韓国 禅雲山(ソヌンサン)クライミングツアー
2013.5.11(土)~19(日)
韓国の禅雲山(ソヌンサン)の岩場で1週間登ってきた。
海外でのクライミングは、2010年末のタイ・プラナン、2011年夏のカナダ・スコーミッシュ、同年末のタイ・プラナン再訪、昨年GWのイタリア・スペルロンガ、今年冬のスペインに続く6回目だ。
■準備
今年冬のスペインツアーでエルチョロに滞在している時に、日本のI澤さんから韓国ツアーのお誘いのメールがあって、すぐに参加の返事をしたのがきっかけだ。
もともとO野さんとK藤さん、S野さんの3人が計画していたもので、彼らはここ数年ソヌンサンに通っているとのこと。それにI澤さんとT橋さん、私の3人が加わって、計6人で行くことになったのだ。
O野さんやI澤さん達が二子山で登っている時に、一緒に韓国に行くことになったそうだ。
今回のツアー手配については、何から何までO野さんにやってもらい、本当にお世話になった。航空券からホテルの予約、韓国国内でのバス移動など。K藤さんには事前にルート図をもらったり。
ということで、今回は準備らしい準備というものがほとんどない。クライミング装備一式はいつもどおりだし、それに着替えなどの旅行用品を加えたくらい。
出発前日にブックオフで韓国語の簡単なガイドブックを買い、パスポートとEチケットを忘れずにポシェットに入れておいた。
■5/11(土) 現地入り
朝7時に羽田空港の出発ロビーで待ち合わせ。S野さんとは初めて会うが、入間のベースキャンプで見かけたことがあったようだ。クライマーの世間は狭いもの。
9時出発のアシアナ航空で、2時間ほどでソウル金浦空港へ。空港からソウル市内の高速バス乗場までタクシー2台で移動したのだが、渋滞して結構時間がかかった。
高速バス乗場に着くと、ソヌンサン近くの街コーチャン(고창・高敞)へ行く便がすぐに出発するとのことで、チケット買って乗り込む。バス代は一人15,900ウォン。途中一回サービスエリアでの休憩をはさんで、通常は3時間ほどで着くところを、渋滞に巻き込まれ4時間くらいでコーチャンの街へ。
バスを降りると、再びタクシーを捕まえソヌンサンへ。車で20分ほど。1台あたり23,000ウォンくらい払った。
ソヌンサンは、標高300mほどの低い山並みで、麓に立派なお寺があり、山の中にも参道が続いて、いくつも寺院があるようだ。お寺の門前となるところにソヌンサン観光ホテルがあって、ここが我々の宿となる。
(↑ソヌンサン観光ホテル。屋根の上の文字、読めますか?)
ホテルに到着したのはすでに夕刻で、チェックインを済ませ部屋に荷物を運びこんでから、まずは地下にある大浴場で汗を流す。それから近くに何軒かある食堂へ入り夕食。チヂミ(韓国語でパジョン)やウナギを注文すると、キムチやナムルなどのお通しが何皿も出てくる。
韓国語でビールはメクチュ。ポップンチャ酒というクワの実のお酒も飲んだけれど、ツアー中とにかくビールは毎日飲んだ。繰り返すけれど韓国語でビールはメクチュ。スペイン語ではセルベサ。ああ、おいしい。
ホテルの部屋はオンドルと言って床暖房になっているらしく、この晩は寒くもないのに床が温かいせいで身体が火照って、翌朝は頭が痛いくらいになってしまった。次の晩からは床暖房を切ってもらったが、床に薄い布団を敷いて温かい床で寝るというのは、慣れないと返って体調を崩すことになりそうだ。
オンドルは、朝鮮伝統の建築構造で、二重になった床や壁に竈の熱を対流させて部屋を暖めると仕組みらしいけれど、ホテルのは電気なのかも。
■5/12(日)~18(土) 7日間クライミング
(↑ホテルの前には食堂が並ぶ)
