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上越・魚野川・万太郎沢で沢登り

7/29(日)夜~31(火)
 谷川岳の北西側に突き上げる万太郎沢を登ってきた。初日は雷雨&増水のピンチに見舞われたが、2日目は一転快晴の谷川岳山頂を踏むことができた。

■7/30(月)
前夜、小川山から帰って40分ほど自宅に寄ったあと、すぐに車に乗って、HN田さんと待ち合わせている駅へ。
小川山からの帰路で先ほど走ったばかりの関越道を今度は反対方向に走る。途中で少し仮眠しながら、水上ICからJR土合駅に深夜に到着。すぐにテントを張って寝る。

 土合駅から新潟県側の土樽駅まで鉄道に乗って移動するのだが、下りの始発が8:34と遅いので、翌朝は早く起きる必要がない。それでも私は沢登りの荷物をまとめきれていなかったので、HN田さんよりは早く起き出して荷物を整理する。Imgp5691
 土合駅を利用するのは初めてだが、この駅の下り線ホームは地下70mにあるらしく、そこまで400何十段という階段をずっと下りて行くらしい。
 かつて谷川岳での登攀が激しく行われていた時代、東京方面からやってきたクライマー達が先を争ってこの階段を駆け登ったという。
 霧がかかってぼんやりとしか見えない地下のホームで列車が来るのを待っていると、遠くからガタガタと列車が近づいてくる音がする。長いトンネルをこちらに向けて走ってきているのだ。この時間、土合駅から乗ったのは我々だけだったが、列車には思ったよりも乗客がいた。全然いないだろうと思っていたのだ。それにしても、霧のかかったトンネルの中から列車が現れるのは不思議な光景だ。

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 一駅分230円を車掌さんに払う。トンネルを抜けて新潟県側に出るとよく晴れている。土樽駅で下りて、入渓点に向けて歩き出す。始発電車が遅いため、すでに10時近い時刻だ。

 関越道の下をくぐったり、土樽PAを横に見ながら吾策新道への林道を歩いて行く。それにしても暑い。時々ダンプカーが通り過ぎて行く。この先で大きな砂防ダムを造っているのだ。

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 建設中の砂防ダムを左下に眺めながらなおも林道を進むと、新しめのこれまた巨大な砂防ダムが現れる。林道はここまで。ここで沢靴に履き替える。

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 しばらく河原を歩いて行く。

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 岩畳というのだろうか、平たい岩の光景がきれいだ。

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 深いところでは腰まで浸かっていくところもある。冷たい。

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 晴れていた空はだんだんと曇りがちになってくる。やがて巨大なコンクリートの塔が現れる。関越トンネルの換気塔だ。

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 さらに行くと、ゴルジュが現れる。

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 オキドウキョウのトロ場というところか。HN田さんは持参したライフジャケットを着て泳ぐ。

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 私はそんなものは持っていないので、そのまま水の中へ。冷たい。足が届かなくなって泳ぎ出す。ヘルメットがザックに押されて頭を上げづらくなる。泳ぐ前にメットを脱いでおけばよかった。数メートル泳いで越える。

 再び泳ぐ場所が現れる。

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 朝までの陽射しが無くなっているので、あまり積極的に泳ぎたい気分ではない。やがて雨が降り出したかと思うと、雨足がどんどん強くなってきて、木がつけば夏の夕立のように本降りになっている。ごろごろと雷が鳴っている。
両側が崖になった狭い場所にいたのだが、HN田さんの指示で、左岸の2~3メートルほど高い狭いテラスに上がる。増水から避難するためで、上がったところには草が生えているから、HN田さんによると、通常の増水ならこの草までは水は上がってこないだろうとのこと。
その時、私はまだ水かさが増してくるという実感がなかったのだが、狭いテラスに上がってしばらくすると、みるみるうちに水が増えてきた。濁った水が轟々と流れるようになって、先ほどまで歩いていた沢底の岩が見えなくなった。時刻は正午前くらいだったはず。Imgp5718 Imgp5719
 狭いテラスから濁流の中に落ちないとも限らないので、カムやハーケンで荷物と身体のセルフビレイをとる。
 ここで座ったまま今夜はビバークすることになるかも知れないとHN田さんが言う。それにしても、HN田さんの判断でここに上がっていなかったら、もしかしたら流されていたかもしれない。
 その濁流を見ると、木の枝のほかにときどき雪の塊が流れてくる。上流に雪が残っているのだ。スノーブリッジとか残っていたらどうやって越えようかと頭によぎる。
 じっと座って過ごすこと1時間ほどだったろうか、雨足が弱まってきて、水量も見ていると少しずつ減ってきているのが分かる。午後1時半前くらいだったか、行動を再開する。

