« 台風12号接近…、B-PUMP荻窪&スポーツクラブへ | トップページ | 足尾 ウメコバ沢 中央岩峰 クライミング第2回 「右岩壁・右ルート」・「正面壁・直登ルート」 »

足尾 ウメコバ沢 中央岩峰 クライミング第1回 「正面壁・凹角ルートダイレクト」・「右岩稜・チコちゃんルート」

91011日の週末は、初めて足尾に行ってきた。足尾というとその昔、足尾銅山の公害とか田中正造という人がいたとかを教科書で読んだことがある記憶があるくらいの知識しかなかった。

今回、先日小川山に一緒に行ったIS見さんが足尾にある岩場を登りに行きたいという話を聞いて私も手を挙げたわけだ。それから本や地図を買ったり、ネットで登はん記録を読んだりして、だいたいの様子が分かってきた。

わたらせ渓谷鉄道の終点からさらに奥にある銅(あかがね)親水公園から松木川沿いに長いアプローチをこなした先にウメコバ沢が出合い、その沢の両側に岩壁がそそり立っているようだ。狙いは記録も多い中央岩峰のルート。ちなみに、アプローチ途中の対岸にある松木ジャンダルムも登られている。足尾はむしろアイスクライミングで訪れるクライマーのほうが多いらしい。

9日の金曜日夜、仕事を終え出発。関越道~北関東道を経て、わたらせ渓谷鉄道と並行するように国道を走る。電車で一足先に行っているはずのIS見さんとは結局、間藤駅で合流し、銅親水公園に向かう。家を予定より早く出られたこともあり、夜10時過ぎには親水公園の駐車場に到着。釣り人らしい車が数台停まっている。テントを張って仮眠。

10() 「正面壁・凹角ルートダイレクト」】

 まだ暗い4時に起床し、荷物をまとめて出発。ゲートをくぐって松木川沿いの林道というか作業道を歩いて行く。煙害でハゲ山となった山が周りを囲むが、植樹が行われて少しずつ緑が回復しているようにも見える。途中、黒い砂のようなものが山の斜面を埋め尽くしていた。これがカラミの山らしい。これを除去するのは相当大変そうだ。やがて対岸に松木ジャンダルムの岩壁が見えてくる。これも足尾銅山の公害がなかったら、岩は木々に埋まって、こうしてクライミングの対象になることはなかったのかも知れない。そう思うと、公害で岩が露わになりそれを目当てに登りに来るというのはちょっと複雑な心境だ。

背負った荷物がなぜだか重いために30分ほど歩くとバテてきてしまった。齢かなあ。23才と若いIS見さんに荷物をごっそりと背負ってもらった。ぐんと重くなったはずだが、IS見さんはすたすたと歩いて行く。う~む、私も体力が落ちたものだ。特に荷物が背負えなくなっている。いや、仕事で疲れたせいにしておこう…。

途中、「遊働楽舎」という小屋を通過する。ここには翌日の帰りに寄ることになる。小屋を過ぎると、道が荒れてくる。斜面が崩れてもはや林道の体を成していない。進むにつれて有れ具合もヒドくなってくる。対岸に岩壁が見える。Imgp4346

松木ジャンダルムだ。どこかで徒渉して、ガレた斜面をずっと登って岩場に取り付くのだろう。林道は岩屑で埋め尽くされたところを何度も通過する。

 対岸に露岩のピークをいくつも連ねた尾根が見えてくる。どうやらウメコバ沢右岸側の尾根(ウメコバ尾根)のようだ。あの向こう側がウメコバ沢のはずだ。荒れた林道から広い河原に降りて進むと、滝がかかるウメコバ沢の出合が見えてきた。駐車場からここまで2時間近くかかった。

Imgp4349

 皆がテントを張っているらしいビバーク地があるので、そこに我々もテントを張った。沢靴に履き替えて出発。目の前の松木川を徒渉する。水量が普段より多めだったようで、ヒザくらいまで濡らしながら渡る。ウメコバ沢に入り、最初の滝は右壁にかかるフィックスロープを頼りに登る。Imgp4351

