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南アルプス 甲斐駒ケ岳 黄蓮谷右俣 遡行記

【甲斐駒のこれまでの登山】
 9月3日夜から6日まで、甲斐駒の名渓黄蓮谷(おうれんだに)へ沢登りに行って来た。甲斐駒に登るのはこれで7回目。
 高校生時代に2回。高2の夏に甲斐駒~仙丈岳、高3の夏に甲斐駒~アサヨ峰。いずれも黒戸尾根から。山岳会に所属していた4年前の12月には雪山登山の練習として久しぶりに黒戸尾根を往復し、翌年8月には黄蓮谷の沢登り(完全遡行ならず、途中からヤブ漕ぎ)、同年12月にも再び雪山の練習として黒戸尾根を登っている。さらに、昨年9月にボルダリングでケガした左足首の回復具合をみることを兼ねてワンデイ登山をしたのが6回目。
 前回の黄蓮谷遡行では、2日目に歩き始めてすぐ現れる坊主滝を高巻きし過ぎて迷い、さらに谷を横断後の右岸の高巻きで本流からどんどん逸れてしまい、頂上までの標高差1,000mを残してひたすらヤブ漕ぎするという辛酸をなめた経緯がある。

http://mino-climbing.cocolog-nifty.com/blog/2007/08/post-6e59.html

【出発まで】
 今回は、前回の轍を踏まないという私にとってはリベンジ山行でもある。メンバーはO形さん、HN田さん、私の3人。HN田さんとは初対面ということもあり、事前にメンバーで集まって行動・装備の打ち合わせをしたり、前週にはHN田さんと甲府幕岩に行ってクライミングをした。
 そうして3日夜、府中本町駅で愛車ルーテシアに2人を乗せ、一路、登山口となる竹宇駒ケ岳神社の駐車場へ。駐車場には他にいくつもテントが張ってある中、我々もテントを張って就寝。

【4日:前回と同じBPまで】
 初日は五丈沢出合近くのビバーク適地までの行程で比較的短い。5時前に起きてテントを撤収して6時過ぎに出発。神社そばの橋を渡り、尾白川右岸の渓谷沿いより一つ上の登山道を経て不動滝へ。そこで再び橋を渡り、斜面を登って行くと荒れた林道に出る。トンネルを3つ越えると林道が途切れ、急斜面を下って行くとそこが入渓点。そこで遡行のための支度をする。沢用シューズに履き替えたり、ハーネスを付けたり。
 3年ぶりに履く沢靴の感触を確認しながら、9時40分頃に入渓。ジャブジャブと水の中に入って行く。思ったより水が冷たくない。それにまとまった雨がずっと降っていないせいか、水量も少ないようだ。河原歩きや小さな滝を越えたりして順調に進んでいく。途中の淵でO形さんとHN田さんが持参した釣竿を出すも、イワナは釣れなかった。魚影も見えないというので、どうやらいないようだ。釣れれば今夜の食事の足しになったのにちょっと残念。
 噴水滝はやはり水量が少ないせいか、前回来た時よりも小さく迫力がない。やがて本谷との出合。沢の向きとしては、本流のほうがまっすぐ伸びていて、黄蓮谷は左に分岐するT字路のようになっている。うっかりしていると、そのまま本流へと進んでしまうので注意が必要だ。知り合いのパーティーも間違えて本谷を行ってしまい、ずいぶんと登ってから途中から引き返したことがあるという。
 しかし、今回はその心配はなかった。というのも、O形さん、HN田さんの仲間のK村さんを含むパーティーが前週、本谷を遡行しており、分岐の岩に焚き火の炭で、黄蓮谷は左だと「←」を残しておいてくれたのだ。我々は事前にそれを教えてもらっていたので、ありがたかった。この場を借りて感謝。それにしてもK村さんパーティーは2日間で本谷を遡行し下山したという。ものすごい健脚だ。
Imgp2590 

  さて途中で、わざわざ淵の中に全身入ってびしょ濡れになって泳いだりもしながら、あるいは滝の高巻きでちょっと遠回りをしたりしながら、午後3時前には左岸のちょっと高いところにあるビバーク適地に到着。1人で来ている男性がテントを張っていた。
 まずはタープを張ってその下にツエルトを張る。O形さんが持ってきたツエルトはテントポールを通せるようになっていて、3人が横になれる広さがある。焚き火を熾し食事を作る。O形さんがたくさん用意してくれたので、満腹になった。ずいぶん早いが6時半頃にはツエルトに入る。今回、軽量化のため、寝袋もエアマットも持って来なかった。代わりに、薄い銀マットとエマージェンシーブランケットというアルミホイルのような大きな封筒状の袋に入って寝た。雨具なども着て寝たので思ったよりも寒くはなかったが、エアマットがないと地面の硬さでぐっすりとは眠れなかった。

【5日:黄蓮谷を遡行~山頂~七丈小屋へ】
 4:15に起床。HN田さんが用意してくれたラーメンを食べ、6時半頃出発。歩き始めるとすぐに坊主滝が眼前に現れた。右手に遡行図にもあるガレルンゼがある。前回は坊主滝を高巻きするために、このガレルンゼをどんどんと登り過ぎてしまい、本流に戻るのに相当苦労した記憶がある。かなり上部で本流に戻ったものの、さらに先の滝の右岸の高巻きで沢から大きく離れてしまい、冒頭で述べたようなことになってしまった。そのため、ここから先は私にとっても初めて歩く場所である。
 まずはガレルンゼに入って行くが、調子に乗ってどんどんと登ってしまわずに、左手に続く岩壁が切れて登れそうなところを観察する。すると踏み跡を発見。それを登って行くと、黄蓮谷本流を左下に見ながら続く巻き道を行ける。その巻き道をしばらく進むと、小さな枯れたルンゼに出て、巻き道が途切れてしまう。さて、周囲をよく観察して、数メートルほどだがこの枯れルンゼに懸垂下降する。降り立ったその先に再び踏み跡が続いている。本流も近い。今回は坊主滝の巻きがばっちりできた。ここで懸垂したのも正解だろう。
Imgp2603 

