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南紀 大塔川・黒蔵谷遡行~高山谷下降

2013.8.2(金)~4(日)
 日本百名谷にもあげられている南紀の名渓、大塔川(おおとうがわ)支流の黒蔵谷(くろぞうだに)に行ってきた。
 黒蔵谷を遡行して、野竹法師(のたけほうし、標高970m)のピークを経て、高山谷を下降する2泊3日の計画だ。
 メンバーは、所属山岳会のベテランYT川さん、今年入会したK寅さん、私の3人。

 7月のとある平日の夜、クライミングジムで登りながら、3人でどこかの沢に行こうと言う話になり、YT川さんがこの南紀の沢を提案した。
 黒蔵谷という名前を聞いてネットなどで調べてみると、泳ぎの連続する沢だということが分かり、俄然楽しみになってきた。手持ちのガイドブックにもきちんと紹介されていた。

 東京から和歌山県の現地までは片道600km弱ととても遠く、現地にたどり着くことが最初の核心だと考えたが、皆で運転を交替しながら行くことができた。
 また、今回の山行に先立ち、私はタープやライフジャケットを買ったり、沢登り用の長袖シャツも新調した。

■8/1(木)夜~2(金)早朝 現地へ
 ★待ち合わせ後、21:00東名道へ~翌日4:00過ぎ川湯温泉着~5:00前仮眠★

 当初、YT川さんの車で行く予定だったのだが、脇道から飛び出してきた車に車体の横っ腹をぶつけられて故障してしまったとのことで、出発当日の夕方になってから私の車で行くことになった。
 仕事を終えたあと急いで帰宅し、まとめておいた装備を車に積んですぐに出発。目的地とは反対方向のYT川さんの家まで迎えに行ってから、都内の荻窪駅でK寅さんと合流。環8経由で東名道に入る。
 黒蔵谷の入口にある川湯温泉に着くのは翌朝になる見込みから、車の運転は皆で適宜交替するつもりだったのだが、21時半頃に海老名SAでYT川さんに運転を替わってもらってからは、現地までずっとYT川さんが運転してくれた。YT川さんによると、行きでの夜通しの運転には苦にならないけれど、そのかわり山行の帰路は眠いから運転は頼むとのこと。
 東名道~新東名道~再び東名道~伊勢湾岸道~東名阪道~伊勢道~紀勢道と走り続け、尾鷲を経由して延々と下道を走り、翌朝4時過ぎに川湯温泉に到着。そのまま大塔川林道へ進み、途中通行止めの柵がある手前の広場に駐車する。
 すっかり金曜日の朝を迎えていたけれど、寝不足のまま歩き始めるのはツラいので、6時半まで1時間半ほどテントを張って仮眠することに。

■8/2(金) 黒蔵谷遡行(カンタロー滝(黒蔵瀑)先まで)
 ★6:30起床~7:30ホイホイ坂林道分岐~8:00大塔川林道下降点~8:10黒蔵谷出合~8:40鮎返滝12m~<下ノ廊下>~10:20三連ノ釜~10:50出谷出合~<中ノ廊下>~13:40高山谷出合~14:25CS滝2m~15:15・13m滝下~15:35カンタロー滝34m(黒蔵瀑)下~17:40カンタロー滝上ビバーク地<泊>★

 6時半に起きるけれど、眠い眠い。通行止めの柵だが、先ほどから通り過ぎてゆく車は柵を越えて先に進んでいるようである。我々も柵をどけてその先に進む。事前に問い合わせて確認したところでは、大塔川林道のうちホイホイ坂林道との分岐までは行けるはずだ。1㎞ほど進むとホイホイ坂林道の分岐があるので、道路脇のスペースに車を停める。    ここからさらにトンネルを2つ抜けつつ大塔川林道を20分ほど歩くと、道路脇に釣り人への注意事項などが書かれた看板がいくつも立てられたところがある。それらの標識の一つに「突合」とあり、ここから大塔川に下りていく明瞭な小道がある。上流側にも下りていく道があるらしい。

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(↑大塔川林道からの下降地点)

 なお、今回の山行にあたり、ネットでいくつか遡行記録を読んだほか、持参した遡行図は「関西起点沢登りルート100」(山と渓谷社)で、文中の滝の表示などはこの遡行図に寄る。
 また、今春発売された「ヤマケイ入門&ガイド沢登り」(山と渓谷社)にも黒蔵谷が紹介されている。
 1/25,000地形図は「皆地」で、この地図1枚で黒蔵谷と高山谷がすっぽり収まる。

 小道を下りると大塔川の広い河原に出るので、ここで入渓。

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(↑大塔川)

