« 四国・大堂海岸 クライミングツアー2 (3日目)帰れずエリア、(4日目)お座敷エリア・彫刻岩 | トップページ | 「ダスキン多摩」5.12c RP、「ヴァージンキラー」5.12a RP 伊豆・城山 ワイルドボアゴージ »

四国・大堂海岸 クライミングツアー3 (5日目)最果てのエリア「SECRET AGENT MAN」

2013.12.28(土)~2014.01.01(水)
 四国・高知県は大堂海岸で5日間、クラッククライミングを満喫してきた。
 5日目(1/1)は、最果てのエリアにあるSECRET AGENT MANを登攀した。

■1/1(水)
 新年明けましておめでとうございます。
 2014年の元日。大堂海岸ツアーも5日目となり今日が最終日だ。
 前日、H内さんは鳥取のTJさんとともに、最果てのエリアにあるシークレットエージェントマンを登ったのだが、その際、懸垂下降で用いたロープが回収できなくなったのと、カムも一つ回収できなくなったという。
 そこで、TJさんは鳥取に帰ったのだが、H内・Y和・私の3人で再び最果てのエリアに行くことになった。SECRET AGENT MANは70mロープを使って波打ち際の取付まで懸垂下降するという、アプローチからして本チャンなルートで、H内さんが日本離れしたルートだと言っていたので、果たして私の力量で登れるかどうか心配だ。
 前日、H内さん達が最果てのエリアにやってきたのはすでにお昼近くだったらしいが、その時すでにK島さん・H原さんパーティーが登はんを終えて2ピッチ目をユマーリングしているところだったと言う。朝まだ暗いうちからやって来たそうだ。
 登はん自体はH内さんと私の2人なので、Y和さんには懸垂下降途中の壁の中にある小さな洞窟状の凹みに座って待機してもらい、2人が登る様子を撮影してもらうことにした。

○「SECRET AGENT MAN」2P(1P:5.11a、2P:5.8)
 アプローチは、帰れずエリアやお座敷エリアに至る四国のみちの水平道をそのままずっと歩いて行く。30分くらいは歩くだろうか、結構長い。四国のみちと分岐するのかどうかよく分からないが、右手に向けて少し急な道を下って行く。日本100岩場の案内図で、釣師の道とある道だ。すぐに水平になると最果てのエリアへの下降点は近い。前傾壁エリアへの下降点もこの付近らしい。

P1010169
(↑釣師の道からの下降点)

[懸垂下降]
 石が積んであったり、木にテープが巻かれたところがあり、そこが釣師の道からSECRET AGENT MANへの下降点だ。ここでザックなど不要な荷物を残し身支度を整える。立木に懸垂下降のロープをセットする。まずは樹林帯の中を斜めに降りていくのだが、けっこう急なのでこうしてロープで確保したほうが無難だ。
 前日残置した懸垂下降用ロープが張られたところに着く。そばの岩にテーピングテープでSAMという文字が貼り付けてある。もちろんSECRET AGENT MANの略だ。

P1010212samsecret_agent_man
(↑SAMはSECRET AGENT MANの略)

P1010174
(↑樹林帯から懸垂下降するH内さん)

 ここからすぐ下はいよいよ海面までの断崖だ。まずはH内さんが懸垂で降りていく。続いて私も懸垂下降する。樹林帯を出て、すぐに垂直の断崖に出る。はるか下方では波が岩を打ちつけている。上も下も花崗岩の岩壁が大きく広がっている。これまで訪れたモンキーエリアや帰れずエリアが小さく思えるほどの高度感だ。
 するとちょっと左下でH内さんが壁の中にいる。懸垂下降のロープを解き、カムでセルフビレイを取って、凹み状のところに待機している。位置としてはSECRET AGENT MANの2ピッチ目の途中らしい。H内さんは、続いて降りてくるY和さんとやり取りがあるので、まずは私がこのまま先に波打ち際の取付まで降りる。

P1010176
(↑海面ははるか下)

