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2014年5月

瑞牆山 不動沢屏風岩 十一面岩左岩稜末端壁

2014.05.24(土)~25(日)
 瑞牆山でクラックを登ってきた。
 初日は2週間前に初めて訪れた不動沢にある屏風岩で登り、2日目は過去何度か訪れていて、先月も訪れた十一面岩末端壁で登った。
 宿泊は某山荘にて。T沢さんが今冬のトルコツアーの際に買ってきた食材を使って、トルコ料理を振る舞ってくれた。

■5/24(土) 不動沢屏風岩
 早朝、TっちーさんとKM田さんを車に乗せて、快晴の空のもと中央道を走る。7時前にはT沢さんの待つ山荘に到着し、泊まりの荷物を降ろしてから植樹祭広場に向かう。広場には8時半に到着。東海地方から来たKバタさんとは初対面。そのほか、たくさんのクライマーが集まって来ていて、瑞牆の各岩場に向かう準備をしている。

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(↑山荘前から南アルプスを望む)

 この日は私が2週間前にも訪れた不動沢の屏風岩で登ることにした。不動沢入口の駐車スペースは車でいっぱいだ。屏風岩正面壁に着くと、Uっちーさんが来ていた。
 ここでは前回も登ったおしん5.8でアップ。出だし部分が湿り気味でちょっと怖かった。Tっちーさんは不動沢愛好会ルート1P目を登る。出だしのスクイーズチムニーを巧みに登っていく。

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(↑おしんを登るT沢さん)
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(↑不動沢愛好会ルートを登るTっちーさん)

○寒々ルート1P目5.7 OS
 エンペラー・タワーを回り込む途中にある寒々ルートの1P目を登ることにした。スラブと垂壁の隙間に右上するように広いクラックがある。出だしのフレークを左上してから広いクラックに取り付く。序盤はジャミングしながらスラブに寄りかかるように登っていくが、クラックがどんどん広くなる一方、スラブの斜度が緩くなるのに合わせてやや下向きのレイバックといった感じで登っていく。後半では6番のキャメが必要だ。さすがにこれはオンサイトできた。

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(↑寒々ルートを登るKM田さん)

 エンペラー・タワーの上のほうの取付に移動すると、よろめきクラック5.10aを何人かがトライしている。私の目標もこのワイドクラックのルートだ。前回トップロープで2回トライしているが、特に前半のオフィドゥスが難しくてどんなムーブで登ればよいのかいまいち分かっていないままだった。

○よろめきクラック5.10a (通算3~4便目) ×
 順番が回ってきて、リードでトライしてみることにした。Tr.でも大変なのに6番キャメをきめながらじりじり登っていくのはさらに大変だ。出だし部分は前回同様、左向き(右半身が奥)で登り始めるが、やはりキビしくて思うように身体が上げられない。途中で身体を入れ替えて右向きにするのも大変だ。ダイクに手が届けばハンドジャムをきめながら、左隣りからエンパイア・ジャム5.9が合流する水辺バンドに着く。後半部分も相変わらず難しい。フィストサイズからチョックストーンに届くところまでが後半の核心。
 その後、KM田さんの登り方を見て、いろいろ参考になった。手で下に向けて壁を押したり、つま先とかかとをオフィドゥス内の前後の壁にきめたりと、ワイドクラックを登る人にとっては当たり前であろうムーブをまともに意識してみたのは初めてかも、そういう意味で前回などはほとんど力づくで登っていたようなものだ。

 よろめきをトライしていた女性が見事にレッドポイントしてから、Tr,でもう一度やってみることにした。相変わらず出だしは左向きからスタートしたので、苦しくなったところでテンションしてしまったが、その後はKM田さんのムーブをまねてやってみると身体が安定してずりずりと身体を上げていくことができた。腕もチキンウイングというのか、手のひらを前の壁に当てて肘を上げるようにすると安定する。つま先とかかとを使うのもやってみた。いままでの無理やりのムーブよりもずっとラクになるのが分かる。精度はまだまだにしても、繰り返していけばもっとラクなムーブが分かりそうだ。
 さらにその後、KM田さんが出だしから右向きでスタートしたところ、あっさりと出だしを突破。左向きよりも右向きのほうが登りやすいらしい。そういえば前回、HUさんも右向きで登っていたっけ。また、よろめきをトライする機会があったら今回知ったムーブをあれこれ試してみよう。

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(↑よろめきクラックを登るKバタさん)

○アプリオリ5.11a Tr.
 日が当たらないこの辺りは寒いくらいで、ダウンジャケットを持って行って正解だった。最後に、強ーいKバタさんがTr.を張ってくれたので、アプリオリ5.11aを登ってみることにした。エンペラー・クラック5.9の右上するオフィドゥスから左側のクラックに移って直上するルートなのだが、日本100岩場には記載されていない。
 途中、クラックが途切れているところで縁の痛いガバ穴から頭上のクラック下端を取りに行くところでは、その直下で小さなカムをきめておくのだろう。そのあとはフィンガージャムもありTr.の安心感もあるが快適に登っていける。最後はフレアしているのでカムがとてもきめづらそうだが、それを乗っ越すと終了点がある。ノーテンで登れた。最後のフレアなどプロテクションをきめるのがワルいが、ムーブ自体はこなせたので自分も登れるかも。しかし今日はここまで。

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(↑アプリオリを登るKM田さん)

 岩場を離れるころには19時近くになっていた。ずいぶんと日が延びたものだ。朝来たときはいっぱいだった駐車スペースも、うす暗くなる中戻った時は私の車のみ。須玉のスーパーやまとで買い出しをしてから山荘へ戻る。
 皆で夕食の支度をする。T沢さんが前日夜から料理の下ごしらえをしてくれていて、さらに皆で料理を作る。T沢さんはこの冬にトルコに旅行に行って、その途中で私と合流してアンタルヤなどでクライミングしたのだが、さらにトルコ国内の旅を続けたT沢さんはひよこ豆やトウガラシなどを買って日本に帰ってきていたのだが。私もレンズ豆を買ってみた。今夜はそのトルコの食材を使って、トルコ料理を作るのだ。ピーマンの肉詰めや白いんげんのサラダ、レンズ豆のスープなど彩り豊かなお皿がテーブルに並んだ。食事ができるころに、TM田さんUM澤さんも到着して、美味しそうなパンを加えてくれた。ワインを飲みながら7人でトルコ料理に舌鼓を打つ。

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(↑夕食のトルコ料理)

■5/25(日)  十一面岩左岩稜末端壁
 7時頃に起き出すと、T沢さん達がすでに朝食を作り始めていた。昨夜のトルコ料理の残りに肉団子スープも加わって、これまた豪華な朝食になった。のんびりと過ごして、山荘を発ったのは9時をだいぶ回ってから。この日は7人で十一面岩末端壁に行く。私は4月に訪れて以来だ。末端壁までの長い山道を汗をかきかき登っていく。末端壁に着くとUっちーさんやG10さんもいた。G10さんは4月に城ヶ崎シーサイドで会っているが、岩場に行ってる人は思った以上に限られた数なのかな。

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(↑朝食もトルコ風)

○ペガサス1P目5.10d 3RP
 先行して岩場に到着したKバタさんと私が登る準備を終えた頃に他の皆も遅れて到着。まずはKバタさんがペガサスの1P目5.10dを軽く登ったのに続き、私もリードで登ってみることにした。4月にもこのペガサス1P目をトライしているのだが、その時は中盤で左寄りにあるダブルクラックを伝って登った。Kバタさんの登りをビレイしながら見ていたら、ダブルクラック伝いではなく、凹角を直上していた。
 そこで、私も凹角通しで登ってみることにした。ダブルクラック側に左足を張って、右足はキョンにして右壁に当てると身体が安定する。そんな感じで凹角を登っていくと、終盤はガバになってきて、ワイドに身体を入れると終了点だ。こうしてRP。やった。
 ところで4月に城ヶ崎のあかねの浜に行った際に、コモドドラゴン5.10dを登った。それまでのクラックの自己最高グレードは佐久湯川のバンパイア5.10cだったので(10cもないという声も聞こえるけれど)、このコモドドラゴンで一応クラックのグレード更新ということにしていた。しかし、ムーブはほとんどフェイスのムーブなので、プロテクションこそカムだけれど、クラックを登ったという感じはしなかった。今回のペガサス1P目はそれに比べるとずっとジャミングを要するので、これでようやくクラックグレードを更新できた思いだ。

