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2013年5月

十石峠 & 中里の岩場

2013.5.25(土)-26(日)
 I澤さんとT橋さん、私の3人で、土曜日は十石峠、日曜日は中里の岩場で登った。

■5/25(土) 十石峠
 私は十石峠には過去3回訪れていて、各回でかえる岩にある「ファイブ・オー」5.12a、「ホロン」5.12a、「かえる」5.12bをRPしてきた。
 今回は、残る5.12ルートの「捨猫」5.12b(ひらめ岩)をトライした。
 アップで「アンバランス」5.10bを登ってから、I澤さんとT橋さんはホロン、私は捨猫にヌンチャク掛けを兼ねて登った。

○「捨猫」5.12b (1~3便目) ×
 ヌンチャク掛けを含め3便出したけれど、結局RPはできなかった。
脆いブッシュの出だしを抜け、ちょっとバランシーなスラブを登ると、垂壁(うすかぶり?)の核心部に入る前にレストできる。
 アンダーガバホールドから一つ上のガバを右手で取り、そこから左、右、左、右とカチホールドをつなげていくのが核心。
 かぶったルートをガバホールドを伝って登ってばかりいると、垂壁でもカチホールドだと保持力が無くて持っていられなくなる。最初の左カチを何とか耐えて、つぎのカンテの右、そのつぎの左は身体をしっかり上げられていれば、スタティックにピンチ気味に持てる。さらに右上の小突起状カチを取れれば、あとはバンドのガバへ手を出す。
 2便目、3便目も吠えながら奮闘したものの、カチに耐えられずフォール。十石峠4回目にして5.12完登の成果を逃した。

 悔しいので、ワークアウトに「レインボーダンス」5.10dをフラッシュして、この日のクライミングを終える。
 上野村にある温泉施設に寄ってから小鹿野町に戻り、スーパーで買い出しを済ませ、食堂で夕食にありつけたのは21時過ぎ。下吉田キャンプ場に着くと、ライダー集団が外で賑やかにバーベキューをしていて、なかなか寝付けず。

■5/26(日) 中里の岩場
 日曜日は中里の岩場へ。理事長岩にある「妻は新古品」5.9と「With」5.10aでアップを済ませてから、天狗岩南壁に移動すると、エ○ジーの面々が登っていた。
 私は昨夏、一度だけ天狗山南壁で登ったことがある。その時は「デジタルステップ」5.12aにトライするも、革新に入るハング下の5ピン目までノーテンで行けたものの、そこから左上する術が全く分からず敗退した経緯がある。そのため、このルートについてはまずはトップアウトすることが目標だ。なお、デジタルを敗退後、「うっちゃり」5.11aをオンサイトして、少し溜飲を下げた。

○「A.L.S.(All of the Lime Stone)」5.11c OS
 そのデジタルステップにトライする前に、A.L.S.5.11cをトライすることにした。T橋さんとI澤さんもトライするというので、ヌンチャク掛けを兼ねて私がオンサイトトライすることにした。正面から見ると立った壁の中に1ピン目があるので、ついプリクリしたけれど、回り込んだ右側は階段状になっていて、プリクリしなくても大丈夫だろう。
 凹角状を登り、左上の岩棚に上がると、二子にあるようなコルネが2列並んでいる。このパートはコルネ内のガバを伝いつつ、フラッギングなどしつつジムの課題をぐいぐい登るような感覚で登っていけて楽しい。コルネの上はハンドからフィストくらいのクラックが目の前に現れる。そこを越えると終了点直下の一応の核心と言えるパート。
 左上の岩棚に上がるのだが、手前のピンがすでに足下にありフォールを考えると、下の岩に激突しそうでとても怖い。怖いのだが、何とかムーブを考えて、岩棚にお尻からずり上がるようにして、終了点左の頭上クラックアンダーに手を伸ばした。最後は冷や汗ものだったけれど無事オンサイト。やった。
 きちんとムーブを組み立てられれば、普通に足を上げながら登って行けるはずで、そういうムーブでI澤さんもT橋さんもそれぞれ2便目のトライでRPしていた。

○「デジタルステップ」5.12a (通算2~3便目) ×
 A.L.S.が片付いたので、エ○ジーのS藤さんやJINさんがトライしているデジタルに私も混ぜてもらうことにした。
 昨夏ノーテンで登れた5ピン目までは最初のトライではテンションしてしまったが、これは大丈夫。
 懸案のハング部分については、5ピン目から薄いホールドを右手でアンダーピンチしたりして、左足で乗り込むと、ハング内にある細いコルネに左手が届く。届くのだが、これを保持しながら6ピン目をクリップするのが至難の業。
 細いコルネからいったん左に移ってから、再びコルネ上端のガバに戻るラインもあるようだが、私のリーチで手を伸ばせば、コルネガバの少し下に直接手が届くことが分かった。コルネから頭上の大穴をいくつかたどって右上のリップガバを取るのも力を要するパートで、そのリップさえ取れれば乗っ越すのは何でもなく、すぐに終了点だ。
 2回トライしたものの、細コルネを取った後がつながらず、保持力をつけないとRPはキビしそう。でも、ここに来る機会があったらまたやってみたい。

○「Horizon」5.11b/c OS
 理事長岩に戻り、ワークアウトで登ることにした。私は理事長岩でまだ登っていない最後の5.11台となるHorizonを片付けることにした。
 チョンボ棒が届く範囲の5ピン目までヌンチャクを掛けておいて、庇状をガバを伝ってぐいぐいと右上するところはジムで登っている感じだ。オンサイト。
 ずっと右上するため、ロワーダウンしながらのヌンチャク回収は大変なので、フォローでもう一度登りながら回収した。ああ、疲れた。

 十石峠でも中里でも5.12の宿題ルートができたので、またいつかトライしたいもの。

韓国 禅雲山(ソヌンサン)クライミングツアー

2013.5.11(土)~19(日)
 韓国の禅雲山(ソヌンサン)の岩場で1週間登ってきた。
 海外でのクライミングは、2010年末のタイ・プラナン、2011年夏のカナダ・スコーミッシュ、同年末のタイ・プラナン再訪、昨年GWのイタリア・スペルロンガ、今年冬のスペインに続く6回目だ。

