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北ア 鹿島槍ヶ岳 天狗尾根 (天狗の鼻まで) 残雪期登山

2013.4.19()夜~21()

 所属山岳会の人達と北アルプスは鹿島槍ヶ岳の天狗尾根を天狗の鼻まで登ってきた。先週末の北ア・五竜岳・遠見尾根に続いて、2週続けての雪山登山だ。

 今回のメンバーは、T城さん、A久さん、MY田さんと私の4人。元々は、T城さんとA久さんが将来、鹿島槍の北壁主稜を登攀するため、その取付を偵察しようという計画で、それにMY田さんと私が加わった形だ。

今回の計画を聞いたひと月前のその日、ある出来事から今回の計画が単なる偶然ではないとも感じ、途中までであっても天狗尾根に行こうと思い、私は参加の手を挙げた。

 鹿島槍については、縦走時代に3回ほど登っているはずで、6年前の5月連休に東尾根を登ったことがある。

 今回の計画にあたっては、都合上、T城・A久パーティーと私・MY田パーティーの2つに分けて、登攀具やテントなどの装備も別々にしたが、基本的には4人で一緒に行動する内容だ。

 先週の遠見尾根では登攀具は大して用意しなかったが、今回は50mロープやスノーバーも用意し、バイルやスノーソーも加えた。先週初めて使ったストックは今回も持って行く。ストックに慣れると手放せなくなりそうだ。

 天狗尾根の枝尾根に取りつくまでの間に、数回の渡渉が必要になるということなので、A久さんの提案で渡渉用に沢登りで使うネオプレン製ソックスを持って行く。沢靴まで持って行くと、荷物も増えるし(渡渉を終えたらデポしておくこともできるけれど)、裸足で歩くのは痛いので、この沢登り用の靴下で沢を渡る計画だ。

4/19()

 前夜、JR八王子駅前で皆で待合せて、T城車に乗り込む。中央道から長野道経由で安曇野ICを下り、道の駅安曇野松川で4時間ほどテント仮眠。

4/20()

 5時半に起床。今週末は下り坂の天気予報なのだが、今のところ下界は晴れている。登山口となる大谷原に車で移動すると、東尾根に行くという3人パーティーがちょうど歩き出して行ったところだ。

P4200001

(↑大谷原)

我々も荷物をまとめて天狗尾根に向けて橋を渡り大川沢に向かう。高いところを走る林道跡を通れば渡渉の回数を減らせたのだろうが、沢沿いに進んだのでさっそく最初の渡渉となった。登山靴を脱いでズボンをたくし上げ、ネオプレンソックスに履き替える。ストックでバランスを取りながら、脛ほどの水深の沢を通過する。冷たい。

ガイドブックには大川沢の右岸を進む表示がされていたりするが、これが前述の林道跡のようだが、我々は左岸側をしばらく進んで行った。

と、小一時間ほど歩いたところでT橋さんが不調を訴えた。腰が痛むらしい。相談した結果、無理を圧して山中でさらに腰が悪化して行動できなくなっても大事なので、T城さんとパーティーを組むA久さんは引き返すことになった。

MY田さんと私は、引き続き天狗尾根に向かうということになった。計画書上は2パーティーに分けてあるし、登攀具もテントも分けてあるので、我々のパーティーだけ進むことは確かにできる。計画書上、一応パーティーリーダーとなっている私だが(無線機を持っているというだけの理由なのだが)、T城パーティーにほとんど付いていく気分でいたので、にわかに責任重大な場面となった。

A久さん達はここで引き返すことにして、翌日大谷原で待っている約束をして別れる。しばらく河原沿いを歩いていくと、沢がカーブするところではその外側が崖状になっているところがあり、再び渡渉することになった。A久さん達と別れてから大川沢の取水堰堤に至るまでにさらに3回渡渉した。登山靴と靴下を脱いで、ネオプレンソックスを履いて、渡渉後に再び履き替えるという繰り返しがかなり面倒くさい。

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(↑徒渉するMY田さん)

大川沢の右岸を歩いていくと、堰堤があり橋の架かった対岸に小さな建物がある。そのまま通過すると、雪の上を歩くようになる。やがて荒沢出合だ。

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(↑取水堰堤)

左手に荒沢に入ってしばらく右岸側を進むと、最後の渡渉点に着く。両岸とも積雪があり、沢に降り立つのに段差がある。沢の中には飛び石と倒木2本があり、うまくすればこれらを伝って対岸に渡れそうだ。こちら岸から沢に降り立つのは簡単だった。花崗岩らしき飛び石にアイゼンの歯を聞かせながら倒木に乗り移る。その倒木が少し揺れたので焦った。

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(↑荒沢の徒渉点。通過後に撮影)