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(↑ペガサス1P目を登るKバタさん)

○アストロドーム5.11a ×
 これまで数回触っていて、4月にもトライしてみたアストロドーム5.11a。これが登れれば自身のクラックのグレード更新となるはずなのだが、やはり早々登らせてくれない。
 まずはTっちーさんが登って張ってくれたTr.でやってみる。出だし部分はこれまで正対で登っていたけれど、昨日いろいろ試してみたムーブを試みてみる。ダブルクラック間の両側の内壁に足をキョンにして膝と足裏を使うと身体が安定してラクになる。前半のダイクのガバを取る直下がこのルートの核心なのだが、ジャムがきめづらくてテンション。なかなか良いジャミングが分らない。小テラスから後は何とかノーテンで登れた。

 Kバタさんがトワイライト5.11cを登っている頃に、私はアストロドームをリードしてみることにした。4月にリードした時はテンションしまくりだったけれど、今後はせめてテンションの数を少なく留めたい。ヒザを当てるキョンをしながら核心へ。左上に0.75番をきめてから右クラックのジャムを探っていたところ足が滑ってフォール。ああっ。この右手が何とか保持できればリップのガバに左手が出せる可能性がぐっと高まるのだが。
 この右クラックのジャム、右手を逆手にするとクラック内のカチに人差し指が当たって使えるとUっちーさんが言っていたけれど、自分にはちょっとキビしい。ハングドッグしてムーブを試してみると、その少し下あたりを普通にサイドホールドとして持って、右足を側壁に当てると、リップに左手を出せそうなのが分かった。小テラスで一休みしてから一段上に上がるところで2回目のテンション。あとは頭上のハングを左に抜ける際に左壁のフェイスのガバを使うと終了点だ。前回よりはずっと善戦できたので、またの機会に頑張ってみよう。

○トワイライト5.11c ×
 TM田さんUM澤さんが一足先に帰っていく。最後にトワイライトをTr.で登ってみることにした。Kバタさんが登っている場面は、アストロドームをやっていたので見られなかったが、その後TっちーさんやKM田さんがTr.で登っているのを見ると、中盤にあるV字状に開いたオフィドウスが相当に悪そうだ。
 やってみると本当に悪くて、奥にある残置のスリングでレストする。まるで歯が立たず奥にカムをきめてそれでA0しながら登る始末。後半のハンドからフィンガーのセクションも自分にはキビしくてテンションしまくり。懸垂下降して取付きへ。

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(↑アストロドームを登るTっちーさん(左)、トワイライトを登るU田さん(中央)、ペガサスからロワーダウンするKM田さん(右))

 荷物をまとめて下山開始。うす暗くなる頃植樹祭広場に帰着。Kバタさんと解散し、4人で山荘に帰る。
 T沢さんは山荘にもう一晩泊まって翌日帰るそうだが、Tっちーさん、KM田さん、私の3人はもちろん今夜中に東京へ帰る。しかし、中央道はまだ渋滞しているだろうから、しばらく山荘で休んでいくことにした。結局、T沢さんがオムレツを作ってくれたりとしっかりと夕飯を食べながらクライミングの話をして過ごす。
 山荘を発ったのは22時。渋滞がすっかり解消した中央道を走り、2人をそれぞれ自宅まで送って帰宅したころには日付が回っていた。
 この日は4便登っただけだけれど、1本あたりがすごく疲れるので、身体はクタクタだ。ベッドに横になったのは深夜1時頃だが、何だか身体が火照ってなかなか寝付けず。翌月曜日の朝は寝不足と全身疲労でツラいのなんの。
 それでも2日間、クラッククライミングを満喫できて良かった。それにトルコ料理を振る舞ってくれたT沢さん、ありがとうございました。

東丹沢本谷川 キューハ沢、表丹沢水無川 新茅ノ沢

2014.05.17(土)~18(日)
 今シーズン最初の沢登りに行ってきた。
 土曜日は、所属山岳会のIG嵐さんとT橋さん、私の3人で、東丹沢本谷川にあるキューハ沢を遡行してきた。丹沢山を東側から突き上げる沢だ。
 日曜日は、所属山岳会の約26人が戸沢キャンプ場に集まり、5班に分かれて周辺の沢を登る企画に参加し、私は2年前にも行った新茅ノ沢を遡行してきた。鳥尾山に突き上げる沢だ。
 参考にしたガイドブックは「東京起点沢登りルート120」(宗像兵一編著/山と渓谷社)。キューハ沢はP.126-127、新茅ノ沢はP.88-89に載っている。

■5/17(土)  東丹沢本谷川 キューハ沢
 土曜日朝、私の家の最寄駅でT橋さんと待ち合わせ、私の車で環8経由でIG嵐さんを自宅まで迎えに行く。道路が混雑気味ということもあり、宮ケ瀬湖経由で、塩水橋近くのキューハ沢に至る林道入口ゲート前に到着したのは8時半頃。丹沢山への登山口にもなっているここは十分な駐車場がないため、路肩に延々とたくさんの車が駐車してある。ゲート近くはすでに埋まっているため、数百メートル先まで行って何とか車を止めた。そんなこんなで歩き始めたのは9時頃。天気は快晴。絶好の登山日和だ。

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(↑塩水橋先のゲート)

 冒頭書いたとおり、翌日は所属山岳会の表丹沢川にある戸沢キャンプ場を起点に皆で沢登りをする予定で、前日夕方に集まれる人、つまりこの日の17時まで戸沢に集まれる人は集まって、夏の沢登りの打ち合わせをすることになっていた。我々3人も17時に行くつもりで行動していたのだが、前半に多く現れる滝の突破に思ったより時間がかかり、とても17時には間に合わないことが分かってきた。

 装備としては、私はフェルトソールの沢靴(モンベル・サワートレッカー)。カラビナやスリング、確保器などのギアのほか、カムも少し持った。8㎜径の30m補助ロープ。
 ゲートをくぐって、塩水川方面に行く林道の橋と分かれ、本谷川沿いの林道を歩く。林道は崩壊しているところがある。
 また、林道上で白骨化またはミイラ化した鹿の死骸を多く見かけた。5~6頭見かけたと思う。3人で話したところでは、2月の大雪で動けなくなって死んだのではないかとのこと。林道上で行き倒れたのか、雪崩や融雪に伴って山の斜面から林道に落ちてきたのかは分らないけれど。生息数が多過ぎて丹沢の植物を荒らす害獣としてのニホンジカがこうして減るのは、そういう意味では良いことなのかもしれない。
 小一時間歩くとキューハ沢の出合い着く。周辺の地形と地形図を見比べて、ここがキューハ沢の入口だと判断した。アプローチシューズから沢シューズに履き替えていると、山の斜面から数人の登山者が降りてきた。聞くと、彼らもキューハ沢を遡行するためにやって来たのだが、道を間違えて4時間もかかってたった今ここに着いたそうだ。お疲れさま。

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(↑本谷川林道の崩壊箇所)
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(↑キューハ沢入渓地点)

 入渓すると5つ続けて堰堤が現れる。どれも左岸から越えられ、堤体にハシゴが取り付けられている。ゴルジュ入口の3m滝が現れる。ここは私がリードで左側から取り付き、滝の落口へと抜ける。

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(↑堰堤を越える)
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(↑ゴルジュ入口の滝をリードする私)

 そのつぎの4m滝だったろうか、滝の直登は避け、少し手間の右岸の岩の斜面から巻き気味に登る。この巻きも結構微妙で私がリードする。ずっと先にある灌木まではなかなかランナーが取れないのだが、途中の岩の隙間にカムをきめておいた。樹林を使って懸垂下降する。

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(↑4m滝手前を巻き気味にリードする私)

