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剱岳 早月尾根【2008年元日】

 あけましておめでとうございます、とお祝い気分で新年最初の朝を迎えるわけにはいきませんでした。というかまだ朝とは言えない午前4時頃、目が覚めると目の前に雪が迫っています。昨夜の就寝前には私が寝る場所は天井高が1mほどはあったはずです。それが60㎝もないくらいまで 下がってきているのです。すわ、生き埋めになってしまうとドキドキしましたが、もう少し様子を見ることにしました。再び少し寝て5時半を回ってから5人皆起きることにしました。3人が寝ている奥は大丈夫なようですが、入口に近い私が寝ているところは頭を下げて座っていないといけません。
 

 ヤッケを着こみ靴も履いて、寝袋をたたんで荷物をまとめました。雪洞が埋まった際に荷物を掘り出せるようになるべく一つにまとめておきます。さて、まずは外に出なければなりません。が、入口に張ったツエルトが外側に降り積もった雪で大きくたわんでいます。触ってみるとツエルト前面が雪に埋まっています。この夜も相当降り積もったようです。ツエルトを少しめくって隙間から雪を掻き出します。降り積もった雪面はずっと上の方のようで、ツエルトから外に出した腕を上に向かって伸ばして雪を掻き分けます。手の先の雪が明るくなり雪面に達したようです。それから身体を積った雪の中に入れて行きます。そうしてようやく外に出ることができましたが、雪は胸の高さまであります。雪洞とイグルーを結ぶ通路はすっかり埋まっています。泳ぐようにして雪を掻き分けイグルーにたどり着くと、イグルーも雪にすっぽり埋まり頭が覗いているだけです。入口は足元より下にあるはずで、スコップで掘ります。入口を塞いでいたザックを退けて中に向かって声をかけました。雪に埋まって酸欠にでもなっているのかと心配していましたが、こちらの心配をよそに中の2人はぐっすり眠っていたようです。
 

 この一晩でまた1mは降ったようです。豪雪です。まずは外の雪かきをしました。その間に雪洞にいるメンバーが天井を掘って広げてくれたようです。雪かきがひと段落したところでイグルーで新年最初の食事。お正月らしい献立です。リーダーはこの時のために瓶のシャンパンを出してくれました。重いのに。外で雪かきしているときに小屋の警備隊の人が来て、我々と隣りのテントパーティー、それから小屋のひと組を除いて、この日のうちに皆下山するそうです。我々はこの日も停滞が決定。この日は午前中は小屋で過ごして、昼食を再びイグルーで済ませ、午後1~3時に近くでラッセル訓練をすることになりました。他のパーティーは下山していくという中で、我々は残って雪訓(せっくん)です。その後は再び夕食まで小屋で過ごしてよいとのこと。

 というわけで、午前中は山小屋の1階の部屋で過ごしました。ここには小屋番さんのほか、山岳警備隊2人が詰めています。ストーブがガンガンに焚かれて暖かいです。2階のストーブも点けてくれたので、濡れた寝袋や雪まみれの衣類をたくさん干して乾かしました。そうして昼になったので、イグルーに戻り昼食を食べました。天候が回復するしないに関わらず明日は下山することになりました。
昼食を終えラッセル訓練をすることになりました。テント泊の際に雪かきを担当した私を含む4人を対象にラッセル訓練の開始です。この2日間で2~3mは積もっているでし690888513_39sょうか、ラッセルするのには十分すぎるほどの雪です。これほどの積雪になると足で踏みつけるだけでは進めません。横に持ったピッケルで雪を崩して、それを膝で押さえつけます。それから踏みつけて前に進みます。斜面では目の前が雪の壁になります。先頭の人がラッセルして、後に続く人達が踏み固めて行くのですが、やはり圧倒的に先頭の人が大変です。
 何10mか進んでから先頭を交代します。そんなことを小屋の周りでしばらくやりました。練習の最中、樹木の枝の二股のあたりに何かがくくり付けてあるのが見えました。どこかのパーティーが無雪期のうちに食料をデポしに来たもののようです。このお正月を目指してデポしておいたとすると、もしかしたらこの豪雪でここまで来るのを諦めたのかもしれません。依然、いっ時でも止むことはなく雪は降り続けています。

 さて、訓練を終え再び夕食の時間まで小屋で暖を採りました。こうしてちょくちょく暖かい小屋で休める時間帯がありがたいです。イグルーで夕食。苦労して造ったイグルーは大活躍です。前夜と同様、雪洞に戻ると、リーダーが携帯電話を見ています。私は、携帯電話の機種のことはチンプンカンプンですが、ドコモのワンセグの最新機種だそうで、テレビを見ることができるのです。そういえば前夜にも紅白歌合戦を見ていました。
と、山で雪崩事故がなったというニュースをやっています。槍平のテント場で4人が死亡したらしいです。合掌。後で聞いた話ですが、山に詳しくない家族などはこのニュースを聞いて、同じ北アルプスに入っている我々の身をずいぶん心配したそうです。同じ北アルプスでも剱岳と槍ヶ岳はずいぶん離れているのですが。

【写真】4人が横に並んでラッセルしているところ

つづく

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