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春分の日の3連休 名張・瑞浪ツアー

2014.03.21(金)~23(日)
 春分の日の3連休は、三重県の名張と岐阜県の瑞浪でクラックを登ってきた。どちらの岩場も私は行くのが初めて。メンバーは所属山岳会のHUさんとKM田さん、私、それから北アの山小屋で働くY和さんの4人で、年末年始に大堂海岸に一緒に行った顔ぶれだ。
 東京から三重の名張はとにかく遠いし、第一岩壁というエリアに行くには冷たい渡渉を強いられ、おまけに金曜日は雪が舞うほどの寒さ。けれども、そこにあるクラックは立派だった。一方、瑞浪の岩場は丘状の山の中に岩が点在しておあり、春の陽気の中で登ることができた。

■3/21(金) 名張の岩場・第一岩壁1日目
 木曜日夜、私の車で東京多摩地区を巡り、HUさん達と合流。国立府中ICから中央道に乗り三重県を目指す。出発地が都心寄りだと東名道に乗ったほうが速いけれど、多摩寄りだと中央道から行ったほうが良いらしい。しかし、6月開通予定の中央道~東名道間の圏央道によって、車の流れが大きく変わるだろう。
 諏訪湖SAでHUさんに運転を替わってもらったあとはHUさんがずっと運転してくれて、日付が替わった深夜3時を過ぎて目を覚ますともう名張市内に着いていた。中央道から名古屋の環状道路などを経て、東名阪道から亀山を通ったようだ。
 名張の岩場は名張市街の南方にあって、青連寺湖を経て数㎞行った香落渓(こおちだに)という渓谷沿いにある。
 夜通し運転してきたので朝までしばらく寝るため、土曜日に泊まる予約してある赤目四十八滝キャンプ場に行く。キャンプ場自体は冬の閉設期間中らしいのだが、お願いして泊めてもらうことができた。
 まだ暗い4時頃にキャンプ場に着くと、駐車場に男性がいて声をかけてきた。この日から釣りが解禁されるそうで、こんな朝早くからここにいるらしい。アマゴが釣れるそうだ。釣ったら何匹があげるというので、仮眠して朝になったら魚をもらう約束をする。誰もいないキャンプ場にそそくさとテントを2つ張ってすぐに寝る。あたりは雨後で濡れているし、思っていたよりとても寒い。明日の天気もアヤしい。

 今回の名張ツアーのため地図を見た際に、赤目四十八滝という地名を見つけた。キャンプ場からさらに奥に行ったところにこの名の観光地があるらしい。きれいな渓谷を散策できるようになっているようだ。香落渓から見ると、山を一つ隔てた隣りの谷という位置関係だ。
 私が地図を見た時に思い出したのは車谷長吉の「赤目四十八瀧心中未遂」という直木賞を受賞した小説。私は読んだことはないのだけれど、KM田さんは読んだことがあるそうで、今回せっかく名張まで行くのだから赤目四十八滝を観に行こうという話が出た。そこで私は出発前日に近所の図書館でこの本を借りて読んでみることにしたのだが、時間が無いので最初の数十頁を読んだだけ。残りはこれからゆっくり読むつもりなので、小説の今後の展開はまだ知らない。

 金曜日朝、8時頃に起き出してテントの外に出ると、青空はまったく見えない。しかも、雨ではなくちらちらと雪が舞っている始末。やがてキャンプ場の管理人の男性がやって来た。管理棟を開けて、そこで朝食を食べながらストーブで暖を取る。てっきり天気予報は良いものと思っていたので、登れるのかどうか非常にアヤしい。釣り人からアマゴを10匹ももらって、Y和さんがワタを抜いておく。

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(↑赤目四十八滝キャンプ場のようす)
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(↑アマゴ)