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(↑懸垂下降して沢に降り立つIG嵐さん)
 途中の釜のヘツリではT橋さんが足を滑らせて、水の中に落ち首まで浸かる。冷たそう。ちょっとワルそうなところでちょこちょことロープを出す。時間はかかるけれど、落ちてケガをしたら大事だ。

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(↑T橋さん)
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(↑IG嵐さん)

 四町四反ノ沢と分かれ、キューハ沢最大という7m大滝が現れる。ガイドブックには左壁のチムニーを登るとある。滝の飛沫を浴びながら左壁を少し登ると確かにチムニー状に狭い壁があり、滝のある壁の向かい側の壁にハーケンやボロボロのスリングが見える。ここも私がリードする。フリーで登るのはさすがにキビしく残置スリングをつかんで、残置ハーケンにランナーを取りながら岩壁を登っていく。頭上の岩をつかむとボロリと崩れる。下でビレイしているIG嵐さん達に向かってラク~ッ!と叫ぶや否や、手で押さえた石が落ちる。幸いIG嵐さん達に当たらなかった。
 垂壁から左に回り込むように登ると木が出てきて、その根っこをつかんだりしながら登っていき、太い木でピッチを切った。IG嵐さん、T橋さんも続いて登ってくる。樹林の中を歩いて沢床に戻る。

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(↑7m大滝と私)
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(↑左壁のチムニーを覗く私とIG嵐さん)
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(↑リードする私。A0してます)

 この先はガレのルンゼから巻いたり懸垂下降しながら進んでいき、標高1,000m付近の二俣を右に進む。倒木が多い。これも2月の大雪のせいかもしれない。

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(↑標高1,000m付近の二俣)
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(↑IG嵐さん)

 大ガラン沢出合には雪が残っていた。大ガラン沢側の雪は結構多い。左に入るキューハ沢本流のほうの雪はわずかだ。本流に入るとすぐに表れるチョックストーンは左右どちら側からでも越えられる。水流が涸れる。ガレ場から、ボロボロの石屑斜面に入り込んだりしたけれど、概ね歩きやすいガレ場を詰めていき、適当なところから左岸側の疎林の斜面に移る。あとは鹿避けフェンスに囲まれた明るい森を上に向かって登っていくと登山道の木道に出る。木道を登ると、みやま山荘のある丹沢山の山頂だ。丹沢山に登ったのは、山歩きをしていた若い頃以来だろうか。

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(↑大ガラン沢出合には雪が残っていた)
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(↑IG嵐さんとT橋さん)
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(↑明るい樹林を登る)
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(↑木道を登る私)

 山頂にいる登山者たちの多くが同じサンダルを履いている。どうやら今夜は山荘に泊まるようだ。今流行りの?山ガールもいる。地味な沢登り姿の我々に比べると華やかなものだ。祝百名山という旗を広げているグループがいた。その中の女性がこの丹沢山で日本百名山完登をちょうど達成したそうだ。おめでとう。
 山荘でビールを買う。350ml缶で500円。外のベンチで3人で乾杯。うまい。山頂に着いたのは15時半頃。30分ほど過ごしてから16時に下山開始。17時の戸沢キャンプ場集合というのは、およそ間に合わない。縦走して塔ノ岳を経て戸沢に下山するなら多少の遅刻で済むかもしれないけれど、登山口に置いた車に戻らないといけないからね。

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(↑みやま山荘)
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(↑丹沢山山頂)
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(↑ビールで乾杯♪)

 キューハ沢左岸側の尾根である天王寺尾根を下っていき、尾根上の分岐では朝歩いた本谷川林道への登山道が通行止めになっていたので、反対側の塩水川の林道のほうに下りる。塩水側に沿った林道を延々と歩いて、18時頃だったろうか、駐車した車に帰着。

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(↑天王寺尾根からの眺め)

 戸沢に行けるのはもはや夜遅くになるので、まずは温泉に寄って夕食を済ますことにした。宮ケ瀬湖を経て七沢温泉に寄ろうと思ったけれど、入浴時間を過ぎていたりしてお風呂に入れず。
 お腹が空いてきたので道中見つけたラーメン屋へ。壱勢家というお店。横浜ラーメンというものらしい。おススメは塩とのことで、私は塩ラーメン650円を注文。すっきりした塩味のスープと思ったら、トロッとした感じの濃厚なスープで結構美味しい。飲み物はコーラなどのジュースがセルフサービスで飲み放題になっていた。外に出るとすっかり暗くなっていた。

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(↑らーめん壱勢家)

 湯花楽(ゆからく)という秦野の街にある温泉施設へ。830円のところJAF会員割引で600円。沢登りのあとはやっぱりお風呂に入りたいものだ。

 コンビニで買い出ししてから、大倉を経て、戸沢に至る林道に入る。2年前にも車で通っているが、大倉から戸沢まで7㎞くらいあるそうだ。翌日の沢登りために皆が戸沢に集まるのだが、車が手配できなかった人は歩くしかない。真っ暗な林道を延々と歩くのは大変だ。
 温泉施設に寄る前に、翌日の参加者の一人のO野さんからメッセージから届いていた。21時頃に戸沢に着くので、幹事の人に伝えておいてほしいとのこと。それを見て、もしかしたらO野さんはその林道を歩いているのかも知れないと思いながら、真っ暗な林道を走っていると、竜神の泉というのを過ぎたあたりで車のヘッドライトに浮かぶ人の姿があった。同乗のT橋さんはそれを見て驚いていたが、私の予想通りO野さんだった。林道区間の中間くらいの場所だった。O野さんを乗せて戸沢に向かう。O野さんは御年70歳過ぎ。私はO野さんよりはるかに若いが、こんな距離を夜中に歩こうなんて思わず車に頼ってしまう。昔の登山者は強いなあと感心。
 21時頃、戸沢キャンプ場に着くと、いくつもテントが張られ、盛大に焚き火を熾して所属山岳会の面々が集まっていた。17時集合に対して4時間の大遅刻だ。夏の沢登りの打ち合わせはとっくに済んでいた。ビールを飲みながら焚き火に当たる。寒いわけではないので焚き火の熱が熱いくらいだ。夜も更けた頃に張ってあったテントに入って寝る。

■5/18(日)  表丹沢水無川 新茅ノ沢
 テントの外が騒がしくなってきたので、何人かがすでに起き出しているようだ。この日も快晴。所属山岳会約26人が集まって、ここ戸沢を起点に周辺の沢を遡行する計画だ。5班に分かれて、水無川本谷や源次郎沢、新茅ノ沢、葛葉川本谷を遡行する。

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(↑朝の支度のようす)

 私のいる班は新茅ノ沢で、メンバーは昨日キューハ沢を一緒に遡行したT橋さん、H光さん、S幡さん、I瀬さん、私の5人。それからNG野さんをリーダーとする6人も同じ新茅ノ沢に入る。
 水無川本谷に行く班は7時半頃に出発していった。私のいる班は8時半に出発。林道を大倉方面に少し戻ると新茅ノ沢があり、橋の下をくぐって入渓する。
 所属山岳会ではこの時期毎年、戸沢をベースに周辺の沢を登る企画をやっており、会に入会したばかりの2年前に参加した時は、やはり同じ新茅ノ沢を遡行しているので今回で2回目だ。昨年は韓国・禅雲山(ソヌンサン)ツアーに行っていたので不参加。

 うす暗いところを行くとF1滝7mが現れる。ここはバックロープを引いて私が先行する。F2滝9mはH光さんがリード。

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(↑F1滝を登る私)
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(↑F2滝をリードするH光さん)
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(↑F2滝を登るS幡さん)