P1010177
(↑東側の眺め)

P1010180
(↑H内さんが上に見える)

 上に見えるH内さんの姿もどんどん小さくなっていく。周囲の壁の巨大さに圧倒される。こんなヤバいところに本当に来てしまって良かったのだろうかと思ってしまう。壁の右のほうを見ると、SECRET AGENT MANに間違いない見事なクラックが走っており、その右手には何メートル張り出しているだろうか、巨大なルーフの岩が突き出ている。こんな岩が日本にもあるのだ。

P1010181
(↑このコーナークラックを登るのだ)

P1010182
(↑懸垂下降はコーナーから写真で右二つ隣りのクラックを目指す)

P1010184
(↑こんな巨大なハング岩も)

 海面がどんどん近づいてくる。H内さんには、SECRET AGENT MANのクラックから、2本左側のクラックを目指して降りて行くように言われていた。懸垂下降で用いた前日残置したロープは60mで、海面の取付までは若干長さが足りず、もう1本つないである。そのつないだロープの余った束が波打ち際の岩の間に挟まって回収できなくなったようだ。
 懸垂下降時のロープの結び目の通過だけれど、波打ち際から1段たかいちょっと立てそうなところだったので、そこで下降器をセットし直せた。波打ち際までは、ちょっと危ないけれどクライムダウンできないワケではないから、60mでも降りられないことは無いのかもしれないけれど、懸垂のテンションを解けばロープ末端は上まで上がってしまうし、日本100岩場にもあるとおり70mロープが無難だろう。

P1010185
(↑波打ち際に降り立つ)

P1010186secret_agent_man1p511a2p58
(↑取付から上を見上げる)

[残置ロープ回収]
 懸垂下降にあたり、私はアプローチシューズはザックとともに釣師の道に置いてきた。余計な荷物になるからだ。キツいクライミングシューズをずっと履いているのは痛いので、裸足で樹林帯の中を歩くのもイヤなので、懸垂時は靴下の履いて降りた。この靴下作戦はけっこう良い。汚れるけれど。
 ロープを解き、波打ち際の岩に挟まったロープの回収を試みる。連結したロープは余りが長すぎてそのままにしておくと、このように岩にひっかかってしまうのだろう。波の当たらないもっと高い位置に束にしてぶら下げておく工夫をすると良かったのかも。

 屈んで足元の岩に引っかかったロープを引っ張っていると波が来て、靴下が濡れてしまった。靴下が濡れるくらいは構わない。ロープの引っ掛かりはずいぶん解消されたけれど、1ヵ所だけ細いクラックにひっかかったままだ。これを回収しようとしていた時に、ザブンと大きな波をかぶってしまい服がビショビショに濡れてしまった。これには驚いてしまった。ヤバい。岩角にぶら下げておいたギアラックが波に流されてしまっていないかと見ると、ビショビショに濡れていたけれど無事だった。クライミングシューズは濡れてしまった。そして、チョークバッグも完全にビショビショになり、中のチョークボールを握ると白い水がドボドボ垂れてきた。完全に水没…。もう少し高い波だったら、身体ごと海に引き込まれていたかもしれない。怖くなって、波を避けるため少しでも高いところに上がって、カムでセルフビレイを取った。身体が濡れてしまいガタガタと寒くなってきた。正直、これからクライミングするような気分では無い。
 ガタガタと震えながら待っているとH内さんも下りて来た。H内さんは波打ち際まで降りず、一段高いところで懸垂を終える。「○○(私)、ロープ回収お願い~。」というH内さんの気軽な指示に従って、引っかかったロープを回収するため、再び波をかぶる心配があったけれど、ガタガタ震えながら回収する。ナッツキーを使って引っかかったロープを突くと外れた。やった、ロープの回収に成功。すぐにH内さんのいる一段高いところに上がる。幸い波を再びかぶることはなかった。

P1010189
(↑H内さんも降りてきた。写真横向き)

