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甲斐駒 赤蜘蛛ルート登攀 [9月のクライミングツアー①]

9/14()夜~9/18()  9月のクライミングツアー

 3連休に休みを1日加えた4日間、HN田さんと山梨・長野・新潟と岩場を巡ってきた。

 ①最初の2日間は南アルプスは甲斐駒ケ岳にある赤蜘蛛ルートを人工登攀、②3日目は姨捨山にある坊抱岩(ぼこだきいわ)で軽くフリークライミング、③最終日は糸魚川・明星山にあるクイーンズウェイを登った。

① 9/14()夜~9/16() 甲斐駒ケ岳・赤石沢Aフランケ 赤蜘蛛ルート

 歩く登山をやっていた頃は、甲斐駒を黒戸尾根から登ったことはあっても、その山の8合目に大きな岩場があるなんて知らなかった。クライミングを始めてから、この岩場にある赤蜘蛛ルートという人気ルートがあることを何となく知るようになったので、いつかは登ってみたいと漠然と思っていた。人工登攀が続くらしいし、それに8合目までロープとギアを担いで登るのは相当に大変そうだ。

 今回、私はHN田さんと行く機会を得たのだが、そのHN田さんは昨秋、別のパートナーと赤蜘蛛にトライしたものの、2ピッチ目まで登ったところで降りるという経緯があったそうで、HN田さんにとって今回はリベンジ山行ということになる。

そういうわけで、赤蜘蛛の取付までのアプローチはHN田さんがよく知っているので、その点心配が少ないのは良かった。

9/15() 黒戸尾根~赤石沢奥壁

 甲斐駒そのものは、高校生の時に2回登り、その後時を経て雪のある12月に2回登ったり、足首骨折後のリハビリを兼ねて日帰りで登ったり、黄蓮谷の沢登りで2回登ったりと、頂上は7回踏んでいるはずだ。

[黒戸尾根]

 金曜日夜にHN田さんと待ち合わせ、中央道経由で竹宇駒ヶ岳神社の駐車場でテント泊。

翌土曜日朝6時半頃に重いザックを背負って歩き出す。ザックの中には、テント泊装備や食料のほか、ロープやヌンチャク、カム、アブミなどガチャ類がどっさり入っている。果たしてこんな思い荷物を背負って、長い黒戸尾根を登れるのだろうかと、ちょっと心配になる。

 普段はもっぱらアプローチの短い岩場でクライミングばかりしているので、一頃より足腰が弱った感は否めないが、今年は8月には一人で北鎌尾根から前穂北尾根を歩いたり、無用なヤブ漕ぎをしたりと、歩く機会が多かったので、黒戸尾根の登りで丸きりバテバテになることはないかもしれない。ちょっとランニングもしたし。

 結果的には、駐車場から七丈小屋まで5時間10分ほどで登り切った。いかにもトレイルランナーという姿のデイパック一つの登山者のスピードには敵わなかったが、その他の登山者を追い抜きつつ登った。途中3回休憩は、笹ノ平の分岐に至る前、八丁登りの途中、5合目小屋跡の3か所。休憩ごとの登りは1時間強で、標高差400m以上は稼ぐように登った。

 小屋でテント泊の手続きを済ませてから、少し上にあるテント場に着いたのは正午過ぎ。小屋の主人には、連休中で混雑するので、テントはなるべく間を詰めて張るように言われていたので、すでにいくつも張ってあるテントの隣りにぴったり付けるように張った。

Imgp5920

[赤石沢奥壁 中央稜?]

 当初の予定は、15()は黒戸尾根を七丈小屋まで登り、16()に赤蜘蛛ルートの登攀、17()に奥壁中央稜を登攀し、下山するというものだった。しかし、月曜日の天気予報が芳しくないことから、土曜日のうちに奥壁中央稜を登ってみることにした。

 必要なギアをサブザックに詰めて、まずは8合目まで登る。テント場から30分ほどで着いた。昔はしっかり立っていた石の鳥居の少し先、登山道からほんの少し左に外れたところに岩小屋があった。黒戸尾根は何度も登っているが、こんなところに岩小屋があるなんて、ちっとも意識したことがなかった。

