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谷川連峰 湯檜曽川 抱返り沢 沢登り

2013.7.21(日)
 谷川連峰は湯檜曽川の支流、抱帰り沢(だきかえりさわ)を遡行してきた。
 メジャールートの湯檜曽川本谷は6年目の2007年8月に1泊2日で行ったことがある。
 抱返り沢という風変わりな名前の沢は、ウナギ淵のあるゴルジュ地帯を抜けて湯檜曽川本谷が直角に左に曲がる十字峡で、正面に見える出合に120mの大滝を構える沢だ。右手から大倉沢が流入してくる。
 前週に南アルプスの大井川赤石沢に一緒に行ったH光さんをリーダーに、2人で行ってきた。
 私にとっては4週連続となる沢登りで、遡行後の標高差のある下山も含めてここのところよく歩いているので、フリークライミングが疎かになっている一方で、足腰の力がついてきたように思う。
 ただ、大滝の出だしで、4~5mほど滑落して腰を強打してしまい、痛みを抱えながらの遡行はちょっとツラかった。

■7/20(土)夜 現地へ
 土曜日の昼間は、K寅さんと奥武蔵の聖人岩でクライミングをして過ごした。そのK寅さんも、日曜日はM浦さん達と谷川岳の西黒沢を遡行する予定だ。
 私の車で関越道を走って、水上ICで下りて途中のコンビニに買い出しで寄ると、M浦さんとK寅さんもちょうどコンビニにやって来た。こうして両パーティーとも谷川岳ロープウェイの山麓駅ベースプラザの近くでテントを張って仮眠を取ることに。
 我々H光パーティーは、行程の長さを考え、早朝4時には起床することにした。M浦P3人は西黒沢が目の前にあることからそれほど早くに起き出す必要はないようだ。
 テントの中で5人でお酒を飲むうちに、疲れている私はとろとろと眠くなってきた。

■7/21(日) 湯檜曽川 抱返り沢 遡行
○湯檜曽川本谷
 4時に起床。身支度を整えてから、車を白毛門登山口の駐車場に移動させる。ベースプラザを発ったのは5時。
 武能沢出合辺りまでは蓬峠に至る湯檜曽川沿いの登山道を歩いていけるはずだけれど、とりあえずマチガ沢近くまでは上の林道を歩く。林道がマチガ沢に回り込む手前で川沿いの登山道に降りる道があるので下りていく。巡視小屋を経て武能沢の手前で登山道から河原に下りる。ここで私はアプローチシューズから沢靴に履き替える。

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(↑瓦を歩くH光さん)

 広い河原を進んで行くと急に両側が狭くなって、その先に魚留滝がある。右岸から越えて、スラブ状のところを滑るように沢床に下りる。

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(↑魚留滝を通過するH光さん) 

 さらに進むと雪渓が現れた。左岸から雪渓の上に乗って歩く。ウナギ淵にも雪渓がかかっており、これも上を歩いて通過。

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(↑最初の雪渓)

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(↑雪渓から降りようとする私。よく見て。雪は舳先状にものすごく張り出している。もし折れたら…。縁にハンマーを刺して、それを掴みながら足ぶらになって着地。)

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(↑また雪渓。H光さんの大きさと比べてみて)

 それにしてもこの時期にこれだけ雪渓が残っているとなると、他の山域の沢でも今年は相当に雪が残っている可能性が高い。H光さんの話では、雪渓は暑さで融けて無くなるというよりは、降雨により少しずつ押し流されて無くなっていくのだという。今年は空梅雨だったため、雪渓が雨で流されずにまだこれだけ残っているそうだ。
 ウナギ淵の先にも大きな雪渓があり、これは右岸の草付きから高巻く。出だしの草付きがずるずるで悪いのだが、先に登ったH光さんが上からロープを下ろしてくれたので、フォローで登る。H光さんは、相当沢登りしているだけあって、こういう悪い草付きドロ壁登りが強い。私は、乾いたしっかりした岩ならぐいぐい登っていけるのだけれど。
 ヤブを漕いで高巻いて沢床に戻ると、十字峡が近い。目の前に120m大滝が迫る。十字峡の正面、抱返り沢出合にかかる滝だ。ここで湯檜曽川本谷は左に直角に折れる一方、左岸からは大倉沢が出合う。

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(↑十字峡の120m大滝)