 ハイライトのF5大滝15mは私がリードする。2年前にも私がリードしたはずなのだが、あまり覚えていない。そのとき一緒に遡行したS幡さんが教えてくれた。S幡さんは昨年もこの沢だったそうで、3年連続で同じ沢を遡行していることになる。もしかしたら来年も同じ?
 F5大滝は水流の右側を登る。ところどころに残置ハーケンや切れそうなスリングがぶら下がっている。出だしからちょっと登ったところで、足を上げ過ぎてちょっと苦しい体勢になってしまい、目の前の割れ目に苦し紛れに0.5番キャメをきめる。あとは残置ピンにランナーを取りながら慎重に登っていく。滝の水がザバザバとかかって冷たい。岩が乾いたところを乗っ越してトップアウト。支点があるのでそこでセカンドビレイを行う。S幡さんがフォローで登る。
 巻いてきた3人のうち、H光さんとT橋さんが懸垂下降してF5滝の下に降り立ち、それぞれフォローで登る。新茅ノ沢に入ったもう一つの班NG野さんパーティーが追い付いてきて、滝下で待っている。後で聞くと、彼らもそれぞれ大滝を登ったそうだ。

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(↑F5大滝全景)
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(↑F5滝をリードする私)
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(↑同)
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(↑F5滝を登るS幡さん)
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(↑同、T橋さん)
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(↑同、H光さん)
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(↑鹿の骨)

 F8は左側の緩傾斜から越える。どんどん登っていくと倒木が多くなってきた。岩が崩れているところもある。これもやはり2月の大雪の影響だろうか。少し雪も残っていた。ガレた小滝を越えたりしながら登っていくと、4mチョックストーン涸滝がある。H光さんが先行して後続にロープを出したけれど、難しいわけではないので私はそのまま登って越える。最後にガレガレを詰めると、土止めされた草地が現れてきて鳥尾山の山頂も近い。後ろを振り返ると雪をまとった富士山と相模湾が眺められる。いい眺めだ。

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(↑F8滝)
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(↑4mチョックストーンを登るS幡さん)
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(↑鳥尾山山頂)

 鳥尾山荘のある鳥尾山山頂に到着。12時半頃。登山者が多い。派手な服を着た山ガールもいる。沢靴からアプローチシューズに履き替え、ハーネスも脱ぐ。暑いので私は短パン姿に。
 いちおう14時を目安に戸沢に戻ることになっていたので、塔ノ岳方面に少し縦走するという時間もないので、鳥尾尾根をがんがん下って下山した。

 朝イチで出発していった水無川本谷Pがすでに戻っており、我々の後にも残りの班が続々と帰ってきた。全員が揃ったところで総括を行い記念写真を撮って解散。私の車は、IG嵐さん、T橋さん、O野さんが同乗。東名道の渋滞は疲れたけれど皆を自宅や駅まで送る。
 こうして2日間とも素晴らしい天気に恵まれ沢登りを楽しむことができた。キューハ沢でも新茅ノ沢でも小さいながら滝の登攀ができたのも良かった。

瑞牆山 不動沢屏風岩 カサメリ沢前絵星岩

2014.05.10(土)~11(日)
 瑞牆山でクラックを登ってきた。
初日は不動沢にある屏風岩の正面壁とエンペラー・タワーで登り、2日目はカサメリ沢にある前絵星岩で登った。
 どちらの岩場も行くのは初めてだ。特に不動沢にはワイドクラックがたくさんあると以前から聞いていたので、どのようなところなのか楽しみにしていた。
 同行者はT橋さん。

■5/10(土) 不動沢 屏風岩
 早朝、京王線某駅近くでT橋さんと待ち合わせ、私の車で植樹祭広場を目指す。植樹祭広場を通り過ぎ、ダートの林道を進むと、不動沢やカサメリ沢に至る駐車スペースに出る。ここに来るのは数年ぶり。以前何度かカサメリ沢にあるモツランドやコセロックなどに通ったものだが、すっかりご無沙汰している。他に2台ほど停まっている。
 私は不動沢に足を踏み入れるのは初めてだ。T橋さんは特に昨年は足しげく通ったそうで、そのT橋さんの案内で、駐車場から最も近い屏風岩で登ることにした。
 しばらく歩くと樹林帯の中に大きな岩が現れた。屏風岩正面壁らしい。さらに左に回り込んでいくと、岩小屋ルーフやエンペラー・タワーがあると言う。
 まずはアップを兼ねてここ正面壁で登る。他のクライマーはおらず、時々登山者が通り過ぎるだけだ。

【屏風岩正面壁】
○「おしん」5.8 OS
 左端にあるおしんというルートを登る。途中の木を通過してチムニー状を登る。これくらいならオンサイトできる。

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(おしん5.8を登るT橋さん)

○「不動沢愛好会ルート」1P 5.10a (出だしフレーク) OS
 出だしのスクイーズチムニーを避けて、左側のフレークを辿って後半のハンドクラックを登った。これもオンサイト。
 トップロープを張る。

○同 (出だしSq.) Tr.
 トップロープで、愛好会ルートの出だしのスクイーズチムニーをT橋さんも私もやってみる。スクイーズチムニーとは、身体の厚みぴったりくらいの狭いチムニーで、身体が外に絞り出されるような狭さという意味らしい。絞り出されるならまだ良いが、身体がスタックして身動き取れなくなったら大変そう。
 やってみると、完全に身体を入れてしまうと息苦しくて身動きが取れず、身体を上にあげるどころではない。身体を左向きにして(身体の左側がチムニー奥側)、右足を外に出してチムニー外の壁に足を当てながらだと何とか身体を上げていける。これをリードするとなると、チムニーの奥のほうにカムをきめるのが大変そう。

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(↑不動沢愛好会ルートのスクイーズチムニーを登るT橋さん)

 正面壁で登り終えて、エンペラー・タワーに移動しようと荷物をまとめていたところ、所属山岳会のHUさん達4人がやってきた。もうお昼近い。この日、HUさん達も不動沢に来ると聞いていたのだが、なかなか来ないので他の岩場に行ったのかと思っていた。聞くと、中央道の事故渋滞に巻き込まれてしまったそうだ。顔ぶれは、HUさん、YT川さんOK田さん、それから先日白馬岳主稜や小川山に一緒に行ったY和さんの4人。
 HUさん達も正面壁で登ってからエンペラー・タワーに行くということで、我々は先に移動する。
 途中、画竜点睛5.12dなどのルートがある岩小屋ルーフを見る。ルーフクラックを登るらしく、私にはおよそ歯が立たない。

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(↑岩小屋ルーフ)

 岩塔を回り込むように斜面を登っていくと、エンペラー・タワーの取付に至る。T橋さんのこの日の目標は、ここにあるよろめきクラック5.10aとのこと。

【屏風岩エンペラー・タワー】
○「エンパイア・ジャム」5.9 ×
 エンパイア・ジャムはよろめきクラックの左側のクラックからスタートし、中間でよろめきと合流し、後半はよろめきと共用するルートだ。
 T橋さんが登ったあと私もトライ。出だしは3番キャメがきくサイズで、さらに登るとハンドジャムが快適にきまるクラックがある。水平クラックが走るところから右側のよろめきクラックに合流する。最初はフィストがきまるのだが、さらに上がるとクラックが広がってくる。頭上に見えるチョックストーンに手を伸ばしたいのだが、こういうワイドクラックの中で身体を上げるムーブが分らない。ここでテンション。テンションしながらチョックストーンまで手が届き、何とかトップアウト。

P5100018
(↑エンパイア・ジャム5.9を登るT橋さん)
P510002459
(↑エンパイア・ジャム5.9を登るY和さんとよろめきクラック5.10aを登るYT川さん(上))

○「よろめきクラック」5.10a Tr.
 Tr.でT橋さんも私もよろめきをやってみる。前半のオフィドゥスが難しい。最初は左向き(右半身が奥)で取り付き、途中で向きを入れ替えて右向きで上がってみた。狭くて息苦しくなる。あとから来たHUさんは最初から右向きで登ってうまく抜けて行っていた。
 T橋さんはレスト後にトライして、レッドポイントした。さすが。

P5100032
(↑よろめきクラック5.10aをRPするT橋さん)