 数人が泊まれそうなほどの広さがある。この時は中には誰もいなかった。岩小屋前から続く踏み跡を辿って奥壁を目指す。奥壁に行くのはHN田さんも初めてだ。

 途中、ガレたところを渡ったりしながら進んでいくと、岩場が現れてくる。なおも進むと、もっと大きな岩場が見えてくるのだが、ガスっていて全景がちょっと分かりづらい。

Imgp5924 Imgp5928

 ルート図と照らして、どこが中央稜ルートなのか同定しようとするがなかなか判然としない。折れて壊れた古い金属製の標柱が残る広いテラス状に出たので、ここが中央稜とその右側の右ルンゼの辺りかと見定める。もっと奥を見に行くと、岩場はさらに下に続いていて、左ルンゼのほうだと想像した。

 戻って、中央稜ルートと見定めた岩を見上げる。いくつかボルトが見える。結果を先に書くと、ここは中央稜ではなかったようだ。それではどこが中央稜の取付だったのかと言えば、それは分からないのだが、おそらくもっと先まで行って、左ルンゼのほうに結構近いところなのかもしれない。

 そうとは気づかずルート図を頼りに、ロープを結んで私のリードで取り付く。ちょっと悪い出だしから右上し、残置ピンにランナーを取ってクラックを辿る。そのままずっと奥まで進んだところに古びたハーケンやスリングのぶらさがった支点があったので、そこでピッチを切る。HN田さんがフォローで登ってくる。

 あたりはルンゼっぽい地形で、HN田さんの言うとおり、ここは中央稜ではなく右ルンゼそのものの中にいるのかもしれない。支点から上を見上げるとボルトがいくつか見えるので、もう少し登ってみることにした。

 しかし、風化した花崗岩は脆くてパキパキとフレーク状に簡単に剥がれてしまう。ボルトを伝ってなんとか10mほど登ってみたが、それまで続いていたボルトがその先からとたんになくなってしまった。

 本来の中央稜は、ルート図に寄れば下部4ピッチのあと、300mのブッシュを登るとある。その3ピッチ目辺りにいると思い込んでいたのだが、HN田さんから、すでに時刻が15時半となり、仮に登れたとしても暗くなってしまうとの意見があり、さすがにここで無理をするわけにはいかないので、諦めて下降することにした。明日の赤蜘蛛ルートが本命なのだから、ここで無理してビバークするなんて無意味だ。

 残置ピンを頼りに、HN田さんのいるところまで懸垂下降し、さらにボロボロのスリングをナイフで切って、持参した真新しい細引きをダブルフィッシャーマンで結び、取付まで懸垂下降した。

 来た踏み跡を岩小屋に戻ると、中に人がいた。聞くと、明日スーパー赤蜘蛛を登るという。スーパー赤蜘蛛ということは、人工登攀ではなくクラックをフリーで登るということだ。すごい。スーパーじゃない我々は、当然スーパーじゃない赤蜘蛛を登るのだが、ここまで担ぎ上げたロープやギアを再びテント場まで持ち帰るのは無駄なので、岩小屋の奥にデポさせてもらい、明るいうちにテント場に戻った。

 HN田さんが夕食を支度をしている間に、小屋でビールとジュースを買ってきた。2か所あるテント場はたくさんのテントでいっぱいになっていたが、一人で来ている人が多いのかマナーが良いのか、暗くなるころには辺りは静かになっていた。我々も明日の登攀に備え、夕食を済ませると、翌日は未明の3時に起きることにして早々に寝ることにした。

9/16() 赤蜘蛛ルート

 携帯電話のアラームを3時にセットしておいたのだが、寝過ごしてしまい起きたのは3時半過ぎ。すぐに朝食の準備をして荷物をまとめる。てきぱきとやったおかげで、予定していた4時半前にはテントを発つことができた。星空が広がっていて、今日の好天への期待が高まる。少しずつ明るくなっていく中、ご来光を拝むために早々と歩き始めたらしい登山者の集団を追い抜きながら8合目を目指す。

