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2013年8月

瑞牆山、雨に降られ撤退…。

2013.24(土)-25(日)
 H明さん、M上さんと、瑞牆のマルチピッチルートを登ることになった。この週末の天気予報は芳しくなかったが、金曜日時点のヤマテンでの瑞牆山の天気予報は、土曜日は悪いが、土曜日夜~日曜日朝は晴れてその後も雨は降らないとのこと。
ということで、土曜日は現地入りだけにして、日曜日に登る計画とした。結果としては、予報が思いっきり外れ、日曜日は未明から雨が降り出してきてしまい、何もせずに帰ることになった。むしろ土曜日は天気が良かったので、ヤマテンに振り回されてしまったこともあるが、金曜日夜から行っていれば良かったと、皆で残念がった。

 土曜日の午前中遅くに中央道の某所でH明さんと待ち合わせ、須玉ICへ。須玉の食品スーパーやまとでM上さんと合流し、買い出し後、瑞牆の植樹祭広場近くの某東屋へ。夕方までまだまだ時間がある中、持ち寄った食べ物やビール、ワインで宴会。冒頭書いたように、翌日のクライミングはできなかったが、この宴会でH明さんから有用な話を聞けたのは良かった。暗くなったところで東屋下で就寝。
 夜中に起き出した時は月に薄く雲がかかるくらいで、月明りでヘッドランプがいらないくらいだったのに、未明の3時に起き出すと、弱い雨が降り出してきた。そのうち雨も止むだろうということで、ゆっくり荷物をまとめて植樹祭広場に車を移動すると、雨足が強くなってきた。車の中でしばらく待機しても止む気配がないし、すでに岩がぐっしょり濡れてしまっていることだろう。結局、雨の中をルートの取付まで歩いても仕方がないので、帰ることにした。がっかり。
 じつは十一面岩のベルジュエールを登る計画でいたのだが、ベルジュエールの敗退どころか、駐車場から歩き出すこともなかったのでただの撤退だ。須玉のコンビニで富山に帰るM上さんと別れ、東京へ。帰宅しても日曜日の午後の時間が丸々空いてしまっているので、入間のクライミングジム・ベースキャンプに行くことにした。
 久しぶりに瑞牆で登れるチャンスだったのに、雨にやられたのは残念。秋雨の季節に入ってきたので仕方ないけれど。

奥飛騨 高原川 沢上谷(そうれだに)遡行

2013.8.18(日)
 錫杖で「注文の多い料理店」を登った翌日の日曜日は、新穂高から車を西に走らせたところにある高原川沢上谷で沢登りしてきた。沢上と書いて「そうれ」と読むらしい。易しいナメ沢で、枝沢に架かる滝を含め見事な大滝を眺められるということで、沢登り初心者には特におススメなのだそうだ。
■高原川 沢上谷(そうれだに)遡行
 メンバーは、H明さん、M上さん、S口さんと私の4人。前夜、新穂の某所で青空宴会をやった我々は、この日も天気に恵まれ沢上谷の入渓点に車を走らせる。遡行終了点近くまで県道89号線が伸びているので、私の車をそこにデポしてからもう一台の車で入渓点に戻る。
 結論から言うと、沢上谷は遡行自体は本当に易しいし、行程もとても短いので、普段がんがん沢登りしている人にはそういう点で満足できないところなので、新穂とかたまたま近くまで行って時間が余ってしまったとか、初心者をごく易しい沢に連れて行きたいという場合に行けばよいだろう。
 入渓して歩いて行くと、すぐに右岸から枝沢が出合う。奥に五郎七郎滝がある枝沢だ。出合に架かるナメ滝を登ると、ひたひたのナメ床を歩き、大きな滝が現れる。これは五郎七郎滝ではない。

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 この滝を右側から越えると、再びナメナメを歩き、左右から二条となってサラサラと水が滑るように流れる五郎七郎滝が現れる。豪快に水が落ちるというものではなく、無数の水の粒が連なって上から滑り落ちてくるような感じで、とてもきれいだ。二条の滝の間の中段に立って記念撮影。

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(↑五郎七郎滝)
 沢上谷本流に戻り歩いて行くと、再び右岸から枝沢が出合う。今後は、奥に岩洞滝25mがある枝沢だ。この滝は切り立った岩壁からまっすぐ落ちる見事な滝で、滝下が岩斜面になっているので、そこを少し登ってみると、全身に滝の飛沫を浴びられる。びしょびしょだ。

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(↑岩洞滝25m)
 再び沢上谷本流に戻り、ナメを歩いて行くと、ハイライトの蓑谷大滝30mが眼前に現れる。先ほどの五郎七郎滝の斜度をきつくしたような感じで、水がスダレのように豪快に流れ下ってくる光景はなかなかのものだ。この流れ落ちる水の下に入ってびしょびしょになって遊ぶ。雪渓から溶け出した水のようには冷たくない。

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(↑蓑谷大滝30m)

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(↑蓑谷大滝と私)
 箕谷大滝は左岸から杣道経由で高巻くらしい。少し戻ってから適当な斜面を登って行くと、ずっと上の方に水平の作業道が行き当たった。そこに岩壁があったので、H明さんの指示で予め用意しておいたハーケンやボルトうちの練習を試みる。岩のリスを見つけてハンマーでハーケンを打ち込んだり、リングボルトを打ち込むための穴をジャンピングで穿ったりと、まあ勝手なことをやってしばらく過ごす。岩が柔らかめなので穴をあけるのは比較的容易だ。
 杣道を途中のルンゼから下ると本流に復帰できる。あとはひたひたのナメ床を歩いて行くと、林道にかかる小さな橋に至る。ここで遡行は終了だ。まだ正午までにも時間がある。あっさり終わってしまったが、沢自体はきれいだった。

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 デポした私の車で入渓点に戻り、各車一緒に平湯に移動する。昼間っから温泉に入り、食事を取ってから解散。まだ午後早い時間だったので、車で一人帰る私としてはすぐに高速道に乗って帰るのはちょっともったいないと思ったので、した道を走って帰ることにした。
■コンクリートボルト
 安房トンネルから松本方面へ。途中から塩尻、岡谷と走り、諏訪湖の畔を走る。諏訪湖近くでホームセンター・コメリがあったので寄ってみる。なぜコメリに寄ったかというと、H明さんにコンクリートボルトのことを聞いたからだ。クライミングで支点工作する際に、ジャンピングで穴をあけてリングボルトを打ち込むことがあるが(私は練習でしかやったことがないけれど)、リングボルトは一つ400円くらいと安くない。ジャンピングと径の合うコンクリートボルトならずっと安価だから、同様に使えるだろうとのこと。もちろんコンクリートボルトは使途がクライミング目的ではないので、そこのところは承知しておかないといけない。リングがあるわけでもないので、自分で細径スリングをタイオフなどして結ぶ必要もある。ということで、今後使う機会があるかどうかはともかく、一つ38円と安かったのでいくつか買ってみた。
■諏訪大社上社
 再び車を走らせると、諏訪大社があった。7年に一度の御柱祭が有名だ。いつもは高速道路を通り過ぎてしまう諏訪湖だが、諏訪大社を参拝する良い機会なので寄ってみた。長い歴史を感じさせるお社がいくつもある。社殿が改修中で観られなかったけれど、参拝を済ませ、記念にお守りを買う。うっそうとした大木に囲まれた境内は厳かな雰囲気だった。

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■ぼんち食堂
 再び車を走らせ、これまで何度か行った甲府昭和IC近くの「ぼんち食堂」に寄る。大盛りで知られたお店だ。それほど空腹だったわけではないので、ラーメンだけを注文。以前は400円だったと思うが、470円に値上がっていた。出てきたラーメンもそれほど大盛りという感じがしない。もちろん普通のラーメンよりは量が多いのだが、食べ終わっても、以前の記憶ほど満腹感が無い。味付けはかなり濃い目。前からこの程度の量だったかなあ?と首をかしげつつ店を出る。この程度だったら、わざわざ遠くから来て寄るほどではなくなってしまうなあ。新たな大盛りのお店を探そうかな。

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 勝沼から中央道に入り東京へ帰る。

北アルプス 錫杖岳前衛壁「注文の多い料理店」2回目

2013.8.17(土)
 錫杖には3年前に一度だけ来たことがある。初日に「注文の多い料理店」を登り、2日目に「じーやの大冒険」を登るつもりが結果的に「P4ルーフ」を登った。
 ということで、注文は今回2回目となるが、前回は核心と言われる3ピッチ目をフォローで登ったので、今回リードできたのは良かった。