食堂で朝食を済ませてから、岩場に向かう。ホテルの前から大きな広場を抜けてお寺に続く道を行く。出店が並んでいる。お寺の敷地は広大なようで、入口で3,000ウォンを払って入場券を買う。数日すると入口にいるおじさんに、我々はクライミングで毎日来ると覚えてもらい、無料で入れるようになった。
緑に囲まれた道をずっと歩いて行く。小川を挟んだ反対側にはのお寺が建っている。数日後には、クライミングの帰りに立ち寄って、お参りをした。本堂には立派で大きな仏像がある。お土産屋さんもある。
岩場へのアプローチはけっこう長い。売店の脇を通り、貯水池の堰堤を行くと、山道に入る。道標があるので迷うことは無い。目指すはソクサル岩だ。ホテルから岩場まで徒歩40分といったところだろうか。
(↑山中に岩場がある)
(↑ソクサル岩)
ソクサル岩は、数十本のルートがある岩場だ。各ルートの取り付きにはルート名とグレードが書かれたプレートが貼ってあり、トポ図が無くても選択に困らない。事前にネットでトポ図を入手しておいたけれど、ルートが増えていたり、グレードが違っていたりして、現地で見たほうが簡単だ。
(↑各ルートの取付には、このようなプレートが貼ってあり、とてもわかりやすい。これは「퍼즐」(ポヂュル)[パズル]5.12b(7b))
それに、よく登られているルートには軒並み固定のヌンチャクがかかりっぱなしになっている。これはラクだ。
ということで、私はこの日から7日間連続でクライミングを続けた。私以外の5人はそれぞれ合い間に一日だけレスト日を挟んで、コーチャンの街に出かけたりしていた。
夕方までクライミングして、くたくたに疲れた身体でホテルまで歩いて戻り、ホテルの大浴場か部屋のお風呂に入る。大浴場は18時半くらいと閉まるのが早く、帰りが遅いと部屋のお風呂に入るしかなかった。夕食は日毎に店を変えたが、ホテルから一番離れた○○家という店が一番食事が美味しいかったので、何度か通った。
ツアー期間中はけっこう暑い日が多く、トライ時はシャツを脱いで上半身裸で登ることがほとんどだった。
ということで、以下は私がトライしたルートの記録。OSはオンサイト、RPはレッドポイント、FLはフラッシュの意。
№は、ネットで見つけたルート図に記載されている番号。そのルート図に記載されていないルートも結構あったので、付記しておく。
ハングル文字の日本語読みや訳は、ネットの翻訳サイトで調べただけなので、本当に正しいかは不明。
アップは、ソクサル岩の近くにある岩やソクサル岩のルートの易しい部分で登って済ませた。
(↑夕食に入った食堂のおばちゃんが、古い岩雪の雑誌を見せてくれた。禅雲山の紹介記事が載っている号だった)
【5/12(日)】
○「jcc2」 5.11b(6c) OS
※№22~23の間にある3本のうちの一つ。登りやすくて良いルートだと思う。
○「초심」(チョシム)[初心] 5.11a(6b+) OS
※№4~5の間にあるルート。ソクサル岩の下部右端あたりにあり、中盤でチムニー状を登る。
○「퍼즐」(ポヂュル)[パズル] 5.12b(7b) OS
※№24。比較的人気ルートの一つ。
○「96남자예선」(96ナムジャイェソン)[96男子予選] 5.12a/b(7a+/7b) OS ※№18
・「zoo」 5.12a(7a+) × №23
※これも人気ルート。韓国人クライマーも多くがトライしていた。
・同上 ×
・「새내기」(セネギ) [ニューフェース] 5.11b(6c) × ※№21
※ソクサル岩で最も人気のあるルート。順番待ちする際は、ルートの取付にシューズを並べて置くらしい。週末などは何足も並んでいた。
韓国クライミングの初日。イレブンコレクターの私としては、5.11以上のルートをとにかくたくさん登ることにした。
