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谷川岳・一ノ倉沢・烏帽子沢奥壁・南稜

2007年5月26日

 前週は雨のためテールリッジ取り付きまでの偵察に留めて帰った谷川岳一ノ倉沢。今回は好天に恵まれ予定どおり行くことができました。
 谷川岳といえば、北アルプスの剱岳・穂高岳と並ぶ日本三大岩場の一つ。遭難者の多さでも有名で、その数は600有余名。麓には岩登りなどで亡くなった人達の名前が刻まれた慰霊碑もあります。
 一ノ倉沢にある烏帽子沢奥壁・南稜と衝立岩・中央稜は、谷川岳の入門ルートということで、初めて谷川岳を登る私にはちょうど良いルートです。土曜日に南稜、日曜日に中央稜を登りました。

 さて、例によって金曜日夜に発って関越道を行きます。あいにく雨が降っていますが、天気予報では未明には雨があがって翌日は晴れるとのこと。天気の変わりやすい谷川岳ではその予報どおりになるか心配でしたが、まずは先週と同じく登山指導センターで仮眠しました。
 深夜1時半頃に寝て起きたのは3時。とにかく眠いです。外は風が吹いており寒いですが、雨はあがって晴れています。この風なら岩場が早く乾いてくれるかもしれません。車で一ノ倉沢出合まで移動しました。既にゲートが開いているので一般車もここまで来られます。装備を身につけて、明るくなった4時過ぎに出合を出発。右岸のアプローチ道から雪渓に降り立ち、雪の上をテールリッジ目指して登って行きます。登りでは必要ありませんが、帰りの下りの際に杖がわりにするためピッケルも持って行きました。
 テールリッジの突端に着き、そこにピッケルをデポします。ただ置いておくだけなのですが。風が吹いているためか岩場は既にけっこう乾いている感じです。それでもここからは慎重に登っていきます。テールリッジというのは一ノ倉沢に向けて細く長く伸びている尾根のことで、このあと南稜を登り上から見下ろすと確かに尻尾のように伸びているのが分かります。

 岩場や潅木帯のあるテールリッジを登っていくと岩壁が眼前に迫ってきます。落石などがいつ起こるか分からない危険地帯に踏み込んでいるという緊張感が増してきま452087430_106sす。テールリッジをつめた所が中央稜の取り付きです。出合からここまで1時間ほど。そのまま左へトラバースして南稜の取り付きとなる南稜テラスを目指します。南稜テラスに向かうには烏帽子沢奥壁の下を横切る形になるのですが、この壁は脆くて落石が多いらしく、足元にも砕けた石が無数に散らばっています。こんな危険な場所に長居は無用です。立ち止まることなく通過します。
 南稜テラスに着いたのは5:45、ここからいよいよ登はん開始です。途中誰に会うこともなかったので、この日一ノ倉沢に入ったパーティーで我々が一番乗りのようです。登り終えた後に懸垂下降して再びここに戻ってくるので、荷物を極力減らすため使わないものをビニール袋にまとめてここに置いておきます。ここでクライミングシューズに履き替えます。すると2人組のパーティーが追いついてきました。出発が少し遅かったらこのパーティーの後に登ることになっていたところです。ルート図によると途中の草付きを含め全7ピッチ。ダブルロープ2本をお互い結んで、6:10に登り始めました。

 1ピッチ目、まずは同行者がリードで登って行きます。直上した先で少し右に行きさらにその先のチムニー状を越えます。このチムニーでちょっと手こずっていたようですが頑張って抜けました。続けてセカンドの私も登ります。
 2ピッチ目は入れ替わって私のリード。易しい岩場を登っていくと草付に出ました。ほとんどランナーをとることもなくワシワシと草付の中を登っていき、途中でピッチを切りました。どうやら既にルート図でいう3ピッチ目に入り込んでいるようです。
 3ピッチ目にあたる草付と4ピッチ目は、同行者のリード。このようにトップが交替しながら登っていきます。つるべ登はんといいます。
 なので5452087430_214sピッチ目は私。たしかここで私がリードしている時でしたでしょうか。突然、ゴオオオ~という轟音があたりに響き渡りました。ジェット機でも飛んでいるのかなぁと空を見上げましたが、それらしいものは見えません。と、下を見ると、大量の雪が雪渓の上を滑り落ちているではありませんか。どうやら上部で雪が崩壊したようです。リード登はん中にも関わらず、思わずカメラのシャッターを押しまくりました。写真を載せたのでご覧下さい。場所は3ルンゼのようです。あの下にいたらひとたまりもありません。表層雪崩のように細かい雪ではなく、無数の塊が落ちているような感じでした。
 さて、左上方には馬の背リッジが迫ってきます。6ピッチ目は同行者が頑張って登りました。ビレイしている所は、近くの壁を流れる水が風に巻き上げられて濡れているようです。
 最終7ピッチ目は私のリード。ルート中の核心です。垂直に近い壁らしいですが、ホールドはいくらでもあるので難しいわけではありません。ただ、水で濡れているのが困りものです。いつも乾いた岩ばかりを登っているので、持ったホールドや立っている足元がいつ滑るかも知れないというのは、けっこう緊張を強いられます。足を滑らせないようにゆっくりと登り、テラスに抜けることができました。時刻は9:10。後続パーティーも登ってきます。

 さらに登っていき、国境稜線に抜けることもできるのですが、今回はそれをせずに登ってきたところを下降します。荷物を下にデポしてあるし。最初は隣接する6ルンゼ右俣をラッペルします。ここでちょっと手間取ってしまったので、登はんルート沿いに下りた後続パーティーにいつの間にか抜かれていたようです。中央稜を登っているパーティーが見えます。懸垂下降に相当時間がかかり南稜テラスに戻ったのは12:30。三時間もかかってしまいました。登るのと同じだけ時間をかけてしまったのはいただけません。反省せねば。
 ここからの下山ではロープを使わない分、より慎重に行かないとなりません。烏帽子沢奥壁下部を横切り、途中中央カンテや中央稜の取り付きを確認して、テールリッジを降りていきました。テールリッジの取り付きでピッケルを回収しました。

 出合には一ノ倉沢を見に来た観光客がたくさんいます。一人の年配男性が話しかけてきたので、南稜を登ってきたと答えると、この男性も40年くらい前に谷川岳の岩壁を登っていたとのことです。今の化繊のロープと違って太くて重い麻のロープで、水を吸うと身体を締付けるように重かったそうです。
 今は谷川岳を登はんする人はめっきり少なくなって、いても年配の人がけっこう多いようです。我々のように若い(?)パーティーは少ないのかも知れません。今年は残雪が少なくてガッカリしたとも言ってました。昨年は出合でもずいぶん雪があったそうです。
 さらに、別の男性が望遠鏡を覗いていて、見せてもらうと北稜を下降しているパーティーの姿がけっこうハッキリ見えます。遠くから見られているかと思うと、岩登りの最中もヘタなことはできませんね。6ルンゼの下降でもたついていたのは隠れて見えないので良かったですが。

  湯テルメ谷川という立ち寄り温泉で汗を流し、水上の町の定食屋ではテレビの大相撲中継で白鵬が優勝を決める取組を見ながら、空腹を満たしました。今夜の寝床は例によって登山指導センターです。明日はさらに早い起床なので早々に寝
ました。

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