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谷川岳・一ノ倉沢・烏帽子沢奥壁・中央カンテ

  2007年6月16日
 前週末は谷川岳に行く予定だったのを雨のため中止にして、ジムやプールに行ってました。で、今回(6月16日)は3週間ぶりの谷川岳。目指すは烏帽子沢奥壁にある中央カンテというルートです。前回登った南稜や中央稜より岩が脆く落石が多いとのことです。

 この週末の事前の天気予報では芳しくなかったのですが、前日15日の金曜日になって晴れマークが出たことから急遽出発を決断。パートナーにその旨をメールで知らせました。もちろん、登山指導センターには前もって登山届は提出済みです。仕事から帰って急いで荷物をまとめ家を発ちました。パートナーを乗せ関越道をひた走り、深夜の登山指導センターに到着。仮眠場所となる指導センターの先客は男性二人。さらに、あとから学生らしき5人組がやってきました。登山届を出す箱を覗くと、他にも谷川岳に入るパーティーがいます。
 2時間ほどの仮眠のあと、まだ暗い3時前に起床、すぐに荷物をまとめ車で一ノ倉沢出合へ。駐車場には車の脇にテントが数張りあり、前回よりも入山するパーティーが多いことが推察できます。一年でもっとも日が長いこの季節、出発はすでに遅いくらいですが、ほかに起きているパーティーはいなさそうです。我々は一番でルートに取付くべく装備を身に付け出発。だんだんと明るくなってくる一ノ倉沢を見上げると前回着たときよりもずいぶんと雪が減っているのが分かります。 Cimg3873

 アプローチ道を進むと、前回雪渓に降り立った場所には雪はなく水が流れています。雪渓の先端がずいぶんと後退していま す。私はまだ見たことがありませんが、ヒョングリの滝はまだ姿を現していないようです。ここでは沢を渡らずにアプローチ道をさらに登り、テールリッジが対岸に見えるあたりから残置されたフィックスロープをたよりに下降し、雪渓を渡りました。テールリッジを登るのは前回と同様。暑くて汗をかきそうです。はるか後方に登ってくるパーティーの姿が見えます。中央稜の取付きから南稜へとつづくトラバース道を左へ少し進んだところが中央カンテの取付きです。ルートを見定めるのに最初ちょっと迷いましたが、ルート図と睨み合わせ場所を確定。足元には石片が無数に散らばっており、烏帽子沢奥壁の岩の脆さを窺わせます。落石を喰らわないように注意せねば。使わない荷物をデポし、いよいよ登はんCimg3885開始。

 中央カンテはルート図によると10ピッチ以上あります。はじめは凹状岩壁と重複し、後半は変形チムニーのルートが合流してきます。こまかな描写は省きますが、今回は濡れた岩場にさんざん苦戦させられました。フラットソールのシューズで踏む足元が濡れていて滑りそうで、渇いていれば何でもないところが恐ろしく感じられます。それから浮石。つかんだ岩がどれもこれもというくらい動くのです。中には、一抱えもあるような岩がグラリと動くので、こんなものに圧し掛かられたら一たまりもありません。いつものゲレンデの岩場では想像もしない悪さです。南稜や中央稜に比Cimg3886べても悪いです。
 序盤のルンゼ状のところを通過すると、稜状のところに出ます。ここがいわゆる中央カンテなのだと分かります。そこをさらに進むと左から変形チムニーのトラバースが合流するであろうバンドが何となく見えます。このトラバースが相当悪いらしく、当初、我々は変形チムニーにも行こうかと思っていたのですが、山の会のベテランの人に止められました。
 ここらへんのルンゼをのセカンドで登っているときに濡れた岩に足を滑らせ2mほど落ちてロープに助けられました。これがトップだったら大変なことになっていました。わずかな距離とはいえ、やっぱり濡れていて滑りやすいのだと恐ろしくなりました。これで大幅にモチダウン。う~む。この後のⅤ級ほどの小さな垂壁ではフリーでの突破はさっさと諦めアブミで越えました。
 後ろから2パーティーが登ってきているようです。そのうち、追いついて来たパーティーはガイドとお客とのこと。さらに数ピッチを登り、残置スリングがたくさんある終了点に着きました。ガイドのパーティーはここで降りていったようです。我々はさらに最後のⅢ級のルンゼのピッチを私のリードで行きました。が、ここが大変でした。岩が濡れていて今にも滑りそうなところを右側の岩にしがみつきながらジワジワと登っていきました。さらにルンゼをトラバースするのが大変で、ここで滑って落ちたらタダでは済まないと思い必死になって越えました。ほかのどのピッチよりもこのⅢ級が恐ろしかったです。さっき滑って落ちた恐怖感も影Cimg3888響しているのでしょう。

 さて、そんなこともありましたが、どうにか中央カンテを登りきりました。すでにお昼近く。登はんに6時間くらいかかりました。上には烏帽子岩が見えます。南稜へと懸垂下降していきます。南稜にはたくさんのパーティーが取付いていて、我々が中央カンテを登っている間、南稜テラスでずっと順番待ちをしている人達の姿が見えていました。それらに人たちが下から登ってきます。すれ違うように我々は降りていきます。途中で学生らしいパーティーもいました。一方、中央稜に目を向けると3人パーティーが登っており、サードの人が途中で行き詰まってなかなか登れずにいます。先に登った人が上から気合を入れて登るようにゲキを飛ばしています。懸垂しながらその様子を見ていると、やがてその人は登っていきましたCimg3892。良かった。
 南稜テラスに到着しロープを回収しようとしたら、途中で引っかかってしまいました。いつもなら、登り返しかと思うところですが、後から降りてくるパーティーがいるのが分かっていたので、すっかり当てにしてしまいました。下から声をかけて引っかかっているのをはずしてもらいました。ありがとう。
 この下降の際、私は中央稜側に気が取られていたので気づかなかったのですが、パートナーによれば、反対の3ルンゼ側で、落石との大声が聞こえたそうです。その後、出合に戻ったところでヘリコプターが飛んできたので、事故でもあったのかなぁなどと話していたのですが、後日、山仲間に聞いたのですが、本当に事故があったのです。3ルンゼを登はん中の二人パーティーのうちの一人が滑落して死亡したそうです。遺体は翌日収容されたとのこと。あの時の声がそれだったようです。ご冥福をお祈りします。それにしても、遭難現場のすぐ近くにいたということは、自分も危険地帯に足を踏み入れているのだということを改めて認識させられます。
 南稜テラスからの帰りは、登はん中に滑った恐怖が染み付いてしまい、前回は何でもなかったところが怖くて仕方ありません。弱腰になって何とか降りていきました。雪渓や土の斜面を通ってアプローチ道に出、ようやく出合に帰って来れました。無事に帰れて良かった。前回もいた望遠鏡の男性がやっぱり今回もいました。このときに先ほどのヘリが飛んできたのです。
 これで南稜、中央稜、中央カンテの三つを登りました。
  今回、谷川岳はつくづく危険なところだと思いました。昔は毎年、年に何十人も死亡していたようです。今はぐっと少ないとはいえ、危険なことには変わりはないのですね。

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