 気が付くと、上方にいあるY和さんが懸垂で使ったロープをすべて引っ張り上げてしまった。我々2人の手元にロープが一切無くなってしまい驚いてしまった。H内さんがY和さんに声をかけて再びロープを下ろしてもらうが、風で横に流されてしまう。連結したロープを束にして錘として、今度はまっすぐ下ろしてもらいようやくロープを引き寄せられた。ほっ。

P10101911
(↑ロープをさばくH内さん)

P1010193
(↑上を見上げる)

[1ピッチ目]
 「○○(私)、リードがんばってね~。」とH内さん。濡れて寒くて仕方ない私はフォローでもユマーリングでも良いから、この状況から脱したかっただけなのだが、リードしないワケにはいかないようだ。
 H内さんの分のカムなどギアを受け取り、ロープを結んでクライミングシューズを履く。波をかぶる危険を考えると懸垂下降は一段高いここまでにするのが正解だ。右方のSECRET AGENT MANのクラックまでのトラバースは難しくないので。
 ということで、重い気持ちのままリード開始。トラバースしてクラックに取り付くと、いきなりフィストよりも広い幅で、私の力量ではまともに登れない。4番などのカムを突っ込み、とにかくテンションしまくる。「登れない~」。ここではカムにテンションして、すぐ上にカムをセットすると、そのカムを掴むか、岩をにじり上がってそのカムにテンションする亀のような遅さで登っていった。とにかくA0しまくりだ。ここでずいぶんと時間を使ったはずだ。
 やがてクラックが狭まってくる。A0しまくりだったものが、少しはジャミングできるようになってきたので、数手登ってはセットしたカムにセルフを取って休むくらいになりペースがあがってきた。必死なので気づかなかったが、服も少しずつ乾いて来たようだ。傾斜が変わるとH内さんの姿が見えなくなった。上のカムをセットすると、下のカムを回収することもしばしば。すべて残しておいたら、手持ちのギアがたちまち足りなくなってしまうからだ。
 傾斜が緩くなってきて、またクラックも広がって、クラック内だけでなく、フェイスにもホールドが拾えるようになってきた。こうなると精神的にも余裕が出てくる。上のほうに待機しているY和さんの姿が見える。1ピッチ目の終了点と言ってもボルトのような残置物は一切無いので、適当にどこかでピッチを切ってカムで支点を作るしかない。Y和さんのところまではまだずいぶん距離があるし、残ったカムの数を考えるとそろそろ切っても良さそうだ。
 身体の幅くらいに広いところのダブルクラック状で3つずつ計6つもカムを突っ込んでビレイ支点を作った。30mくらいは登ったのだろうか。ようやく一息付けた。疲れた。このピッチに1時間以上かかったようだ。

19
(↑私。Y和さん撮影)

21

22
(↑そろそろピッチを切る)

23

24
(↑ここで1P目を切る)

P1010199
(↑ビレイ支点にカムをきめまくる。写真横向き)

 フォローのH内さんをビレイしながら、写真を撮る。頭上のY和さんや姿が見えてきたH内さんを写真に収める。抜群の高度感だ。はるか直下には岩に打ち付ける波、眼前には太平洋が広がり、周囲はすべて花崗岩だ。

25
(↑H内さんが登ってくる)

28
(↑ビレイしながら撮影する私)

P1010206
(↑H内さん。私が撮影)

P1010209

P1010210

[2ピッチ目]
 H内さんは残置されたカムをハンマーで叩いて回収できたという。これで人工物を一切残さず回収できた。H内さんに労いの言葉をかけられて、2ピッチ目も私がリード。ここからはクラックのジャミングではなく、凹凸の大きい岩をぐいぐい登っていくフェイス登りができるので、クラックよりははるかに得意分野だ。Y和さんのところにたどり着く。
 Y和さんからもう1本のロープを受け取りバックロープとする。Y和さんのいるところを通過し少し登るとすぐに砂地状の斜面だ。ここは滑りそうなので懸垂ロープをゴボウで登り返した。このセクションはユマーリングするパーティーも多いらしい。
 樹林帯に入り、先ほど懸垂下降ポイントにたどり着きセルフビレイ。やった、無事生還できた。バックロープでまずはY和さんがフォローで登ってくる。続いてH内さんをビレイする。樹林帯の中を斜めに張ったロープを辿って登り返し、ザックを残置した四国のみちに無事帰着。よかった~。時刻は15時頃。思っていたより早く戻って来られた。