 10時を過ぎてから、岩場に向かうことにした。名張の街を経て香落渓を目指す。ダム湖を過ぎると渓が狭くなってきて、山肌にところどころ岩場が見えてきた。屏風岩や第一岩壁らしい岩場が車道から川を隔てた山の中に見える。日本100岩場に載っていたMCの岩場もそのうちのどれからしい。
 今回我々以外にも関東から登りに来ているパーティーがいるそうで、彼らのものらしい車が停まっている路肩の駐車スペースに車を停める。第一岩壁を目指すのだが、川の対岸にあるため渡渉しなければならない。来たことがあるHUさんも10年ぶりということで、渡渉ポイントを探す。駐車スペースからすぐに河原沿いに降りて、左岸を下流に向かってしばらく歩く。この時アラレがパラパラと降ってきた。空を見上げると雪が結構強く舞っている。寒いワケだ。
 なかなか渡れそうなところが見つからず、第一岩壁を少し過ぎた下流側の浅そうなところを渡ることにした。用意しておいた短パンとサンダルに履き替え、手にはストックを持ち、流れに足を入れるとものすごく冷たい。深さは場所によってヒザ上くらい。痛いくらいに冷たい。雪が舞う中、短パン姿で冷たい川を渡渉してまで岩場を目指すとは、傍から見れば酔狂だろう。対岸に渡り終えると、震えながらタオルで足を拭きズボンに履き替える。上流側に向かって戻って樹林帯の中を上がると第一岩壁にたどり着いた。関東から来ているパーティーもいた。岩場にあった温度計を見るとマイナス0.5℃。終日だいたいこんか気温だった。とにかく寒い。

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(↑雪が舞う中、渡渉ポイントを探すHUさん)
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(↑冷たい川を渡渉するY和さん)

 荷物を置いたあたりは濡れているのだが、見上げる第一岩壁の岩場はけっこう乾いているように見える。テラス状のところは濡れていたりするけれど、まっすぐに伸びたクラックがいくつもあって、乾いているようだ。
 参考にしたトポ図は、KM田さんが持ってきてくれた「名張の岩場」という本。今は入手困難らしい。岩場は2階建てのようになっていて、いくつかある1ピッチ目のクラックをあがった上から枝分かれするように2ピッチ目のクラックもっとたくさんあるらしい。
 樹幹越しに雪が舞うのが見えるのに誰も帰ろうと言いださないし、別の関東Pも登り始めている。我々はHU・Y和、KM田・私の2組に分かれて、それぞれ空いているルートを登ることにした。HUさん達は岩場右側から巻いて上がったところにある「これなんですか」23m 5.10aを登るそうで、KM田さんと私は岩場左端にある「直登」15m 5.10aを登ることにした。

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(↑第一岩壁)

○「直登」15m 5.10a
 まずは私がリード。出だし1段乗り上がるところがビショビショに濡れていて手が滑りそうだが、何とか耐えて乗り上がる。そこからはハンドサイズのクラックが伸びており、カムをきめながら登っていける。クラックはよく乾いているけれど、岩は冷たい。快適なハンドセクションから左のテラス状まではノーテンでいけた。
 ここから最後の岩頭状までの数mのクラックが4番キャメサイズで、ハンドはもちろんフィストもスカスカのため、どのように登ればよいのか分からない。ルート中の核心のようでここでテンション。4番キャメを使って、A0しまくりで身体を引き上げ、最後岩頭状に乗り上がるところも上がビショビショに濡れていて、水たまりの中にカチホールドを見つけ、乗り上がる。乗り上がったところには立派なボルトが打ってある。トップロープ用の支点をセットして下りる。KM田さんがトップロープで登る。

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(↑「直登」を登るKM田さん)

○「でかいつらダイレクト」15m 5.10c
 KM田さんが登った際に、終了点から一段右下のテラスに下りてもらって、このルートの上にロープが来るように張ってもらい、トップロープでやってみた。
 出だしはジャムをきめながらクラックを登るというよりフェイスのムーブで突破する。中盤では確かハンドジャムがあり、出だしよりはずっと易しい。翌日、あがってしまったロープの末端を回収するために、このルートの出だし部分をリードで登れたので、そのまま上まで登っておけばレッドポイントはできたのだろう。