jcc2から4本連続でオンサイトできたのは上出来。しかも、「퍼즐(パズル)」5.12bをオンサイトできて、自己のオンサイトグレードを5.12aから更新できた。グレーディングのカラい日本の岩場(二子とか)だったら、こんなことはない。後半はさすがにヨレて、zooやセネギのオンサイトを逃したのはもったいなかった。
【5/13(月)】
○「zoo」 5.12a 3RP
・「어딘가 넘어 무지개」(オディンガノモムヂゲ)[どこか越えて虹] 5.12c(7b+) ×
※№25。O野さんが以前に登ったというおススメのルート。訳語はちょっとヘン。
・同上 ×
○「새내기(セネギ)」 5.11b 2RP
・「노력하는 사람들」(ノリョカヌンサラムドゥル)[努力する人々] 5.12b(7b)
※№19。ヌンチャクは自分でかけること。
クライミング2日目。前日オンサイトを逃したzooとセネギを片付ける。5.12cのルートにもトライ開始するも、ちょっと大変そうなので、この後数日間トライせず。代わりに5.12bのルートを選んでトライすることにした。
(↑暑いので上裸で登る私)
(↑禅雲山の立派なお寺)
(↑本堂の仏様)
(↑焼肉。わ~い♪)
【5/14(火)】
・「노력하는 사람들(ノリョカヌンサラムドゥル)」 ×
・同上 ×
○同上 3RP
○「jcc1」 5.11a(6b+) OS
※№22。
クライミング3日目。この日は、K藤さん、O野さん、S野さんはレスト日。T橋さんとI澤さん、私の3人で岩場へ。
前日からトライを始めたノリョカヌンサラムドゥル5.12bを通算4便目でRP。核心部がほぼ連続して2箇所ある。ヌンチャクがかかっていないルートで、後日K藤さんがトライするためヌンチャクを残しておいたら、韓国の人達もよくトライしていた。
(↑○○家の料理が一番おいしかった。写真はパジョン(チヂミ))
【5/15(水)】
・「신세대」(シンセデ)[新世代] 5.12b(7b) ×
※№24~25の間に7本あるルートの一つ。
○同上 2RP
○「아름다을 여인의 비밀」(アルムダウルヨイヌィピミル)[アルムダウル女性の秘密] 5.11c(6c+) OS
※ソクサル岩の取付斜面を右上に登って行くと、広場状のところに出る。そこから左に折れると、ソクサル岩上部と隣り合うトゥク岩の間に向かって下るようにルートが並んでいる。
5.13とか5.14とかグレードの高いルートが多い。そのうち、トゥク岩側の左端にあるのがこのルート。
○「종능과 선우」(チョンヌングァソヌ)[鐘陵と善友] 5.11a(6b+) OS
※前便のトゥク岩のルートの向かいのソクサル岩側に5.11台前半の短いルートがいくつかある。
(↑ソクサル岩上部とトゥク岩の間のエリア)
○「jcc3」 5.11c(6c+) FL
クライミング4日目。この日は、T橋さん、I澤さんはレスト日。残った4人で岩場へ。私はツアー中、レスト日を設けず連日登りっぱなし。
シンセデは、O野さんが昨年からトライしているルートだそうで、O野さんは引き続きトライしていた。中盤の窮屈な姿勢のムーブで手こずっていたようだ。この日、私が2便で登れた直後のトライで、O野さんもRP。
私はトゥク岩にある5.11cのルートをトライ。ガバ穴を見落として、過去に登っているO野さんに言わせるとずいぶんと大変なラインから行ったようだ。前腕がパンプしてきたけれど、ギリギリのところでオンサイト。ああ、疲れた。
ソクサル岩に戻って、jcc3を登る。これでjcc1~3の3つとも登ったことになる。
(↑食堂のメニュー。どこもだいたい同じ価格)
【5/16(木)】
・「어딘가 넘어 무지개(オディンガノモムヂゲ)」 5.12c ×
・同上 ×
○「가을의 전절」(カウルィチョンヂョル)[秋の前節] 5.11a(6b+) OS
※トゥク岩とソクサル岩の間のエリアのうち、ソクサル岩側のルート。