 まだ暗いうちに起き出してテントを撤収する。ヘッドランプを点けて3人で槍見温泉のそばを通って、クリヤ谷の登山道へ。昨夕は調子に乗ってお酒を飲み過ぎてちょっと頭が重いけれど、ここのところ沢登りばかりしていてさすがに足腰が鍛えられたのか、けっこう良いペースで先頭を歩いて行ける。M上さんもさくさくと歩いてくる。H明さんは二日酔いらしく足取りが重いようだ。渡渉地点での小休憩を挟んで1時間15分ほどで錫杖沢出合に下りて行く踏み跡に到着。出合にはテントが4張りほど。錫杖沢に入ると、4人組が前を歩いていたが、彼らは別のルートを目指すようだ。
 出合から20~30分歩くだろうか、注文の取付に到着。まだ誰も登り始めていないようで、4人組がこれから登る準備をしているところだった。少しでも順番を早くしようと急いで登ってきたけれど、この後来るパーティーはおらず、その必要はなかったようだ。ほかに2人組が「見張り塔からずっと」という長いルートに取りつこうとしていた。

 4人組は仙台や山形から来たという。東京から来た私よりもっと遠くから来たのだ。彼らが登って行き、4人目も登り始めたので、我々も登はん開始。

1P目(Ⅳ、40m)H明さんリード
 大テラスを目指して大きな階段状のところを登って行くピッチなのだが、先行パーティーがずいぶんと左寄りのラインを取ったようだ。それでも3級を超えることはないけれど。ダブルロープ2本それぞれでM上さんと私が続く。

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(↑1P目をリードするH明さん。つぎの写真も)

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2P目(Ⅴ+、30m)H明さんリード
 テラスから左上に見えるハング下までのピッチ。3年前にリードした際、私はテラス直上のクラックを苦労しながらも何とかノーテンで登り、その先で左にトラバースしたことがある。オリジナルラインはそうではなく、テラスからまずは左にトラバースして、それから易しいところをハング下まで登っていくそうだ。
 登ってみると確かに易しい。やはり先行パーティーは左寄り気味にラインを取ったようで、ハングの少し下を右にトラバースしてテラスに出る。アイスをやっているH明さんは、先行Pの彼らと東北の氷瀑の話で盛り上がる。

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(↑2P目フォローのM上さん)

3P目(5.9、25m)私リード
 いちおう核心のピッチということで私がリード。このピッチのために大型カムをどかどかと持ってきていた。5番キャメが2つに4番は4つもある。ほかのカムも合わせるとずっしりと重い。あんまり重いので、さっさと使って軽くしようと思い、短い間隔でカムをきめていく。頭上の幅広クラックにさっそく5番をつっこみ、アンダー持ちから右側をレイバックするようにして身体を大フレークの右側に出す。そのあとも4番などをセットしながら登っていく。3P目の終了点は狭い平らな岩だったように思う。3年ぶりに登ってみると、思っていたよりずいぶんと易しく感じた。ジャミングなどするワケではないのでそんな技術は必要ないし、ここのところ沢登りばかりしていてすっかりフリーの力が落ちてしまったけれど、それでも以前の記憶より易しく感じたのは、当時よりは強いということか。
 M上さんとH明さんも良い感じで頑張って登ってくる。

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(↑3P目フォローのM上さん)

4P目(Ⅴ+、20m)私リード
 引き続き私のリード。前ピッチと似たような感じ。さらにもう少し易しいかも。いずれにしても快適に登れる楽しいピッチ。

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(↑4P目フォローのM上さん(上)とH明さん(下))

5P目(Ⅴ+、40m)M上さんリード
 ここからM上さんもリードに挑戦。出だしをこなし中盤のダブルクラックも均等な間隔でランナーをきめながら丁寧に登って行く。やがて斜度が落ちたパートに入り姿が見えなくなる。東北パーティーは最終6P目を省略して、すでに懸垂下降してくる。M上さんが登っている間、ここでも彼らとクライミング談義。H明さんは共通の知り合いがいて、さらに盛り上がる。クライミングの世界は狭いものだ。

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(↑5P目をリードするM上さん)

6P目(Ⅳ、5m)M上さんリード
 左方カンテルートと合流したピッチとのことで、薄いフレークが壁面内に点在するようなところを登って行くと、ブッシュ帯に入って終わり。ここもM上さんが丁寧に登っていく。

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(↑6P目をリードするM上さん)

 注文は、ピッチごとにペツルのボルトがきちんと打たれているので、それを使って、懸垂4回で取り付きに戻る。荷物をまとめて下山開始。下山は早かった。M上さんはとにかく足が速い。取付から槍見温泉まで45分で下りてしまった。

★平湯

 H明さんの車で平湯に向かう。東京から電車とバスを乗り継いで、S口さんがやってくるのだ。S口さんとの待ち合わせ時刻までまだ少し時間があったので、平湯のバスターミナルの建物にある温泉に入る。

★はんたいたまご

 お風呂から出ると、S口さんが少し前に到着したそうで、無事合流できた。新穂に戻る前に、H明さんが、たまごを食べに行こうと言う。付いて行ってみると、お土産屋さんの前で温泉たまごらしきものが売っている。1ヶ50円。「はんたいたまご」と銘打っている。何が反対なのか、殻を剥いてみて分かった。白身がトロトロなのに、黄身は固くなっているのだ。殻を少しだけ剥いて塩を振って、トロトロの卵を吸いこむように食べる。これがうまい。どうして白身だけがトロトロなのかというと、詳しくは分からないが温度が70何℃とか一定の温度の温泉の中に卵を浸けておくとこうなるらしい。

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 再び新穂に戻り、前夜泊まった秘密の場所に再びテントを張る。テントの隣りにシートを敷いて、S口さんも加わって4人で宴会。お酒も進む。

 明日は高山方面に少し車で行ったところにある高原川沢上谷(そうれだに)というナメ沢を遡行するのだ。

観光地巡り 木曽・奈良井宿~開田高原~飛騨高山~平湯

2013.8.16(金)
 期せずして、この日は一日ドライブすることになった。というか、なってしまった。
続く土日は、所属山岳会の人と合流して北アの錫杖で登ったり、沢登りをすることになっていた。

★諏訪のゲリラ豪雨に巻き込まれる…
 そこで金曜日は夏の休暇を使い、上高地から明神岳主稜~前穂を一人で歩いて来ようと計画した。サクッと登って、さっさと下山して、その日の夜のうちに新穂に移動して合流する予定だ。
 前夜、木曜日の夜のうちに東京を発って、中央道経由で沢渡(さわんど)まで行き、マイカー規制している上高地には翌朝のバスで入る計画だ。

 しかし、ニュースにもなったけれど、15日(木)夜、諏訪から岡谷~塩尻ではゲリラ豪雨に見舞われた。諏訪湖で行われた花火大会が雷雨のため中止になり、交通機関もマヒして、数千人の帰宅困難者が発生して、地元自治体が避難所を開設したというニュースを聞いた人もいるだろう。
 その頃、中央道を走っていた私は、電光掲示板で、高速道路が諏訪から塩尻にかけて通行止めになっていることを知った。山梨県内では全く雨が降っていない。しかし、このまま走っても途中で高速を下ろされてしまうので、八ヶ岳PAに入って車内で時間をつぶすことにした。
 スマホで通行止め情報を時々調べながら、起きたり寝たりしながら深夜を過ごす。沢渡を出る始発のバスは確か早朝4:40。明神岳登山を終えて、その日のうちに上高地から沢渡に戻らなければならない私としては、なるべく早いバスで上高地入りしたいところだ。
 通行止め錠を調べると、こちら側の通行止め区間が諏訪から岡谷に変わっていた。少し先まで走れるわけだ。未明2時頃。これから走り出せば、岡谷でした道に下りて、沢渡まで行くのにちょうど良い時間かも知れない。あわよくば、通行止めが解除されるかもしれないし。

 ということで、深夜の高速を再び走り出す。中央道から長野道に入る。残念ながら岡谷からの通行止めの解除は無かった。雨は降っていなかったけれど、まだ解除されないのだろうか。
 そして、岡谷ICの出口は大渋滞していた。いったん止まると数分間は進まないヒドい渋滞だ。料金所を抜けるだけでもどれだけ時間がかかったろうか。料金所を抜ける前に、交通整理していた職員に聞いてみると、朝まで通行止めは解除されないだろうとのこと。
 料金所を抜けても渋滞は続いている。国道20号線も渋滞しているようだ。なんとか国道に出てみると、岡谷から塩尻に向かう方向だけ車が連なっている。これはダメだ。
 この渋滞に突っ込むのはバカらしいので、適当に車を走らせて、とりあえず適当なところに停車する。塩尻に抜けるのに迂回路はあったのだろうが、すでに時間も遅い。通行止め情報を調べるためにほとんど睡眠をとることもできなかった。実質的にこの日の登山を諦めることにした。車内で横になってフテ寝する。