 岩小屋では前日から泊まっている男女パーティーが朝食を準備していたところで、ほかに男性2人組もいて、彼らは先にAフランケへの踏み跡を下って行った。

 我々も前日デポした荷物を回収し、ハーネスやギアを身に着ける。不要な荷物を岩小屋に戻し、踏み跡を下って行く。やがてAフランケの頭にある岩小屋に着くと、そこには先ほどの男性2人組がいたので、追い抜く。彼らはここに荷物をデポしていたのかもしれない。ここの岩小屋も、上の岩小屋ほどとは言えないが、雨風をしのげそうな感じだ。

 Aフランケの頭からさらに下って行く。かなり下って行くので、初めて来た者にとっては、こんなに下って行って良いのかと不安になるかもしれない。その点HN田さんがアプローチを知っているのは心強い。

 長いルンゼ上の下降から横歩きになると、その先に大きな岩場が展開してきた。ここがAフランケか、大きい。HN田さんが、ここが赤蜘蛛の取付だと教えてくれた。まだ他には誰もいない。出だしの岩が崩落したらしく、下がハング状になっている。最初に取り付くことができたのは良かったが、後続パーティーがやがて来るだろうからのんびりはしていられない。よく晴れているが、まだ陽が当たらないので風もあって寒い。以下、ピッチごとのグレードは某ガイドブックに寄る。

Imgp5945

1P(25mA1)HN田リード:640分過ぎ、HN田さんのリードで登攀開始。出だしに真新しいボルトが打たれていて、まずはそれにアブミを掛けて乗り込む。その一つ上のボルトがちょっと遠いらしく届かないようなので、ここはビレイヤーのショルダーで立ち込む。HN田さんが1ピッチ目を中ほどまで登ったところで、先ほどの男性2人組がやってきた。さらに、別の男性2人組もやってきて、みな赤蜘蛛を登るようだ。あと、スーパー赤蜘蛛をトライするというパーティーを加えれば、この日4パーティーが赤蜘蛛を登ることになる。

先月、三ツ峠でアブミの練習をしたおかげか、HN田さんは順調に登って行く。昨秋も登っているというから、そのためもあるだろう。荷物はサブザック一つにまとめて、フォローが背負うことにする。HN田さんが1P目の終了点に着き、私が続く。出だしの崩壊部分に残った岩がぐらぐらしている。足で蹴ると倒れてきそうなので、触らないように気を付けて登り始める。

Imgp5950

 2P(40m)私リード:ビレイ点の左側にある凹角をフリーで登って行く。残置ピンもあるし、カムも使える。しばらく行くと支点があったので、そこでピッチを切った。その先はホールドが少し乏しくなるように見え、人工まじりになるようだ。ルート図の記載からすればもう少し登ったのかもしれない。

Imgp5952

 3P(20mA1)HN田リード:凹角を引き続き登り、そこから右側に移るようなピッチだったと思う。

Imgp5954

 4P(45mA1)私リード:頭上のハング状のところを人工で登って行く。右側から取付き、左へトラバースしてからハングを回り込むように越えて行く。その先は、ブッシュのある大きな段々状のところを登って行く。登って行けばボルトはあるし、右上方に大きな木のあるテラスが見えるので、それを目指せばよい。右上にあるはずのが恐竜カンテか。

Imgp5956

 5P(45mA1)HN田リード:ビバークできるくらい広いテラスから登り始める。途中、誰かが落としたらしいアブミが1台ブッシュに引っかかっていたので回収。さらに人工で登ると、ハイライトの6P目が見えてくる。

Imgp5961

 6P(40mA1)私リード:推壁のフェイスにクラックがバシッと走っている。これをフリーで登る人もいるのだからすごい。我々はもちろん人工登攀。残置のリングボルトやハーケンにヌンチャクをかけてランナーを取りつつ、アブミをかけて登って行く。残置ピンの間隔が遠いところにさしかかると、キャメロットをセットしてそれにアブミをかけて乗り込む。キャメはしっかり効いてくれている。2か所ではナッツも使った。私はDMMのウォールナッツを持っているのだが、普段クラックを登ることはないので、こういう時でもないと使う機会がないので、カムでもよいところで使ってみた。これもしっかり体重を支えてくれている。

