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山形県 黒伏山南壁 中央ルンゼ ◆東北クライミングツアー③

2013.921(土)~23(月)  東北クライミングツアー

 東北ツアー3日目は、黒伏山南壁にある中央ルンゼでマルチピッチクライミング。

■9/23(月) 山形県 黒伏山南壁 中央ルンゼ マルチピッチクライミング

 黒伏山の南壁は、「日本の岩場 上」(白山書房)や2007年の岳人誌で知ってから、いつかは行ってみたいと思っていた。今回、O前さんからあっさりとその話が出て、なかなか実現できなかった黒伏山の登攀が急に目の前に現れたワケだ。
 それに、U松さん達東北クライマーが一緒なので、岩場取付までのアプローチで迷う心配がないのは大きなメリットだ。

 前夜酒盛りをした6人は、暗いうちに起き出して、5時半過ぎには車で出発。ジャングルジャングルというスキー場の駐車場まで車で行くのだが、30分とかからない。近いものだ。スキー場の反対側に黒伏山の南壁がどーんと迫力を持ってぶっ立っているのが眺められる。あの壁を登るのだ。

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(↑スキー場駐車場。奥に黒伏山南壁を望む)

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(↑黒伏山南壁)
 南壁の左上には大ピナクルと呼ばれるピークが見える。南壁は特に上部がブッシュに覆われているところがほとんどなのだが、このピークの右下側にある中央ルンゼだけはほぼ稜線近くまで岩が露出している。岳人誌の記事では、中央ルンゼルートのみがほぼ登攀対象となっているらしい。そのほか、三十路ルートや天の川というルートもあるようだ。

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 駐車場近くから林道に入り、すぐに草に覆われた踏み跡を下りて、単管パイプで造られた橋を渡る。林道から朽ちた標識のある左手斜面を登ると、森の中に登山道が続いている。しばらく登ると、そのあとはアップダウンの少ない道になる。
 駐車場から50分ほど歩いただろうか。キビタキの池という水たまりのような凹地から岩場取付までは10分ほどだが、行きではキビタキの池に至る手前の涸れ沢から詰めて左手に進んで取付きに行った。樹林の向こうに岩場が見えるので、迷うことはなさそうだけれど、通常はキビタキの池経由で行ったほうが無難だろう。

 南壁に出ると、すぐ目の前が竜王ルンゼルートの取付だ。我々6人は、2人ずつ3パーティーに分かれて登る。ルートを知っているU松‐T村さんPが先行して取り付き、O前‐私Pが続く。3番手のH野‐T橋さんPは、3P目まで中央ルンゼルートと共通で、その後は左に分かれて三十路ルートを目指す。

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(↑中央ルンゼルート取付から見上げる)

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(↑取付で登攀の準備をする皆さん)

 先行のU松さんPは、T橋さんのリードで登攀開始。50Mダブルロープを結んで我々も登り始めたのは午前8時過ぎ。奇数ピッチを私、偶数ピッチをO前さんがリードすることにした。以下、ピッチ長、グレードは「日本の岩場 上」による。

■黒伏山南壁中央ルンゼルート 9ピッチ(5.10b)

○1P目(30m,Ⅴ+)リード私
 少し登ったところで1ピン目のランナーが取れる。中盤のピンが短い間隔で打たれたところは微妙で悪い。その後、右手に残置支点のある岩のチムニー状を登り、その先の支点まで。さらに上側にはペツルの立派な支点があるのだが、先行Pが使っているので、我々はここでピッチを切る。

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(↑1P目をリードする先行PのT村さん)

○2P目(30m,Ⅲ)リードO前さん
 ここはⅢ級なので易しかったと思う。ここを登ると三人テラスというちょっと開けたところに至る。

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(↑2P目リードのO前さん)

○3P目(40m,5.8)リード私
 右上に向かって上がり、そこからボルトが短い間隔で打たれた直上部分が悪く、足元のボルトを一度踏んで使ってしまった。そこから、左トラバースするところはフリーでイケた。このあたりが5.8ということか。抜けたところでピッチを切る。このルートはピッチ支点ごとにペツルがきちんと打たれている。前後に古く錆びたリングボルトの支点もあるけれど、探せばペツルがあるはずだ。ルート中も残置が豊富。

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(↑3P目をリードする先行PのT村さん)

○4P目(50m,Ⅲ)リードO前さん
 いよいよ中央ルンゼの中に入って行くという感じのピッチ。50mいっぱい伸ばして右上していく。

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(↑4P目リードのO前さん)

○5P目(18m,Ⅲ+)リード私
 短めのピッチ。傾斜の緩い広い斜面で、どこでも登れそうに見える。並行して登れるので、先行のT橋さん達に追いついてしまい、このあとしばらく待つ。

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(↑5P目をリードする先行PのT村さん)