 目が覚めると外はすでに明るい。午前7時頃。空も晴れている。登山のつもりでいた今日一日をどう過ごそうか?どこか登れそうな山を探そうかとも考えたけれど、登山地図を持っているワケでもないし、そうまでして登る必要もない。
 そこで、気持ちを切り替えて、普段山登りばかりしていて、なかなか行くことのない観光地を巡ってみようと考えた。今日は夕方には新穂高温泉で待合せることになっているので、適当に飛騨高山方面へぐるっと車を走らせることにした。

★木曽・奈良井宿
 塩尻を経て、最初に向かった先は国道19号線沿いの木曽・奈良井宿。江戸時代のような古い宿場町の街並みが保存されているところのようだ。無料の駐車場に車を停め、奈良井宿の通りへ。まだ朝早かったためか観光客は少ない。古い街並みが続く様は確かに見ていて面白い。観光地とはいえ、この家々に人が実際住んでいるのだ。お土産屋さんももちろんたくさんあり、中でも漆塗りの木工品が特産品のようだ。
 良さそうなデザインの和手ぬぐいがあったので買った。500円。歩いているうちに観光客も増えてきた。宿泊客が朝食を済ませ、外に出てくる時間帯だろうか。お焼きのお店があったので、一つ食べてみた170円。木曽の大橋という公園内の木造のアーチ橋を見てから、奈良井宿を後にする。

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(↑木曽の大橋)

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(↑手ぬぐい)

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(↑お焼き)

 道中、木曽義仲の名前をよく見る。歴史はちんぷんかんぷんだが、義仲が決起したのがこの辺りらしい。

★開田高原
 木曽の御嶽山にはまだ登ったことがないので、山麓の開田高原へ。観光案内所の隣りに、開田高原アイスクリームというお店があり、お客がたくさんいた。とうもろこし味のソフトクリームを食す。350円。うむ、おいしい。道路脇にはコスモスが咲いていてきれいだ。

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 少し車を走らせると九蔵峠に至る。ここは御嶽山のビューポイントらしいが、観光案内所の人も言っていたけれど、この日は山の上のほうが雲に覆われていた。それでも御嶽山の雄大な姿は素晴らしい。ここ九蔵峠では、道路脇に掛け斜面に褶曲した地層が現れている。

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(↑九蔵峠)

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(↑雲に隠れる御嶽山)

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★飛騨高山 国八食堂
 さらに延々と車を走らせ高山を目指す。高山にも行ったことがない。山間の中の道を走っていたかと思うと、急に拓けて、そこはもう高山駅も近い市街地だった。観光客がぞろぞろと歩いている。陣屋という観光スポットも近いようだ。
 観光して回るならどこかに車を停めたいところだが、駐車場を探すのも面倒なので、高山の街は素通りすることにした。
 その代り、国八食堂というお店に行ってみることに。ちょうどお昼時だったし。高山の街から北へ数キロほど走ったところにあるこの定食屋は、焼きとうふとホルモンがおススメらしい。到着してみると、外まで人が並んでいる。人気店のようだ。
 しばらく待って席に着く。鉄板焼きとうふ定食650円とホルモン350円を注文。それぞれ大きな鉄板に盛られて焼きとうふとホルモンが出てきた。とうふは四切れ。味付けしてあり、これをおかずにご飯を食べる。ホルモンも食べてみる。悪くはないのだろうが、味付けが濃過ぎるし、ぼそぼそで焼き過ぎという感じ。ネットで読んだコメントほど量が多いというワケでもない。行列してまで食べるほどかというと正直疑問だ。でもまあ、とりあえずお腹は満たされた。

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★平湯の森
 そろそろ新穂方面に向かうことにする。ということで、まずは平湯温泉を目指す。これまで何度か寄ったことのある平湯の森という温泉施設へ。日帰り利用料金500円。夏休みだけあって混雑している。

★新穂高
 新穂に向かう途中、H明さんとメールで待ち合わせ場所の連絡を取り合う。途中、ゴリラという売店でビールを買って新穂に向かう。H明さんも私もほぼ同時に新穂に着いたようだ。それから、富山から合流したM上さんもちょうど着いたらしい。メールに案内されてたどり着いた場所は秘密だけれど、車もゆったり停められる開けたスペースだ。
 H明さんは、所属の同じ山岳会の人で、名前は知っていたのだが、会うのはこの日が初めてだ。何せ大所帯なもので。M上さんも初対面。テントを張って、そのとなりにシートを敷いて、夕方の宴会を始める。私は大したものを用意していなかったのだが、二人はワインやら美味しいおつまみやらをたくさん出してくれる。
 アイスクライミングやらいろいろな話をして楽しく過ごす。今日は明神岳を登り損ねてしまったけれど、ここ何年かはほぼ毎週クライミング&登山の日々だったし、特にこの夏は沢登りの連続で疲れていたので、こういうまったりした時間も良いものだ。

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 明日は3人で、錫杖岳前衛壁の「注文の多い料理店」というルートを登ることになっている。暗いうちに起き出すので、お酒を飲んでトロトロと眠くなってきたことだし、テントの中に入る。

奥利根・越後沢右俣大滝~利根川本谷

2013.8.10(金)~13(火)
 利根川本谷に行ってきた。
 日程前半では支流の越後沢にある右俣の大滝も登った。
 雨が少なかったためか雪渓が多く残り、何十ものスノーブリッジ(SB)の下をくぐるという緊張感の連続だったが、天気にも恵まれ素晴らしい遡行となった。
 メンバーは、所属山岳会のH光さんをリーダーに、M中さん、K田さん、私の4人。

 当初の計画では、初日に八木沢ダムからボートで入渓し、本谷を遡行して越後沢出合まで。
 2日目は越後沢右俣を遡行し、大滝手前まで。
 3日目は大滝を登り、中間尾根を下降して越後沢出合に戻り、本谷を遡行。
 4日目は引き続き本谷を遡行。5日目に本谷を詰め、丹後山から越後側の十字峡に下山するという4泊5日の行程だ。

 実際の行程は、初日、午前中に越後沢出合に到着できたため、越後沢に入る。右俣は雪渓に埋め尽くされていたため中間尾根に上がり尾根途中で泊。
 2日目、越後沢右俣大滝を登り、中間尾根を下降して昼前に越後沢出合に戻り、本谷をオイックイのしばらく前まで進む。
 3日目、オイックイを過ぎ西小沢付近まで。
 4日目、本谷を詰め、丹後山から十字峡に下山し、五十沢温泉に泊まるという3泊4日の行程となった。

 無数の雪渓処理を迫られながらも、当初の計画を1日短縮できたという遡行の成果は、リーダーH光さんのおかげだ。
 なお、当山岳会では今回、数パーティー計20名近くが同時に奥利根に入る計画で、我々利根川本谷のほかに、小穂口沢や水長沢に入るパーティーもいる。これらの計画の人員調整などをやったのもH光さんで、本当にお疲れさま。

 以下、行動記録を書くが、記憶があいまいなところもある。また、H光さん始め他のメンバーの書いた記録も参考に、書き記す。

■8/9(金)夜 水上へ
 他のメンバー3人と某駅で待ち合わせ、私の車で関越道経由で一路水上へ。水上の道の駅に着くと、他にも登山者らしき人達がいくつもテントを張っていた。我々もテントを張る。その後、小穂口沢を遡行するH部パーティーもやってきた。

■8/10(土) 八木沢ダム~本谷~越後沢出合~越後沢右俣~中間尾根
7:10八木沢ダム乗船=7:30バックウォーター下船-8:05小穂口沢出合-9:30シッケイガマワシ-11:00越後沢出合-11:40越後沢右俣出合-13:50中間尾根-16:00大滝下降点C1

 起き出して荷物をまとめていると、5時半に予約しておいたタクシーがやってきた。我々パーティー4人とH部パーティーの1人M田さんの5人で八木沢ダムへ。
 八木沢ダムに到着すると、水長沢に入渓するM浦パーティー3人がちょうどボートに乗り込むところだった。奥利根湖を渡し船で奥まで送ってもらい、そこから入渓するのだ。
沢登りのためにボートに乗って湖を渡るなんて、下界と隔絶される感じがするし、この後の遡行の困難さを予想させてなかなかドラマチックだ。
 予約しておいた渡し船は、やぐらという会社のボート。M浦さん達を送ったボートが戻ってくるまで、乗船場所の人に、熊やマムシに注意するよう言われる。湖を泳ぐ熊もいるし、日当たりの良い岩場にはマムシがとぐろを巻いていることがあるらしい。
 雨が少なかった今年は雪渓が相当残っているらしい。また、ダムの貯水率は7月に35%くらいまで低下していたのが、ここのところ65%まで回復してきたそうだ。