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(↑「でかいつらダイレクト」 写真横向き)

○「これなんですか」23m 5.10a
 HUさん達がトライしているこのルートの取付きに行ってみる。待っている間、とにかく寒くて仕方がなかった。KM田さんがTr.で登ったあと、私もTr.で登る。あまり詳しく覚えていないのだが、ハンドより広いクラックを経て、少しかぶり気味のハンドサイズのクラックを抜けるルートだったと思う。ノーテンで登れた。もしまた名張のこの岩場に来ることがあれば、その時はリードしてみても良いかも。

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(↑「これなんですか」を登るY和さん)

○「スネークマン」32m 5.11a
 これなんですかを登り終え、下に戻った頃には時刻は午後4時前。別の関東Pは帰り支度をしているが、HUさんが「○○(私)、スネークマン登ってよ~」との言。スネークマン? ルート図を見ると、32m 5.11aとある。岩場の中央にあってとても見栄えのするルートで、一段上がったスネークマンテラスというところから登り始める。しかし、クラックの5.11aなんてグレードは私の力量を超えているし、こんな長いルートを登るのにどれだけカムを使うことやら。しかも雪が舞うほど寒いし、夕方だし。登れる気がしないのだが。
 しかし、この見栄えのするルートにトップロープを張って皆で登ることを考えると、今ここで登らないワケにはいかない。ルートが長いので、もう1本バックロープで引いていく。3番キャメを中心にどっさりとカムをぶら下げる。スネークマンテラスまでは、先ほど登った「でかいつらダイレクト」に掛けたトップロープを使って、テラス左端に上がり右端のスネークマンに取り付く。取付きにはボルト支点あり。
 ここからいよいよスネークマンだ。見上げると1本のクラックがはるか上までビシッと走っている。最初の何mかは以外にもハンドジャムで順調に登っていけた。最近クラック用に買ったカタナもフットジャムするのにちょうど良いサイズだったようだ。それでも落ちると怖いので短い間隔でカムをセットしていくのだが、3つくらいきめたところでテンション。岩が冷たい。下を見るとまだすぐそこにビレイしてくれているKM田さんがいる。上を見るとまだ近づいた感じがしない。ここからはテンションまじりで少し登ってはテンションしてカムをセットするという感じで登る。クラックが狭くなっていよいよ難しいというところではA0しまくりで時間がかかる。ハンドが快適にきまるところでは、ロープを伸ばすペースが回復する。途中、クラック左のフェイスのカチを2つほどつなげるところがあった。その間ではカムをきめられないので、気合を入れるため声を出して越える。それなりに細かいカチなのかもしれないが、慣れないクラックよりは普段触り慣れたフェイスのホールドのほうが余程安心感がある。クラックの中もフェイスも乾いているのでその点では良いのだが、やっぱり冷たい。
 そんな感じでじりじりと高度を稼いでいくと、クラックが途切れるところに至ると終盤で、右カンテに移ってフェイスを登るためランナウトすると聞いていた。ここがそのセクションらしい。カンテの小さな棚状のホールドは皆濡れていて滑りやすい。いったん右カンテに乗り移り、左側のクラックの最後のカムをきめられるところに2番をセット。そうしてスラブ状の中の段々のホールドに足を上げていくのだが、滑りやすいので非常に神経を使う。右サイドカチホールドをうまく見つけて登ろう。一段上の段に右足を上げて、さらに左足を上げて踏み替えようとした刹那にスリップ。何も考える暇もなくフォール。左腕を岩にちょっとぶつけて止まった。5mほど落ちたらしい。ふう~。最後にきめた2番がばっちり効いてくれていて良かった。結構落ちたけれど意外と冷静なもので、ぶつけた左腕も大したことがないので、すぐにゴボウでカンテに戻る。登り始めてすでにずいぶん時間がかかっているはずだが、トップアウトしないといけない。まずは濡れてカンテのホールドを長袖シャツの袖でごしごしと拭いてチョークボールをはたき付ける。それから再び慎重にカンテに乗り上がり、先ほどスリップしたところも慎重に通過すると、眼前に小さな岩溝があるので、カムをセット。これで安心。終了点のボルトはすぐこの上だ。