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(↑私)

 少し上流側に黒蔵谷出合があるので進んで行くと、谷が狭くなってきて、やがて鮎返滝12mが現れる。鮎返滝付近の上方には餘倉岩(あまりくらいわ)があるはずだ。樹間越しにそれらしき大きな岩壁が上の方に見えたけれど、鮎返滝に近づくと見えなくなった。
 鮎返滝は、釜を泳いで渡り、水流左側のスラブに取り付く。YT川さんが先頭を切って釜に入る。
 ここのところ、私は毎週沢登りに出かけているのだが、訪れた関東甲信の沢はどこも水が冷たい。山梨県丹波山村の一之瀬川で強い流れの中に身を浸して泳いだ時などは、あまりの冷たさに身体がガタガタと震えて止まらなかった。
 水に入る時は歯を食いしばって覚悟を決めるという感じだったのが、今回はまるで違う。水温が明らかに高く、生温かいと言ってもよいくらい。また、広い釜では水の流れをほとんど感じないくらい緩やかなので、プールの中に浮かんでいるようだ。
 水中からスラブに身体を引き上げる際に力がいるので、YT川さんは岩にスカイフックをひっかけて、それに垂らしたスリングをアブミにする。K寅さんはそれを頼りに登る。

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(↑鮎返滝の左側に取り付く)
 3人ともスラブに上がってからは、凹角状の岩を登る。垂直に近いが、フットホールドが豊富にあり岩質もしっかりしていることから私が先頭で登り、後続をビレイする。こうして9時過ぎに鮎返滝を通過。

 鮎返滝を通過すると、下ノ廊下というゴルジュ帯が始まる。ひたすら淵が連続していて、水面に浮かべたザックを浮き輪代わりにしてひたすら何度も泳ぐ。短い淵もあれば、20m以上泳ぐようなところもある。用意してきたライフジャケットが大活躍だ。ライジャケの浮力で、水の上にプカプカと浮いていられる。水の流れはほとんどないようなものなので、必死になって水を掻くこともない。
 今回は3日間とも天気に恵まれた。前日は少しは雨が降ったかもしれないけれど、ここしばらくまとまった雨は降っていないはずで、水量が特別多いということはなかったようだ。流れが少ないところは本当に少ないのだが、深い淵にはそのまま水が溜まっているという感じで、雨が降らないことで水面が特別低くなっているワケでもないようだ。

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(↑泳ぐ)

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 そんな水の流れの中、K寅さんが面白い泳ぎ方をやっていた。浮かべたザックを両足で挟むようにして、仰向けになって両手で水を掻くというものだ。上半身はライジャケによって浮かび、下半身はザックによって浮かぶことで、水の抵抗が少なくなるようだ。ビート版のようにザックの上に上半身を乗せて、足で平泳ぎしても良いのだが、水流がほとんどないので、このように手で掻くだけでも十分に推進力が出る。足も疲れないし。

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(↑泳ぐK寅さん)

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(↑泳ぐ私)
 下ノ廊下の途中では、三連ノ釜らしきところを通過。段々になった釜が3つほど連続していて、ある釜と釜の間は水中でブリッジ状に岩がつながっているのも見えた。興味のある人は潜水してその下を通過してみても良いかも。

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(↑三連ノ釜の水中ブリッジ)

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(K寅式泳法で泳ぐYT川さん)

 下ノ廊下を過ぎて、沢が開けると左岸から出谷が出合う。

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(↑出谷出合)

出谷を過ぎると、今度は中ノ廊下だ。ここもひたすら泳ぎまくる。途中の小滝は水流左側に泳いで取り付く。水面からスラブに乗り上がる際は、格好のガバホールドがあるので助かる。私が先に登り、ロープで各自のザックを引き上げてから後続をビレイする。

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(↑泳ぐK寅さん)

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(↑YT川さん)

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(↑なおも泳ぐ)

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(↑スラブを登るK寅さん)

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(↑泳ぐ私)

 中ノ廊下を過ぎて沢が開けると左岸から高山谷が出合う。明後日下降してくる予定の場所だ。遡行記録には、誤って高山谷に進んでしまったケースもあるようだが、ほとんど同じような水量の二俣で、右手の高山谷のほうが開けて明るい感じで、左手の黒蔵谷は樹々に覆われて少し暗い感じなので、うっかり高山谷に進んでしまいやすいのかもしれない。地形図と照らして現在地が分かっていれば迷うことはない。

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(↑高山谷出合)

 高山谷出合を過ぎた後もゴルジュが続く。岩を乗っ越したりしてずっと進んで行く。

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(↑登るYT川さん)