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ボートが戻ってきたので乗り込む。風を切ってボートが湖面を走って行く。広かった湖もだんだんと両側が狭まってきて、いよいよバックウォーターという感じになってくる。ボートが行けるところまで行って接岸したのが割沢出合の少し上流あたり。
 ここからいよいよ遡行開始だ。M田さんは、次の便でくるH部さん達を待つため、ここに一人残る。
 我々4人は樹林帯の中を越えて、まずは小穂口沢出合に出る。ここは広い。

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(↑小穂口沢出合)

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 河原を歩いたり、右岸の踏み跡を歩いて行くと、雨量観測所の塔が立っているところに至る。この少し先からシッケイガマワシというゴルジュ帯に入り、SBが現れる。ここは右岸側から巻く。この先、こんなSBがいくつも出てくるのだろうか。

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 シッケイガマワシではスクラム渡渉する場面もあった。この日は越後沢出合までの予定だったのだが、越後沢出合に着いたのがまだ午前中だったので、越後沢右俣を行けるところまで行くことにした。1泊分の装備を持って、それ以外はここにデポしていく。
 越後沢出合から越後沢右俣出合までは雪渓もなく40分ほどで着く。が、右俣に入ったとたんSBが現れる。ヘッドランプを点けてSBをくぐる。そんなSBを3つほどくぐっただろうか。右俣はずっと雪渓に埋まっている感じだ。

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(↑越後沢右俣のSB)

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 地形図上、左岸側に1,022m地点の記載がある付近から右岸に取り付き、右俣と中俣の間にある中間尾根に向かって斜面を登って行くことに。中間尾根に上がる前に、H光さんの指示で、今夜は尾根状でビバークする可能性があるので、今のうちに水を汲んでおくように、とのこと。
 しばらく登ると藪の濃い痩せた尾根に出る。下を眺めると右俣は上流までほとんどずっと雪渓に埋まっている感じだ。その彼方に右俣大滝らしき滝が眺められる。あそこまでたどり着けるのだろうか。

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(↑中間尾根から右俣を望む)

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(↑中間尾根を行くH光さん)
 右俣に下りて雪渓だらけの谷を遡行するのは現実的ではない。尾根上をここから引き返すか、尾根を進んで右俣大滝を目指すか、相談する。行程としては計画よりも早いのだから、中間尾根を進んでみようということになった。この中間尾根は中俣や右俣からの下降路として使われているらしい。が、わずかに踏み跡は見られるものの、ほとんど自然に還っており、濃いヤブ漕ぎに苦労する。
 暑い日差しのもと、尾根状を大滝に向かってヤブ漕ぎしながら進んで行く。やがて右手に右俣大滝「八百間の大滝」、左手に中俣大滝「幻の大滝」を同時に望める絶好ビューポイントに出た。狭いながらも尾根上の平坦地で、今夜はここで泊まることにする。このあたりから、右俣大滝下部に向けて下降できそうな沢筋もある。

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(↑中俣大滝)

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(↑右俣大滝)
 ヤブにロープを渡してタープを張る。タープが低いので、ノコギリで木を伐り出して立てて、タープの天井の高さを確保する。今夜の食事担当はK田さん。
 暮れゆく空のもと、2つの大滝を眺めて過ごすのはなんとも贅沢だ。頑張ってこんな山奥まで来たからこそ得られる景色だ。今、我々4人以外にはこの越後沢流域に入っている人間はいないはずだ。
 沢で泊まる際は、夜中にいつも寒い思いをしていたけれど、この夜は違った。用心してたくさん用意したダウンウェアのおかげもあろうが、寒さに震えることもなく、思ったより快適に寝られた。

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■8/11(日) 越後沢右俣大滝~中間尾根~越後沢出合~剣ヶ倉土合~滝ヶ倉沢出合先
5:00幕場-5:30八百間の大滝取付-7:50三角雪田-8:50幕場-11:30越後沢出合-12:30ヒトマタギ-14:45滝ヶ倉沢出合先の大砂地C2

 ビバーク地を発ち、前日のうちに目星を付けておいた沢筋を下降して行くと、右俣大滝が見えてきた。大滝から下流はこれまた大きな雪渓に埋まっている。H光さんの話では、3段ある大滝のうち下段部分は雪渓の下に埋まっているようだ。中間尾根から下りて行った我々の目の前にある滝は中段らしい。
 ロープを出して、M中さんのリードで登る。下りてきた沢筋を少し戻り、ブッシュ帯から取り付き、ブッシュ帯と大滝左側に広がる岩場の間を登って行き、途中から大滝に向けて右にトラバースしていく。ロープ50mめいっぱい伸ばした辺りで、落ち口手前のブッシュにたどり着いたので、そこでピッチを切る。2人目、3人目はロープにアッセンダーを付けて登り、最後の4人目はビレイされて登る。

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(↑右俣大滝中段の右壁を登るM中さん)
 あと少しブッシュを抜けると中段はおしまいだ。すると上段150mが迫力を持って目の前に現れる。昨日、中間尾根から遠目に眺めた時は、ずいぶんと立っているように見えたけれど、こうして近くで見てみると傾斜が寝ている。落ち口下の1ピッチを除き、各自登って行く。水流の右側の乾いた岩場をどんどん登って行く。落ち口付近だけはこの先どうなっているか分からないので念のためロープを出して私がリードする。右手のブッシュにランナーを取りながら岩を登って行ける。

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(↑右俣大滝上段150m)

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(↑上段を各自登る。上は私)

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 こうして大滝の登攀を終える。その先の小滝を2つほど抜けると、再び雪渓が現れる。雪渓の上を歩いて行き、適当なところから中間尾根に向けてあがっていくのだが、その前に、せっかくなのでもう少し雪渓上を歩いて上部の雪田を見に行くことにした。ずっと続く雪渓の先、荒々しい山肌の光景を眺めながらしばし休憩。

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 中間尾根に戻ってヤブを漕いで進み、荷物をデポしたビバーク地に戻る。前日歩いた中間尾根を戻り、中俣と右俣の出合に降り立つ。本谷の越後沢出合に戻ったのは11時半。前日同様まだまだ時間があるので、本谷を行けるところまで進むことにした。
 本谷を進んで行くとすぐに剣ヶ倉土合というゴルジュ帯に入る。その剣ヶ倉土合の序盤で、ヒトマタギが現れる。ゴルジュが樋状に狭くなっているところで、文字通り両足を広げて両岸に立つことができる。各自記念撮影する。
 剣ヶ倉土合の水量はおそらく少なめなのだろう。泳ぐようなことはなく、腰上くらいの水量の中をへつって歩く場面があったくらいだ。

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 剣ヶ倉土合を抜けたあとは雪渓も無く、どんどん歩いて行き、滝ヶ倉沢出合からさらに少し歩いて、翌日の核心となるオイックイの少し手前、左岸に広く平坦な大砂地が現れたので、この日の行動はここまで。大砂地のすぐ先には、再び大きな雪渓が不吉な姿で見えており、翌日の遡行の厳しさを予感させる。

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(↑大砂地と雪渓)
 大砂地は本当に広くて、タープを張って、焚き火を熾す。枯れ木はたくさんあるので、がんがん火にくべる。私は釣り道具を持ってきていたので、いちおう糸を垂れてみたけれどまったく当りは無し。
 今夜の食事担当は私。無洗米からご飯を炊いて、混ぜるだけの寿司の素を加える。M中さんが肉厚のベーコンを持ってきてくれていて、焚き火で焼いたのを皆に振る舞ってくれる。
 前夜と異なり、この夜は寒かった。雪渓がすぐ近くにあるせいもあるのだろう。

■8/12(月) オイックイ~大利根滝~西小沢出合(佐市平)手前
6:00幕場-9:50定吉沢出合-11:00西俣沢出合-12:40丹後沢出合-13:20大利根滝-15:20西小沢出合手前C3

 4時起床だが、H光さんが3時くらいには起き出して焚火を熾してくれたようだ。この日はいよいよ核心となるオイックイの通過が控えている。各自ヘルメットにヘッドランプを付ける。ビバーク地から見える最初のSBはくぐる。

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 つぎの雪渓は大きいようで、その上に出て歩いて行く。上流側の雪渓末端が高さがあるようなので、懸垂下降の支点としてスノーボラードを作る。