 こうしてトップロープをセット。バックロープと連結して懸垂下降するのだが、確保器を持ってくるのを忘れたので半マストで降りることにしたのだが、久しぶりの半マストに手こずって時間をロス。カムを回収しながら下りたのは18時頃。暗くなりかける中、荷物をまとめて撤収。
 帰りは対岸の駐車スペースに近いところから渡渉した。相変わらず水は冷たいけれど、朝よりは水深が浅く歩きやすかった。車に戻ってズボンに履き替え、名張市内のスーパーで食材を買い出ししてからいったん赤目のキャンプ場へ。それから途中にあった赤目温泉山水園という高そうな温泉旅館のお風呂で凍えた身体を温める。再びキャンプ場に戻り、晩御飯の支度をする。朝、Y和さんが下ごしらえしておいてくれた10匹のアマゴをキャンプ場で借りたフライパンでKM田さんが揚げてくれた。カリッと香ばしく揚がっていて美味しい。その間にY和さんがネギや白菜を刻んでくれて、私が持ってきたカセットコンロで鍋を作る。吹きさらしの炊事場は寒いけれど、お酒を飲みながら鍋を食べる。寝不足と疲労から、どっと眠くなりテントに入る。

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(↑アマゴを揚げる)


■3/22(土) 名張の岩場・第一岩壁2日目
 今日も第一岩壁に行く。起きてテントの外に出ると晴れ間が見える。岩場に行く前に赤目四十八滝を観に行くことにした。HUさんはテントで寝ているので、KM田・Y和・私の3人でキャンプ場を出る。車で上流側に少し行くと赤目温泉の温泉街があった。その突き当たりで車を停める。この先に赤目四十八滝の渓谷があって、渓谷に沿って遊歩道があるらしい。渓谷の入口で入場料を払うらしいが、朝早くて受付が閉まっていたのでそのまま進む。確かに少し変わった感じの渓谷だ。15分ほど歩いたところで引き返したけれど、遊歩道自体は4㎞ほども奥まで続いているらしい。ちょっとした滝もあり、赤目牛という撫でるとご利益があるという牛の像もあった。

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(↑赤目牛)
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(↑赤目四十八滝の遊歩道を歩く)

 キャンプ場に戻り、残った鍋にうどんを加えて朝食とする。テントを撤収して香落渓の岩場を目指す。第一岩壁の手前にある屏風岩近くの河原に関東別Pの姿があった。我々は前日の帰りで渡った渡渉ポイントから第一岩壁へ。岩場にはすでに2組ほどが来ている。昨日はびっしょり濡れていたテラス状のところもすっかり乾いているようだ。

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(↑第一岩壁)

○「直登」15m 5.10a
 前日と同じ組み合わせで分かれ、私はロープを残しておいた「直登」をTr.で登る。核心のワイドハンドのセクションはやはり難しい。リービテーションで手を上にずらしていくという話を聞いていたので、手の甲と甲をクロスするように合わせてクラックに入れるとフィストより幅広くなりちょうど良い幅となった。が、ばっちり効いているのは良いのだが、それを上に動かすのが大変だ。デッドポイントのように上に突き上げるように背中合わせの両方の手のひらを上に10㎝ずつくらい上げていく。Tr.だからこんなことができるものの、両手がこのように塞がっていてはもちろんカムはきめられない。つまりこのムーブはカムをきめない前提ということか。普通のハンドサイズだって苦戦しているのに、こういうサイズになるとさらに歯が立たなくなる。クラックのムーブは奥が深い、というかまだまるで分っていない。