■準備
 今年冬のスペインツアーでエルチョロに滞在している時に、日本のI澤さんから韓国ツアーのお誘いのメールがあって、すぐに参加の返事をしたのがきっかけだ。
 もともとO野さんとK藤さん、S野さんの3人が計画していたもので、彼らはここ数年ソヌンサンに通っているとのこと。それにI澤さんとT橋さん、私の3人が加わって、計6人で行くことになったのだ。
O野さんやI澤さん達が二子山で登っている時に、一緒に韓国に行くことになったそうだ。

 今回のツアー手配については、何から何までO野さんにやってもらい、本当にお世話になった。航空券からホテルの予約、韓国国内でのバス移動など。K藤さんには事前にルート図をもらったり。
 ということで、今回は準備らしい準備というものがほとんどない。クライミング装備一式はいつもどおりだし、それに着替えなどの旅行用品を加えたくらい。
出発前日にブックオフで韓国語の簡単なガイドブックを買い、パスポートとEチケットを忘れずにポシェットに入れておいた。

■5/11(土) 現地入り
 朝7時に羽田空港の出発ロビーで待ち合わせ。S野さんとは初めて会うが、入間のベースキャンプで見かけたことがあったようだ。クライマーの世間は狭いもの。
 9時出発のアシアナ航空で、2時間ほどでソウル金浦空港へ。空港からソウル市内の高速バス乗場までタクシー2台で移動したのだが、渋滞して結構時間がかかった。
 高速バス乗場に着くと、ソヌンサン近くの街コーチャン(고창・高敞)へ行く便がすぐに出発するとのことで、チケット買って乗り込む。バス代は一人15,900ウォン。途中一回サービスエリアでの休憩をはさんで、通常は3時間ほどで着くところを、渋滞に巻き込まれ4時間くらいでコーチャンの街へ。
 バスを降りると、再びタクシーを捕まえソヌンサンへ。車で20分ほど。1台あたり23,000ウォンくらい払った。

 ソヌンサンは、標高300mほどの低い山並みで、麓に立派なお寺があり、山の中にも参道が続いて、いくつも寺院があるようだ。お寺の門前となるところにソヌンサン観光ホテルがあって、ここが我々の宿となる。

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(↑ソヌンサン観光ホテル。屋根の上の文字、読めますか?)
 ホテルに到着したのはすでに夕刻で、チェックインを済ませ部屋に荷物を運びこんでから、まずは地下にある大浴場で汗を流す。それから近くに何軒かある食堂へ入り夕食。チヂミ(韓国語でパジョン)やウナギを注文すると、キムチやナムルなどのお通しが何皿も出てくる。

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韓国語でビールはメクチュ。ポップンチャ酒というクワの実のお酒も飲んだけれど、ツアー中とにかくビールは毎日飲んだ。繰り返すけれど韓国語でビールはメクチュ。スペイン語ではセルベサ。ああ、おいしい。

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 ホテルの部屋はオンドルと言って床暖房になっているらしく、この晩は寒くもないのに床が温かいせいで身体が火照って、翌朝は頭が痛いくらいになってしまった。次の晩からは床暖房を切ってもらったが、床に薄い布団を敷いて温かい床で寝るというのは、慣れないと返って体調を崩すことになりそうだ。
 オンドルは、朝鮮伝統の建築構造で、二重になった床や壁に竈の熱を対流させて部屋を暖めると仕組みらしいけれど、ホテルのは電気なのかも。

■5/12(日)~18(土) 7日間クライミング

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(↑ホテルの前には食堂が並ぶ)
 食堂で朝食を済ませてから、岩場に向かう。ホテルの前から大きな広場を抜けてお寺に続く道を行く。出店が並んでいる。お寺の敷地は広大なようで、入口で3,000ウォンを払って入場券を買う。数日すると入口にいるおじさんに、我々はクライミングで毎日来ると覚えてもらい、無料で入れるようになった。

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 緑に囲まれた道をずっと歩いて行く。小川を挟んだ反対側にはのお寺が建っている。数日後には、クライミングの帰りに立ち寄って、お参りをした。本堂には立派で大きな仏像がある。お土産屋さんもある。
 岩場へのアプローチはけっこう長い。売店の脇を通り、貯水池の堰堤を行くと、山道に入る。道標があるので迷うことは無い。目指すはソクサル岩だ。ホテルから岩場まで徒歩40分といったところだろうか。

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(↑山中に岩場がある)

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(↑ソクサル岩)
 ソクサル岩は、数十本のルートがある岩場だ。各ルートの取り付きにはルート名とグレードが書かれたプレートが貼ってあり、トポ図が無くても選択に困らない。事前にネットでトポ図を入手しておいたけれど、ルートが増えていたり、グレードが違っていたりして、現地で見たほうが簡単だ。

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(↑各ルートの取付には、このようなプレートが貼ってあり、とてもわかりやすい。これは「퍼즐」(ポヂュル)[パズル]5.12b(7b))


 それに、よく登られているルートには軒並み固定のヌンチャクがかかりっぱなしになっている。これはラクだ。
 ということで、私はこの日から7日間連続でクライミングを続けた。私以外の5人はそれぞれ合い間に一日だけレスト日を挟んで、コーチャンの街に出かけたりしていた。
 夕方までクライミングして、くたくたに疲れた身体でホテルまで歩いて戻り、ホテルの大浴場か部屋のお風呂に入る。大浴場は18時半くらいと閉まるのが早く、帰りが遅いと部屋のお風呂に入るしかなかった。夕食は日毎に店を変えたが、ホテルから一番離れた○○家という店が一番食事が美味しいかったので、何度か通った。
 ツアー期間中はけっこう暑い日が多く、トライ時はシャツを脱いで上半身裸で登ることがほとんどだった。

 ということで、以下は私がトライしたルートの記録。OSはオンサイト、RPはレッドポイント、FLはフラッシュの意。
№は、ネットで見つけたルート図に記載されている番号。そのルート図に記載されていないルートも結構あったので、付記しておく。
 ハングル文字の日本語読みや訳は、ネットの翻訳サイトで調べただけなので、本当に正しいかは不明。
アップは、ソクサル岩の近くにある岩やソクサル岩のルートの易しい部分で登って済ませた。