 続く滝も右側にロープがかかっている。樹林の中の踏み跡をたどったり、沢際を歩いたりして行くと、右手に枝沢が現れる。上のほうに岩場が見えたので、ついそこを登って行ってしまったのだが、ここは間違い。途中まで登ってからどうやら違うようだと気付き下降する。戻ると踏み跡が続いているのを発見。それを進んで行くと、沢が開けて河原になり、両側に岩壁がそそり立つのが見える。右手側が目指す中央岩峰だ。

Imgp4355

 ルート図として参考にしたのはネットで見つけた「足尾讃歌」という記録。中央岩峰にある4本のルートを紹介している。その4本とは左から「正面壁・直登ルート」、「正面壁・凹角ルートダイレクト」、「右岩壁・右ルート」、「右岩稜・チコちゃんルート」。今日はこのうち凹角ルートダイレクトを登るつもりだ。

取り付きがどこなのかしばらく探す。この凹角だろうと目星をつける。IS見さんのリードで登り始めることにする。ということで奇数ピッチはIS見、偶数は私がリード。ロープを結んで、キャメロットなどのギア類を揃える。飲み物と少しの食料をザックに入れてセカンドが背負って登ることにする。各ピッチの細かいところまでは正直覚えていないのだが、IS見さんがこまかく記録してくれたので、引用しながら書いていく。表記グレードは足尾讃歌のもの。

1P(Ⅴ-):「凹角を登り、出口は左壁のガバを掴んで終了点へ。プアプロとの噂だったが、カムが決まるところがそれなりにあった。」(IS見さん記)

 私はセカンドだったが、プアプロどころかカムがけっこう取れる。ハーケンを打ちながら登るというのではなく、カムやナッツをきめがら登ることができる。

2P(Ⅴ・A1):「真上の凹角にはいかず、右のカンテに出て登る。出だしが難しい。核心か?グッとハイステップで乗り込んでしまえば終わり。Mさん()は普通に登ってしまった。」(IS見さん記)

 A1?。出だしがアブミを使うほどなのかと思いながら登りだす。右上に上がるのだがよく見れば手も足もホールドがあるので普通にフリーでいける。

3P(Ⅴ+):「凹角を右へ左へ小賢しく動き回って登る。木の上に抜けかかったハンガーボルトとハーケンが打ち込まれているのが、カムで終了点を取った。足首ぐらいの木で支点を取ると完全なハンギングビレイとなり、他に支点も取れそうにないのでお薦めはしない。足元が切れ落ち、高度感があって最高のピッチだった。」(IS見さん記)

 凹角から途中左のフェースに移り登ったように思う。Imgp4367

4P(Ⅳ+):「ここも出だしが悪い。いったん凹角の左のカンテを登っていく。」(IS見さん記)

凹角の途中みたいなところでピッチを切ったように思う。岩にスリングをかけてビレイした。

5P(Ⅳ+):「すぐに平坦になり、ぐるっとロープが張られた大石でビレイ。浮石多し。」(IS見さん記)

 凹角を抜けてガレた斜面でピッチを切るのだが、このガレ斜面は本当に浮き石だらけなので、トップを行く人は特に慎重に登らなければいけないことを私は後日痛感することになる。

Imgp4375

6P目:「(おまけ?)左のブッシュを登るようだが、スタティックで行くなら凹角を登りたいというMさんの一言で目の前の凹角へ。外へ押し出されそうなチムニー登りで、抜け口手前ぐらいで良いホールドがある。」(IS見さん記)

私はスタティックと言った覚えはないのだが(というか、この場合意味不明)、目の前にかぶり気味のチムニーがあるなら、ブッシュの中を登って巻いてしまうより、ここを登るほうがクライミングらしいだろうと思ったのだ。参考にしたルート図では微妙にこのチムニーを避け左のブッシュを登るように描かれているので。チムニーに入り過ぎるとヘルメットがひっかかったりして窮屈になる。3番キャメも使った。使わなくても全然オッケー。

 最後はロープを解いて少し登ると中央岩峰の頭らしきところに出る。こうして凹角ルートダイレクトの登はんを終えた。時刻は午後1時くらい。周囲を見ると岩、岩、岩。登っている間背後にずっと見えていたチャンピオン岩稜らしき急峻な尾根やウメコバ沢にかかる滝も見える。