○「スネークマン」32m 5.11a
 これまたTr.を残しておいたスネークマンを登ることにした。まずはKM田さんがトライ。ハンドジャムでさくさくと登っていくが、長いルートなので途中でテンションを入れながらレストしていた。
 私もTr.で登る。Tr.に吊られていると当然だがとてもラクだ。やはり長いので途中でテンション。クラックがわずかに左上しているところでは、正対で両手とも順手でジャムするのではなく、上側の左手を逆手にして身体を右向き気味にすると登りやすい。正対で登るよりもクラックをちょっとカッコよく登ってるムーブっぽいかも。そんな感じで、Tr.の気楽さでムーブに集中できたのは良かった。最後のフェイス部分は乾いていると何でもない易しさだ。

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(↑「スネークマン」を登るKM田さん)

○「花」20m 5.10a
 続いてHUさんとY和さんもスネークマンを登ったのだが、その間にKM田さんと私は2階部分にある「花」20m 5.10aをトライすることにした。
 「花」の取付きまでは、モモンガテラス経由で行くことにした。まずは「サキサカ」54m 5.10aの下部を登りモモンガテラスへ。テラスを左にトラバースしてオフィドゥス下までが1ピッチ目。2ピッチ目は2段になっていて、前半はオフィドゥス、後半はもっと広いチムニー状がダブルになっていて、これを越えると岩塔の上に至り、ボルトのある「花」の取付きだ。この岩塔は下から見ると今にも倒れ落ちそうに見えるのがちょっと怖い。
 この1P目と2P目はKM田さんがリードした。モモンガテラスに上がるサキサカ下部はシンハンドからフレーク状を経てテラスに上がるのだが、このフレーク部分の岩はいつか落ちそうだ。というのもフレークの下向きの隙間にカムがきめられるのだが、フォローでそれを回収する際に岩が明らかにごとりと動いた。前日ここを登っていた関東別Pの人がフォールした際に、おそらくここにきめたカムで止まったのだろうが、今後ここで落ちるとフレークが崩壊して、グラウンドフォールする恐れがある。リードでトライする人はくれぐれもそのあたりを良く考えて。

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(↑「サキサカ」下部を登るKM田さん)

 2P目もこれまた悪い。前半のオフィドゥスもフォローだから行けたけれど、後半のダブルチムニーとなるともっと悪い。テンションしながらにじり上がった。KM田さんはよくこんなところをリードしたものだ。

 さて、そうしてたどり着いた「花」はハンドサイズのクラックが凹角君のところにダブルで走っている。スネークマンも見事なクラックだったけれど、これまた見栄えのするクラックだ。ここでは私がリードする。3~4番キャメを中心にたくさんのカムをぶらさげて登り始める。左右のクラックはどちらもハンドサイズで、ばっちりハンドジャムがきまる。それでも怖いので短い間隔で次々とカムをきめていく。左右のクラックそれぞれに左右の手をジャムして正対で登っていく。大変なのだけれど高度を上げていける。手持ちのカムがどんどん無くなっていくので、残りを考えると心配になってくる。スネークマンを登っているHUさんが「○○(私)、花、どんな感じ~?」と声をかけてくる。必死で登っている私は会話する余裕はおよそ無いので「話しかけないで~」と叫びながらさらに登っていく。終了点が近づいてきた。ここまで来たら落ちるワケにはいかない。オンサイトしないと。終了点手前では、クラックから頭上の岩をがっちりつかむ慣れたフェイスムーブ。終了点のある右側のテラスに移るところが手掛かりとなるホールドが乏しいのだが、慎重にテラスに移ってセルフビレイを取る。やった、オンサイトできた。グレードにしてみたら5.10aに過ぎないけれど、これは嬉しい。名張で初の完登ルートだ。Tr.支点を作って下りる。
 Tr.で登るKM田さんは、序盤私のように正対ではなく、左側のクラックを主に使って右側に背中をもたせるように登っていく。寄りかかれる分、ずっとラクなようだ。なるほど。ノーテンでトップアウト。
 懸垂下降して基部に下りる。