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(↑スノーボラードをつくる)
 今回、雪渓通過ではSBをいくらでもくぐる体験をすることになるが、このスノーボラード作りも私には初めての体験だ。バイルで円状に雪を掘り、ロープで雪を切らないように枝を何本か挟むように刺しておく。
 ロープがすっぽ抜けないように残った人が雪の溝を足で踏んでおきながら、懸垂下降する。沢床まで下りずに、そばのルンゼに取り付き、つぎの雪渓は右岸から巻く。再び沢床に下りる際はまた懸垂下降。
 その後も雪渓をロープを出して高巻いたり、くぐったりする。

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 H光さんの記録によると、この日6番目のSBということになるのだが、このSBが長大だった。入り口部分の雪渓の天井が中途半端に落ちたように二重天井になっている。まずはH光さんが中の様子を見に行くのだが、すぐに戻ってきて、真っ暗で出口の光が見えず相当に長いらしいとのこと。各自ヘッドランプを点けて、数分の間隔を空けて一人ずつ入って行くことになった。

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(↑入口が二重天上の長いSB)
 H光さんが入って行って2分くらい経った頃、私もSBに入る。入り口の低い二重天井をかがみ気味に抜けるとその先は真っ暗だ。ヘッドランプの灯りに照らされた足元の水面を見ながら水の中を歩いて行く。水の流れる音と自分の足が水の中を進む音以外、一切シャットダウンされた感じだ。大きな洞窟の中を一人進んでいる感覚だ。しばらく進むと天井の雪が薄いところがあって、隙間からわずかに外光が差し込んでくる。これが何とも幻想的な光景だ。

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 雪渓が崩落して下敷きになれば命がないのだが、この不思議な眺めの中にいると、現実的な緊張感と幻想的なワクワクした感覚とが入り混じってくる。
 どれだけ進んだろうか。SBからようやく抜け出すとH光さんが待っていた。その後、K田さんとM中さんも間隔を空けて出てくる。皆、無事に通過することができた。さすがに興奮を抑えられない。
 SBに入り前に時計を見ていたのでだいたい覚えているのだが、このSBを通過するのに5分以上、6分近くかかった。距離にして200~300mといったところだろうか。
 これはもはや普通の沢登りというより、雪渓くぐりという一つのカテゴリーのような気がする。崩れなければ無事だが、崩れたらひとたまりもない…、確率が分からないロシアンルーレットのようだ。

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 その後も雪渓をくぐって、今山行の核心部分となったオイックイを通過。定吉沢を過ぎると、某遡行図にある「狭くて暗いゴルジュ(奇勝)」を通過。天気が良いので暗くはない。

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 SBの先に滝が見える。魚止メ滝のようだ。手前の雪渓と一緒に右岸から高巻く。沢床に戻る際は崩れかけたSBの穴の中に入って行くように懸垂下降していく。狭いので、背中のザックが雪にあたる。

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 雪渓処理もそうだが、これら高巻きでもH光さんのルートファインディングは抜群だ。まるで来たことがあるかのように、側壁の斜面に取り付き、ヤブの中を漕いで行き、ブッシュに捨て縄をタイオフして懸垂下降するときっちりと沢床に復帰できる。その判断がもたもたしていないものだから、足並みのそろった他のメンバーもぐいぐいと付いていく。
 午後に通過した雪渓もシビれるものだった。先頭を行くH光さんは、SBの中に架かる右手の滝に寄ったと思ったら、左奥に進んで行った。後を追うと、雪渓途中の大きな穴に出た。再び雪渓に入ると、滝の流れる脇の岩場に残置スリングがあり、それを頼りに岩を乗っ越す。SBの中で残置スリングを使って小滝を越えるとは、これまた緊張感たっぷりだ。どこがどこだか私は覚えていないのだが、ここでヒョングリの滝を越えたようだ。

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さらにいくつか雪渓をくぐると大利根滝20mが現れた。ここはH光さんがリードして右壁の階段状を登る。

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 ハト平らしき平坦地は平べったい残雪に覆われてたので通過。再びゴルジュが始まり、雪渓を越えたり、崩れかけた雪渓では踏み抜いて雪のブロックともに冷たい水の中にハマったりしながら進んで行く。

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側壁と雪渓の狭い隙間を通り抜けるときは、ザックを背負ったままでは抜けられないので、先にザックを投げてから空身で横向きで通り抜けたりした。
 西小沢近くの平たん地(おそらく佐市平)も平べったい雪に覆われていたので、少し戻った平坦な草地を今夜のビバーク地とした。
 狭いながらも河原状になっているので、そこで焚き火を熾す。今夜の食事担当はM中さん。3日目だというのに、豪華なカレーライス。M中さん、前日は特に荷物が重そうだったけれど、厚切りベーコンが出てきたり、お酒が出てきたりと、相当食料を持ってきてくれていたのだ。焚き木をたくさん集めたものの、生木に近いものばかりで火を熾すのに苦労する。カレーライスはとりあえずガスで作る。

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 何とか点いた焚き火で濡れた服を乾かしながら夜を過ごす。このまま順調にいけば明日には源頭を詰めて下山できそうだ。

■8/13(火) 利根川本谷源頭部~大水上山~利根川水源碑~丹後山~十字峡=五十沢温泉
6:00幕場-10:10深山滝-11:15赤沢滝-12:40稜線-12:50大水上山-13:10利根川水源の碑-13:40丹後山小屋-16:00林道-16:45十字峡小屋

 タープの下で寝ていたのだが、寒さに耐えきれず私一人起き出す。深夜1時過ぎだ。起床予定時刻までまだ3時間近くある。焚き火のところに行ってみると、灰の中に赤い熾火がわずかに覗いている。そこで爪楊枝ほどの細い枝を集めてポキポキと細かく折って熾火の上にそっと乗せる。それから何度も息を吹きかけていると、小さな炎が立ちあがった。それを消してしまわないように、さらに枝を加えていき、時間をかけて徐々に太い枝を投入していく。
 前週、南紀・黒蔵谷に行った際に、YT川さんが息を吹きかけて灰の中から火を熾していたので、それを真似てみたのだが、うまくいった。わざわざ着火剤を使わないし、団扇も必要ない。
 真夜中こうして一人で焚き火に当っているのも良いものだ。さすがにまだ眠いのでタープの下からマットを持ってきて敷き、焚き火に当りながらウトウトと過ごす。いつのまにか眠り込んでしまったようで、気が付くとM中さんが目の前に座って焚き火に当っていた。起床時刻だ。

 遡行4日目。この日もちょっと歩くとすぐにSBが現れるので、慣れたようにくぐったり、巻いたりする。その後、小滝が連続するところを行く。あまりにも小滝が多いので遡行図と見比べてもどれがどれだかさっぱり分からない。

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 するとまた大きな雪渓が現れた。その上を歩いて行くと、滝が見える。当初これが人参滝15mかと思ったけれど、そうではなく深山滝20mらしい。人参滝は雪渓の下のため知らないうちに通り過ぎていたのだ。

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(↑深山滝の一部が見える)
 その深山滝も上部のみが姿を見せているだけで、雪渓のため滝下に取り付くこともできない。H光さんリードで、左岸手前の斜面から取り付く。トラバースしてブッシュと岩溝状のところから左手の岩に出つつ抜ける。
 つぎの赤沢滝20mは行きに隠れていることもなかった。この滝では私がリード。何度もないところを登って行くと、上段は水流をまともに浴びながら登る。両側の壁にフットホールドを見つけながらいけば、シャワーになるものの登って行ける。晴れた空のもと、ビショビショになって楽しい登りだ。

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(↑赤沢滝を登るH光さん)
 赤い岩の水上滝も左から越えると、またずっと雪渓が続いている。こんな上流部まで結局延々と雪渓続きだったわけだ。これが源頭の三角雪田まで続いていたのだから。

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 途中、H光さんが定時の無線交信をして、今回初めて他のパーティーと応答できた。小穂口沢のH部パーティーも胸中に十字峡に下山できそうだ。

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(↑登山道はすぐ上だ)
 雪渓の切れ目から草付きをひと登りすると、そこは稜線上の登山道。これで利根川本谷の遡行完了だ。やった。皆で握手を交わす。
 ザックを置いて、大水上山の山頂を往復してくる。登って来た利根川本谷はもちろん、中ノ俣川も雪渓だらけだ。戻って、今度は利根川水源碑へ。碑を前にここでも記念撮影。日本最大の流域面積を誇る利根川の水源に至ったわけだ。