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(↑夕食に入った食堂のおばちゃんが、古い岩雪の雑誌を見せてくれた。禅雲山の紹介記事が載っている号だった)

【5/12(日)】
○「jcc2」 5.11b(6c) OS
※№22~23の間にある3本のうちの一つ。登りやすくて良いルートだと思う。

○「초심」(チョシム)[初心] 5.11a(6b+) OS
※№4~5の間にあるルート。ソクサル岩の下部右端あたりにあり、中盤でチムニー状を登る。

○「퍼즐」(ポヂュル)[パズル] 5.12b(7b) OS
※№24。比較的人気ルートの一つ。

○「96남자예선」(96ナムジャイェソン)[96男子予選] 5.12a/b(7a+/7b) OS ※№18

・「zoo」 5.12a(7a+) × №23
 ※これも人気ルート。韓国人クライマーも多くがトライしていた。

・同上 ×

・「새내기」(セネギ) [ニューフェース] 5.11b(6c) × ※№21
 ※ソクサル岩で最も人気のあるルート。順番待ちする際は、ルートの取付にシューズを並べて置くらしい。週末などは何足も並んでいた。

 韓国クライミングの初日。イレブンコレクターの私としては、5.11以上のルートをとにかくたくさん登ることにした。
jcc2から4本連続でオンサイトできたのは上出来。しかも、「퍼즐(パズル)」5.12bをオンサイトできて、自己のオンサイトグレードを5.12aから更新できた。グレーディングのカラい日本の岩場(二子とか)だったら、こんなことはない。後半はさすがにヨレて、zooやセネギのオンサイトを逃したのはもったいなかった。

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【5/13(月)】
○「zoo」 5.12a 3RP

・「어딘가 넘어 무지개」(オディンガノモムヂゲ)[どこか越えて虹] 5.12c(7b+) ×
※№25。O野さんが以前に登ったというおススメのルート。訳語はちょっとヘン。

・同上 ×

○「새내기(セネギ)」 5.11b 2RP

・「노력하는 사람들」(ノリョカヌンサラムドゥル)[努力する人々]  5.12b(7b) 
※№19。ヌンチャクは自分でかけること。

 クライミング2日目。前日オンサイトを逃したzooとセネギを片付ける。5.12cのルートにもトライ開始するも、ちょっと大変そうなので、この後数日間トライせず。代わりに5.12bのルートを選んでトライすることにした。

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(↑暑いので上裸で登る私)

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(↑禅雲山の立派なお寺)

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(↑本堂の仏様)

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(↑焼肉。わ~い♪)

【5/14(火)】
・「노력하는 사람들(ノリョカヌンサラムドゥル)」 ×

・同上 ×

○同上 3RP

○「jcc1」 5.11a(6b+) OS
※№22。

 クライミング3日目。この日は、K藤さん、O野さん、S野さんはレスト日。T橋さんとI澤さん、私の3人で岩場へ。
前日からトライを始めたノリョカヌンサラムドゥル5.12bを通算4便目でRP。核心部がほぼ連続して2箇所ある。ヌンチャクがかかっていないルートで、後日K藤さんがトライするためヌンチャクを残しておいたら、韓国の人達もよくトライしていた。

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(↑○○家の料理が一番おいしかった。写真はパジョン(チヂミ))

【5/15(水)】
・「신세대」(シンセデ)[新世代]  5.12b(7b) ×
※№24~25の間に7本あるルートの一つ。

○同上 2RP

○「아름다을 여인의 비밀」(アルムダウルヨイヌィピミル)[アルムダウル女性の秘密] 5.11c(6c+) OS
※ソクサル岩の取付斜面を右上に登って行くと、広場状のところに出る。そこから左に折れると、ソクサル岩上部と隣り合うトゥク岩の間に向かって下るようにルートが並んでいる。
5.13とか5.14とかグレードの高いルートが多い。そのうち、トゥク岩側の左端にあるのがこのルート。

○「종능과 선우」(チョンヌングァソヌ)[鐘陵と善友] 5.11a(6b+) OS
 ※前便のトゥク岩のルートの向かいのソクサル岩側に5.11台前半の短いルートがいくつかある。

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(↑ソクサル岩上部とトゥク岩の間のエリア)

○「jcc3」 5.11c(6c+) FL

 クライミング4日目。この日は、T橋さん、I澤さんはレスト日。残った4人で岩場へ。私はツアー中、レスト日を設けず連日登りっぱなし。
シンセデは、O野さんが昨年からトライしているルートだそうで、O野さんは引き続きトライしていた。中盤の窮屈な姿勢のムーブで手こずっていたようだ。この日、私が2便で登れた直後のトライで、O野さんもRP。
 私はトゥク岩にある5.11cのルートをトライ。ガバ穴を見落として、過去に登っているO野さんに言わせるとずいぶんと大変なラインから行ったようだ。前腕がパンプしてきたけれど、ギリギリのところでオンサイト。ああ、疲れた。
 ソクサル岩に戻って、jcc3を登る。これでjcc1~3の3つとも登ったことになる。

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(↑食堂のメニュー。どこもだいたい同じ価格)