Imgp5723 Imgp5726

 歩いて行くと、岸辺に少し雪が残っていた。行きに備えて4本爪の軽アイゼンも持ってきていたのだが、結果的には必要なかった。小滝を越えて行き、午後2時40分頃、一ノ滝30mが現れた。と、ここで再び雨足が強くなり、雷も鳴りだした。Imgp5730
 ここではロープを出して私がリードすることにする。それにしても滝を見上げると雷が光っているというなかなかドラマチックな光景の中を登るというのは悪くない。水流右側の凹角に入る。残置ピンや自分で打ったハーケンにランナーをとる。後半は支点が取れずランナウトしたが、傾斜が緩くなってきて、灌木帯に入ったところでピッチを切る。50mロープでちょうど足りた。先日行った西丹沢の悪沢F2に比べたら登りそのものは易しい。
 フォローでHN田さんが登ってきて、再び歩き出す。しばらく行くと今度は二ノ滝だ。時刻は午後4時過ぎ。ここではロープを出さず、右側の階段状のところを登る。易しい。

Imgp5733 Imgp5735 Imgp5737
 途中、オオサンショウウオを見つけたりしながら、二ノ滝先にあるはずのビバーク適地を探していると、右岸側に良い場所を見つけた。ちょっと小広くて泊まるにはばっちりだ。

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 灌木にロープを張って渡し、HN田さんが新調したタープをプルージックで吊り下げ、タープの四隅を石でピンと張ると雨をしのげる寝床が完成。地面には私のツエルトを敷いておく。
 焚き火を熾したかったのだが、濡れていることもあるがそもそもほとんど枯れ枝が辺りに見つからず、やむなく焚き火は諦めた。沢泊まりといえば焚き火だが仕方ない。濡れた服を着たままで着干しするというのはツラいので、下着から全部着替えた。
 食事担当のHN田さんが野菜をたくさん持ってきてくれていた。茹でたトウモロコシを食べながら、HN田さんが野菜炒めを作っていると思ったら、ラタトゥイユという料理を作っているのだという。アルファ米にできたおかずをのせて食べる。うむ、おいしい。
 雨は止んでいて、このまま降らずに済んでくれれば良いのだが。轟々と近くの小滝の水音を聞きながら寝ることにする。が、ヌカガというのだろうか、小さな虫がまとわりついてくる。この虫がかなり凶悪で、翌日になると左手が腫れてしまった。
 薄いダウンジャケットやウインドブレーカーも着込んでいたので、シュラフカバー1枚で十分寝られた。それも、最初のうちは暑いのでそのままエアマットの上に横になり、夜が更けて気温が下がってきたところでシュラフカバーに入った。携帯電話のアラームを5時にセットしておく。

■7/31(火)
 5時起床。前日の雨から一転、空は夏山らしく晴れ渡っている。上流を見ると、昨日は見えなかった稜線も眺められる。朝食は、前日残した野菜にポタージュスープを絡めたものをパスタに乗せてもの。これまたお腹いっぱいになる。Imgp5744
 一晩お世話になったタープを片付け、荷物をまとめ、7時ちょうどに出発。しばらく歩くと、正面に急峻な三ノ滝沢を分けるところで、すぐ左側に三ノ滝が現れた。ここで今山行2度目のロープ使用。