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(↑「花」を登るKM田さん)
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(↑「スネークマン」を登るY和さん)

○「ヤンコマリタイ」15m 5.10d
 このヘンな名前のルートは、下部が「でかいつらダイレクト」と一緒で、中盤から左のクラックに移るルートだ。前日のところでちょっと書いたが、Tr.にしたロープの末端が上に上がってしまったので、まずは前半部分だけリードしてロープ末端を回収して下りる。
 そのTr.でKM田さんがトライ。でかいつらから左に移るところで、左のクラックが途切れがちで難しくいったん下に下りる。
 続いて私がTr.でトライ。前半のでかいつらとの共用部分はこれで5回目くらいなのでさすがにムーブが固まってきた。
 左上のクラックに移るところでは、でかいつら側の右サイドも使いながら両手を広げるように身体を上げていく。それからフラッギングを交えながら左クラックに移る。こうしてノーテンで登れはしたが、カムがきめられそうもないし、リードはやる気にならないかも。再びKM田さんがトライすると今度はトップアウト。

 こうして2日間にわたる名張・第一岩壁でのクラッククライミングを終える。ああ、疲れた。渡渉して車に戻ると暗くなりかけていた。ツアー3日目の明日は岐阜県の瑞浪で登る予定だ。Y和さんの実家が名古屋市に近い東海市にあるそうで、今夜はそこに4人で押しかけて泊めさせてもらうことになっている。東海市は新日鉄の工場があるところだそうだ。名張から東海市までの100数十㎞の運転は私。21時半頃に到着した。
 Y和さんの実家に上がり込み、Y和さんのお母さんが用意しておいてくれた夕ご飯をいただく。カリッと揚げられた春巻が美味しい。こんな夜遅くに押しかけて恐縮だけれど、お風呂にも入れて暖かい布団で寝られて、名張で疲れた身体にはとても良かった。Y和さんとY和さんのお母さんに感謝。

■3/23(日) 瑞浪
 6時半に起きる。身体中の筋肉が強張っている。眠いしだるい。すでにY和さんのお母さんが朝食を用意してくれていた。みそ汁が美味しい。ツアー最終日の今日は、岐阜の瑞浪に行って登るので、朝ゆっくりしているワケにもいかない。7時過ぎにはお世話になったY和さんの実家を発つ。快晴。環状線や東名道から中央道に入り、瑞浪ICで下りる。恵那方面に国道を走ると、左手のなだらかな山肌に岩がぽこぽこと見えてきた。あそこが瑞浪の岩場らしい。
 さて、岩場へのアプローチだが、日本100岩場やヤマケイのCLIMBING-netで岩場のアクセスのことが載っているけれど、ほとんどデタラメだ。国道19号線から中央道の下をくぐる道に至るには、中道道下り線屏風山PAに接する集落内を通過するのだが、その集落への入口は東西2ヵ所。どちらからでも入れるが、西の瑞浪寄りだと中央道下への道へ曲がる際は鋭角に曲がることになる。グーグルマップで見ればよく分かる。
 中央道の下をくぐるとすぐに道が左右に分かれている。右は急坂だ。100岩場では右に進むと岩場があるように書いてあるが、急坂をあがり左の道に入るようになっているが、その道が荒れた林道で、およそ車で通るのに使われている様子はない。歩いて行けばどこかの岩場に行けるのかもしれないが。
 中央道をくぐったら右ではなく、左に進むのが正解。道なりに進むと左手や右手にお墓があるのが分かる。その付近にはスペースがあっても駐車しないこと。もっと進むとカーブの右手にチェーンが張られたところがあり、そこから歩いて岩場に行ける。車はその先の道幅の広いところに皆停めていた。3連休だからかずいぶんと車が多い。チェーン近くはすでにいっぱいで、数百mほど進んだ先に停めた。20台か、もっと停まっていたかも。ということで、初めて行く人は中央道をくぐったら右ではなく左に行って、迷惑にならないように車を停めよう。