【5/16(木)】
・「어딘가 넘어 무지개(オディンガノモムヂゲ)」 5.12c ×

・同上 ×

○「가을의 전절」(カウルィチョンヂョル)[秋の前節] 5.11a(6b+) OS
※トゥク岩とソクサル岩の間のエリアのうち、ソクサル岩側のルート。

・[개 같은 날의 오후](ケカトゥンナルィオフ)[犬同日の午後] 5.11b(6c) ×
 ※これもソクサル岩側のルート。

○同上 2RP

○[믈빛나라](ムルビッナラ)[ムルビンナラ]  5.11a(6b+) FL
 ※これもソクサル岩側。

○「백암5」(ペガム5)[白岩(ペクアム)]  5.10d(6b) OS
※№17。

クライミング5日目。3日ぶりにオディンガノモムヂゲ5.12cにトライ。上部エリアで5.11台の本数稼ぎ。ソクサル岩下部に戻って、ぺガム5を登っておく。

【5/17(金)】
・「어딘가 넘어 무지개(オディンガノモムヂゲ)」 5.12c ×

○同上 6RP

敗退 「쌍바위 골의 슬픔」(ッサンバウィコルィスルプム)[サンバウィゴールの悲しみ] 5.12a(7a+) ×
※トゥク岩

敗退 「소사현1」(ソサヒョン1)[焼死ヒョン] 5.12a(7a+) ×
※トゥク岩。訳語の意味不明。

○「더러운 세상을 멀쳐버리고」(トロウンセサンウルモルチョボリゴ)[汚い世の中を遠い取り除いて] 5.11a(6b+) OS
※トゥク岩の向かい側。

 クライミング6日目。通算6便目でオディンガノモムヂゲ5.12cをレッドポイント。やった。RPする前便では、終了点一つ手前のピンで、腕がパンプしてクリップできずそのまま通過。しかし、終了点に至る前に力尽き大フォール。I澤さんが韓国で買ったという身体のツボを押す棒を借りて、パンプした前腕の筋肉をほぐしたおかげで、次の便では余力を残して完登できた。
 5.12cをRPできたまでは良かったのだが、トゥク岩にある2本の5.12aでは、脆い岩質に敗退を余儀なくされる。こういうルートもあるので、取り付く際はよく観察すること。

【5/18(土)】
敗退 「그대 떠나가도」(クデットナガド)[あなた離れても] 5.12a(7a+) ×
 ※№15。

敗退 「우암갈」(ウアムガル)[ウアンム街を] 5.12a(7a+) ×
 ※№7~8間。

・「늦깍기」(ヌッカッキ)[ヌッカッキ] 5.11d(7a) ×
 ※№20。

○同上 2RP

 クライミング7日目。クライミングは今日が最終日。明日は帰国だ。前日後半に続き、この日も5.12aで敗退を余儀なくされる。イヤな気分になってきた。
 気を取り直して、5.11dを2便で登る。細かいホールドで微妙なムーブのあるルートだが、登れて良かった。最後にソクサル岩の上部にあるルートを再登してお終い。
 今回の韓国クライミングツアーの成果としては、5.11台を12本、5.12台を6本登ったので、まあまあ。
 成果の出来不出来はともなく、他の皆もあれこれ登れたと思う。

■5/19(日) 帰国
 今日は日本に帰る日だ。早朝、前日に頼んでおいたタクシーでコーチャンの街の高速バス乗り場へ。7時発のバスに乗り、3時間ほどでソウル市内へ。そこからO野さんとI澤さん、私の3人は地下鉄を乗り継いで、市内にある登山用品店が何軒も集まるところへ。
 いくつもお店を除いているも、クライミングシューズなどは日本と値段が変わらないか、高いものもある。安く買おうと思って来ると、期待はずれかも。私は結局何も買わなかったけれど、お昼に入った食堂の豚肉スープの料理は美味しかった。昼間から3人でビールも飲んだし。

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(↑登山用品店が並ぶ一角)
 再びタクシーで金浦空港へ。出国審査を済ませ、搭乗口に行き、別行動のK藤さん達と合流。2時間ほどのフライトで羽田空港に帰ってきた。
 今回の韓国クライミングツアーはこうしておしまい。こまかなエピソードは省略するけれど、韓国で会ったクライマーの人達は親切だった。ハングル文字はその規則性が分かれば、意味はともかく音だけなら結構読むことができたのも面白かった。

鳳来4回目(「たぶんだいじょうぶでショウ」5.12b RP、「FIRST」5.12a RP、「ホフマン教授」5.12a RP)

2013.5.3()6()

 鳳来には昨秋3回計9日間訪れた。

今回、ゴールデンウィーク後半4日間を使って約半年ぶりにT沢さんと鳳来を再訪した。

 3日間を鬼石で過ごし、4日目はガンコ岩に行った。

5/3()

 未明にT沢さんが私の家に来て、私の車に乗り換え東名道へ。新東名道~三遠南信道経由で乳岩駐車場に着いたのは620分頃。

 駐車場はまだ満車にはなっていなかった。大型連休なので、地元クライマーの人達は別の岩場に遠征に出ているのかも。鬼石の岩場では二子の面々が何人も来ていたので、逆に関東勢が多かったのだろう。

 車中で少し休んでから鬼石への登山道を歩き始める。途中、一服の岩ではシャクナゲの花が咲いていた。

 天気は晴れ。結局4日間とも天気に恵まれた。

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(↑シャクナゲの花)

 半年ぶりに見る鬼石は相変わらずどっかぶっていてスゴい。N井さん達も来ていた。昨日今日の予定で、鳳来初訪問とのこと。

 荷物を広げた河原の広場は陽当たりが悪いし、風が通り抜けるし、思っていたより寒い。もっと防寒対策をしてくればよかった。

 まずは、アップの定番ルート「あんこ」5.10bを登る。

○「猫も杓子も」5.12c (通算46便目) ×

 昨秋3便出している猫杓にトライするも、結果は散々。右上トラバース部分ではテンションしまくりで、とても下から繋げられない。

 1便目のトライで右手人差し指の第二関節付近の指腹を切ってしまい出血する始末で、3便目はトップアウトも諦めて下りる。

 「振り返るな」5.13aが登れた3月頃の調子でトライしていれば、良い勝負になったのだろうけれど、ここひと月ですっかり筋肉が落ちてしまった感じだ。

猫杓はとても登れそうにないので、今回のトライはこれでおしまい。

○「たぶんだいじょうぶでショウ」5.12b (12便目) ×

 猫杓を諦めてハイカラ岩を見に行く。昨秋、私は「Thatsクライミングショウ」をRPしているけれど、近くに「たぶんだいじょうぶでショウ」という5.12bのルートにヌンチャクがかかっている。

 ヌンチャクの主曰く、これもおススメのルートとのことなので、私もやってみることにした。

 少し上がるとすぐにどっかぶりのセクションに入る。150°くらいあるだろうか、ほとんど天井にへばりついている感じだ。

 ドガバを両足ヒールで挟み込みながら、リップのホールドを取りに行くのが一つの核心。それから庇を乗っ越すのがもう一つの核心だ。

 この日のトライではRPできなかったけれど、登れそうな感じなので翌日もトライすることにする。このルート、長さもムーブもクラショウのミニ版といった感じだ。

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(↑ヌンチャクが架かっているのが、「たぶんだいじょうぶでショウ」)