・[개 같은 날의 오후](ケカトゥンナルィオフ)[犬同日の午後] 5.11b(6c) ×
※これもソクサル岩側のルート。
○同上 2RP
○[믈빛나라](ムルビッナラ)[ムルビンナラ] 5.11a(6b+) FL
※これもソクサル岩側。
○「백암5」(ペガム5)[白岩(ペクアム)] 5.10d(6b) OS
※№17。
クライミング5日目。3日ぶりにオディンガノモムヂゲ5.12cにトライ。上部エリアで5.11台の本数稼ぎ。ソクサル岩下部に戻って、ぺガム5を登っておく。
【5/17(金)】
・「어딘가 넘어 무지개(オディンガノモムヂゲ)」 5.12c ×
○同上 6RP
敗退 「쌍바위 골의 슬픔」(ッサンバウィコルィスルプム)[サンバウィゴールの悲しみ] 5.12a(7a+) ×
※トゥク岩
敗退 「소사현1」(ソサヒョン1)[焼死ヒョン] 5.12a(7a+) ×
※トゥク岩。訳語の意味不明。
○「더러운 세상을 멀쳐버리고」(トロウンセサンウルモルチョボリゴ)[汚い世の中を遠い取り除いて] 5.11a(6b+) OS
※トゥク岩の向かい側。
クライミング6日目。通算6便目でオディンガノモムヂゲ5.12cをレッドポイント。やった。RPする前便では、終了点一つ手前のピンで、腕がパンプしてクリップできずそのまま通過。しかし、終了点に至る前に力尽き大フォール。I澤さんが韓国で買ったという身体のツボを押す棒を借りて、パンプした前腕の筋肉をほぐしたおかげで、次の便では余力を残して完登できた。
5.12cをRPできたまでは良かったのだが、トゥク岩にある2本の5.12aでは、脆い岩質に敗退を余儀なくされる。こういうルートもあるので、取り付く際はよく観察すること。
【5/18(土)】
敗退 「그대 떠나가도」(クデットナガド)[あなた離れても] 5.12a(7a+) ×
※№15。
敗退 「우암갈」(ウアムガル)[ウアンム街を] 5.12a(7a+) ×
※№7~8間。
・「늦깍기」(ヌッカッキ)[ヌッカッキ] 5.11d(7a) ×
※№20。
○同上 2RP
クライミング7日目。クライミングは今日が最終日。明日は帰国だ。前日後半に続き、この日も5.12aで敗退を余儀なくされる。イヤな気分になってきた。
気を取り直して、5.11dを2便で登る。細かいホールドで微妙なムーブのあるルートだが、登れて良かった。最後にソクサル岩の上部にあるルートを再登してお終い。
今回の韓国クライミングツアーの成果としては、5.11台を12本、5.12台を6本登ったので、まあまあ。
成果の出来不出来はともなく、他の皆もあれこれ登れたと思う。
■5/19(日) 帰国
今日は日本に帰る日だ。早朝、前日に頼んでおいたタクシーでコーチャンの街の高速バス乗り場へ。7時発のバスに乗り、3時間ほどでソウル市内へ。そこからO野さんとI澤さん、私の3人は地下鉄を乗り継いで、市内にある登山用品店が何軒も集まるところへ。
いくつもお店を除いているも、クライミングシューズなどは日本と値段が変わらないか、高いものもある。安く買おうと思って来ると、期待はずれかも。私は結局何も買わなかったけれど、お昼に入った食堂の豚肉スープの料理は美味しかった。昼間から3人でビールも飲んだし。
(↑登山用品店が並ぶ一角)
再びタクシーで金浦空港へ。出国審査を済ませ、搭乗口に行き、別行動のK藤さん達と合流。2時間ほどのフライトで羽田空港に帰ってきた。
今回の韓国クライミングツアーはこうしておしまい。こまかなエピソードは省略するけれど、韓国で会ったクライマーの人達は親切だった。ハングル文字はその規則性が分かれば、意味はともかく音だけなら結構読むことができたのも面白かった。
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