伊豆半島岩場巡り(城ヶ崎シーサイド、海金剛スーパーレイン、城山南壁)
お正月休みは4日間で城山と城ヶ崎へ行きましたが、成人の日の3連休も再び伊豆半島の岩場を巡ってきました。
9日:城ヶ崎シーサイド
10日:海金剛スーパーレイン
11日:城山南壁
メンバーはO川さんと私の二人。ここ数年は以前ほどクライミングをしていないというO川さんに私のわがままを聞いてもらって、ゲレンデだけでなく海金剛も盛り込むというかなり欲張った計画です。
8日(金)夜にO川さんを乗せ、愛車ルーテシアで東京を発ちました。この日の夜は道の駅「伊東マリンタウン」でテント泊。
【9日:城ヶ崎シーサイド】
伊豆高原駅近くのガストで朝食を済ませ、先週初めて行ったシーサイドを再訪。気温は前回2日よりも暖かいくらい。RPできなかった「風に吹かれて」5.11aを今日は一回目でレッドポイント。前回3回もトライしていたのでムーブで迷うことなく力尽きる前にハングを越えることができました。
そのあと、欲張って「ピスタチオ」5.12aにトライするも途中で敗退。やはり厳しい。そんな感じでシーサイドでのクライミングを終え、翌日登る西伊豆の海金剛を目指して車を駆りました。片瀬温泉で汗を流し、下田の駅前にある「魚河岸」というお店で刺身定食を堪能し、松崎の町に着く手前にある道の駅「伊豆松崎」 でテント泊。星がきれい。
翌朝は5時起床。テントをたたみコン ビニで弁当を買いこみ、車を停める雲見オートキャンプ場に6時到着。あらかじめ車を停めさせてもらいたい電話をしており、前日にも確認の電話をしておきました。早朝で管理人がいなかったら管理棟の前の駐車スペースに停めておいてほしいとのことでしたが、管理人さんがいたので500円を払う。海金剛は西風が強いと聞いていましたが、管理人さんの話では現在5mくらいの風速で午前9時頃には7mになるが、昼ごろには止むだろうとのこと。しかし、ここではこれくらいの風はいつも吹いているという。
登ってみないことには現地の風の強さは分からないが、これくらいで諦める必要はないだろうと思い出発しました。明るくなった6:50にキ ャンプ場を出発。アプローチはあらかじめネットで調べておいたので、スムーズに行けました。途中の懸垂下降するところも新しめの残置ロープがありました。取り付きは中央稜から右に二つ目のディエードル。7:35着。キャンプ場から45分ほどで到着。写真で見たとおりのクラックが凹角に走っています。
たくさんのカムなどのクライミングギアを身につけいよいよ登はん開始です。スーパーレインは全7ピッチ。そのほとんどがクラックシステムのルートとのこと。最高グレードは5.10aですが、クラック5.10aはフェイスのそれと比べると相当に大変です。それに身に付けたギア類が重い重い。エイリアンからキャメロット0.3~4番。それにナッツもあります。スリングやカラビナもたくさん。念のためアブミも持ちました。
O川さんはあまり登れる自信がないということで、1ピッチ目と最後の7ピッチ目をリードするということで、途中の2~6ピッチ目は私がリードすることになります。アプローチシューズなど不要なものはザックにまとめ取り付きに置いていくのですが、猿が出ると言うので木の枝に吊るしておきました。
ルート図によると、1P:30m5.7、2P:25m5.8、3P:35m5.9、4P:30m5.10a、5P:35m5.10a、6P:35m5.9、7P:25m5.8となっています。
1ピッチ目は、O川さんがリード。8:20に開始。フォローで登るとクラックの途中途中に木が生えており、それをつかみながら登りました。O川さんは直上するクラックをずいぶん登っ たようで、2ピッチ目の部分まで少し登っていたようです。
2ピッチ目からは私のリード。続くクラックを少し登ったところから右に見えるブッシュ帯を目指して数mトラバースするのですが、これが怖い。目ぼしいホールドがないため、左のクラックにナッツをきめ(実戦で初めてナッツを使いました)、それからスリングを伸ばして身体を伸ばしながら右にトラバースしていきました。なんとか落ちずにブッシュ帯に到着。さらに樹林の中を10mくらい右に行くと頭上に3ピッチ目のクラックが見えるのですが、フォローが恐怖のトラバースするのを見れるように、ブッシュ帯に入るところでピッチを切ったほうが良いかもしれません。ここにはあとで最後に懸垂下降するための残置のスリングとカラビナがありました。ブッシュ帯の中は普通に歩いて行けます。
3ピッチ目。クラックをまっすぐ登ってから少し左上し、次に右上するのですがこれがとにかく大変でした。レイバックで登りながら覗きこめないクラックの中にカムをきめていくのですが、クラックから少し出ている縁にかけた足がはずれて落ちる恐怖を抑えながらじわじわと登っていきます。必死だったので返ってあまり覚えていないですが、なんとか登り切りました。後 続のO川さんもフォローで登ってくるたびに大変だったと言っています。