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 ここからは笹がきれいに刈り払われた登山道を丹後山方面に歩いて行く。これまでのヤブ漕ぎから比べたら、まるで高速道路だ。途中、丹後山避難小屋に立ち寄ると、中で男性が一人くつろいでいた。

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 丹後山からは十字峡に向かってどんどん下って行く。越後三山の一つ、中ノ岳が望める。コウガイ沢にも雪が残る。
下るにつれて暑くなってくる。8合目付近で携帯電話が繋がったため、K田さんが六日町に近い五十沢温泉の宿に電話して今夜の予約をしてくれる。合わせて、十字峡まで車で迎えに来てくれるようお願いしておく。
 林道に降り立つと、作業のワゴン車が前を通り過ぎた。我々4人以外の人間に会うのは入渓初日以来だ。川に沿った林道を歩いて行くと十字峡に着く。

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 ゲートを越えてトンネル手前の橋を渡ると、十字峡登山センターという建物に着いた。ここに前日下山した別パーティーのメモがあったので、我々パーティーもメモを残す。H部パーティーはまだ下りてきていないようだ。

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(↑十字峡登山センター)

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(↑十字峡)
 18時にお願いしていた車が17:20くらいには来てくれた。マイクロバスだった。マイクロバスに揺られていると、山中を抜け、水田と民家が広がる風景に変わってきた。無事、里に下りて来たんだなあと感慨深い。到着した五十沢温泉旧館にチェックイン。管理人は初老の夫婦で、別のところに住んでいるらしく、日中だけここにやって来るらしい。なので夜間は宿泊客だけだ。食事提供はないので、素泊まり。

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(↑五十沢温泉旧館)
 お風呂で4日間の汚れを落としてから、夕食に近くの食堂へ。おあしす食堂という定食屋で、ビールで下山を祝いつつご飯を食べる。我々が食事を終えた頃、H部パーティーも下山してきて、お風呂に入らずまずはここの食堂にやって来た。計7人でお互いの下山を祝う。

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 明日は東京に帰るだけなので、この夜はどう過ごしても良いのだが、疲労とアルコールからとろとろと眠くなった私は皆より早くふとんに横になる。

■8/14(水) =六日町駅=水上駅=東京へ

 適当に起き出して、K田さんが残っていた共同食のお米を炊飯器で炊いて朝ごはんを出してくれる。8時半頃のバスに乗り込み、六日町駅へ。9時半頃の電車で水上駅へ。水上駅から路線バスで、車を停めた道の駅へ。あとは関越道をひた走り東京へ。反対の下り線はお盆の帰省ラッシュのせいで渋滞していた。
 当初は一日遅い帰宅の見込みだったが、この日午後の早い時間に帰宅できたので、荷物を自宅に置くやいなや、職場に顔を出した。数日休んだので、六日町で買ったお土産のクッキーを職場の人達に配る。

 以上、4日間に渡る充実した沢登りを終えることができた。天気に恵まれたし、ルートファインディングに代表されるようにリーダーH光さんの力量によるところはとても大きい。メンバーも足並みが揃っていて、どんどん歩いていけたので、雪渓くぐりという危険要素はもちろんあったけれど、順調に遡行することができた。皆さん、本当にお疲れさまでした。
 私個人としても、今回の利根川本谷はもちろん、ここひと月半の毎週の沢登りで相当に経験値を上げることができた。これからはこの経験をもっと活かしていきたい。

南紀 大塔川・黒蔵谷遡行~高山谷下降

2013.8.2(金)~4(日)
 日本百名谷にもあげられている南紀の名渓、大塔川(おおとうがわ)支流の黒蔵谷(くろぞうだに)に行ってきた。
 黒蔵谷を遡行して、野竹法師(のたけほうし、標高970m)のピークを経て、高山谷を下降する2泊3日の計画だ。
 メンバーは、所属山岳会のベテランYT川さん、今年入会したK寅さん、私の3人。

 7月のとある平日の夜、クライミングジムで登りながら、3人でどこかの沢に行こうと言う話になり、YT川さんがこの南紀の沢を提案した。
 黒蔵谷という名前を聞いてネットなどで調べてみると、泳ぎの連続する沢だということが分かり、俄然楽しみになってきた。手持ちのガイドブックにもきちんと紹介されていた。

 東京から和歌山県の現地までは片道600km弱ととても遠く、現地にたどり着くことが最初の核心だと考えたが、皆で運転を交替しながら行くことができた。
 また、今回の山行に先立ち、私はタープやライフジャケットを買ったり、沢登り用の長袖シャツも新調した。

■8/1(木)夜~2(金)早朝 現地へ
 ★待ち合わせ後、21:00東名道へ~翌日4:00過ぎ川湯温泉着~5:00前仮眠★

 当初、YT川さんの車で行く予定だったのだが、脇道から飛び出してきた車に車体の横っ腹をぶつけられて故障してしまったとのことで、出発当日の夕方になってから私の車で行くことになった。
 仕事を終えたあと急いで帰宅し、まとめておいた装備を車に積んですぐに出発。目的地とは反対方向のYT川さんの家まで迎えに行ってから、都内の荻窪駅でK寅さんと合流。環8経由で東名道に入る。
 黒蔵谷の入口にある川湯温泉に着くのは翌朝になる見込みから、車の運転は皆で適宜交替するつもりだったのだが、21時半頃に海老名SAでYT川さんに運転を替わってもらってからは、現地までずっとYT川さんが運転してくれた。YT川さんによると、行きでの夜通しの運転には苦にならないけれど、そのかわり山行の帰路は眠いから運転は頼むとのこと。
 東名道~新東名道~再び東名道~伊勢湾岸道~東名阪道~伊勢道~紀勢道と走り続け、尾鷲を経由して延々と下道を走り、翌朝4時過ぎに川湯温泉に到着。そのまま大塔川林道へ進み、途中通行止めの柵がある手前の広場に駐車する。
 すっかり金曜日の朝を迎えていたけれど、寝不足のまま歩き始めるのはツラいので、6時半まで1時間半ほどテントを張って仮眠することに。

■8/2(金) 黒蔵谷遡行(カンタロー滝(黒蔵瀑)先まで)
 ★6:30起床~7:30ホイホイ坂林道分岐~8:00大塔川林道下降点~8:10黒蔵谷出合~8:40鮎返滝12m~<下ノ廊下>~10:20三連ノ釜~10:50出谷出合~<中ノ廊下>~13:40高山谷出合~14:25CS滝2m~15:15・13m滝下~15:35カンタロー滝34m(黒蔵瀑)下~17:40カンタロー滝上ビバーク地<泊>★

 6時半に起きるけれど、眠い眠い。通行止めの柵だが、先ほどから通り過ぎてゆく車は柵を越えて先に進んでいるようである。我々も柵をどけてその先に進む。事前に問い合わせて確認したところでは、大塔川林道のうちホイホイ坂林道との分岐までは行けるはずだ。1㎞ほど進むとホイホイ坂林道の分岐があるので、道路脇のスペースに車を停める。    ここからさらにトンネルを2つ抜けつつ大塔川林道を20分ほど歩くと、道路脇に釣り人への注意事項などが書かれた看板がいくつも立てられたところがある。それらの標識の一つに「突合」とあり、ここから大塔川に下りていく明瞭な小道がある。上流側にも下りていく道があるらしい。

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(↑大塔川林道からの下降地点)

 なお、今回の山行にあたり、ネットでいくつか遡行記録を読んだほか、持参した遡行図は「関西起点沢登りルート100」(山と渓谷社)で、文中の滝の表示などはこの遡行図に寄る。
 また、今春発売された「ヤマケイ入門&ガイド沢登り」(山と渓谷社)にも黒蔵谷が紹介されている。
 1/25,000地形図は「皆地」で、この地図1枚で黒蔵谷と高山谷がすっぽり収まる。

 小道を下りると大塔川の広い河原に出るので、ここで入渓。

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(↑大塔川)

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(↑私)

 少し上流側に黒蔵谷出合があるので進んで行くと、谷が狭くなってきて、やがて鮎返滝12mが現れる。鮎返滝付近の上方には餘倉岩(あまりくらいわ)があるはずだ。樹間越しにそれらしき大きな岩壁が上の方に見えたけれど、鮎返滝に近づくと見えなくなった。
 鮎返滝は、釜を泳いで渡り、水流左側のスラブに取り付く。YT川さんが先頭を切って釜に入る。
 ここのところ、私は毎週沢登りに出かけているのだが、訪れた関東甲信の沢はどこも水が冷たい。山梨県丹波山村の一之瀬川で強い流れの中に身を浸して泳いだ時などは、あまりの冷たさに身体がガタガタと震えて止まらなかった。
 水に入る時は歯を食いしばって覚悟を決めるという感じだったのが、今回はまるで違う。水温が明らかに高く、生温かいと言ってもよいくらい。また、広い釜では水の流れをほとんど感じないくらい緩やかなので、プールの中に浮かんでいるようだ。
 水中からスラブに身体を引き上げる際に力がいるので、YT川さんは岩にスカイフックをひっかけて、それに垂らしたスリングをアブミにする。K寅さんはそれを頼りに登る。