対岸の雪面は私の胸まであるような高さで立っているので、乗り上がるのが大変そうだ。ピッケルを刺して、それを頼りに雪壁にアイゼンを刺して身体を持ち上げ何とか突破。続くMY田さんもピッケルとバイルを2本使って乗り上がる。さすがアイスクライマー。靴を履き替えずに渡れて良かった。

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(↑ダブルアックスデ登るMY田さん)

我々がこうして間に男性2人組パーティーが追い付いて着た。聞くと、やはり天狗尾根を登って北壁主稜を登りに行くのだという。しかし、天気が悪くなる予報なので、北壁を登攀できるかは微妙とのこと。彼らは先週も天狗尾根に来たそうだ。彼らは渡渉点から左岸を少し進み、枝尾根の末端を上流側に回り込んだところから、この天狗尾根の枝尾根に取りついたようだ。足回りが沢靴なので気にせず水の中に入って行った。

我々はもう沢の中を歩きたくなかったので、渡渉点から続く雪面を左上し適当なところから雪のない樹林帯に取りつく。少し登ると左下から登って来た2人組と合流したので、取り付いた尾根はこれで正しいようだ。彼らの後を追うように、我々も樹木と薄いヤブ、落ち葉の土斜面を登って行く。崩れやすい土斜面もアイゼンとピッケルがガシガシ刺しながら登って行く。

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(↑カタクリが咲いていた)

地形図を見ると標高1,650m付近で他の枝沢と合流し、天狗尾根の主尾根になるようだ。25,000分の1地形図を見ると、もっと北側の尾根に天狗尾根と記載されているが、我々が登っているのは荒沢の北側尾根のことだ。途中から雪が現れるようになり、斜度も緩やかになってくる。標高1,7001,800mほどだったろうか、お昼前ごろからちらちらと雪が舞ってきた。気づけばどんより空模様。しかし風はないのですごく寒いわけではない。

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緩やかな幅広の樹林の雪の尾根をストックで登って行くのは、さきほどまでの急登に比べたら楽だ。やがて両側が切れたリッジが現れる。この先で第一クーロワール、第二クーロワールというところがあるはずで、少しずつ急になってくる。それでも先行パーティーのトレースがあるのでその分楽できている。

リッジを進むと左下から上がってくるルンゼ状の雪斜面が現れた。これがおそらく第一クーロワールだろう。これを登ると再び両側が切れたリッジがある。再び左下から上がってくる雪面が現れた。第二クーロワールだ。第一より登高距離がありそうだ。ダブルアックスとアイゼンを使ってこの雪面を登って行く。

P4200022p

(第二クーロワールを登る先行P)

登り始める前から話していたのは、北壁の取り付きを偵察するためカクネ里に下りていくというのは、天気が悪くなる一方だし雪崩の危険もあるし、メインのT城さん達もいないので、行かないことにしていた。

では、今夜はどこでテントを張ろうかということになり、当初は天狗の鼻を越えた最低鞍部を目指していた。しかし、翌日の下山のことを考えると、天候がどれだけ悪化するか分からないけれど、下山だけでも大変だろうから、もっと手前で泊まろうということになった。

第二クーロワールを越えてリッジを通過すると、正面に天狗の鼻への登路を臨む小さな鞍部に着いた。

MY田さんの提案によりここでテントを張ることにした。まだ午後早い時間だったので、宿泊装備などをすべてここに残して、天狗の鼻まで往復することにした。天狗の鼻への登りもク―ロワールと同じくらいの斜度といったところ。登高距離はもっとある。天狗の鼻に着くと、先行パーティーがそこでテントを張る準備をしていた。ガスって北壁方面も見えないので、彼らと話した後下りることにする。

P4200028

(↑天狗の鼻)

荷物をデポした場所に戻り、スコップとスノーソーでテント場を整地する。スノーソーで切り出したブロックを回りに積んでいくが、弱い雪は降り続いているものの、夜を通しても風が無かったのは良かった。

P4200030

(↑テント場を掘る私)

テントに入ってから、お湯を沸かしてお茶を飲むと落ち着いた。テントの中は暖かい。湿雪のせいか服はびしょびしょだ。ガスの熱で服からもうもうと蒸気が上がる。

さて、水づくり。土嚢袋に溜めた雪をマグカップで掬ってジェットボイルの中へ。ジェットボイルは縦長で口が狭いので、マグカップくらいがちょうど良い。熱効率の良いジェットボイルではどんどん雪が融けるので、水を別の鍋やテルモスに移し替える作業が忙しい。

水をひとしきり作ったところで、お酒を飲みながら夕食を作る。MY田さんが作ってくれたのはあんかけ風ご飯。前夜の寝不足と疲れもあって20時頃には寝袋に包まった。起床は4時とする。明日は下山するだけだ。

4/21()