Imgp4370

 銅山の煙害によって出現した景観だが、この公害がなければこうして登りにくることはなかったのだろう。

 下降は、頭の少ししたからかけらているフィックスロープを伝って斜面を少し下って行くと、朽ちた大木にロープがつながっていて、懸垂用にロープが巻かれている。私が先に懸垂下降で降りることにした。しばらくは足元の岩伝いに降りるのだが、途中から斜面に向かって右手のブッシュに入る。その凹角を降りて行くとやがて傾斜がゆるくなり、50mいっぱい使うあたりで立てるくらいのところに着くので、懸垂は1回で済む。そこからガレたルンゼを歩いて降りて行くのだが、ここが本当に崩れやすい。石がゴトゴトと崩れるので慎重に降りないと下にいるメンバーや自分すらケガすることになる。やがてウメコバ沢の流れが現れるので、沢伝いに取り付きに戻る。頭から降りて来るのに3040分くらいかな。Imgp4382

 この日はこれでおしまい。沢靴に履き替え沢を降り、松木沢を渡り返してテント場に着いたのはまだ3時になっていなかった頃。よく晴れていたので登はん中は暑くて暑くて大変だった。のどが渇くし日焼けもするし。テント場では外にマットを敷いてそのまま昼寝することにした。私は寝不足と疲労でグーグーと爆睡していたようで、後でIS見さんに聞いたら近くをハイカーが通り過ぎたらしいのだが、まったく気付かなかった。

翌日一緒に登るため、午後にO石さんが一人でやってくることになっている。荒れた林道のためO石さん一人で来れるかなぁと話していたが、午後4時過ぎにひょっこりやって来た。このO石さんも24才と若い。

 テントのポールを忘れたと言うO石さんに私の底なしツエルト(アライのピンチシート)を貸して張った。

Imgp4386 Imgp4387

 河原には枯れ木がほとんど落ちていないのだが、なんとか集めてきて焚き火を熾す。よく乾いているので簡単に火が付いた。Imgp4388

 夕食は各自が食材を持ち寄って鍋にして、仕上げにうどんを食べる。満腹だ。暗い中、焚き火を眺めていると1時間以上昼寝をしたにもかかわらずトロトロと眠くなってきたので、先にテントに入って休むことにした。翌朝は5時に起床することにする。

11() 右岩稜・チコちゃんルート」】

 5時起床。インスタントラーメンの朝食を食べながら荷物をまとめて、6時に出発。O石さんは縦走登山の経験は長いらしいのだが、クライミングは今年から始めたらしい。

Imgp4389

 この日は3人でチコちゃんルートを登ることにした。前日のうちにだいたいの取り付きを確認しておいた。3人登はんとなるので、最初の3ピッチを私がリードし、後半をIS見さんがリードすることにした。空は曇っていて、ウメコバ沢を囲む岩峰も上部が隠れている。今にも雨が降りそうだ。

1P目(Ⅳ):「クラックから右上して行く。取り付きはよく分からないが、錆びていないリングボルトの打ってある所から登った。ナッツを決めながら登るとトポには書いてあったが、カムで問題なかった。出だしはクラック伝いに登ると難しい。右のカンテに逃げると楽。終了点は3人が余裕で立てるテラス。」(IS見さん記)

 出だしは浅いクラックらしいのだが、それらしいのが分からない。リングボルトが2ヶ所あるのだが、左のに取り付くとすぐ上がえらく悪い。右のボルトからさらに右上しいったん左に寄り、さらに右上していったように思う。

2P目(Ⅲ+):「リッジを登り最後に少し左へ。凹角手前の岩が飛び出たところでピッチを切る。」(IS見さん記)

 よく覚えていないのだが、たぶんすごく易しい。Imgp4393

3P目(Ⅴ):「凹角を登り、広い場所に出る。真っ直ぐ割れ目が入った垂壁の手前でピッチを切る。」(IS見さん記)

 最初の凹角が核心っぽい。それを登った先でピッチを切ったのはちょっと短かったかも。

Imgp4401

4P目(Ⅲ):「垂壁と思いきや、薄かぶり。出だしが悪かった。上に行くにつれて傾斜が落ち、次のカンテの下で切った。頂上までなんだか遠い。」(IS見さん記)

 ここからはIS見さんのリード。ここから6P目途中までがルート図での4P目のようで、実際は歩けるような易しいところと短い壁が交互に現れるようなところだったと思う。なので、この区間を1ピッチで行くというのは図に無理がある。いずれにしても易しい。途中パラパラを雨が降ったりして寒い。前日とは真逆だ。Imgp4404