 T沢さんは、昨秋にもトライしている「アフター・ザ・レイン」5.12aに引き続きトライしている。初日は寝不足もあり、くたくたに疲れて下山。

 盆栽センターで親子丼を食べて、温泉施設ゆうゆうありいなで疲れた身体を癒し、唯一のコンビニ・サンクスで買い出ししてから鳳来湖キャンプ場へ。テントを張って、ビールを飲んでから寝る。ああ、疲れた。

5/4()

 5時に起き出して、コンビニで買い出ししてから乳岩駐車場へ。コンビニ弁当で朝食を済ませ、車内で少し寝てから岩場に向けて歩き始めるのは毎朝のパターンだ。

 「あんこ」でアップしてから、前日に続き「たぶんだいじょうでショウ」にトライ。

○「たぶんだいじょうぶでショウ」5.12b (通算34便目) RP

 この日1便目のトライでは、リップ取りはスタティックにできるものの、庇の乗っ越しで力尽きる。つぎの便でようやく登れた。ひさしぶりの5.12台の完登だ。やった。

○「FIRST5.12a (12便目) RP

 鬼石に戻り、猫杓と出だしが共用するFIRSTをやることにした。とても5.12cは登れそうにないので、これくらいのグレードを狙おう。

 終了点直下が核心のルートで、終了点に対して右抜けと左抜けの両方があるようだ。あれこれムーブを試したところ、左手ガバをサイドプルしつつ、右手で左上のリップを取るほうが楽なのが分かったので、このムーブで2便目で登れた。

 最後に、「姫のウォームアップ」5.10dを登って、この日は終了。12台前半だけれど、2つ登れて良かった。

 前日とこの日、日本代表の2人が鳳来に来ていた。前日は「ジェットシューター」5.12cをあっさりオンサイトしたそうだが、この日も猫杓を軽々と登るのを観ることができた。ワールドクラスの彼らの実力からすればアップみたいなものだろうけれど、その華麗な登り方はため息が出るばかりだ。

 午後には、A青年がハイカラ岩の「バーニス」5.13aをオンサイトするのもじっくりと観ることができた。初見のため、皆が使うホールドを使わずに余計難しいムーブで登るところもあったけれど、それでも突破してしまうところはスゴいものだ。眼福。

 盆栽センター、ゆうゆうありいな、サンクスを経て、鳳来湖キャンプ場へ。

5/5()

 鬼石3日目。さすがに疲れが溜まってきたので、5.12aくらいで済ませておきたいところだが、結局、「ジェットシューター」5.12cをトライしてみることにした。

○「ジェットシューター」5.12c (13便目) ×

 このルート、鬼石やハイカラ岩にある4つ星5.12cルートの一つで、数年前にT沢さんも登っているとのこと。

 とても今日一日でRPできるとは思わないが、今日触っておけば、いずれまたトライするときに少しは早く慣れるだろう。

 3ピン右上してから4ピン目から厳しいパートに入る。とにかくテンションとチョンボしまくって登っていき、7ピン目で一連のセクションを終える。あとは終了点までは易しい。

 しかし47ピン目間がえらく厳しく、ムーブを繋げるどころではない。T沢さんはニーバーをうまく使って登ったそうだ。

 3便出しても、これぞと言ったムーブにたどり着けなかったけれど、鳳来にまた来たらトライしよう。猫杓と併せてまた宿題が増えてしまった。

 最後に、同じがっかりエリアにある「てっぺんをつかもう」5.11aをやることにした。5.11aというだけで選んだルートなのだが、日本100岩場のルート図には場所がはっきりと描いていないし、ラインがよく分からない。

 ボルトを探した結果、「どこいったんや~」の向かいにある岩上から、がっかりエリアの大岩に取り付くようだ。3ピンほど延々と右上にトラバースする。そこから、何メートルも各ピン間がランナウトしているボルトを追って登っていく。

 ほとんど誰も登っていないのだろう、岩はポロポロと崩れるし、ほとんどアルパインチックだ。しかも、ルートがえらく長く、ようやくたどり着いた岩峰の天辺には、黒ずんだロープが輪っか状に架けられていた。残置カラビナがかかっているけれど、このロープでロワーダウンするのは気が気でない。このままろわーだるんするにはロープ長が足りないので、下りられるところまで下りた位置のボルトに自分のカラビナを捨てて、結び替えてから下りた。

 ということで、今後このルートに登ろうという人は、終了点に新しいロープを架け直すくらいの用意で取り付いたほうが良いだろう。生還できて良かった。

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(↑あの“てっぺん”をつかんだのだ)

 こうして鬼石3日間を終える。明日はガンコ岩だ。盆栽、ゆうゆう、サンクス、鳳来湖。

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(↑鳳来湖)

5/6()

 最終4日目はガンコ岩へ。私はガンコ岩に行くのは初めてだ。アプローチは鬼石に行くよりずっと近い。

 乳岩を右手に眺めながらしばらく登って行くと、右奥の樹幹越しにガンコ岩が見えてくる。道中、ギンリョウソウを見つける。

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(↑ギンリョウソウ)

 着いたガンコ岩1階は、鬼石のようなどっかぶりの壁ではないが、立派な岩だ。

 まずは、「ユカ」5.11aをアップでオンサイト。

○「ホフマン教授」5.12a (12便目) RP

 ヌンチャクが架かっている「ホフマン教授」をやってみることにした。上部ハング下までアプローチと言えるパートで、5.11-くらい。ハング下に辿り着き、上部に見えるガバまでどう手を伸ばすか試すもフォール。

 左手2本指カチ、右手頭上ピンチから伸び上がって上方のガバ左サイドをキャッチする。ここが第一の核心ムーブ。

 続いて、ガバから右方ガバ穴に右手を伸ばし、左足を先ほどのガバに手に足ヒールフックしつつ、右足を先ほどのピンチに乗せ、左手を寄せ、右手をさらに右奥ホールドに伸ばす。この右トラバースが第二の核心ムーブ。あとは垂壁の中の穴を辿って、ステミングしつつ岩棚上へ。