○「石楠花三昧」5.10b OS
 HUさんパーティーを含め皆がよろめきクラックなどをやっている間に、右に回り込んだところにあるシャクナゲ三昧というルートをやってみることにした。トポにはフィンガーとある。
 右上していくルートで、右側に少し身体を預けるとラクになる。そうしてじわじわ登っていくと急にクラックが途切れてしまった。ほとんど線のように細くなり、ところどころ隙間があるくらいだ。フェイスのホールドもワルい。ここでテンション。伸び上がって、その隙間にマイクロカムを突っ込んでみるが効きがいまいち。これで5.10bなんてはずはない。日本100岩場では、ルート長は15mとなっていて、だいたい登ったくらいの高さのはずだ。終了点にはボルト1つの×印が記してあったが、それもない。仕方がないのでカムを残置して下降した。

 シャクナゲ三昧に残置したカムを回収しないといけないので、よろめきクラックからTOPへの道5.10bを登って、エンペラー・タワーの岩塔上から懸垂下降しながら回収することにした。まずはトップロープでよろめきを登る。もう疲れてヘロヘロなのでテンションだらけ。よろめきのRPトライはまた別の機会に。

○「TOPへの道」5.10b ×
 HUさんとY和さんがエンペラー・クラック5.9を登って、よろめきクラックの終了点に到着していた。この先のTOPへの道を登るために、Y和さんに付き合ってもらうことになった。
 しかし、フレアした浅いクラックはジャムはもちろんカムがきめづらい。何とかカムをきめるとジャムすっぽ抜けてフォール。A0を交えながらトップアウトし、岩塔上を右に歩いて、太い木にかかった残置のスリングとビナでピッチを切った。Y和さんがフォローで続く。

※「石楠花三昧」5.10bの終了点消失について
 懸垂下降していくと、石楠花から上のパートを見るとえらく難しそうだ。HUさんの話だと5.13のルートがエクステンションとして設定されたらしい。そのために、石楠花三昧の終了テインが勝手に撤去されてしまったのかもしれない。とりあえず残置したカムを回収できたけれど、このとおり石楠花の終了点は無くなってしまったので、5.10bとしてのルートも無くなってしまったということか。
 100岩場の掲載どおりに登ってしまうと、私のように下降に困ることになるので要注意。誰かがまたボルトをセットしてくれると良いのだが、私はとりあえず終了点があったと思われるところまではノーテンで登れたので、オンサイトできたことにする。ボルト跡は見つからなかったけれど。

 そんな感じで、6人であれこれ登って下山する。YT川さん、OK田さん、Y和さんは日帰りなのでYT川さんの車で帰って行った。HUさんは明日も瑞牆で登るので、私の車に荷物を移す。信州峠を越えて川上村に入る。ヘルシーの湯で疲れた身体を癒し、ふじもとで夕食。私はビビンバ650円を食す。ナナーズで買い出ししてから、不動沢入口の駐車場に戻る。テントを張って中でビールを飲んでいると、HUさんの知り合いのI井さんが来た。5.14を登る強~いクライマーとのこと。ワインを飲むとトロトロと眠くなってきた。

■5/11(日)  カサメリ沢 前絵星岩
 起き出してテントの外を見ると今日も快晴だ。昨夜のお酒で頭が重いというよりも、体中の筋肉がゴワゴワに強張っている感じだ。慣れていないのもあるだろうが、ワイドクラックはフェイスのルート以上に全身を使って登る感じで、そのためこんなに身体のあちこちが痛むのかも。
 今日はT橋さんの案内で、カサメリ沢の前絵星岩で登ることにした。カサメリ沢は不動沢の枝沢らしいので、厳密には前絵星岩は不動沢に面しているのかも知れないけれど。何年か前に隣りの絵星岩で一度登ったことはある。
 HUさん、I井さんと別れ、T橋さんと出発。飛び石伝いに沢を渡り、アプローチ道を下流側に少し歩いてから斜面の中の踏み跡に入る。すると前絵星岩の基部に着く。
新緑荒野という5ピッチのルートの最初の取付もここらしいが、1P目が難しいので、回り込んだ右側から登って2P目取付に行くこともできるらしい。2P目はクラックが2つあって、左側のジキル博士5.10aと右側のハイド氏5.10aのどちらでもよいみたい。
 さらに、逆に左側に回り込んで急斜面を登っていくと、4P目取付きの見晴らしの良いテラスに出る。雪を頂く南アルプスが眺められる。まずはここまで登って荷物を解く。南面していて日当たりが良く暖かい。前日の屏風岩はほとんどずっと日が当たらず寒いくらいだったので、この暖かさは心地よい。T橋さんはここのルートをいくつか登っていて、水平旅行5.10bという面白いルートもあるらしい。昨日の屏風岩も貸切状態だったけれど、この日の前絵星岩も貸切だった。駐車場に停まっている車の少なさからしても、訪れるクライマーは少ないようだ。
 最初にアップを兼ねて、ここから懸垂下降してジキルとハイドを登ろうとしたのだが、懸垂下降したロープがスタックしたりして手間取ってしまったので、諦めてテラスに戻った。

○「真夏の太陽」5.10b ×、Tr.
 気を取り直して、真夏の太陽というフィンガーくらいのクラックのルートをやってみる。しかし、私にはキビしくて途中でテンション。その後はA0を交えながら少しずつ登っていくが、傾斜が変わるところの乗っ越しができず、途中で降りる。T橋さんに交替して登ってもらい、Tr.をかけてもらう。Tr.状態でもう一度やってみるが、フィンガージャムがきまりきれずやはりテンション混じり。トップアウトして、左隣りの新緑荒野4P目にTr.を張る。

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(↑真夏の太陽5.10bを登るT橋さん)

○「新緑荒野」4P目 5.10a 2RP
 100岩場を見ても、各ピッチごとのグレードがいまいち分らないのだが、登った感じで記載の5.10aとしておく。まずはTr,で登ってみる。段々を2つほど上がってから左側の厚いフレーク状に取り付く。途中その厚いフレークを抱き着くように登ったり、右のフェイスに立ち込んながらフレーク内側に半身を入れながらジャムして登っていく。ノーテンで登れたので、少し休んでから、リードしてみることにした。
 中間のオフィドウスから最後のフレークのレイバックに至る。5番や6番の大きなカムをきめておく。最後のフレークは左右に2つあるのだが、右側の今にも抜けそうに突き出したフレークのほうが幾分易しいらしい。左側の大フレークをレイバックでぐいぐい上がり終了点へ。登れて良かった。

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(↑新緑荒野4P目をRPする私。写真横向き)

 荷物をまとめて、前絵星岩の基部に下りる。右側から登って新緑荒野の2P目、ジキル博士とハイド氏の2本を登ることにした。まずはその取付きまで行くのだが、結構急なのでロープを出してT橋さんのリードで行く。
 着いた狭いテラスには太い木があり、そこでセルフビレイが取れる。左側のオフィドゥスがジキル博士5.10a、右側のフィンガーがハイド氏5.10aだ。T橋さんは以前、Tr.でそれぞれ触っているとのことなので、まずは私がトライする。身体はくたくたに疲れているはずなのだが、登っているうちに身体が少しはほぐれてきた感じがする。

○「ジキル博士」5.10a OS
 出だしで、私は左側から回り込んで取り付いたが、続いて登ったT橋さんはきっちりオフィドゥス内から取り付いていた。右上するオフィドゥスでは4番キャメがもっともきまる。左足をオフィドゥスに入れるようにしながら登っていく。オンサイトできた。
 前日のワイドでも腕のあちこちに小さな擦り傷と作ったけれど、今日も前腕や指が結構血だらけだ。続くT橋さんもRP。

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(↑ジキル博士5.10aをRPするT橋さん)

○「ハイド氏」5.10a OS
 テラスの右寄りからスタート。ハンドくらいのクラックから、中盤からはフィンガーになる。このフィンガーでは0.5番がベストサイズ。しかし、このフィンガークラック、縁がギザギザしていてねじ込む指が痛い。痛みをこらえて順手や逆手でフィンガージャムをきめる。入間のクライミングジム・ベースキャンプにあるクラックルートでフィンガージャムの練習したのがここで役立った感じだ。最後は左にトラバースして、ジキル博士の終了点へ。やった。フィンガージャムをきめながらきっちりと登れたのが嬉しい。T橋さんもRP。

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(↑ハイド氏5.10aをRPするT橋さん)