○抱返り沢出合120m大滝登攀
 大滝はだいたい4段に分かれている。最初の1段目は右側から登る記録が多いようだ。傾斜の緩い2段目を経て、3段目、4段目は再び急傾斜になる。
★滑落! 1段目。リードの順番を決めるジャンケンに勝ったH光さんは、ロープを結んで左側の草付きから取り付いた。5mほど登ったところのブッシュにランナーを取り、その先で水流上に出て登って行く。
 H光さんがロープを張ったのを見計らって私もフォローで続く。ランナーを取った草付き斜面は滑り落ちそう。ランナーを回収したその刹那、足元がずるっと滑ったと思ったら、草付きをそのまま滑落する。つぎの瞬間、ドンと尻餅をつくように下の岩棚に落っこちてしまった。腰に衝撃を受けて一瞬呼吸が止まる。
 滑り落ちている時間はほんの一瞬だが、目の前を草付き斜面がコマ落としのように流れ過ぎる。一瞬の出来事なのに、早くロープがいっぱいに張られないかなと考えていたりする。ロープにぶらさがる感覚が訪れないなと思った次の瞬間、尻餅をついたようだ。
それでも、尻餅をつく直前にテンションがかかり、全くそのまま尻から着地したというよりは、テンションにより少しだけ衝撃が緩和されたようだ。
 何とか立ち上がると、腰の後ろと尻がものすごく痛む。足は何ともないようだ。大きな声を出してH光さんにコールしたいがそんな声も出せない。足を一歩出そうとすると腰に激痛が走る。
 そんな状態だったが再び登り始める。痛みを堪えながら先ほどのブッシュのところまで登り返す。4~5mは滑り落ちたようだ。見ると、右足を載せていた草付きが剥がれ落ちていて、その下に斜めの石が現れていた。こんな平らな石の上に申し訳程度に草が乗っかっていただけなのだ。そんなところをH光さんはよくリードしたものだ。
 一歩ごとに腰に痛みが走るので、岩を乗っ越すにも歯を食いしばる。ひいひい言いながら水流通しに登り、なんとかH光さんのいるところまで行く。

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(↑1段目をリードするH光さん)
 2段目。ロープがいらないくらいの緩傾斜で短いピッチだが、歩くのもツラい今の私にはこれくらいをリードするだけで十分だ。
 3段目。H光さんのリード。他の記録では、右側から取り付いて水流を越えていくようだが、H光さんは左側の草付きを登って行った。私もフォローで続く。
 4段目。私のリード。腰と尻は相変わらずズキズキと痛むが、せっかくの大滝登攀だしリードしたい気持ちは変わらない。左側を登ると一旦緩くなる。まだまだロープがあるので4段目上部を引き続き登る。そのまま左側を登ろうと思うが、岩がかぶり気味で難しそうだ。水流を渡って右から取り付く。細い灌木でランナーを取ったほか、ハーケンも打っておいた。そこを乗っ越すと、水流の左側に移ってロープがいっぱいになるまで登って行く。
 落ち口の5mほど手前でロープがいっぱいになってしまったので、左側の灌木2本に支点を取り、フォローをビレイする。

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(↑4段目をリードする私)

 こうして大滝を登り終えると、小滝を経てすぐに13m滝が現れる。ここはH光さんリードで水流左側を登る。
 続いて、長いナメ滝が現れる。某遡行図には下から60m、50m、40mとあるが、その境目を意識することなく、ロープを出すような傾斜でもないので、各自適当なラインから登っていく。

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(↑長いナメ滝。写真右は私)
 長いナメ滝を過ぎると、10m2条滝。ここは私がリード。右側を登った。

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(↑10m2条滝をリードする私)
 さらに50m大滝が登場。ここではロープを出さないかったような気がする。上部がちょっと悪かったように思うが、右側から登った。
 だんだんと源流の様相になってくる。10m滝は登れないので、左岸の開けた草斜面から巻く。するとさらに源流の雰囲気になってくる。

○大倉沢
 1,673mピークから伸びる尾根を左から巻くように沢を登って行くはずだ。ずいぶんと少なくなった水流を詰めていくと、右手側の尾根が近づいてくる感じがする。抱返り沢をこのまま詰めると、右岸の尾根のヤブ漕ぎに苦しめられるそうなので、左岸の尾根を越えた大倉沢側に抜けるらしい。
 1,673mピークの奥が鞍部になっていて、そのあたりから大倉沢側に抜けるはずだ。再び雪渓が現れる抱返り沢を詰めていき、後ろを振り返ると右後方にピークがある。1,673mピークを通り過ぎて、鞍部も通り過ぎかけているようだ。そのあたりで、右手のヤブの薄いところがあるので、H光さんが先行して進む。