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(↑鮎返滝の左側に取り付く)
 3人ともスラブに上がってからは、凹角状の岩を登る。垂直に近いが、フットホールドが豊富にあり岩質もしっかりしていることから私が先頭で登り、後続をビレイする。こうして9時過ぎに鮎返滝を通過。

 鮎返滝を通過すると、下ノ廊下というゴルジュ帯が始まる。ひたすら淵が連続していて、水面に浮かべたザックを浮き輪代わりにしてひたすら何度も泳ぐ。短い淵もあれば、20m以上泳ぐようなところもある。用意してきたライフジャケットが大活躍だ。ライジャケの浮力で、水の上にプカプカと浮いていられる。水の流れはほとんどないようなものなので、必死になって水を掻くこともない。
 今回は3日間とも天気に恵まれた。前日は少しは雨が降ったかもしれないけれど、ここしばらくまとまった雨は降っていないはずで、水量が特別多いということはなかったようだ。流れが少ないところは本当に少ないのだが、深い淵にはそのまま水が溜まっているという感じで、雨が降らないことで水面が特別低くなっているワケでもないようだ。

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(↑泳ぐ)

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 そんな水の流れの中、K寅さんが面白い泳ぎ方をやっていた。浮かべたザックを両足で挟むようにして、仰向けになって両手で水を掻くというものだ。上半身はライジャケによって浮かび、下半身はザックによって浮かぶことで、水の抵抗が少なくなるようだ。ビート版のようにザックの上に上半身を乗せて、足で平泳ぎしても良いのだが、水流がほとんどないので、このように手で掻くだけでも十分に推進力が出る。足も疲れないし。

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(↑泳ぐK寅さん)

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(↑泳ぐ私)
 下ノ廊下の途中では、三連ノ釜らしきところを通過。段々になった釜が3つほど連続していて、ある釜と釜の間は水中でブリッジ状に岩がつながっているのも見えた。興味のある人は潜水してその下を通過してみても良いかも。

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(↑三連ノ釜の水中ブリッジ)

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(K寅式泳法で泳ぐYT川さん)

 下ノ廊下を過ぎて、沢が開けると左岸から出谷が出合う。

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(↑出谷出合)

出谷を過ぎると、今度は中ノ廊下だ。ここもひたすら泳ぎまくる。途中の小滝は水流左側に泳いで取り付く。水面からスラブに乗り上がる際は、格好のガバホールドがあるので助かる。私が先に登り、ロープで各自のザックを引き上げてから後続をビレイする。

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(↑泳ぐK寅さん)

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(↑YT川さん)

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(↑なおも泳ぐ)

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(↑スラブを登るK寅さん)

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(↑泳ぐ私)

 中ノ廊下を過ぎて沢が開けると左岸から高山谷が出合う。明後日下降してくる予定の場所だ。遡行記録には、誤って高山谷に進んでしまったケースもあるようだが、ほとんど同じような水量の二俣で、右手の高山谷のほうが開けて明るい感じで、左手の黒蔵谷は樹々に覆われて少し暗い感じなので、うっかり高山谷に進んでしまいやすいのかもしれない。地形図と照らして現在地が分かっていれば迷うことはない。

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(↑高山谷出合)

 高山谷出合を過ぎた後もゴルジュが続く。岩を乗っ越したりしてずっと進んで行く。

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(↑登るYT川さん)

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(↑がんばれ、K寅さん)

 ずっと歩くと顕著な滝が現れる。黒蔵瀑(地形図上のカンタロー滝)の手前にある13m滝のようだ。ここは遡行図のコメントどおり右岸から巻くが、ロープは出さなかったような。

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(↑手前13m滝と奥カンタロー滝(黒蔵瀑))
 沢床に戻ると今度は目の前に黒蔵瀑が迫る。黒蔵谷最大の滝だ。

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(↑カンタロー滝34m(黒蔵瀑))

 遡行図のコメントには、左岸から巻くとあるが、我々が取り付いたところは皆が通る巻き道ではなかったようだ。ルンゼ状に取り付いたのだが、岩はボロボロだし、傾斜はキツいし、こんな大変なところを巻き道として登るはずがないはずだけれど、YT川さんと私が交互にリードしてロープを張りながら悪いルンゼを登って行く。このルンゼ登攀で時間を使いすぎてしまった。ルンゼを登り終えると幅の狭い枝尾根の上に出る。その向こう側は屈曲した黒蔵谷の滝上側が下の方に見える。最後懸垂下降を交え沢床に降り立つとすでに17時を回っている。目の前のごく狭い河原状の場所を今晩の寝床とする。

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(↑この日のビバーク地)
 砂地っぽいところを均して寝る場所を作り、その上にタープを張る。私が買ったタープのデビューだ。乏しい枯れ枝を集めて焚き火を熾す。
 ザックの荷物を広げると、中の荷物が軒並みビショビショに濡れていた。うわわ。いつもと同じように防水袋に入れていたのだが、連続する泳ぎで浸水してしまったようだ。着替えまで濡れてしまった。気が滅入る。
 今夜の食事担当は私。焚火缶で生米からご飯を炊くのだが、翌朝の分と合わせて4合いっぺんに炊く。燃える焚き火の上に直接コッヘルを乗せると火力が強すぎるからと、YT川さんはコッヘルを吊るすための生木を立てる。生木だと燃えにくいからだ。ベテランYT川さんのこういう技術を見ていると本当に勉強になる。
 炎から適度な距離を置いてコッヘルを吊るしてご飯を炊く。強すぎない火で時間をかけると美味しく炊き上がるのだ。その間に、ウインナーを炎で炙って食べる。濡れてしまった服や装備を火のそばに置いてとにかく少しでも乾かす。
 ご飯のおかずは、先の赤石沢で作ったものと全く一緒の野菜の肉みそ炒め。ナス、ピーマン、エリンギを油で炒めて、市販の肉みそダレをからめて出来上がり。前回はご飯の量に対しておかずが足りなかったので、今回は多めにした。
 寝不足と疲労から横になるが、たき火で少しは乾いたとはいえ、しっとりと湿った服ではやはり寒い。それに標高が低くて寒くはないと思っていたけれど、未明はけっこう寒かった。水のそばだからかもしれない。それでもここ最近の関東甲信の沢の泊りよりは気温は高い。

■8/3(土) 黒蔵谷遡行~野竹法師970mピーク~高山谷下降(325m地点付近)
 ★5:00起床~7:00出発~7:10第3支流出合~<上ノ廊下>~7:45斜滝8m下~10:55涸滝35mのある最奥の二俣~11:50野竹法師970mピーク到着~12:30ゴンニャク山方面へ下山開始~13:15高山谷左俣に下降~17時頃325m地点付近ビバーク地<泊>★

 5時に起床。消えている焚き火を再び熾す。ご飯は前夜炊いたものが残してあるので、お湯を沸かしてお茶漬けにして手早く朝食を済ませる。寒かったせいもあり、夕べもぐっすりとは眠れなかった。現地入りの夜と、連続して寝不足が続くと身体に堪えそう。
 ゴルジュを歩き出すとすぐに左岸から幅の狭い滝となって第3支流が出合う。

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(↑第3支流出合)

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 やがて上ノ廊下らしきゴルジュに入る。その途中、斜滝8mでは、YT川さんのリードで水流右側を登って越える。ここの登攀はリードするとなるとちょっとキビしそう。

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(↑斜滝8mをリードするYT川さん)

 沢が開けて河原に出るので、上ノ廊下を通過したのが分かる。
 ここから先は泳ぐ場面があったかちょっと覚えていないけれど、ゴルジュが延々と続くようなところではなく、何か所か石垣の残るところを歩いていく。

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(↑石垣)

 そんなところをずっと歩いていくが、遡行図中の520m奥ノ二俣はよく分からないうちに通過したようだ。
 水流がますます減ってきて、遡行図に涸滝35mとある二俣の両方に涸れた滝のかかる場所に出る。ここは正面に見える中間の小尾根に取り付く。ここを登って行けば野竹法師のピークに行き着くはずだ。

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(涸滝のある最奥の二俣)