 ちなみに終了点のボルト支点はない。抜けたテラスに立つ木にスリングとビナをセットしてロワーダウンしたのだが、最後に懸垂下降するとなると、スリングなどを残置しない限りメインロープを木に直掛けすることになる。我々はそうしたのだが、直掛けだとロープの回収が大変だ。あるいは、新緑荒野の3P目を登って、午前中に居たテラスから歩いて下りることもできる。

 下山して、須玉から中央道に乗る。談合坂SAから先で渋滞につかまったので、上野原ICで降りる。T橋さんと解散し帰宅。ああ、疲れた。でも今回はワイドクラックをあれこれ触ることができて良い経験になった。T橋さん、お疲れさまでした。

小川山 烏帽子岩左稜線 屋根岩3峰 ソラマメスラブ

2014.05.05(月)~06(火)
 3~4日で白馬岳主稜を登ってきた私とY和さんは、道の駅南きよさとで泊まった。5日はHUさんと合流して湯川で登るはずだったのだが、それが白紙になったので、当初計画していたとおり、GW残りの2日間を小川山で登ることにした。

■5/5(月) 烏帽子岩左稜線 5.8 18P
 計画では、一日はマルチピッチのルートを登ることにしていて、なかなか機会のなかった烏帽子岩左稜線に登ってみたかった私は今回の出発前からY和さんい提案していたのだ。
 5日は午後から雨が降る予報だったので、全18ピッチもあるらしいこのルートに行くべきか迷ったけれど、とにかく急いで登ることにして、この日登ることにした。決めてしまえばあとはテキパキと行動するのみ。テントを撤収して、廻り目平へと車を駆る。1時間強で廻り目平着。6時半過ぎ。GW期間中ということもあり、駐車場はほとんど埋まっていたが、昨秋の3連休のような溢れかえるような満車状態ではなかった。たくさんのクライマーがこの日のクライミングの準備をしていた。
 我々も装備をまとめると、すぐに歩き出す。ヴィクター方面の林道から沢の堰堤上を渡渉する。3月に行った名張の岩場での渡渉に比べたらラクなものだ。妹岩・マラ岩への道と分かれ、旧林道から樹林帯からガレ場を登っていく。ネットの記録には、このガレ場の中に目印となる「白い落ちそうな岩」というのがあるはずなのだが、見当たらない。もしかしたら本当に落ちてしまったのかも。左稜線の取り付きとなる岩壁はガレ場に取り付いた時点でだいたい分っていたので、そのあたりを目指して登っていき、樹林帯に入ると岩場の基部に至った。まだ誰も来ていない。というか、この日ここを登ったのは我々だけだった。
 シューズを履き替えロープを結び、登攀を開始したのは8時過ぎ。ロープはシングルロープ1本。カムももちろん携行。日本100岩場のトポ図によると、このルートは5.8を最高に全18ピッチ。途中5.4とか岩稜歩きのようなピッチもあり、懸垂下降も2か所あるようだ。グレードは易しいけれど、とにかく長いので早め早めに行動しないと時間を食ってしまいそうだ。まずはY和さんのリードで登攀開始。

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(↑ガレ場を登る)
P5050112
(↑取付き)

1P(5.6 20m)Y和リード
 取り付きの岩は、左手につるっとしたきれいな面があるが、トポのコメントにあるとおり取り付きはその右手にある木の根っこのある汚い溝だ。一段上がったあたりから登り始める。

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(↑1P目をリードするY和さん)

2P(5.7 20m)私リード
 あまり覚えていないが、トポのコメントどおり。

P5050118
(↑2P目フォローのY和さん)

3P(5.6 20m)Y和
 出だしはダブルクラックっぽいところを登る。

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(↑3P目をリードするY和さん)

4P(5.8 40m)私
 コメントどおり見上げる岩塔のスカイラインに木が1本生えており、それを目指して登っていく。

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(↑4P目をリードする私)

5P(5.4 40m)Y和
 ごく易しい岩稜。どこでピッチを切るのか分らず、途中でピッチを切ったため2Pに分かれたけれど、トップにロープを手繰ってもらいながらごく易しい岩場を登る。

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(↑5P目前半フォローの私)
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(↑5P目後半をリードするY和さん)

6P(5.4 30m)私
 ここは樹林の中を抜けていく感じ。

P50501296p
(↑6P目フォローのY和さん)

7P(5.5 30m)Y和
 トポには右から取り付くとあるが、岩の基部を右に回り込んで取り付くということではないらしい。ここを登れといった感じで見ればわかる。

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(↑7P目をリードするY和さん)

8P(5.5 15m)Y和
 続けてY和さんにリードしてもらう。右上の木を巻きながら登って行った。

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(↑8P目をリードするY和さん)

9P(5.7 35m)私
 どんなピッチだったか覚えていないのだが、確かに途中リングボルトが2つあり、それを過ぎて左に回り込んだところにハーケンが2枚あった。足元に腰掛けられる岩があるので座ってビレイ。
曇天で風があり寒い。この辺りは私は雨具の上衣を着込む。

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(↑9P目フォローのY和さん)

10P(5.6 20m)Y和
 出だしのトラバースは、左下の岩に足を伸ばして降り立つ際に、トラバース部分の棚状にあるホールドを両手でしっかり持って身体を下げていけばよいだろう。クイのあるところまで。

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(↑10P目をリードするY和さん)

11P(5.6 20m)私
 トポ図にL字に曲がるとあるが、そのとおり岩稜が途中で右に曲がる感じ。

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(↑11P目フォローのY和さん)

12P(5.5 30m)Y和
 向こう側に13P目のクラックが見えている。少し降りてから登り返すとクラックの基部。

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(↑12P目をリードするY和さん)

13P(5.7 15m)私
 ハンドクラックが楽しい。クラック初心者の私でも極めて快適だ。クラックを抜けたところでピッチを切り、フォローが登ったところでロープを解く。ここが烏帽子岩本峰(三ノ楯)頂上らしく、明瞭な踏み跡を辿る。

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(↑13P目フォローのY和さん。クラックを越えるところ)

14P(懸垂下降20m)
 懸垂下降で鞍部に降りる。この辺りからだったろうか、いよいよ雨が降り出してきた。ビショビショに濡れるほどの雨脚ではないが、雨具を着ていてよかった。

15P(5.5 20m)Y和
 目の前の割れた岩を左側面を辿って越えたその先に、チムニーがある。確かにボロい感じ。

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(↑15P目をリードするY和さん)

16P(懸垂下降10m)
 短い懸垂下降を終えて少し行くと、右手の樹林帯の中にエスケープできる踏み跡がある。雨はこれ以上強くならずに、一時的にせよむしろ止みつつあるようだ。登攀を続けることにする。

17P(5.7 35m)私
 残りの2ピッチは私がリードすることにする。ワイドクラックを越えるところで岩がビショビショに濡れていたため、たまらずカムをつかんでA0する。ロープを屈曲させてしまい、引っ張るロープがえらく重くなってしまった。最後のチムニーの基部に至る。

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(↑17P目フォローのY和さん)

18P(5.8 15m)私
 最終ピッチのチムニー。チムニーの中に入り込み、チムニー内の石に背負っていたザックを掛けて残す。背中をチムニー内の片面に当てながらジリジリと亀のように上がっていくが、頭上に見えるハーケン(ボルトだったかな?)までわずかに届かず。カエルのような格好で正面の岩に足を押し当て、背中側も押し当てるとほとんど身動きが取れなくなる。岩が乾いているのが救いだが、足が滑ったら擦り傷だらけになりながらチムニー内を落ちると思うと動くに動けない。カチホールドを持った手指がヨレてくる。どれだけ留まっていたか分らないが、意を決して身体を挙げてハーケンにヌンチャクを掛けそのままA0。そこから左側にチムニーの外を出る。ホッ。少し登ると岩稜に出る。ここでおしまいだ。まずは2人のザックを引き上げてからY和さんがフォローで登る。こうして登攀終了。

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(↑18P目フォローのY和さん)