 4時起床。朝食は各自用意することを忘れていて、私は残った行動食のドーナツをかじる。外は前日と同じような天気で、弱い雪が降っているが風は無い。視界はもう少し良くなっていて、離れた尾根も見える。

 テントを撤収して6時前に下山開始。昨日登って来たトレースは新雪に埋まってほとんど分からない。狭いリッジ上を進むのはちょっと怖い。柔らかい新雪の下の硬い雪を足裏で探しながら歩を進める。

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 下に向かって右下にあるはずの第二クーロワールの上部では下降に少し手間取ったけれど、第二クーロワールもバックステップで下りていく。ちょっと急なところではバックステップのほうがアイゼンの前爪が効いて安定する。第一九―ロワールも下りると尾根は緩やかになる。とりあえず前半の危険地帯は通過できた。

 しばらく樹林の緩い尾根を下って行く。ここから昨日登って来た枝尾根に入って行かないといけないのだが、ほかにいくつも枝尾根があるので間違えないようにしないといけない。

 出発前に予め地形図から1,650m付近から徒渉点に下りる尾根の方角にコンパスを合わせておいたので、その付近の標高まで下りてきた際に尾根が複数に分かれていたけれど、コンパスから右手の尾根を行けばよいと当たりが付いた。

 目印の赤テープも少しあったし、もっと下には前日MY田さんが付けたテープがあったので、選んだ尾根が正しかったことが確認できた。

 前日アイゼンとピッケルで登った土斜面も15㎝ほどの新雪に覆われている。急なところはヤブをつかみながらアイゼンの爪を効かせてバックステップで下りていく。下りていっている方角はおそらく正しいようだ。下のほうから沢の音が聞こえてくる。

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(↑新雪後の斜面を下りるMY田さん)

 斜度がきつくなってきたので、MY田さんに確認してロープを出して懸垂下降することにした。50mロープ1本しかないので折り返して一度に25mしか下りられない。

 適当な木にロープを架けて懸垂すること5回。これで結構時間を食ってしまった。荒沢が下のほうに見える。地形を眺めると、このまま下りると沢の中を少し歩かないといけなくなるようなので、下流寄りの小尾根を乗っ越す。最後にもう一度懸垂して、荒沢の徒渉点のある雪面に出た。この頃、昨日の2人組パーティーも下りて来た。北壁主稜の取り付きまで見て来たという。

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昨日苦労した徒渉点の通過では、まずは私が空身になって、ダブルアックスで沢の中の倒木に降り立ちザックを受け取って、飛び石を伝って対岸にザックを置く。MY田さんのザックも受け取って対岸へ。最後にMY田さんが倒木にクライムダウンするのをスポットする。2人組は先に行った。

A久さんがもしかしたら荒沢出合くらいまで我々を迎えに来るかもしれないと、昨日別れる際に話していたので、どこかで合流できるかもしれない。取水堰堤のところで最後の休憩を取ってから、このあとの徒渉を覚悟しながら歩き始める。右岸側の林道跡を辿れば徒渉の回数は減らせるはずだ。結果的に2回の徒渉で済んだ。

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(↑徒渉するMY田さん)

徒渉を終えたところでA久さんがやってきた。3時間ごとにA久さんと無線交信することになっていたので、昨日も今日も時間になると声を送っていたのだが返事がなかった。私の声はA久さんに届いていたのに、A久さんの声は私のほうに届いていなかったようだ。原因は分からないが、相手の声が聞こえなくても、こちらの声が届いている場合があるということが分かった。これを知って、こちらの現在地や状況だけでも一方的に伝えておくのも必要だと分かった。

 林道跡は大川沢から結構高いところに造られていて、疲れた身体には最後のある気がちょっと堪えた。大谷原でT城さんが待っていてくれた。MY田さん、お疲れさまでした。

 手袋はとっくにびしょびしょだったので途中で替えたし、アウターだけでなく、その下の中間着まで濡れてしまって、身体が冷えた。

 まずは温泉へ。薬師の湯というところで冷えた身体を解凍。ああ、温まった。体重を測ったらまた少し減っていた。先月、二子の「振り返るな」5.13aを登った頃は結構筋トレして筋肉が付いて体重も増えたのだが、下山直後で一時的に減っているとはいえ3㎏も軽くなってしまった。クライミングするうえでは軽いほうが良いけれど、筋肉が落ちてしまうのはマズい。来月にもクライミングツアーが控えているというのに。

 帰りの高速道路は空いていた。心配していた小仏トンネルの渋滞は、先週は20㎞もあったのにこの日はゼロ。天気が悪かったのと、ゴールデンウィーク直前ということで、行楽客が少ないのかもと皆で話した。

 八王子駅で解散。帰宅してから、濡れた装備をずべて広げて干す。来週末はGW前半で、再び北アルプスに行く。ここ2週連続で雪山を歩いたので、体力面ではちょっと自信がついたかな。またがんばろう。

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