 急な斜面だが、灌木が程よく生えているので、それを掴みながらぐいぐいと登って行く。K寅さんにはこの登りがちょっと堪えたようだ。
 傾斜が緩んできて、その先の樹間越しに稜線らしきものが見える。ピークが近いはずだ。こうして数100m木々の間を登って行くと、お昼前に野竹法師970mピークに到着。
K寅さん達も登って来て、黒蔵谷の遡行成功を祝って握手を交わす。ほとんど展望のない山頂は暑い。着ていた服を脱いで休息をとる。

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(↑野竹法師山頂)

 さて、今度はお隣り高山谷の下降だ。まずは、野竹法師からゴンニャク山に至る緩やかな尾根を10分ほど歩く。ゴンニャク山のピークらしきものが目の前に近づいてくると、右手は人の手が入っているらしき植林帯が下に広がっている。稜線から離れ、植林帯を適当なところから真下に向かって下って行く。植林帯の中には何となく踏み跡らしき石がゴロゴロしたところもある。植林帯を抜け、小尾根状の樹林を下って行く。地形図を見ると山道があるようだが、それは無視して、高山谷の左俣(標高380m付近で二俣となるところを右俣および左俣とする)を目指して、斜面下に向かって気持ち左に向かうように30分ほど下っていくと水の流れる沢床に歩いて降り立つことができた。ここが高山谷の左俣だろう。

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(↑高山谷左俣に降り立つ)

 高山谷を下降していく。しばらくはそれほど顕著な滝は無い。無い代わりに、小滝では釜にドボンと飛び込む。落ち口がスラブ状になっていると、ウォータースライダーのように滑り落ちて水の中に飛び込む。これが楽しい。途中の3mほどのスライダーでは落ち口に立ったとたんに足が滑ってそのまま釜にドボン。釜に落ちたら泳ぐ。ライジャケがここでも活躍する。地形図に記された滝では懸垂下降。

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(↑ウォータースライダー)

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(↑懸垂下降するK寅さん)
 右俣と出合い、地形図上の山道と交差するところもよく分からないうちに通り過ぎる。おそらく地形図上の325m地点付近の沢が屈曲する小尾根の中の樹間の平坦な場所を今夜の寝床とする。
 ここは枯れ枝が豊富にある。タープを張って、焚き火を熾す。YT川さんがしばらく釣りをしたが、ウグイらしき魚を6匹ほど釣ったそうだが、どれも小さいので逃がしたそうだ。
 ご飯を炊いて、YT川さんが用意した寿司太郎を食べる。気づくとヒルがいた。枯れ葉の裏に潜んでいるそうだ。それを聞いて、私は辺りの落ち葉をかき集めて、焚き火の周りに山のように積んだ。枯れ葉もよく乾いているのでメラメラとよく燃える。これで少しはヒルを駆除できたかも。
 この晩は、前夜ほど寒くなかったのは良かったのだが、身体中が痒くて痒くて仕方なかった。ヒルが服の中に潜り込んでいるのではないかと心配になり、夜中に起き出してシャツを脱いでみたりした。翌朝皆に聞いてみると、彼らも痒かったそうだ。

 そういえば、今回は両生類やら爬虫類をたくさん見た。前週の中アではたくさん花を見たのとは対照的だ。水が溜まったところにはオタマジャクシがたくさんいて、そのせいかガマガエルもけっこういた。イモリだと思うが、これも踏みつけてしまいそうになるほどたくさんいた。
 初日は鹿を1頭目撃したし、3日目にはとぐろを巻いたマムシもいたので、その近くを静かにとおり過ぎた。
 やはり3日目の山道を歩いている際は、管理されている気配のない養蜂箱があり、実際ミツバチが群れているものもあった。山道のトンネルではコウモリも。
 私は結局釣りはしなかったのだが、YT川さんによると、下流部はヤマメ(たぶん放流されたもの)、上流にはウグイという魚がたくさんいた。

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(↑マムシ)

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(↑ガマガエル)

■8/4(日) 高山谷下降~黒蔵谷右岸山道を経て下山
 ★5:00起床~6:45出発~<八丁涸漉(はっちょうこじか)>~9:20黒蔵谷出合~9:35黒蔵谷右岸山道への踏跡~10:00水平道~10:30長いトンネル~11:35短いトンネル~11:45大塔川との出合~12:00大塔川林道帰着~12:20ホイホイ坂林道分岐駐車スペース帰着 温泉に寄り、東京へ帰る。★

 最終日の3日目。5時に起きる。焚き火は着火剤を使う必要はなく、YT川さんが何度か息を吹きかけると再び火が熾った。熾火が残っていれば着火剤を無用に使うことはないようだ。朝食を済ませて出発。今日もよく晴れている。河原を歩いていくと、地形図上の八丁涸漉という辺りを通る。途中伏流になっているところがあったので、そこが八丁涸漉なのかどうか分からないが、あとでネットで調べたら八丁涸漉変質帯という特徴的な地質構造が地面に現れている場所のようだ。
 最終日も泳ぎまくり。下降するにつれ水量が増してくるので泳ぐ距離も長くなってくる。途中の滝では左岸を懸垂下降し、釜の中に降り立つ。

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(↑泳ぐK寅さん)

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(↑この滝は懸垂下降)

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 やがて黒蔵谷との出合に着く。一昨日通ったところだ。この付近に地形図上の山道に至る踏み跡があるはずで、初日にYT川さんが目星を付けておいた踏み跡入口に取り付く。20分ほど急な山肌を登って行くと、水平の山道に出た。
 この山道を辿って大塔川まで戻るのだ。ところどころ崩壊したところがある。地形図上386m地点付近を通るトンネルがあり、中を歩いて行くとたくさんのコウモリが驚いたように飛び回っていた。

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(↑長いトンネル)

 さらに進んで行くと、もう一つの短いトンネルがあるはずなのだが、その少し手前で崩壊地を通過する際に山道が不明瞭になる。地形図を見て、山道は下の方に続いているかもしれないと思ったのだが、YT川さんの神がかり的なルートファインディングで斜面を上に登って行くと、中段の養蜂箱のある水平部を経てさらに上にある山道に出ることができた。その先で山道はロープが張られたところを下っていくので、崩壊したところの上部に造られた巻き道のようだ。こんな迂回路は地形図に乗っているワケないのだが、それを見つけてしまうYT川さんはスゴい。
 短いトンネルを抜けて、斜面を下って行くと大塔川に降り立つ。

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(↑短いトンネル入口)

 広い河原を歩いて何度か浅い渡渉をして林道に戻るのだが、山道を歩く前にアプローチシューズに履き替えていたYT川さんを、K寅さんと私が交互におぶって渡渉する。お世話になったYT川さんにせめてこれくらいしないと。

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(↑大塔川)
 こうして林道に帰着。20分ほど歩くと、車を停めたホイホイ坂林道分岐に戻れる。黒蔵谷の遡行も高山谷の下降も、きっちりこなすことができて良かった。

 車で川湯温泉方面に戻り、トンネルを抜けた先の渡瀬温泉へ。露天風呂がいくつもある温泉で疲れた身体を癒す。さて、ここから東京に帰るのだが、来る時と同様長くて大変だった。途中の道の駅の食堂で遅い昼食をとりつつ、尾鷲経由で下道を走る。道中、熊野古道の標識をたくさん見かける。世界遺産に指定された熊野古道がどこからどこまであるのか知らないけれど、紀勢道が延伸中のところを見ると、世界遺産効果は大きいようだ。YT川さんは数年前にこのあたりの川をカヌーで下ったことがあるそうだ。
 紀勢道から伊勢道、東名阪道~伊勢湾岸道~東名道~新東名道~東名道と、K寅さんと私が交互に運転して高速道路をひた走る。東名川崎で下りて、K寅さんの家に着いた時には0時を回っていた。さらにYT川さんを埼玉県の家まで送ったので、私が自宅に戻ったのは深夜2時半頃。ああ眠い。疲れた。
 3時間ほど寝た月曜日の朝、汚れた服や装備を洗濯したり干したり、取った写真をグーグルにアップしたりして慌ただしく過ごしてから職場に向かう。

 期せずして南紀の名渓に行く機会に恵まれ、天気にも恵まれて2泊3日できっちりと沢登りできた。冷たすぎない水で泳ぎを堪能できたし、これぞウォータークライミングといった感じだった。
 下降に高山谷を使うのはおススメだ。黒蔵谷を遡行して、林道を5時間くらいかけて戻れば1泊2日も可能だろうが、長い林道歩きをするくらいなら、2泊3日の行程で高山谷を下降するしたほうが断然面白いし、黒蔵谷右岸の山道もトンネル通過などが面白い。

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