30
(↑2P目は易しい)

32

33
(↑カムもきめて)

 荷物をまとめて、四国のみちを歩いて行く。どこかでぶつけたのか左ヒザが痛む。必死で登っていたから気づかなかったけれど、どこかで打ったのだろうか。痛みを我慢して歩いて行き駐車場に帰着。
 私はこの日の19時に宿毛(すくも)駅を出発する高速バスで東京に帰ることになっている。まだ時間があるので一昨日も行った温泉施設で汗を流し、それから宿毛駅に向かった。H内さんとY和さんは今夜宿毛で泊まってから、明日松山まで移動しレンタカーを返却して解散するという。
 H内さん達と別れ、駅近くのモスバーガーで夕食を済ませてから、やって来たバスに乗り込む。あとは明朝には新宿に着くまで寝ていよう。この日の便は空いているだろうことは想像がついていたけれど、乗客はたったの4人だけだった。真ん中の通路を越えて向かい側の座席まで足を延ばして完全に横になれたためか結構寝られた。

 明けて1/2(木)。定刻より1時間ほど早い朝7時半頃に新宿駅西口に到着。痛む左ヒザを引きづって電車を乗り継ぎ、5日ぶりに帰宅。まずは汚れた服を洗濯する。ポチ袋をお札を用意して親の家に行く。お正月ということで兄妹達が親のところに集まるので、甥っ子達にお年玉をあげた。皆で食事をすると、午後はこたつでごろごろして過ごした。
 つい昨日まで大堂海岸で連日クライミングをしていたので、その時登りまくったのと、こたつでまどろんでいる今を比べてちょっと不思議な気分になった。脱力感かな。

 今回の大堂海岸ツアーでは、ツアーを呼びかけたH内さんを始め、バスの予約をしてくれたりとメンバーの皆に感謝。私にできることは、登れそうなルートにトップロープを張るくらい。
 でも、ずっと天候にも恵まれ大堂海岸の解放感抜群の岩場で連日登りまくり、美味しい食事とお酒も楽しめ、良いメンバーと他のクライマーとも出会え、充実したツアーとなった。

« 四国・大堂海岸 クライミングツアー2 (3日目)帰れずエリア、(4日目)お座敷エリア・彫刻岩 | トップページ | 「ダスキン多摩」5.12c RP、「ヴァージンキラー」5.12a RP 伊豆・城山 ワイルドボアゴージ »

クライミング」カテゴリの記事

コメント

本当にこのエリアは「無事生還」っていう感じですね。すばらしいルートですけれど。お疲れ様でした。

さちさんもお疲れさまでした。

お久しぶりです。
1年前に自分が貼った“SAM”の写真を偶然見つけて少し感慨深です。
僕が行った時は波はとても穏やかで寝転がれたのに。。

yabuさん、おひさしぶりです。
最果ての地の目印の主がyabuさんとは偶然というか、クライミングの世間は狭いものですね。

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/1219264/54538638

この記事へのトラックバック一覧です: 四国・大堂海岸 クライミングツアー3 (5日目)最果てのエリア「SECRET AGENT MAN」:

« 四国・大堂海岸 クライミングツアー2 (3日目)帰れずエリア、(4日目)お座敷エリア・彫刻岩 | トップページ | 「ダスキン多摩」5.12c RP、「ヴァージンキラー」5.12a RP 伊豆・城山 ワイルドボアゴージ »

2016年12月
        1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 31
無料ブログはココログ