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(↑このあたりから大倉沢に向かって右に行く)

 ヤブを漕ぐと反対側の草原に下りる。緩やかな草原状で気持ちが良い。ニッコウキスゲも咲いているし、遠くの山も眺められる。上方は朝日岳らしい。

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(↑反対側の草原。分かりづらいが写真左のブッシュの下端を回り込む)

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(↑ニッコウキスゲと谷川岳)
 50mほど草原を下り、ごく小さなブッシュの尾根の下端を回り込むと朝日岳に突き上げる大倉沢の細い沢筋に出る。
 大倉沢はここでもまだ水流がある。下の方を見ると、大倉沢も結構雪渓が残っているようだ。沢の水も涸れて、足元の踏み跡を辿ってヤブをかき分けて進む。猛烈というほどのヤブ漕ぎではないが、久しぶりのヤブ漕ぎは腰を痛めた私には堪える。そのヤブ漕ぎも標高が上がるにつれて、笹の背丈が低くなってくる。視界を妨げていたササが低くなり、腰から腿くらいになりヤブ漕ぎも楽になる。

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 緩やかな斜面を登ると岩の基部に突き当たるのでそこを左側から巻くと、朝日岳の山頂が右上に見えた。やった。山頂手前で主稜線の登山道に出た。

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(↑朝日岳山頂へ)

○下山
 朝日岳山頂に着いたのは13時15分頃。晴れて360度の大展望だ。ああ、疲れた。ほぼ同時に山頂に着いた女性2人の登山者がいたので、写真を撮ってもらう。
 彼女たちとはこの後の下山で抜きつ抜かれつしたのだが、下山後の白毛門登山口で聞くと、馬蹄形を11時間かけて縦走してきたそうだ。すごい。H光さんが言うには、2人がトレイルランナーのスタイルだったので、馬蹄形を歩いているのだろうなと思ったらしい。
 朝日岳の山頂で、私は再びアプローチシューズに履き替える。濡れた服も着替えて、ギアやヘルメットをすべてザックに入れて、普通の山歩きスタイルに変身する。
 朝日岳を発ったのは13時38分頃。ここから笠ヶ岳~白毛門を経て、土合の白毛門登山口まで縦走して下りる。高い雲がかかっているものの、風通しの悪い樹林帯は暑い。笠ヶ岳の手前にはニッコウキスゲの大群落がある。小さな笠ヶ岳避難小屋を経て笠ヶ岳山頂でいったん休憩。

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(↑縦走路。笠ヶ岳、白毛門方面)

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(↑ニッコウキスゲの群落)

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(↑笠ヶ岳避難小屋)
 さらに歩き続けると、沢登りスタイルの人達が登山道上で休んでいた。聞くと、ウツボギ沢を遡行してきたと言う。ウツボギ沢にも少し雪渓があったそうだ。白毛門の先で2度目の休憩を取った後は、登山口まで一気に下った。白毛門沢に架かる橋に降り立ったのは16時20分頃。朝日岳山頂から2時間40分くらいで下りてこられた。

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(↑谷川岳の雪渓の残る3つの沢を望む。左からマチガ沢、一ノ倉沢、幽ノ沢)

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(↑一ノ倉沢を拡大)
 朝日岳~白毛門登山口間に限るものの、腰を痛めているにも関わらず、前述のトレイルランナー2人を追い抜いて下山できたのはまずまず。ここのところの沢登りでは、下山で長く歩いているのでちょっとは足腰が鍛えられたのかも。
 今回遡行した抱返り沢は、本谷とは異なり、大滝の登攀がありなかなか良い沢だった。

 自販機で買ったジュースをがぶ飲みしてから高速に乗る。帰宅後、ぶつけた腰が痛むので、装備の後片付けも早々に寝ることにする。寝る前に、ぶつけたところを鏡で見てみると、子どもの蒙古斑のようにアザができていた。ボルタレンのゲルを塗ってから寝る。夜中も寝返りを打とうとすると腰が痛むので、じりじりと少しずつ腰の向きを変えた。
 その腰の痛みも、翌月曜日、火曜日と経るにつれて少しずつ引いてきた。早く痛みが引いて、つぎの山行に臨みたいもの。

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