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 1ピッチ目はHN田さんがリードする。水流右側を登り、抜けたところでピッチを切る。Imgp5751
 2ピッチ目は私のリード。水流を左に渡り、登りそのものは難しくないのだが、ぬめっているので慎重に進む。残置ピンやカムをセットしてランナーをとる。登って行った先の左側の灌木でピッチを切ったが、50mほとんどいっぱいだった。万太郎沢に行くなら50mロープ要ということ。

 二俣で枝沢を分けるごとに水流が減ってくる。小滝をいくつも登っていくと、だんだんと源流が近づいてくる雰囲気だ。花がたくさん咲いていて、草やササも丈が低いので周囲が見渡せる。ササの草原状の山肌に万太郎沢の石の続く源頭部を詰めていく。ザレザレの泥斜面でないので、どんどんと登っていける。時折吹く風が気持ちよく、夏山を登っているという気分にさせてくれる。

Imgp5755 Imgp5762

 西の方の稜線が我々よりも低くなって、高度計からもそろそろ谷川岳の肩ノ小屋に近い稜線に出られそうだ。と、小屋が見えたと思うと、登山道に出た。午前10時半。
 肩ノ小屋のベンチに落ち着き、無事に万太郎沢を登ったことを労う。天神平方面から登ってきたらしい登山者がたくさんいる。上はTシャツに着替え、沢靴もガチャ類も脱ぎ、二人とも沢登りをしてきたという痕跡を残さず、ハイカー姿に着替える。群馬県側は雲海が広がっている。

 小屋を覗いてから、空身で山頂を目指す。まずは手前のトマノ耳。マチガ沢が眼下に広がる。右手が西黒尾根で、左手に見えるのが一ノ倉東尾根か。山頂は登山者でごった返している。

Imgp5770
 さらに最高地点のオキノ耳1,977mへ。山頂で記念写真。じつは私は谷川岳に登のはこれが初めて。山歩きをしていた頃は、日本百名山をいくつも登って60数座は登っているはずだ。最後に新たに登った百名山は何年前のどの山だったかちょっと思い出せない。
 谷川岳そのものは、昔天神平にスキーで一度来たのと、クライミングを始めてから一ノ倉沢の南稜などのルートに数回来たことがある。湯檜曽川本谷や西ゼンなどの沢登りは場所的に離れているし。
 今回こうして一般登山道からではなく、沢を詰めて谷川岳を登れたのは良かった。同行のHN田さんに感謝。

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 下山路は西黒尾根。山頂や肩ノ小屋にあれだけいた登山者はほとんどが天神平からのようで、西黒尾根では数えるほどしか人に会わなかった。途中一度休憩したほかはどんどんと下って行って、約2時間20分で登山口に到着。午後2時半頃。登山指導センター近くにできた谷川岳山岳資料館を見学後、土合駅に向かう途中にある田遭難者の慰霊碑も見学、数百名の遭難者の名前が刻まれた石板にはまだ余白が残されている。一ノ倉沢の登攀が活発だった昭和の時代は、毎年たくさんの死者が出ていたのが分かる。

 土合駅に停めた車に乗り、仏岩温泉鈴森の湯という立ち寄り温泉へ。食事は水上の古びた商店街の中にある大衆食堂フライパンというお店へ。水上にもある山岳資料館のとなりだ。新聞を見ると、開幕したロンドンオリンピックの日本選手団の成績は芳しくないようだ。

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 関越道を駆って、HN田さんを送る。
 数年ぶりに谷川岳周辺の沢を登ることができた。それも冒頭書いたとおり、初日は雷雨と増水に見舞われながらも、2日目は一転快晴の谷川岳山頂を踏むことができたという充実した内容だった。

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コメント

私の友人もミノルさんより2日前に万太郎谷を登っていました。雨は大丈夫だったようですが。
沢は恐いですね。HN田さん、ナイスな御判断だと思います。
このテン場、28日に友人も泊まっているし、私も10年ほど前に泊まりました。ほとんどここしかないのですね!懐かしいです。

沢は怖いし楽しいですね。
HN田さんの冷静な判断に救われました。
この週末甲府幕岩で会ったH原さんのお話しでも、万太郎沢のテン場はほとんどここだけということで、皆さんここを使っているのですね。

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