 2便目のトライできっちりとムーブをこなしてRP。やった。

 ホフマンが登れたので、息抜きに「冷たい男(やつ)5.11aをフラッシュ。

○「オランウータン」5.11c (13便目) ×

 女性がトライしていた「オランウータン」を私もやってみることにした。1ピン目にプリクリップし、そこから5ピン目ガバまでの一連のムーブが核心だ。

 12便目ではムーブをあれこれ探る。ほぼ固まったムーブで3便のトライに臨んだが、5ピン目に至る前にフォール。良いところまで迫っていただけに非常に悔しい。ガンコ岩にまた来ることがあったら、必ずトライしよう。

※注 「キツネの嫁入り」5.11cのラインについて

 出だしがホフマン教授と共用する「キツネの嫁入り」5.11cのことだが、日本100岩場の図では、6ピン目からホフマンと分かれ左上する絵になっている。

 しかし、岩場にいたクライマーの話によると、正しくは図の4ピン目(タップダンサーとクロスするピンには架けないので、実際は3ピン目)から先で分かれるようだ。実際のピンもその位置に打ってある。

 そこから3ピン分左上して、「わかってください」と合流するようだ。せっかくの3つ星ルートなので、トライする人は改めてルートをよく観察してから登ってもらいたいもの。

 オランウータンを登れなかったのは悔しいけれど、4日間よく登ったものだ。岩場ではチヨチヨビイと鳴いている鳥がいて(姿は見えないけれど)、センダイムシクイだとT沢さんが教えてくれた。

 夕方まできっちり登ってから下山。帰りの高速道路は大渋滞が心配だったが、新東名から東名に入り、神奈川県に入っても渋滞は全くなかった。昼間は渋滞したのかもしれないが、それもすっかり解消して、拍子抜けするほど順調に東京に帰ることができた。

 サービスエリアで仮眠して渋滞をやり過ごすくらいのつもりでいたけれど、思っていたよりずっと早く帰宅できたのは良かった。T沢さん、4日間お世話になりました。

北ア 4/27槍ヶ岳(小池新道 途中敗退)・4/28西穂高岳・4/29右俣谷(滝谷出合手前まで)残雪期登山

2013.4.26(金)夜~29日(月)
 ゴールデンウィークの前半、所属山岳会の人達と北アルプスの槍ヶ岳を目指した。
しかし、大量の降雪のため、槍ヶ岳には遠く及ばず初日での敗退となった。
残った日数で、西穂を登ったり、槍平に至る右俣谷を歩いたりした。

想像以上の降雪で撤退は仕方ないけれど、余力を相当残して終わってしまったので、不完全燃焼の山行となったのは残念。

 さて、先々週に北ア五竜岳の遠見尾根に登ったけれど、これは会に入会して1年未満くらいの人達に雪山登山を体験してもらうという企画の一つで、今回の槍ヶ岳登山はその総決算となる計画だ。
 人数が多いので、3パーティーに分かれ、一つは上高地から横尾尾根を経て槍ヶ岳を目指し、もう一つは新穂高から中崎尾根を経て槍ヶ岳を目指す。私のいるパーティーは、新穂高から小池新道~双六岳~西鎌尾根を経て槍ヶ岳を目指す距離あるルートだ。

■4/27(土) 小池新道で敗退
 前夜、車3台に分乗して各車北アルプスに向かう。上高地から入山する横尾尾根パーティーのメンバーを沢渡(さわんど)で降ろし、新穂高にある深山荘の無料駐車場へ。天気予報では今夜から明日27日にかけてかなりの降雪があるとのことで、すでに雪が舞っている。安房トンネルを抜ける道中もうっすらと雪が積もりつつあり、すでにノーマルタイヤに替えてしまっていたので、慎重に運転する。
 雪の降る中、中崎尾根Pと西鎌尾根Pの計10人で、テント泊と車中泊に分かれ仮眠。

 翌27日朝、少し雪が積もっている中、荷物をまとめ出発。中崎尾根に向かう5人Pとすぐに別れ、我々小池新道~西鎌尾根Pの5人は左俣谷に入って行く。S藤さんをリーダーに、HGSさん、S旗さん、N島さん、私の5人。

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 ヤマテンの予報では30㎝くらい降雪があるとのこと。降りしきる雪の中、確かにそれくらいの雪が新たに積もっている感じだ。先行するスキーヤーのパーティーのトレースと辿りながら、中崎橋、わさび平小屋と過ぎていく。林道が中崎尾根側に渡る橋のところでスキーヤー達が立ち止っている間に、我々は小池新道方面の雪面に入って行く。小池新道といっても、夏道が分かるわけはなく、深雪をラッセルしながら進んで行く。ラッセルの深さはヒザどころではなく、腿さらに腰くらい。ある程度ラッセルすると先頭は疲れるので、順次2番手が先頭になってラッセルを繰り返す。
 最初の休憩は歩き始めてから2時間後だったけれど、深いラッセルが始まってからは全員で休憩を取るということはせず、先頭ラッセルを終えたものは休憩してから列に追い付くという形になった。

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 ガスっているので遠くが見渡せないが、時々ガスが薄くなった際に見える遠方の地形や、地形図とコンパスから判断して進む方向を判断する。
 ワカンを持ってきていなかったのだが、あってもなくてもあまり変わらなかったかも。それよりもストックは大いに役に立った。ピッケルよりもストックを前方に刺してそれを引き寄せるようにすると次の一歩を出しやすい。
 途中、デブリの上を通過した。冷静に考えれば、降雪中はもっとも雪崩の危険が高いのは雪山に入るものの基本。
 地形図を見ながら、秩父沢があるらしき凹状部を通過する。左手の山側斜面からいつ雪崩が襲ってきてもおかしくなかったのだろう。
 秩父沢を過ぎ、ほぼ真北に進路を取りながら小池新道があるはずの前方の沢に入って行く。もちろん雪で覆われている。沢の最底部を行くのではなく、左斜面側を辿って行った。
 プロトレックで高度を見ると1時間で100mほどしか上がっていない。この積雪のラッセルではなかなかはかどらないのは仕方ない。