 チェーンの先に道が続いていて、ケルンが積まれたところから左手の樹林の踏み跡に入ると、ごろごろと岩が現れてくる。屏風岩とは言うけれど、幕岩状に岩壁が連なっているワケではなく、大きなボルダーが緩やかな山肌の中に点在している感じだ。
 通り過ぎる岩のクラックやスラブにクライマーが取付いている。KM田さんにあれがイブ5.11cだと教えてもらった。凹角の右側にフィンガーサイズよりも細そうなクラックが走っていた。瑞浪ではアダム5.11bとイブ5.11cが知られていると100岩場にも書いてあったので、今回とりあえず触っておきたいところだ。
 そのすぐ上の展望台に荷物を広げる。良い眺めだ。晴れてぽかぽかと暖かい。KM田・私、HU・Y和の2組に分かれる。まずは展望台のすぐ下にある「感激」5.10aらしいルートを登ることにする。

P3230060
(↑展望台からアダム方面を望む)
P3230062
(↑展望台からの眺め)

○「感激」5.10a
 出だしはフレアしたハンドサイズのクラックが右上している。登るにつれてクラックが広がっていき、後半はクラック左のスラブに移って岩の天辺に至るようだ。
 最初カムを持ってリードで試みたが、想像以上に大変なので諦めて下り、上からTr.を張って登ることにした。出だしのクラックは右上しており、左足をクラックに当てながら上がっていく。クラックが開くにつれて身体を寝そべるようにしてにじり上がる。水平バンドのところでは開いたクラックでフィストを試みるが身体を起こせずテンション。そのあとはスラブを登って左上から抜ける。

 アダム5.11bを見て来たHUさんが、今ならアダムは誰もいないと言うのでKM田さんと行ってみることにした。行くまでにちょっと迷ったけれど、岩の間を抜けて斜面を上がって行くと、眺めの良い丸い岩にビシッとフィンガークラックが走っていた。これがアダムだ。リードはとてもできないので、トップロープを張っていると、KM田さんの知り合いの人がリードでトライを開始したので見物させてもらう。出だし付近にはチッピングしたような穴がいくつか穿たれていて、これも使ってもよいみたい。見物していたかったけれど、寝不足とこの陽気で居眠り。昼寝して少し頭がすっきりした。

○「アダム」5.11b
 順番が回ってきたのでTr.でトライ。2穴の下に水平カチがあるのだが、そのカチから2穴を取りにいこうにも、足を乗せられるフットホールドが無く断念。下の岩棚に立ちながら2穴を取ってそこからスタート。細いクラックの中に指が入るところがあるので、そこに指を突っ込みながら2手ほどこなすと、足元の水平カチに立てる。薄かぶった感じになるのだが、そこからの数mが非常に悪い。フィンガージャムがきまるところはあるのだが、足を置けるようなフェイスのフットホールドが無い。特に左側はまったくと言っていいほど無い。クラックが少しオフセットしているので、そこに右足を当てたり、右方のホールドに当てたりするも、ほとんど手指だけでぶらさがる感じになってしまう。ロープに吊り上げられるように身体を上げていくが、指への負担が大きくて痛いのなんの。それでも、名張ではハンドジャムをたくさんやったので、このルートでフィンガージャムの練習ができるのは良かった。身体をわずかに引き上げた際にすぐにテンションして少しずつ身体を引き上げていくと少しずつ傾斜が落ちてくる。クラック左側の大穴近くまで来るとクラックの幅も広がってきて登りやすくなる。
 順番待ちしている人がいないので、私とKM田さんとで2回ずつ登った。2回目は1回目の時よりもテンションの数を減らすことができた。しかしこのルート、どうせフットジャムなどできないのだから、フェイス用に履いているキツキツのシューズでトライしたほうが良いのかも。
 KM田さんの知り合いのO山さんとスラ○ーさんもやって来て、我々のあとにアダムをトライしていた。