 樹林帯を少し降りたところでシューズを履き替える。13時半過ぎくらいだったか。要した登攀時間は5時間半ということか。易しいピッチが多いとはいえ、途中雨の降る中18ピッチを登ったにしては、思っていたより早く登れたかな。

 樹林の中の踏み跡を辿り旧林道に出て、駐車場に戻る。まだ15時くらいだったので、欲張って近くの岩場に行ってみることにした。行ったことのない屋根岩1峰に行ってみることにした。使用禁止の展望台の東屋から降りていくようだが踏み跡がほとんど分らない。何とかたどり着いた岩場に3人組がいて、その岩場のルートは「バイシクルダイク」5.11dだった。ということは屋根岩1峰東面下部スラブというところか。バイシクルダイクは見るからにホールドのほとんどなさそうなドスラブなので、取り付く気はない。この岩場の上に屋根岩1峰があるはずなので、スラブの左側から樹林を上がっていく。上方に岩場が見えてきたが、そばまで行ってみるとルートが全くない。どこにあるのか分らないまま諦めて下山することにした。無駄足になってしまって、Y和さんごめん。

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(↑バイシクルダイク5.11d)

 車もテントの数も朝よりずっと少なくなっていた。空いた広場にテントを張る。夕食はY和さんがポトフを作ってくれた。疲れた私はテントの中でビールを飲みながらごろごろした。
夜中に再び雨が降ったようだ。予報では明日の天気は良いはずだから岩が乾いてくれますように。

■5/6(火) 屋根岩3峰、ソラマメスラブ
 朝、テントの外を見るとひどく霧がかかっている。天気は回復するだからと思い朝食を食べながら様子を見ていると、霧が晴れてきた。白馬岳主稜と烏帽子岩左稜線のこれまでの3日間の行動で身体がずっしりと疲れているのだが、思い身体を押してクライミングの装備をまとめる。
 Y和さんと乾きの良さそうな屋根岩に行くことにした。私は小川山に詳しくないし、屋根岩も数えるほどしか来たことがない。訪れたことがあるのは2峰と5峰だけだ。ということで着いたところは3峰。南稜神奈川ルートや南稜レモンルートといったマルチピッチルートを登るパーティーが何組かいた。

 まずは、JMCCルート5.9でアップ。が、アップのつもりで取り付いたけれど出だしが何だか難しい。1ピン目が高い。右の凹角から取り付こうと思ったけれど(結果、ここから取り付くのが正しいようだ)、1ピン目にたどり着くまでに落ちそうなので、左のトランキライザー5.11cの1ピン目を経由してJMCCにトラバースした。
 トップロープで登ったY和さんは、右からレイバック気味に登って行った。
 続いて、終了点が同じ同志会ルート5.10bを登る。Y和さんもTr.で登る。

○「メルトダウン・ダイレクト」5.11b ×
 このエリアではこの3つ星ルートをトライするつもりで来たのだが、ここに来る前に駐車場でA井さんに会った。直前にA井さんのメルトダウン・ダイレクトについてのブログ記事を読んでおり、ちょうど良かったので、ルートの様子を聞いた。100岩場には25mとあるけれど、実際は45mくらいあるので、下りる際は途中でロープを結び直すことになるとのこと。
なお、ピンの数はトポのコメントにあるとおり11本。核心を越えて傾斜が緩んだ最後は4mとか10mとかランナウとするけれど。
 ということで、立て掛けてあるような基部の岩から取り付く。この基部の岩にはボルト2か所。このスラブも気が抜けない。それからいよいよメルトダウンのスラブ壁に取り付く。小さいホールドを拾いながらじわじわと登っていく。何度もチョークアップしながら慎重に身体をあげていく。普段こんなカチカチホールドのルートなんて登らないので、スラブは苦手だ。
9ピン目のクリップを済ませると、その先のホールドがさらにワルくなった。その上にはリップ状のホールドが見えているので、あれを何とか取れればと思うのだが、手で持つホールドもそうだが、立ち込めそうなフットホールドもない。相当粘ってみたのだが、ついに力尽きてフォール。ああっ。登ったことのある人がわかると思うが、この9ピン目先が核心だったのだ。それでも、ここに至るまでもかなり難しいので、初見でここまで登れただけでも御の字かも。
 核心がどうしてもできず、9ピン目のボルトを踏みながらリップを取る。凹んだところを通過すると傾斜が緩まり、10~11ピン目間は4m、11~終了点間は10mくらいランナウトする。傾斜が緩く、慎重に登れば落ちることはないのだろうが。
 Tr.で核心部分のムーブを探る。右足ハイステップ気味に無理やりに身体を上がてリップのホールドを取ってみたけれど、ちょっと無理がありそう。諦めて下りる。もう1便出す気力はないので、ヌンチャクを回収する。
 A井さんには、長くてもう一度登る気にならないからオンサイトがんばってねと言われていたのだが、よく分った。

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(↑メルトダウン・ダイレクト5.11b)

 3峰を撤収して、ソラマメスラブに移動した。ここでは、裏ジェットストリーム5.11bと下部スラブにあるスラブの逆襲5.11bなどを登っている。
 Y和さんがソラマメ5.9+をリードで登る。

○「ソラマメハング・スーパー」5.11d 2RP
 ソラマメスラブの岩のうち、右のほうはスラブのルートばかりのようだが、左のほうは裏ジェットを含め出だしの部分がえぐれたハングになっているルートがある。そのうち、ソラマメハング・スーパーというルートも裏ジェット以上い出だしのかぶりがキツそうで面白そうだ。若者が掛けていたヌンチャクを回収していたので、今度は私もトライすることにした。
 1便目。ハング下の1ピン目含め3ピン目までは棒でヌンチャクを掛けておく。ハング下に取り付き、ハング右下の真っ白にチョークが付いたコブホールドを左手で持ちながら、ハング先の右上の外傾棚状の小さな割れ目を右手で取る。ここまでは足を基部の岩に残しておけるが、身長のない人は届かないだろう。そうして、左上がガタガタしたところの下端の出っ張りをがっちり左手で取る。ここまでは行けたのだがこの先がワルくてテンション。
 あれこれとムーブを探る。ガタガタのところに右手も出したいのだが、かぶっているので両足をどこかにきめたい。右足は手に足になるように外傾棚状にヒールフック。さらに探って左足はコブホールドに左足ヒール。両足ヒールでどっかぶりに張り付くような感じで、ガタガタに右手を出せば何とかなるようだ。さらに身体を引き付けて左手でガタガタ上方のガバをキャッチし、足を移して、伸び上がるように右上方のガバフレーク取ると核心部は終わりだ。
 2便目。先ほど探ったムーブで核心部をこなす。こんなムーブ、普段岩場でやることはなく、まるでジムのボルダー課題をやっているようだ。コブホールドにヒールする際は見えないので、ヒールがかかったかをビレイしているY和さんに教えてもらった。登り始める前に、Y和さんにお願いていたのだ。見えないから、かかっているかいないか教えてねと。ガタガタの右手は決して良くないのだが耐えつつ、左手を出してさらに上のガバを取る。足を移して、右上うガバフレークをキャッチ。思わず吠える。なんだかやけに岩が冷たい。さっきはこんなに冷たくはなかったはずだ。
 こうして2便目でレッドポイント。やれやれ、よかった。メルトダウン・ダイレクトは登れなかったけれど、これが登れてこの日は満足。

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(↑ソラマメハング・スーパー5.11d)

 私のトライの合間に、Y和さんは三色すみれ5.10aを2RP、甘食5.10bをオンサイト。
 最後に私は、別パーティーがトライしていたソラマメハング5.10cを登らせてもらう。先ほどのスーパーに比べたらずっと易しく、きちんと身体を振れば、無理やりホールドに手を出すこともなくスタティックにいける。フラッシュ。

 キャンプ場に戻り、テントを撤収して廻り目平を離れる。帰りは十石峠~志賀坂峠経由でずっとした道で帰ることにした。ナナーズから小鹿野町のセブンイレブンまでの約2時間の運転は疲れた。ようかみ食堂で、私はニラレバ炒め定食830円をいただく。Y和さんはラーメンセット850円。