 午後2時頃、標高1,900m付近の左斜面岩場基部で、リーダーが撤退の判断をする。当初の予定では双六小屋まで行くはずだったが、それどころではなく、今日中に鏡平まで行けるかどうかも難しい。しかも、鏡平に至るには夏道では、前方の大きな沢を西から東へとトラバースするように上がっていくことになる。雪崩が危険だ。3日間の日程では、頑張れば双六小屋くらいは往復できるかもしれないが、槍ヶ岳は無理だろう。
 リーダーのS藤さんは、ラッセルしながらも様々に考えていたはずで、これ以上前進すべきか引き返すべきかというところで撤退の判断をしたわけで、ここはもちろんリーダーの判断を尊重して下山することにする。
 少し前に付けたトレースも新たな降雪で埋まりかけている。うっすらと残るトレースを目で追いながら進んで行くも、途中でトレースが途切れていた。どうやら雪崩れてトレースが埋まったようだ。少しラッセルするとまたトレースが現れる。規模の大小はあれ雪崩が頻発しているのだ。少しずつ天気が回復してきて、視界がきくようになってきた。振り返って下りてきたトレースを見ると、つい5分ほど前に付けたトレースが雪崩れて消えている。
 下って行くと、横切る右手斜面の沢という沢から雪崩れたデブリが堆積している。小さなものなら巻き込まれても埋まることはないのかもしれないが、大きな雪崩跡はトレースのずっと下まで続いていて、そのボリュームも大きい。これに巻き込まれていたら完全に埋没していてもおかしくない。
 雪崩れた瞬間をみることはなかったけれど、登ってくる際に付けたトレースが随所で埋まっているのを見て、あそこまでラッセルして登っただけでも、雪崩の危険の中、十分だったのだろう。
 下山後に知ったのだが、この日北アルプスでは白馬岳の大雪渓で雪崩遭難事故は発生したり、横尾から先では入山規制をしていたそうだ。

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 わさび平小屋の前に着いた頃には空が晴れてきていた。今日はここでテントを張る。

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 テントの中で話し合って、今後の行動を相談する。とりあえず再び小池新道を辿るという選択肢は無くなった。明日早々に新穂に下山して解散という雰囲気になってきたのだが、まだ槍ヶ岳を目指して登っているはずの中崎尾根Pや横尾尾根Pもいて、計画では彼らも29日には新穂に下りてくるのだ。
 残り2日間をどう過ごそうかと相談して、このまま東京に帰るのはもったいないと考えていた私は西穂に行こうと提案した。これにHGSさんとS旗さんが乗ってくれたので、急きょ西穂に転進する計画を決めた。
 西穂そのものは、5年前のやはりゴールデンウィークに滝谷4尾根を登った後に西穂まで縦走したことがある。今回、好天は確実だし、他の登山者もロープウェイを使ってたくさんいるだろうから、槍ヶ岳に比べたら本当にお気楽スノーハイキングになるのは分かっていたけれど、槍ヶ岳に行けなかった悔しさを少しでも薄めるため、高いところに行きたかったのだ。

■4/28(日) 西穂高岳登山 & 雪洞掘り
 西穂ロープウェイが動き出すのは8時くらいだろうと考え、4時に起床に朝食を済ませ新穂まで下山する。S藤さんとN島さんはこの日のうちに東京に帰るとのこと。
●西穂へ
 にわかリーダーの私とHGSさん、S旗さんの3人は、動き出したロープウェイに乗り込む。登山者姿のほか、普通の格好をした人達もたくさんいる。前日の降雪が一転、空は晴れ渡っている。ロープウェイからは前日ラッセルした小池新道のある谷が眺められる。遠方からも雪崩れた跡があるのが分かる。やはり危険地帯の中にいたのだ。
 2つのロープウェイを乗り継いで山頂駅へ。そこから小1時間ほど歩いて西穂山荘に到着。山荘前にはテントがいくつも張られ、登山者でごった返している。

 テントや寝袋など不要な装備を袋に入れて山荘前にデポして、西穂山頂までの往復に出発。多少風はあるけれど、荷物は軽いし、晴れ渡っているし、本当に気楽は山歩きで、春山ジョイっていう感じだ。

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 1時間ほどで独標に到着。西穂まで行かず独標で引き返す登山者が多いようだが、西穂方面に行く人ももちろんいた。独標北面が危険という情報が独り歩きして、ここから先に足を延ばすのをためらう登山者も多いのかもしれないけれど、北面を見下ろしてみれば、ただの階段状のところを下りるだけだ。時間はまだまだ早いので我々はもちろん西穂に向かう。

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 ほかの登山者を見ていると、アイゼンも6本爪程度の人達もいて、おっかなびっくり歩いている様子。慣れない人こそしっかり前爪のあるアイゼンを履いて歩いたほうが楽だと思うのだが。
 あと、ガイド登山なのだろうか、ロープを腰に結んで後ろの人に繋がれて歩いている登山者もいた。何でもないような緩い斜面でもロープを結んだまま歩いている様子は、まるで犬の散歩のようで人間としての尊厳は…、とちょっと思ってしまった。
 下降する緩斜面でお客がバランスを崩した際にロープを張って確保するのだろうが、斜面をトラバースしている場面を見た時は、万一お客が滑落したら、前方向から下方向に引っ張られてそのまま引きずりこまれるだろう。ほとんど形だけの確保にしか見えなかった。
 そんな光景も見ながら、ピラミッドピークを越え、西穂の山頂に到着。前穂から明神岳も見え、西には加賀白山。乗鞍岳の先には御嶽山も少し見えた。中央アルプスや南アルプスも。

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●雪洞を掘る
 西穂山荘に帰着してから、今夜の寝床を作る。テントを持ってきているが、時間もあるし雪洞を掘ることにした。
 山小屋の近くに掘るため、黙って勝手に掘るワケにはいかないので、きちんと山小屋の人に雪洞を掘る旨を伝えたら、今後除雪車が入る可能性があるので、掘るなら夏期の診療所となる建物脇の斜面に掘ってくれと言われた。そして、幕営料と同じく一人500円を払う。テントを張らず、穴を掘って寝るのにもお金はかかるのだ。ショバ代だからね。
 私は以前所属していた山岳会時代には、登山中に何度か雪洞を掘ったことがあるのだが、かれこれもう5年も掘っていないので、今日はよい機会なのでぜひ掘ろうと考えていた。HGSさんもS旗さんも雪洞を掘って泊まった経験がないとのことで、よい練習になるし。