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(↑がんばれ、K寅さん)

 ずっと歩くと顕著な滝が現れる。黒蔵瀑(地形図上のカンタロー滝)の手前にある13m滝のようだ。ここは遡行図のコメントどおり右岸から巻くが、ロープは出さなかったような。

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(↑手前13m滝と奥カンタロー滝(黒蔵瀑))
 沢床に戻ると今度は目の前に黒蔵瀑が迫る。黒蔵谷最大の滝だ。

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(↑カンタロー滝34m(黒蔵瀑))

 遡行図のコメントには、左岸から巻くとあるが、我々が取り付いたところは皆が通る巻き道ではなかったようだ。ルンゼ状に取り付いたのだが、岩はボロボロだし、傾斜はキツいし、こんな大変なところを巻き道として登るはずがないはずだけれど、YT川さんと私が交互にリードしてロープを張りながら悪いルンゼを登って行く。このルンゼ登攀で時間を使いすぎてしまった。ルンゼを登り終えると幅の狭い枝尾根の上に出る。その向こう側は屈曲した黒蔵谷の滝上側が下の方に見える。最後懸垂下降を交え沢床に降り立つとすでに17時を回っている。目の前のごく狭い河原状の場所を今晩の寝床とする。

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(↑この日のビバーク地)
 砂地っぽいところを均して寝る場所を作り、その上にタープを張る。私が買ったタープのデビューだ。乏しい枯れ枝を集めて焚き火を熾す。
 ザックの荷物を広げると、中の荷物が軒並みビショビショに濡れていた。うわわ。いつもと同じように防水袋に入れていたのだが、連続する泳ぎで浸水してしまったようだ。着替えまで濡れてしまった。気が滅入る。
 今夜の食事担当は私。焚火缶で生米からご飯を炊くのだが、翌朝の分と合わせて4合いっぺんに炊く。燃える焚き火の上に直接コッヘルを乗せると火力が強すぎるからと、YT川さんはコッヘルを吊るすための生木を立てる。生木だと燃えにくいからだ。ベテランYT川さんのこういう技術を見ていると本当に勉強になる。
 炎から適度な距離を置いてコッヘルを吊るしてご飯を炊く。強すぎない火で時間をかけると美味しく炊き上がるのだ。その間に、ウインナーを炎で炙って食べる。濡れてしまった服や装備を火のそばに置いてとにかく少しでも乾かす。
 ご飯のおかずは、先の赤石沢で作ったものと全く一緒の野菜の肉みそ炒め。ナス、ピーマン、エリンギを油で炒めて、市販の肉みそダレをからめて出来上がり。前回はご飯の量に対しておかずが足りなかったので、今回は多めにした。
 寝不足と疲労から横になるが、たき火で少しは乾いたとはいえ、しっとりと湿った服ではやはり寒い。それに標高が低くて寒くはないと思っていたけれど、未明はけっこう寒かった。水のそばだからかもしれない。それでもここ最近の関東甲信の沢の泊りよりは気温は高い。

■8/3(土) 黒蔵谷遡行~野竹法師970mピーク~高山谷下降(325m地点付近)
 ★5:00起床~7:00出発~7:10第3支流出合~<上ノ廊下>~7:45斜滝8m下~10:55涸滝35mのある最奥の二俣~11:50野竹法師970mピーク到着~12:30ゴンニャク山方面へ下山開始~13:15高山谷左俣に下降~17時頃325m地点付近ビバーク地<泊>★

 5時に起床。消えている焚き火を再び熾す。ご飯は前夜炊いたものが残してあるので、お湯を沸かしてお茶漬けにして手早く朝食を済ませる。寒かったせいもあり、夕べもぐっすりとは眠れなかった。現地入りの夜と、連続して寝不足が続くと身体に堪えそう。
 ゴルジュを歩き出すとすぐに左岸から幅の狭い滝となって第3支流が出合う。

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(↑第3支流出合)

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 やがて上ノ廊下らしきゴルジュに入る。その途中、斜滝8mでは、YT川さんのリードで水流右側を登って越える。ここの登攀はリードするとなるとちょっとキビしそう。

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(↑斜滝8mをリードするYT川さん)

 沢が開けて河原に出るので、上ノ廊下を通過したのが分かる。
 ここから先は泳ぐ場面があったかちょっと覚えていないけれど、ゴルジュが延々と続くようなところではなく、何か所か石垣の残るところを歩いていく。

P8030081

(↑石垣)