5P目:「カンテ(5mほどか)を登る。傾斜の緩いカンテの右に出たら、形状が少なくなって焦った。カンテに戻って越え、次のリッジの右側(暗い)から回り込むようにして登った。」(IS見さん記)

Imgp4406 Imgp4414 Imgp4421

6P目:「コンテかなんかで歩いて次の壁まで(10mほど)行けばよかったのだが、スタカットで進んでしまう。そのまま壁に取り付き、限界まで登ったところのピナクルでビレイ。一番簡単なピッチだった。」(IS見さん記)Imgp4432

7P目:「リッジを登り、苔の生えたロープスリングが巻きつけられた木でビレイ。簡単。」(IS見さん記)

 ということで、後半はあまり書くことがない。雨も上がって少し陽射しも出て暖かくなってきたのは良かった。荷物を背負っているO石さんはちょっと大変だったかも。

前日に続き中央岩峰の頭に立つ。午前11時半頃。こうして2本のルートを登ることができた。とにかくナチュプロとスリングを持って行けば支点には困らない。前日同様下降する。時刻はまだお昼と早かったのだが下山することにする。テントを撤収して荒れた林道を戻る。帰り道はどでかい私のザックをO石さんが背負ってくれた。代わりに私は彼の軽いザックを背負う。行きも帰りも若者の世話になってばかりだった。

行きに通り過ぎた「遊働楽舎」という休憩所らしき小屋を覗くと、中の人に呼び止められてコーヒーをご馳走になった。ここは森びとというNPOがこの付近の植樹をする人達の拠点とするために今年の春に造ったそうで、週末に開けているという。近いうちに電気も引きたいとのこと。そこでいろいろな話しを聞いたり、ウメコバ沢でのクライミングの話を教えたりした。NPOの人は、植樹に来る人達だけでなく、登山者をもっと呼びたいと話していたが、それにはまず銅親水公園の先にあるゲートをなくして、もっと奥まで登山者が入って来やすいようにしないと、この休憩所を造っただけでは無理だろうなあと思ったものだ。

銅親水公園に着いて、車2台で帰路につく。私があらかじめ調べておいた通洞駅近くの食堂は準備中で入れなかったので、もう一つ調べておいた水沼駅前の「はやぶさ食堂」に入って、ソースカツ丼を食す。ソースがよくしみ込んでいて美味しい。

Imgp4443

次の日は別の人と谷川岳を登るというO石さんと別れ、IS見さんを相老駅まで送り、私は国道17号をひた走って東京に帰った。

今回初めて足尾を訪れたわけだが、アプローチの長さはちょっと辟易するが、岩場そのものは岩が比較的すっきりしていてマルチピッチのクライミングが楽しめた。

Imgp4440 

« 台風12号接近…、B-PUMP荻窪&スポーツクラブへ | トップページ | 足尾 ウメコバ沢 中央岩峰 クライミング第2回 「右岩壁・右ルート」・「正面壁・直登ルート」 »

アルパインクライミング」カテゴリの記事

コメント

実は我々も余裕があったらジャンダルムを登ろうと、ロープとキャメロットを車に積んで行きました。仲間によると、昔はジャンダルムのすぐ手前まで車が入れたそうです。予想外に長いアプローチに気がくじけて、登攀具すべて車に置いて行きました。「日本のコロラド」の黒い花崗岩、憧れですね。いつか登りたい。お願いですが、ミノルさんのブログを私の方へリンクさせてください。

この週末有笠でご一緒したS木さんという人は、その昔、ウメコバ沢でいくつもルートを開拓したそうで、私がつい先日行ったという偶然に驚きました。

リンクの仕方というのがよく分からないのですが、どうぞやってください。
さちさんのブログを私のにリンクさせるというのもそのうちやってみたいと思います。

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/1219264/41779403

この記事へのトラックバック一覧です: 足尾 ウメコバ沢 中央岩峰 クライミング第1回 「正面壁・凹角ルートダイレクト」・「右岩稜・チコちゃんルート」:

« 台風12号接近…、B-PUMP荻窪&スポーツクラブへ | トップページ | 足尾 ウメコバ沢 中央岩峰 クライミング第2回 「右岩壁・右ルート」・「正面壁・直登ルート」 »

2016年12月
        1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 31
無料ブログはココログ