 N島さんに借りたスコップ1本とスノーソーで作業開始。独標から山荘に下りてくる複数のトレースの一つが近くにあるので、斜面の上から人が浸入してこないようにストックをクロス状に雪に刺して立ち入り禁止の意思表示をする。雪洞を踏み抜いて、人が落ちてきたら大事だからだ。
 それから入口となる横穴を掘っていく。スコップが一つしかないので、掘り出した雪をさらに遠くに捨てるのに手間がかかる。最初は3人で交替しながら作業したけれど、効率が悪いので、私とS旗さんで雪洞を掘り、HGSさんには雪を融かして水づくりをしてもらうことにした。山荘で水を得られるけれど有料だし。

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 ある程度横穴を掘ってから、少しずつ横にも掘って居住スペースを広げていくのだが、少し掘った奥のところで固い氷の層にぶつかってしまった。スコップをたたき込んでも歯がたたない。融解と凍結を繰り返したらしい氷の層がバウムクーヘン状に幾重にも重なっているようだ。スノーソーで切れ目を入れていくのだが、スノーソーの歯を食い込ませていくだけでも大変なほど固い。二人で交替しながら少しずつ氷の層をブロック状に切りだしていく。こんなのがずっと奥まで続いていたらどれだけ時間がかかるだろうか、ちょっと心配になったが、根気よく氷を切っていく。
 氷の層は幅は居住スペースいっぱいにあるが、奥行きは20㎝ほどしかないことが分かり、その奥は再び雪になっていた。二人の身体が雪洞に入るようになると、スコップとスノーソーを同時に使えるので作業も捗る。
 床面も氷った部分がありこれもスノーソーで削った。天井は水滴が落ちてこないようにドーム状にきれいに均したかったのだが、固いところもあるし疲れてしまったので、適当なところで止めておいた。
 掘り始めて2時間20分。氷の層がなければ、1時間近くは縮める自信はあったのだけれど。とりあえず3人がぎりぎり寝られそうなスペースが確保できた。テントの本体と銀マットを中に敷いて荷物を運び込み、入口はフライシートで覆ってピッケルで固定した。フライシートのチャックを開けると中に入れるというワケだ。

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 お酒を飲みながら夕食を作る。本日の夕食担当はS旗さんで、仙台麩や春雨を使った料理が美味しい。調味料は味の素の鍋キューブというもので、これは重宝しそうだ。
 明日はロープウェイの運航開始に合わせて、山頂駅に下りるだけなので急ぐ必要がない。寝ている間、上から水滴がポタポタと顔に落ちてくるのにはまいった。起き出して天井の雪を削って水滴が落ちてこないようにしたけれど、もっと天井をきれいに作らないとこういうことになる。

■4/29(月) 右俣谷を歩く
 5年ぶりに雪洞で過ごした翌朝、朝食を済ませて荷物をまとめる。スコップで雪洞をつぶしてからロープウェイ山頂駅へ下山。9時前くらいにロープウェイが動き出す。新保高温泉に下りてくる。メールチェックすると、横尾尾根Pは予定どおり槍ヶ岳に登れたらしい。いいなあ。中崎尾根Pのことは書いてなかったので不明。
 いったん駐車場に戻る。中崎尾根Pも横尾尾根Pも、計画通りなら本日中に新穂に下りてくることになっている。我々だけ先に帰ってしまうこともできるが、私の車にはあと2人乗れるので、彼らを待とうと考えた。それでも車3台のうち1台はすでに東京に帰っているので、計算上2人はバスか電車で帰らなければならなくなるのだが。
 さて、彼らがいつ下山してくるか分からないので(翌日も予備日としてあるのでこの日のうちに下りてくるという保証もない)、槍平に向かう右俣谷を歩いて彼らを迎えに行こうと、HGSさんとS旗さんに提案した。
●右俣谷
 S旗さんは足のマメをつぶして痛むということで新穂で待つことになり、私とHGSさんとで行くことにした。
 快晴のもと、林道を歩いていく。道端にはフキノトウが芽を出している。山菜にはまるで詳しくない私だが、HGSさんに教えてもらってあまり芽が開いていないフキノトウを摘む。天ぷらにしたりすると美味しいのだ。
 だんだんと林道にも雪が出てくる。上から下山してくる人もいて、聞くと今朝槍から下りてきたと言う。穂高平小屋や白出沢を越えていく。なかなか横尾P達と落ち合わない。本当に下山してきているのだろうか。
 S旗さんを待たせていることもあるし、どこまでも歩いていくわけにはいかない。3時間近く歩いた12時半頃、標高約1,650mの滝谷出合手前のチビ谷付近で引き返すことにした。

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 帰り道、白出沢を渡るところでトレースを間違え20分ほどタイムロス。新穂に向かってどんどん戻っていき、新穂に着く直前で知った顔ぶれが前を歩いているのを発見。我々が白出沢で迷っている間に行き違ってしまったのだ。
 無駄足みたいになってしまったが、5時間くらい散歩できたし、彼らと合流できたので良かった。HGSさんはとにかく健脚だった。
●帰途へ
 ずっと待っていたS旗さんと駐車場で落ち合い、計12人で帰りの交通手段を相談する。2台の車に乗れるのは5人ずつ10人までなので、2人には電車やバスで帰ってもらうことになった。
 平湯からバスが出ているので、まずは私が2人を平湯に送ることにして、その間に他の面々は深山荘の温泉に入って待つことに。
 私は2人を平湯に送って、トンボ返りで新穂に戻り、急いで深山荘の温泉に入った。ゆっくり浸かってはいられなかったけれど、3日間の汗を流してさっぱりした。
 2台で平湯に移動して食堂へ。10人全員ともカツ丼を注文。上信越道~関越道で帰るF士車と別れ、私の車は中央道へ。H光さんやS旗さんに運転を替わってもらう。大月から先で18㎞の渋滞とあったので、これくらいなら渋滞に突っ込んでも良かったのだが、都留ICで下りて山中の抜け道を走って渋滞を回避。22~23時ころに同乗者を駅や自宅に送ってから帰宅。ああ、疲れた。

 今回、槍ヶ岳にとどくずっと前に敗退となり残念な結果となった。これについては、降雪時に入山しないとかコースの変更など反省すべきことはいろいろあるだろう。
 冒頭に書いたように不完全燃焼に終わってしまったが、3週続いた雪山登山は今期はこれで終了。さて、5月からの山行計画は…、それもその都度このブログにアップしていこう。

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