 そんなところをずっと歩いていくが、遡行図中の520m奥ノ二俣はよく分からないうちに通過したようだ。
 水流がますます減ってきて、遡行図に涸滝35mとある二俣の両方に涸れた滝のかかる場所に出る。ここは正面に見える中間の小尾根に取り付く。ここを登って行けば野竹法師のピークに行き着くはずだ。

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(涸滝のある最奥の二俣)

 急な斜面だが、灌木が程よく生えているので、それを掴みながらぐいぐいと登って行く。K寅さんにはこの登りがちょっと堪えたようだ。
 傾斜が緩んできて、その先の樹間越しに稜線らしきものが見える。ピークが近いはずだ。こうして数100m木々の間を登って行くと、お昼前に野竹法師970mピークに到着。
K寅さん達も登って来て、黒蔵谷の遡行成功を祝って握手を交わす。ほとんど展望のない山頂は暑い。着ていた服を脱いで休息をとる。

P8030085970

(↑野竹法師山頂)

 さて、今度はお隣り高山谷の下降だ。まずは、野竹法師からゴンニャク山に至る緩やかな尾根を10分ほど歩く。ゴンニャク山のピークらしきものが目の前に近づいてくると、右手は人の手が入っているらしき植林帯が下に広がっている。稜線から離れ、植林帯を適当なところから真下に向かって下って行く。植林帯の中には何となく踏み跡らしき石がゴロゴロしたところもある。植林帯を抜け、小尾根状の樹林を下って行く。地形図を見ると山道があるようだが、それは無視して、高山谷の左俣(標高380m付近で二俣となるところを右俣および左俣とする)を目指して、斜面下に向かって気持ち左に向かうように30分ほど下っていくと水の流れる沢床に歩いて降り立つことができた。ここが高山谷の左俣だろう。

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(↑高山谷左俣に降り立つ)

 高山谷を下降していく。しばらくはそれほど顕著な滝は無い。無い代わりに、小滝では釜にドボンと飛び込む。落ち口がスラブ状になっていると、ウォータースライダーのように滑り落ちて水の中に飛び込む。これが楽しい。途中の3mほどのスライダーでは落ち口に立ったとたんに足が滑ってそのまま釜にドボン。釜に落ちたら泳ぐ。ライジャケがここでも活躍する。地形図に記された滝では懸垂下降。

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(↑ウォータースライダー)

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(↑懸垂下降するK寅さん)
 右俣と出合い、地形図上の山道と交差するところもよく分からないうちに通り過ぎる。おそらく地形図上の325m地点付近の沢が屈曲する小尾根の中の樹間の平坦な場所を今夜の寝床とする。
 ここは枯れ枝が豊富にある。タープを張って、焚き火を熾す。YT川さんがしばらく釣りをしたが、ウグイらしき魚を6匹ほど釣ったそうだが、どれも小さいので逃がしたそうだ。
 ご飯を炊いて、YT川さんが用意した寿司太郎を食べる。気づくとヒルがいた。枯れ葉の裏に潜んでいるそうだ。それを聞いて、私は辺りの落ち葉をかき集めて、焚き火の周りに山のように積んだ。枯れ葉もよく乾いているのでメラメラとよく燃える。これで少しはヒルを駆除できたかも。
 この晩は、前夜ほど寒くなかったのは良かったのだが、身体中が痒くて痒くて仕方なかった。ヒルが服の中に潜り込んでいるのではないかと心配になり、夜中に起き出してシャツを脱いでみたりした。翌朝皆に聞いてみると、彼らも痒かったそうだ。

 そういえば、今回は両生類やら爬虫類をたくさん見た。前週の中アではたくさん花を見たのとは対照的だ。水が溜まったところにはオタマジャクシがたくさんいて、そのせいかガマガエルもけっこういた。イモリだと思うが、これも踏みつけてしまいそうになるほどたくさんいた。
 初日は鹿を1頭目撃したし、3日目にはとぐろを巻いたマムシもいたので、その近くを静かにとおり過ぎた。
 やはり3日目の山道を歩いている際は、管理されている気配のない養蜂箱があり、実際ミツバチが群れているものもあった。山道のトンネルではコウモリも。
 私は結局釣りはしなかったのだが、YT川さんによると、下流部はヤマメ(たぶん放流されたもの)、上流にはウグイという魚がたくさんいた。

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(↑マムシ)

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(↑ガマガエル)

■8/4(日) 高山谷下降~黒蔵谷右岸山道を経て下山
 ★5:00起床~6:45出発~<八丁涸漉(はっちょうこじか)>~9:20黒蔵谷出合~9:35黒蔵谷右岸山道への踏跡~10:00水平道~10:30長いトンネル~11:35短いトンネル~11:45大塔川との出合~12:00大塔川林道帰着~12:20ホイホイ坂林道分岐駐車スペース帰着 温泉に寄り、東京へ帰る。★