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(↑「アダム」 写真横向き)
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(↑「アダム」を登るKM田さん)

○「エースをねらえ」5.10b
 展望台に戻って、この下にあるルート「エースをねらえ」にTr.を張る。前半のシンハンドでは、サムロックで登った。入間のクライミングジム・ベースキャンプにある唯一のクラックルート・イルマクラックの上部でサムロックの練習をやった成果があったかも。終盤はオフィドゥスになる。登っていくと自然と体が左向きになり、右の半身をオフィドゥスに入れる感じになる。右手でフィストで耐えるのだがやがて行き詰まってくる。テンションしそうになった瞬間、見目の隅にオフィドゥスの右縁が入り、サイド保持できそうに見えた。最初右手ガストンでそれを持つと、身体を右向きに入れ替えた。登る前に、HUさんがオフィドゥスでは身体の向きがポイントだと言っていたのを思い出した。きっとこのことだ。身体をずりずりと上げていき、右フェイスにあるガバに手が届くと身体を外に出せるので、あとは簡単だ。とりあえずノーテンで登れば。HUさんにはリードするように言われていたけれど、それはまたの機会ということで。

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(↑「エースをねらえ」を登るKM田さん)

○「イブ」5.11c
 午前中アダムに触ったので、もう一つの看板ルート・イブにも触っておくことにした。これもTr.を簡単に張れる。しかしこのルート、アダムよりさらに細いクラックで、指がほとんど入らない。縁をレイバックするように持ってみるが、足を突っ張れるフットホールドが無いのでそれもできない。チョンボしながら身体を上げていってトップアウトしたけれど、中盤の特に悪いところではゴボウして通過しただけなので、もう一度トライする気にもならなかった。キビしいなあ。KM田さんも6年ぶりに触ってみたらしいけれど、なかなか大変そうだった。

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(↑「イブ」)

○「新人クラック」5.9
 最後に新人クラックを登ることにした。この日はまだリードしていなかったので、一つくらいはリードしようと思い、3番や4番を中心に登ってみることにした。しかし、これまたキビしくて出だしからフルパワー。カムをセットしてしまうとそのカムが邪魔になって手を送れなくなる始末。上に行くにつれてハンドからオフィドゥスになるのだが、窮屈な姿勢に加えカムが邪魔で身動きが取れず、テンションしまくり。チョックストーンを掴むことができれば、あとは岩の上で身体を出すだけだ。
 KM田さんのトライ後、Tr.でもう一度トライ。オフィドゥスの奥でジャムをきめるのが大変だけれど、何とかノーテンで抜けられた。ルート名とは名ばかりのキビしさだった。

 こうして瑞浪でのクライミングを終える。最終日も何だかんだとたくさん登れた。しかも瑞浪は暖かいしTr.は張りやすいし、ボルダー園地と言った感じで気楽なところだった。帰りの中央道はHU・Y和・私の3人で交替しながら運転。途中、小黒川PAの食堂で夕食。旨伊那B級グルメというローメンとカツ丼のセットを食べる。980円。

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 KM田さん、HUさん、Y和さんの順で自宅まで送って、日付が替わる頃に帰宅。ああ、疲れた。でも、充実した3日間を過ごせた。フィンガーからハンド、オフィドゥスなど様々な幅のクラックをトライできたし、リードも何度もやって良い練習になった。メンバーに感謝。

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