 6P目の終了点は残置ピンにアブミをかけてのハンギングビレイとなる。残置ピンだけでは不安なので左手のクラックにカムでバックアップを取る。真下からフォローでHN田さんが登ってくる。その下には順番待ちの人達が見える。高度感がすばらしい。体重をかけたナッツは岩に食い込んで回収が大変かなとも思ったが、ナッツキーを当てがって、ちょっと叩けば簡単に回収できたようだ。ハンギング状態でHN田さんとギアの受け渡しをする。

Imgp5963 Imgp5967

 7P(30mA1)HN田リード:すぐ右側の恐竜カンテを回り込むように登って行く。ところが、ビレイしている私が束にしてあるロープを下に垂れ流してしまった際に、そのロープがハーケンか何かに引っかかってしまった。引っ張っても手繰りあげられず困ってしまったが、すぐ後から登ってきているパーティーに外してもらい事なきを得た。感謝。そんなこともあったが、HN田さんの流れるようなアブミ捌きで順調に7P目を終える。

Imgp5972

 8P(30mA1)私リード:実質最終ピッチ。少し登ったところから、左に回り込むと凹角のクラックが見えるので、そちらに進んでみた。カムエイドしながらそのクラックを少し登ってみると、クラックの幅が広く2番キャメでは極まらなくなってきた。持参しているのは0.3番から2番までの2セットで、ハンドサイズでは3つ以上あるものもあるのだが。

 どうも厳しいので、クライムダウンして戻り、右側の易しそうなほうに進むと、数ポイントの人工を伴う斜面が現れる。そこを登ると、樹林帯に入るところでテラス状になっていたので、そこでピッチを切る。これが赤蜘蛛ルートの実質の終了点だろう。取り付いてからここまで7時間10分。決して速くはないだろうが、良しとしよう。

 ルート図によれば、あとは80mⅡ~Ⅲとある。いちおうロープを結んだままもう少し登ることにする。

Imgp5973

 9P(50mくらい)HN田リード:岩混じりの易しい山の斜面を登って行く。ランナーを取ることもない。

 10P(30mくらい)私リード:さらに易しい山の斜面を登って行くと、ひょっこりとAフランケの頭の岩小屋に出る。岩小屋の中で座り込んでロープを手繰り寄せる。

 こうして赤蜘蛛ルートをきっちりと登り終えることができた。やった。HN田さんもお疲れさま。登り始めは風が寒かったけれど、陽が当たりだしてからはそれもなくなり、快晴の空のもと、快適な人工登攀を楽しむことができた。

 靴を履き替え少し休んでから、8合目の岩小屋に登り返す。疲れた体には、ダブルロープ2本を入れたサブザックが重い。交代でザックを背負いながら岩小屋に着く。我々が最初に取りついたので、当然岩小屋にはまだ誰もいない。デポした荷物を回収しテント場に戻る。

 疲れているけれど、この日の苦労はまだ終わらない。テントを撤収してテント場を発ったのは、確か午後4時を回っていた。これから黒戸尾根を下山するのだ。下山中に夜を迎えることになる。赤蜘蛛で疲れた身体には、この下山がさらに過酷だった。

 まだ明るいうちに5合目小屋跡に着くと、黄蓮谷を登ってきたと言う男性数人組が泊まる支度をしていた。我々がこれから下山すると聞いて、ちょっと驚いた様子。

 黒戸山の登り返しがつらい。刀利天狗に着くころに暗くなった。ヘッ電の灯りを頼りに下って行くも、肩にザックのベルトが食い込んで、足取りがだんだんと重くなってくる。前日の登りでは結構調子よく歩けたものの、疲労が蓄積してきた身体では休憩が増えてきた。山を歩き慣れたHN田さんに付いていくのが大変だ。

 吊り橋を渡って、竹宇駒ヶ岳神社に無事下山したお礼のお参りをして、駐車場に戻ったのは夜の9時半頃。赤蜘蛛に向けてテントを発った今朝の4時半から17時間行動となった。さすがに疲労困憊した。自販機でジュースを買って喉の渇きを癒す。

 すでにこの時間では立ち寄り温泉は閉まっている。食事を取れるお店も閉まっているだろうから、仕方なくコンビニ弁当で済ますことにした。今夜は、道の駅南きよさとで泊まることにした。明日からは天気が崩れそうだ。フライシートを張らずにさっさとテントを張る。横になった時には時刻は日付を回っていた。つ、疲れた。つづく

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