 六丈沢や左俣の出合がいまいちどこなのか分からなかったのだが、あぶなそうな滝では積極的にロープを出して登って行った。巻き道も随所にある。細かな場面はちょっと覚えていないが、やがて奥千丈滝が出てくる。急傾斜のため右岸にやはり巻き道があり、それを辿る。しかし全て巻いてしまっては面白くない。途中、ロープを出してHN田さんが果敢にリード。私はそこをフリーソロで行ったのだが、いつ足元が滑るかもしれないので結構緊張する。岩の乗っ越しでは、普段のフリークライミングのおかげで、小さな濡れたホールドを持って進むことができた。緊張したが、ノーロープで登る私を見ていたHN田さんのほうが、はるか下方に流れ落ちる急斜面が見えるためか、見ていてヒヤヒヤしたという。
 再び高巻いて懸垂したりしながら奥千丈滝を突破。その先の連続する小滝でもロープを出して登って行った。しかしロープを出すと、どうしても時間がかかってしまう。時計の高度計を見ると、頂上はまだまだはるか先だ。
 どこかで烏帽子沢と別れ、二股を左に入る。これも場所が良く分からない。しかし山頂に突き上げるのは間違いなさそうだ。再び悪そうな斜面をロープを出して登っている午後3時頃、雨が降り出した。しばらくして止んだのだが、時間が押してきている状況で雨に降られると精神的に疲れる。シャリばてなのか疲れて息が上がる。何度もリードする場面があり、緊張感があり楽しいのだがやはり疲れる。これではいけないと、雨の中で携行食を食べる。それが効いたのか、最後数百メートルのひたすら踏み跡を登る場面では結構さくさくと登れた。休憩を入れず登り続けたので、O形さんにはちょっとキツかったようだ。Imgp2621
 時計の高度計がズレていたようで、山頂まであと160mとか言っていると、ひょこりと登山道に出た。すぐ上50mほど先に山頂の石の祠が見える。おお、やった。時刻は午後4時43分。明るいうちに山頂に着けるかどうか心配していたので良かった。O形さんもHN田さんも嬉しそう。私も黄蓮谷をリベンジできて感慨深い。 
 山頂で記念写真を撮り、濡れた服を着替え、沢靴もアプローチシューズに履き替える。夕方のためか他に登山者はいない。5時過ぎに下山開始。何度も歩いた黒戸尾根の登山道を七丈小屋に向かってどんどん降りて行った。6時前にはテント場に着き、その先の小屋でテント場代を払いビールも買う。前夜と同様、タープとツエルトを張って寝るも、やはり硬い地面がツラい。

【6日:下山、サントリー白州蒸留所へ】
 この日は下山するだけだからゆっくり起きようという話だったけれど、硬い地面で背中が痛むし、周りも騒がしくなってきたので5時半くらいには起床。未明は寒かった。朝食はパスタ。荷物をまとめて7時過ぎには下山開始。
 下山中は、キノコに詳しいO形さんとHN田さんが生えてるキノコを見て、これは食べられるとか食べられないとか言いながら下って行く。カレエダタケというのは図鑑によると食用ではないそうだけど、HN田さんはそれを食べるのだという。キノコというと中毒のイメージがあるから、その話を聞いてすごいなあと変に感心。真っ白な姿で生えているドクツルタケというキノコもHN田さんに教えてもらう。このキノコを食べれた一発で死ねるらしい…。私はイワタケとタマゴタケの二つを最近教えてもらったけれど、タマゴタケは見つからなかった。
 どんどん下るに連れて暑くなってくる。それでも足の速い二人に負けないよう頑張って下り続けた。単独で登って来る登山者何人かとすれ違った。皆、年配の男性ばかり。平日だからかなあ。
 登山口が近くなった頃、下からガシガシと登って来る男性ともすれ違った。上半身裸で背負子に箱を積んでいる。よく見ると七丈小屋の管理人さんだ。たしか我々が下山前に七丈小屋で水を汲んでいた頃は小屋にいるのを見た。ヘリコプターで荷揚げができないらしいが、我々が気づかないうちに下山し始めて、下で荷物を背負ってこうして登り返してきたわけだ。ものすごい体力だ。
 竹宇駒ケ岳神社にお参りして駐車場へ。11時頃。オニグルミをいくつか拾って割って食べてみる。O形さんは子どもの頃、これがおやつだったそうだ。もちろん炒って食べるとよいのだが、生でも食べらるらしい。一つ食べてみた。おいしい。
 尾白の湯べるがという立ち寄り温泉で汗を流し、昼食。まだ帰るには早いので、近くのサントリー白州蒸留所に工場見学に行く。私は何度か来たことがあるが、行ったことがないという二人にぜひ見てもらいたくて、山行前から薦めていたのだ。見学後、ウイスキーを試飲できる。ドライバーの私は当然飲めないので、ジュースやミネラルウォーターを飲む。お酒好きのO形さんは何杯もおかわりしてた。
 平日なので高速道路もすいていて、いつもより早く帰宅できた。こうして黄蓮谷遡行は終了。久しぶりにこういう大きな沢を遡行するのは良いものだ。今シーズンの沢登りはこの1回だけだろうが、来年も登り応えのある沢に行ってみたい。私をこの山行に誘ってくれたO形さんとHN田さんに感謝。

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