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剱岳 早月尾根【31日/雪洞&イグルー】

  外で雪かきをしているだんだんと明るくなってきました。大晦日の朝です。それでも雪は降り続いています。一晩で1mは降ったでしょうか。ものすごい雪で昨日の様子とは比べものになりません。外で雪かきを続けていると中で起きだしたメンバーが朝食の仕度を始めたようです。テントの中に入るとどうも体の調子が思わしくありません。ほとんど眠ることができなかったのでそのせいのようです。しばらく横になって後から朝食を取りました。

《雪洞》
 さて、この日は雪が降り続くので停滞と言うことになりました。停滞とはつまり一日そこで過ごすと言うことです。しかし、依然降り続く雪にテント泊は大変だと判断し、雪洞(せつどう)を造ることになりました。私は雪洞は何度か造ったことがあるのでだいぶ慣れています。降ったばかりの軟らかい雪で雪洞の屋根が持つのかどうか心配しましたが、重みで圧縮されて下のほうの雪はある程度固いだろうとのことです。それでもなるべく屋根の厚みを確保するために下に向けて掘る必要があります。場所は早月小屋のすぐ脇です。
 

メンバーが掘り進み書き出した雪を私はさらに外に掻き出します。作業にあたっては一人1本スコップが必要です。入口付近を掘り終えたら居住部分としてだんだんと大きく掘っていきます。程なくして小屋の外壁にぶつかりました。板を張った窓があります。どうやら2階の窓のようです。外壁に沿って横長の空間を作り4~5人は横になれそうです。雪洞造りに2時間くらいはかかったでしょうか。

《イグルー》
 雪洞が概ね完成したので外に出てみると、他のメンバーが近くでイグルーを造685183469_220sり始めています。イグルーとは雪のブロックを切り出してドーム状に積上げたものです。雪洞以上に、この軟らかい雪で造れるのかと心配する人もいましたが、どうやら造れるようです。このイグルー造りが大変です。雪洞はある意味穴をどんどん掘っていくだけですが、イグルーは雪のブロックをきれいに積んでいかないとドーム状になりません。これがかなり神経を使います。
 

 今回、685183469_43sイグルーの中で作業をする人が3人、外で作業する人が2人。リーダーは工事監督です。もう一人はこの間、雪洞をさらに広げ、トイレスペースも造ってくれていました。
 雪のブロックを造るにはスノーソーというノコギリが必要です。これで縦横30~50㎝、厚さ20㎝くらいのブロックを切り出します。私は外で作業したので、このブロック切り出しもやりました。
 

 持ってきたスノーソーは2本。1本はブロックの切り出しに、もう1本はイグルーの中で作業する人が積みやすいようにブロックを削るのに使います。さらに切り出しようにもう1本あると作業が捗ることでしょう。イグルーの内側の直径は2mほどでしょうか。寒さに震えながら少しずつブロックを積んでいきます。なかでも、イグルーの円の中 で作業する3人は大変です。壁が高くなるにつれブロックは内側に傾けて乗せます。下や隣りのブロックとくっつくまでは滑り落ちないように手で押さえていなければなりません。それが数時間続くのです。私はもう一人と共に、イグルーの外でブロックを切り出しそれを中の人に円の上から渡します。最終的には高さが2m近くになっていたと思います。中の3人は私よりも背が低く、ブロックが崩れないようにずっと万歳状態で押さえていないといけません。
 685183469_46s_2

 いよいよドームの屋根が塞がりそうな頃、リーダーがイグルーの下部に小さな出入り口を掘り、中に入りました。最後に天頂部を塞ぐのに大きめのブロック板を切り出し、天辺に乗せました。細かなところを修正してやっと完成しました。時刻は午後3時頃。疲れました。それよりも寒いです。暖かい小屋の中で休みたいのですが、イグルーづくりの間、テントが雪に埋まってしまったので掘り出さなければなりません。テント周りの雪かきをしながら中の荷物を出して雪洞に運びます。テントのポールは雪の重みでグニャグニャに曲がっています。掘り出す最中にポールを1か所折ってしまいました。皆で雪かきをして何とかテントを掘り出したたみます。しかし、雪まみれのジャンボテントはものすごい大きさです。ちなみに、雪洞の入口は雪が入ってこないようにツエルトとピッケルなどで塞ぎます。

 夕食の時間まで小屋の中で休んで良いとリーダーが言ってくれました。身体が冷え切った我々は小屋に入り、2階のストーブにあたりました。濡れたグローブなども乾かします。2階の廊下の突き当たりに雨戸を閉めた窓があります。そこをトントンと叩いて声をかけると、一足先に雪洞に戻ったメンバーが返事をしました。雪洞の中の窓はやっぱり2階だったのです。
 

 小屋は素泊まり5,400円。寒さと疲れで小屋に泊まりたい誘惑に駆られましたが、せっかく雪洞とイグルーを作っておきながらそういうわけにもいきません。夕食はイグルーの中に7人が車座になり食べました。テントも寒いですが、イグルーの中も寒いです。ブロックの隙間や入口から寒気が入ってきます。
 

 雪洞に5人、イグルーに2人が寝ます。イグルーで寝るのが初めてという2人と別れ、私を含む5人は雪洞に入ります。雪洞の中は基本的に0度を下回らないといいます。テントは薄い生地を介して外気に接しているため外気温が例えば氷点下20度などというと、それに応じて冷えます。 そういうわけで雪洞の中は思ったより快適なのです。それにイグルーのように隙間風もないので、どちらかというとイグルーよりも雪洞を寝床に選びたくなります。しかし、今回の雪洞は壁の一部が建物にあたっていて強度的に不利で、加えて雪も降ったばかりの柔らかいものなので、天井が落盤しないか心配です。横になって寝る頭上には厚さ数mの雪があるわけですから、雪洞が崩れてしまっては生き埋めになってしまいます。そんな不安はありましたが、前夜の寝不足と日中の疲れからすぐに眠りに就くことができました。

【写真1・2】イグルーの中で作業する3人。大変そうです。
【写真3】イグルーの天井を見上げたところ

つづく

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