこが第一岩峰のようです。リーダーが潅木でピッチを一度切り、私がバックロープを2本引いて登りました。その一本をフィックスして後続が登るのです。リーダーは残り1本をバックロープに続けて登っていきます。リーダーが2ピッチ登ったところでそのバックロープを私がフィックスしなければならなかったのですが、他のロープが絡まっているのに気をとられて、結ぶのを忘れてしまいました。大失態です。それでももう1本あるので、それを使って皆が登り、皆が行くのを待って最後に私が登りました。ここを通過するのにずいぶん時間を要しました。ソロの人にも抜かれたし。
再び雪Cimg3487稜を進み、次は第二岩峰。このルート中、最も険しい岩場です。見るとあまり雪も付いていません。私が取り付きに着いた時にはリーダーがすでに登り始めていました。そのフィックスロープをたよりに皆が登って行きます。岩場を登るのに結構苦戦している人達がいます。岩場そのものは難しくないはずです が、重い荷物を背負っているから仕方ないのかもしれません。やがて4人パーティーが追いつき、取り付きで待っています。
私は中間まで一旦登り、残りの二人を通過させて最後に登りました。皆が登るのにえらく時間がかかっており、待っている身は冷えてきます。待っているパーティーの一人がなにやら文句を言っているのが聞こえます。私は最後に登ったのですが、岩場そのものは特段難しくはありませんでした。ただ、ロープワークで再度のミス。末端を解き忘れていたらしく、リーダーが回収に降りるということになってしまいました。反省。
再び雪稜歩きです。風も出てきました。先に行っていたメンバーに追いつき、8人で歩いていきます。ふと前方を歩いていた年配の女性メンバーが転倒して雪の斜面を転げ落ちました。皆が「停まって~」と叫びます。その時、最後尾にいたリーダーが瞬く間にCimg3506転げる女性の下側に回りこんでいました。幸いリーダーが停める前に女性は数mほど滑って自分で停止できました。それにしても、我々は叫ぶことしかできなかったのにリーダーは瞬時に対応していたのにCimg3510  は感心しました。世界第二の高峰K2にも登っている百戦錬磨なので、物事に動じないのですね。
そんなこともあり、鹿島槍の北峰を越え南峰とのコルにたどり着いCimg3515たところでビバークすることになりました。二日間 登っても冷池山荘どころか南峰に着かないとは。風が強くて寒い寒い。斜面に雪洞を掘ります。西穂で一度 掘っているので、多少慣れています。二ヶ所同時にどんどん掘っていきました。私は一方の雪洞を掘ることに専念し他P4300071の人に掘った雪塊を外に出してもらいました。数時間の雪との格闘後ようやく完成。4人は横になれそうです。もう一方はあまり大きくなく、入口付近にツエルトを2つ張りました。各ツエルトの中で夕食を済ませ、私を含め4人は雪洞の中で寝ました。入口を塞ぐことはしませんでしたが、風が入ってこないので快適です。
4人パーティーは近くにテントを張っていました。

【第三日】
早三日目。今日も快晴です。風は弱く快適に登れそうです。南峰の登りでは急なP4300073ところがあり、ピッケルをたよりに少しずつ登っていきます。やがて山頂着。やった。一般ルートから登ってきた人にカメラのシャッターを押してもらいました。ここからまで長い道のりを下っていきます。それにしても暑い。日差しが強いし雪の照り返しもキツイです。
冷池山荘着。山行出発前に問い合わせた際には、水晶岳のヘリ墜落事故の影響で開業が危ぶまれていたのですが、素泊まりのみながら何とか営業を始められるとのことでした。ここで上は雨具1枚、下はタイツと雨具を脱ぎます。下り始めればすぐに暑くなりますから。
赤岩尾根を降りていきます。ちょっと急なところでは慎重に足を運びます。どんどん高度を下げていきます。
ここで、私が調子に乗って駆けるように斜面を下った際に、アイゼンのつま先をスパッツに引っかけ転んでしまいました。そのまま雪面を滑り落ちていきます。荷物を背負っていると体勢を取りづらいのですが、なんとかして足を下向きにして滑落停止をしなくてはいけません。何度目かに足が下を向きピッケルを雪面に刺して停まることができました。雪がグサグサだったので落ちる速度も遅かったのが良かったです。それでも10mほど滑り落ちていたようです。危ない危ない。以降は反省してゆっくり降りていきました。まあ、本人として滑っている最中は意外と冷静なものでしたが。
さらに下って行き雪がほとんどなくなったところで一人が転倒して私のすぐ背中側にドスンと落ちてきました。幸いヘルメットやザックがクッションになり怪我はないようです。それでもシャツの左肩部分がやぶけてしまっていました。今山行3回目の滑落です。
そんなこともありましたが、ようやく赤岩尾根の取り付き点に降り、雪崩に埋まった沢を渡って、林道に出ました。そこからしばらく歩くと車を停めてある大谷原の駐車場です。
帰りには薬師の湯で汗を流し、メンバーの一人が薦める馬刺しとソバが美味しいという店に行きました。充実した三日間はこうして終わりました。

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