○6P目(35m,Ⅴ+)リードO前さん
 脆くて崩れそうな岩がグレード以上に難しく感じさせる。右上から左上に抜けるようなラインだったと思う。

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(↑6P目リードのO前さん)
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(↑三十路ルートを登るH野‐T橋さんP)

○7P目[前半](5.8)リード私
 すぐ先に垂壁があり、ここが5.8のようだ。事前にT村さんから、ここ7P目が崩壊しているから登れるかどうか分からないと言われたけれど、U松さんによると、新たにボルトが打たれており登れるとのことだった。
 この垂壁のすぐ上で先行のU松さんPがピッチを切ったので、我々もルート図にある25mも登らず、その半分くらいでピッチを切る。
 で、この垂壁部は、崩壊前はフレーク状のガバを伝って快適に登れたそうだ。それが崩れてしまったそうだが、新たに表れたらしい左サイドが効くので、ルート図にある5.8というグレードが難しくなったという感じはしない。というか易しい。
 しかしムーブそのものよりも、冷や汗モノだったのは、垂壁抜け口の板状の岩が剥がれかけて浮いていたことだ。本を立てたように層状の岩が壁に張り付く感じであり、その一部が過去に剥がれたらしいが、抜け口の畳サイズの岩(厚みは20㎝くらいか)の中央に亀裂が入り、観音開きの扉がわずかに開きかけたようになっている。
 垂壁下から見上げると、抜け口左手がその岩で、亀裂は視認できるが、開きかけの観音開き扉だとは登った後でないと分からない。先行したT村さんに注意するよう教えてもらったから良かったものの、知らずにこの岩に手をかけたら間違いなく崩落して下敷きになっていただろう。この岩に触れないように右寄りのリップを乗り越える。
 この観音開きの岩だが、誰もいない間に自然崩落してくれれば良いけれど、あの様子では崩落も時間の問題かも。
 なお、6P目までは緩々のシューズを履いていたが、このピッチからは背負ってきたソリューションに履き替える。キツキツサイズなので、ビレイ時は脱いでおく。

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(↑7P目[前半]垂壁部を見上げる)

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(↑垂壁部抜け口の浮いた板状の岩は写真中央から右上寄りにある)

○7P目[後半]リードO前さん
 垂壁のパートで短くピッチを切ったので、残りの部分をO前さんがリードする。正午になり、先行PのU松さん達はここ7P目終了点で登攀を終えて下降すると言う。

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(↑7P目[後半]リードのO前さん)

○8P目(40m,天の川ルート)リード私
 7P目終了点から頭上には広くブッシュまじりの岩場が続いている。頭上は比較的ブッシュが少ないが、右手の方はブッシュが濃い。U松さんによると、直上するのは天の川といるルートのラインらしい。中央ルンゼのラインは右手にあると思うのだが、ブッシュが濃いので直上することにした。一か所、小ハング気味を超えるところが悪く、ペツルにかけたヌンチャクでA0して突破。チョンボは3P目に続き2回目。

○9P目(40m,5.10b)リード私
 最終9P目も私がリードさせてもらう。ここは5.10bの箇所があるらしい。
 中央ルンゼルートに戻るため、右手にトラバースしていく。ガバが豊富で易しい。そこから直上が5.10bだ。カチやパーミングなどで慎重に登っていく。ヌメる手にチョークを付けたり、ホールドにもチョークを付けたりして、核心を超えてガバをキャッチ。こうして、この5.10bのピッチはオンサイトできた。
 ブッシュ帯の中の岩にペツルが打たれているので、そこで終了とする。ルート図によると、あとは100mほどブッシュを登ると稜線で出られるらしいく、黒伏山の反対側に下りる登山道に至るそうだ。
 我々は登って来たルートを懸垂下降するので登攀はここまで。時刻は12時半頃。先行Pの待ち時間を除けば、4時間かかっていないはずだ。悪くないスピードかな。

 O前さんが先行して懸垂下降を続ける。6回くらい懸垂しただろうか。取付では、先に下りたU松さん達が待ってくれていた。しばらくしてから、三十路ルートを途中まで登ったH野さん達も下りて来た。
 往路を戻りスキー場駐車場へ。途中、登山道わきにキノコが生えていた。O前さんによると、イグチとのこと。傘の裏がスポンジ状になっているのが特徴だ。美味しいハナイグチという種類ではないそうだが、食べるためにいくつか摘んでおく。このイグチは翌朝、味噌汁の具にして食べた。トロトロした感じ。

 お世話になったU松さんと駐車場で解散。宮城県に出て、東北道へ。福島県内でこれまたお世話になったT村さんを下ろす。その後もずっとO前さんが運転してくれて、夜遅く埼玉県内でO前さんと解散。O前さんにもお世話になりました。
 こうして、3日間の東北ツアーを終了。ドライツーリングに始まり、行きたかった山寺でフリークライミング、これまた行きたかった黒伏山のマルチピッチルートも登ることができ、満足の3日間となった。
 機会があればアイスクライミングでこちら方面にまた訪れたいものだ。

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