タイ・プラナン クライミング旅行記⑤ (12/27 Happy Islandへ)
石灰岩のトンネルのような遊歩道を経てプラナンビーチに出ると、置きにハッピーアイランドが見える。今は潮が引いている時間なので、ヒザくらいの水深で歩いて島まで渡れそうだったのだが、ボートが近付いてきたので、潮が満ちて帰りは歩けなくなるので、夕方4時半に迎えに来てもらうことを約束して、行きもボートに乗る。ビーチから数百メートルという距離だろうか。
上陸した小さな砂浜はいずれ水没してしまうはずなので、まずはここにあるルートに登ることにする。
上のほうのルートの場所を探っている最中、K端さんが毛虫を触ってしまい右手の人差し指に細かな毒毛がたくさん刺さっていて指が腫れ出した。これはマズい。あとで見つけたその毛虫はものすごく大きくて、角が生えた様な姿で見るからに毒々しい色と姿をしている。本土の岩場では見かけなかったから、ここハッピーアイランドだけに生息しているのかもしれない。単なる市販の虫刺され薬では効かないだろうし、私が持っていた毒抜きポイズンリムーバーも指では細くて使えない。そこで私は、ここではその詳細をちょっと書きづらいのだが良く効くはずの塗り薬と飲み薬をK端さんに渡して自己責任で使ってもらった。その処置が早かったこともあり、薬が効いてくれたようで、その日のうちにずいぶん腫れは引いたようだ。よかった。
さて、私が「Pee Mai(New Year)」6c+(5.11c)をテンションしながら登っていると、N保・Kペアも歩いて渡ってきた。1本だけ登って帰るという。
N保さんが「don’t Worry,Be Happy」6aと勘違いして、皆でアップで登っていたルートは実は「Waiting For Donkey Kong」の1P目(6c)と2P目(6a+)だったことが分かった。うーむ。N保さん達が帰る頃には潮が相当満ちて来て、小柄なKさんでは荷物もあって溺れてしまう可能性があり、それをそのまま歩いて行かそうとするN保さんの行動に、見ていた皆が眉をひそめていた。要注意だ。というか関わらないようにしないと。
最後にK端さんが登る頃には相当潮が満ちて来ていたので、登り終えるとすぐに荷物も一段高い岩場に移した。午後からは上のほうにあるルートをやるのだ。
「Jungle Boogie」6b+(5.11a)と「Happy Thailand」6b+(5.11a)を私はオンサイトおよびフラッシング。
皆も2本ともOSまたはFLしていた。どちらも快適なルートなのだ。しかし凶悪毒毛虫を見つけると木の枝で箸のようにつまんで崖下に捨てるようにした。こんなのに刺されたらたまったものではない。
休憩しているとK端さんの携帯電話あてにI澤さんからメールが来ていた(ちなみに私のケータイは古いので海外では使えない)。それによると、二子山の国内最難ルート「フラットマウンテン」5.14d/15aにトライしていたN少年が見事レッドポイントしたという。第2登。すごい! 二子に行くとWC日本代表のA青年とこのN少年がトライしているのを見たが、I澤さんはその完登の場に立ち会えたわけだ。N少年は高校2年生というから、まだ少年と言って良い年齢だが、やっているレベルはとてつもない次元だ。一方のA青年も現在スペインに滞在中で、5.15aのルートを登ったというからこれまたすごい話だ。
最後に「TV Route」の1P目7a(5.11d)にトライするも、中間部がえらく悪くて残置スリングを頼りに懸垂下降して敗退。やれやれ。4時頃になり荷物をまとめていると、約束どおり迎えのボートがやってきた。
それほど疲れていなかった私は対岸まで泳いで渡ろうと思いつき、用意しておいた海パンに穿き換えて、荷物だけボートで運んでもらうことにした。
その軽率な考えのために、やがて大変な目に遭うのだ。泳ぎ始めこそクロールで進んで行くのだが、すぐに腕が疲れてきて、平泳ぎに変える。ボートに乗っているK端さんが写真を撮ってくれているようなのだが、こちらはだんだんと余裕がなくなってくる。時々前を別のボートが横切ると、その波で押し戻されてしまう。腕がいよいよ疲れてくる。平泳ぎをするのだが、遅々として進まない。皆の乗ったボートはさっさと先に行ってしまった。溺れる恐怖を感じ始めた。やばい。ガボガボと海水を飲んでしまう。ボートに助けを求めたいがその余裕もない。時々下に足を伸ばすがまだ海底には届かない。そんなことを繰り返しながら平泳ぎで必死に水をかく。
少しは進んでくれいているのだろうか。ゼーハー必死になってもがいていると、やっと足が下に付いた。やった! あとはつま先立ちになって海底に砂を蹴りながら歩いて行けた。やった、助かった。はっきり言って限界グレードのルートを登れた時よりも嬉しい。というかホッとした。疲労困憊だ。K端さん達は気づいていないが、かなりやばい状況だった。普段プールで泳いでいるわけでもないのに短いとはいえ数百メートル海を泳いで渡ろうとした自分が悪いのだ。海は怖い~。山よりも怖い。
私はカナヅチではないのだが、時々聞く水の事故のニュースを思い出し、溺れるかもしれないという恐怖を身を持って体験できたのは結果的に貴重だ。もうこんなことはしない。う~む反省。
夕食はみなと一緒に食べたのだが、気分がすぐれず食が進まない。というか気持ち悪い。食後のマッサージは辞退して1人先に部屋に帰り早々に横になった。とんだ一日だった。
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