4ピッチ目はさらにグレードアップし5.10a。大フレークが特徴のピッチ。とにかくキャメロットやエイリアンが大活躍します。たしか最後にワイドクラックがあり、手を突っ込んだだけでは広すぎてジャムが利きません。3番のキャメが使えたはずです。ここではたまらずキャメロットにアブミをかけてアメリカンエイドで突破しました。フリーとはなりませんでしたが、時間を考えるとじっくり粘っている余裕はありません。初めてのクラックのマルチピッチルートで実質オールリードをするというプレッシャーが空腹を感じさせるヒマを与えてくれません。それでも喉は乾くので、後続が背負ったナップザックから飲み物を出して飲みます。
5ピッチ目は先人クラック。ここもずっとクラックを たどっていくのですが、4ピッチ目よりはちょっぴり易しく感じました。どこだったか覚えていませんが、ところどころナッツが使えるところがあると、ナッツを買った甲斐があったと感じます。下部要塞に到着。
6ピッチ目。下部要塞の右にあるかぶったワイドクラックを登るのですがこれが本当に大変。ここでもカム&アブミに頼って身体をずりあげました。頭上のハングは左に巻いていくのですが、こんな感じのパートは湯川のバンパイア5.10cの最後や城山のワイルドボアゴ ージにあるカルカッタ5.10cの上部に似ているので、要はそれほど難しくありません。
7ピッチ目はO川さんがリードするはずだったのですが、出だしのワイドクラックが小柄な体格のため上部のホールドに届かず。そこで結局私が交代してリード。後ろにある岩に立って私がようやくとどくくらいなので確かに大変です。
こうして全7ピッチを終えたのが14:20。やった。少し登れば海金剛のピークらしいのですが、懸垂下降してアプローチを引き返す時間を考えると、のんびりしていられません。ルートは完登したので、すぐに降りることにしました。7・6ピッチ、5・4ピッチ、3ピッチと3回懸垂下降し、2ピッチ目のブッシュを歩いて、前述した懸垂支点から1ピッチ目の一つ右隣りのディエードルを懸垂しました。取り付きに戻ったのは15:50頃。
荷物をまとめ、アプローチを引き返します。懸垂下降したところは逆に登高器で確保しながら登り返しました。まもなく陽が海に沈みますが、まだ明るいうちにキャンプ場に戻れそうです。途中、咲いていたスイセンの花の匂いをかぐ余裕もありました。17時にキャンプ場に帰着。ちょうど陽が海に沈むところでした。日の出とともに歩き始め、日没に合わせて帰着。目いっぱい登れました。交わしたメールによると山仲間 のI瀬さんとM田さんはこの日、近くの雲見崎の直上裏参道を登ったそうです。おめでとう。
堂ヶ島の立ち寄り温泉で汗を流し、鄙びた食堂でカレーライスをほお張り、翌日城山で登るために一路大仁へ。大仁でいつも行くアピタでお酒とおつまみを買いこみ、河川敷にテントを張ってこの日のクライミングを祝いました。
【11日:城山南壁】
3日目、曇り空。さすがにちょっと疲れ気味。寒いし。南壁に着いたのは我々が一番乗り。さっそくバトルランナーを登り始めます。O川さんは以前バトルランナーに登りかけたそうですが、2ピッチ目のハングに達することなく降りたそうです。それではということで、バトルランナーに誘いました。私自身はこれで4回目。100岩場では4ピッチとな っていますが、3・4ピッチ目はつなげても50mロープで足ります。
1ピッチ目はO川さんがリード。アップを兼ねているのでまだ身体が重そうです。2ピッチ目は私。核心のハングも何度も登っているので、あっさり突破。3ピッチ目は終了点までO川さんに頑張ってリードしてもらいました。
午後、私は「おててつないで」5.12cに挑戦。昨年暮れに両脇の「スナッチ」5.11dと「ハンドバイス」5.11d/5.12aをRPしたので、残ったこのルートにトライすることにしました。これらはどれもハングを越えるのが核心で、短いものばかり。ほとんどボルダー的です。
おててつないでは、いきなり12台後半ということで、最初の数便はハング下でのムーブが分からずハングの庇の下にたどり着くことがまずできません。それでも何とかロープを張り繰り返し練習。右手アンダーからクロス気味にリーチ目いっぱいに左手を伸ばして庇上のガバ穴を取りにいきます。右手を話すと身体を振られてしまいなかなか耐えられません。一方、その先のマントルは足ブラ状態から右足を庇にはね上げヒールフック、ホールドに手を伸ばしマントルします。このマントル自身はスナッチやハンドバイスよりも幾分易しく感じるくらいです。
結局RPはできませんでしたが、ガバ穴を取ってから右足ヒールフックにもっていく間のパートで、身体が振られない工夫をしてスタティックに移行できればクリアできそうな感じです。ボルダリングをやっているようなルートなので、あれこれ探っているうちにムーブが分かってくるのが楽しいです。
一二三荘で汗を流し夕食は松屋で安く済ませ、高速道ではほとんど渋滞に巻き込まれることなく帰宅でした。O川さんにとっては、盛りだくさんで大変だったみたいですが、充実した3日間となりました。
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