 最終日の3日目。5時に起きる。焚き火は着火剤を使う必要はなく、YT川さんが何度か息を吹きかけると再び火が熾った。熾火が残っていれば着火剤を無用に使うことはないようだ。朝食を済ませて出発。今日もよく晴れている。河原を歩いていくと、地形図上の八丁涸漉という辺りを通る。途中伏流になっているところがあったので、そこが八丁涸漉なのかどうか分からないが、あとでネットで調べたら八丁涸漉変質帯という特徴的な地質構造が地面に現れている場所のようだ。
 最終日も泳ぎまくり。下降するにつれ水量が増してくるので泳ぐ距離も長くなってくる。途中の滝では左岸を懸垂下降し、釜の中に降り立つ。

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(↑泳ぐK寅さん)

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(↑この滝は懸垂下降)

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 やがて黒蔵谷との出合に着く。一昨日通ったところだ。この付近に地形図上の山道に至る踏み跡があるはずで、初日にYT川さんが目星を付けておいた踏み跡入口に取り付く。20分ほど急な山肌を登って行くと、水平の山道に出た。
 この山道を辿って大塔川まで戻るのだ。ところどころ崩壊したところがある。地形図上386m地点付近を通るトンネルがあり、中を歩いて行くとたくさんのコウモリが驚いたように飛び回っていた。

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(↑長いトンネル)

 さらに進んで行くと、もう一つの短いトンネルがあるはずなのだが、その少し手前で崩壊地を通過する際に山道が不明瞭になる。地形図を見て、山道は下の方に続いているかもしれないと思ったのだが、YT川さんの神がかり的なルートファインディングで斜面を上に登って行くと、中段の養蜂箱のある水平部を経てさらに上にある山道に出ることができた。その先で山道はロープが張られたところを下っていくので、崩壊したところの上部に造られた巻き道のようだ。こんな迂回路は地形図に乗っているワケないのだが、それを見つけてしまうYT川さんはスゴい。
 短いトンネルを抜けて、斜面を下って行くと大塔川に降り立つ。

P8040131

(↑短いトンネル入口)

 広い河原を歩いて何度か浅い渡渉をして林道に戻るのだが、山道を歩く前にアプローチシューズに履き替えていたYT川さんを、K寅さんと私が交互におぶって渡渉する。お世話になったYT川さんにせめてこれくらいしないと。

P8040136

(↑大塔川)
 こうして林道に帰着。20分ほど歩くと、車を停めたホイホイ坂林道分岐に戻れる。黒蔵谷の遡行も高山谷の下降も、きっちりこなすことができて良かった。

 車で川湯温泉方面に戻り、トンネルを抜けた先の渡瀬温泉へ。露天風呂がいくつもある温泉で疲れた身体を癒す。さて、ここから東京に帰るのだが、来る時と同様長くて大変だった。途中の道の駅の食堂で遅い昼食をとりつつ、尾鷲経由で下道を走る。道中、熊野古道の標識をたくさん見かける。世界遺産に指定された熊野古道がどこからどこまであるのか知らないけれど、紀勢道が延伸中のところを見ると、世界遺産効果は大きいようだ。YT川さんは数年前にこのあたりの川をカヌーで下ったことがあるそうだ。
 紀勢道から伊勢道、東名阪道~伊勢湾岸道~東名道~新東名道~東名道と、K寅さんと私が交互に運転して高速道路をひた走る。東名川崎で下りて、K寅さんの家に着いた時には0時を回っていた。さらにYT川さんを埼玉県の家まで送ったので、私が自宅に戻ったのは深夜2時半頃。ああ眠い。疲れた。
 3時間ほど寝た月曜日の朝、汚れた服や装備を洗濯したり干したり、取った写真をグーグルにアップしたりして慌ただしく過ごしてから職場に向かう。

 期せずして南紀の名渓に行く機会に恵まれ、天気にも恵まれて2泊3日できっちりと沢登りできた。冷たすぎない水で泳ぎを堪能できたし、これぞウォータークライミングといった感じだった。
 下降に高山谷を使うのはおススメだ。黒蔵谷を遡行して、林道を5時間くらいかけて戻れば1泊2日も可能だろうが、長い林道歩きをするくらいなら、2泊3日の行程で高山谷を下降するしたほうが断然面白いし、黒蔵谷右岸の山道もトンネル通過などが面白い。

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