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(↑ようかみ食堂のニラレバ炒め定食)

 ようかみ食堂から飯能まではY和さんに運転してもらった。Y和さんを家まで送り、帰宅。疲れた。
 疲れたけれど、白馬岳主稜をばっちり登り、小川山では烏帽子岩左稜線のマルチも登って、さらにどっかぶりのソラマメハング・スーパーも楽しく、充実した4日間となった。Y和さん、本当にお疲れさまでした。

北ア 白馬岳主稜

2014.05.03(土)~04(日)
 ゴールデンウィークの後半、北アルプスは白馬岳主稜を登ってきた。
初日は天気が崩れてきた中でⅢ峰付近で幕営し、翌日に快晴のもと山頂に抜け、大雪渓から下山した。
 トレースがずっとついていて、山頂直下でもロープを出すことなく、快適に登ることができた。
 同行者は、今年何度かクラックに一緒に行った北アの某山小屋で働くY和さん。

 金曜日夜、登山装備を積み込んだ車でY和さん家まで迎えに行き、中央道経由で白馬岳の登山口猿倉を目指す。高速道路はGW後半を迎え車が多い。Y和さんと運転を交替しながら、長野道の安曇野IC(旧豊科C)で降りて、日付を回った土曜日未明の1時過ぎに猿倉の駐車場に到着。100台くらい停められそうな駐車場に数十台の車が停まっていてテントも張ってある。我々もテントを張り、軽くビールを飲んでから2時頃に就寝。

■5/3(土)
 テントの外が騒がしくなってきて6時前に起き出す。駐車場の中にテントを張っているから、後からやってくる車のことを考えるとずっと張っているのもマズい。
 ヤマテンの天気予報では、この日は昼ごろから風が強まり、雨雪に見舞われるらしい。雨は止んでも午後から翌朝まで強風が続く見込みらしい。しかし、明日は回復するとのことだった。
 そこで、初日は主稜を登れるところまで登ることにした。インターネットの記録を見ると、Ⅲ峰付近にテントを張れるらしいことから、そこまで行くのが今日の目標だ。そこでテント泊して、天気が回復した明日朝に頂上に抜けるという算段だ。
 そのため、テントや寝袋などの宿泊装備、一晩分の共同食や炊事道具を用意。登攀具は、ピッケルにアイゼン、ハーネス、ヘルメット、確保器・カラビナ・スリング適宜、バイルも。

 雪山に入るので、お互いビーコンを装着して送受信のチェックを行う。大雪渓では雪崩の事故が多く発生しているし。6時50分頃に駐車場を発つ。猿倉荘の前を通り過ぎ、雪に埋まった林道を歩いていく。1時間以上歩いただろうか、大雪渓の入口が見えてきた。右手に見えるのが目指す白馬岳主稜だ。大雪渓の上を歩いている多くの登山者の姿が見え、主稜に取り付いているパーティーもいくつか見える。人気ルートだからやはり人が多い。
 小休憩してから我々も主稜に取り付く。尾根のほぼ末端から取り付いているらしいパーティーもいたけれど、我々は少し上の側面の傾斜の緩そうな雪面を選んで取り付く。というか、先行Pのトレースがあるのでそれを辿るだけだ。中には、もっと上の急な斜面に取り付いて岩場で行き詰まって降りてくる人もいた。

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(↑猿倉荘)
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(↑白馬岳主稜へ)
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(↑尾根に取付く)
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 まずはⅧ峰を目指して、何百メートルかの長い登りが続く。今のところまだまだ天気は良い。他のパーティーと前後しながら雪の斜面を登っていく。天気の良い中、ひさしぶりにこうして雪山を歩くのは気持ちいい。途中、ブッシュが現れているところを通過して、なおも雪面を登っていく。暑いくらいなのでジャケットは着ない。雪は日差しを受けてグサグサに柔らかくなっている。
 やがてピークっぽいところに至る。この辺がⅧ峰だろうか。少し行くと、下りてくる2人組と会った。聞くと、この先に露岩があり、そこを登れそうもないので引き返してきたのだと言う。登っていくと、彼らが言っていたらしき露岩があった。数メートルほどの岩場だ。グレードにしたらⅢ級もないようなところだ。それでも脆そうな石を手で叩いて確かめながら各自登った。今回、Y和さんに終始先頭を歩いてもらったが、この何でもない岩場だけは、いちおうクライミングしている私が先に登った。ロープは出さず。

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(↑露岩を登るY和さん。写真横向き)

 雪稜上をずっと歩いていく。山の上のほうは雲に隠れている。風も強くなり寒くなってきたのでジャケットを着込む。稜線上はナイフリッジというほど両側が切り立っている感じではないが、ばっちり付いているトレースを忠実にたどって行く。ピークらしきものをいくつも越えていったが、どれが何峰なのかはよく分らない。
 それまで快適に歩いていたのだが、標高2,000mを超えたくらいからだろうか、少しずつ息が上がってきて歩くペースが落ちてきた。大した標高ではないのだが、空気が薄くなってきて身体が重くなってきたらしい。昔は北アルプスなど3,000m級の縦走をしていたけれど、そんなところに滅多に行かなくなった今、これくらいの標高で息が上がってしまうのが情けない。数日前に早月尾根から剱岳を登ってきたばかりのY和さんは高所順応がばっちりできていると言って、変わらないペースで登っていく。
 辺りはすっかり雲の中に入ってしまった。ポツポツと雨か霙が降り出してきた。途中、休憩しているパーティーがいて、どうやらこの辺りでテントを張るようだ。

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(↑写真横向き)
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(↑ガスってきた)
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 先を歩くY和さんと距離が開いてきた。やがて傾斜が緩んだところに至るとテントが張ってあった。先行Pのテントらしい。男性3人のようだ。その隣りではY和さんがすでにテントを張る場所の整地のためスコップで雪を掘っている。13時くらいだったろうか。雨交じりの風の中、風を少しでもよけるために下に下に雪を掘っていく。1mくらい掘り下げたところでテントを張り、スノーバーなどでテントの綱を張る。

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(↑テント場の雪を掘る)

 テントの中に入ると風が避けられ、まずはホッとする。14時頃。装備を解いて、まずはお湯を沸かす。濡れた服から蒸気があがる。雪を入れた土嚢袋から雪をすくって鍋の中に入れ水を作る。雨に降られたのは短い時間で、再び山頂方面も見えるようになったけれど風は強い。暗くなるまで時間がある。しばらくお茶を飲んだりお菓子を食べたりしながら過ごし、夕方が近づいてきてからお酒を飲み始める。Y和さんが用意してくれた夕食を食べる。
寝不足と疲労から19時頃には寝袋に包まる。今使っているものよりは薄い古い冬用寝袋だったけれど、ガタガタ震えるような寒さではなかったのは良かった。夜中、風は強かったのでテント生地が頭に当たって鬱陶しかったけれど。
 深夜1時頃にトイレのためテントの外に出たときは、空は晴れ渡り星空が広がっていた。これは明日の登山が楽しみだ。

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(↑夕方の山頂方面)
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(↑杓子岳)

■5/4(日)
 3時20分にアラームが鳴って起床。お湯を沸かして朝食を済ます。外が明るくなってくる。快晴だ。起床から2時間ほどで出発。ここにテントを張った2パーティーはまだ出発準備中だ。Y和さんを先頭に稜線を歩いていく。前日はグサグサだった雪は凍って固くなっており、アイゼン、ピッケルがしっかり刺さり歩きやすいことこの上ない。

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(↑朝日。テントは別パーティーのもの)
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 1時間ほど歩いたⅡ峰付近にテントが1張りあり、出発の準備をしているところだった。彼らを追い越したことで、この日この先頂上までは誰もいなさそうで、我々が先頭になった。あまりにも快適で歩きやすいので緊張感がない。1晩泊まって、私もこの高度に身体が慣れたようで、おしゃべりしながら登っていく。

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(↑Ⅱ峰付近のテントを見下ろす)

 頂上直下の雪面がいよいよ近づいてきた。支点の取れる露岩から55~60mで山頂に抜けられるとネットの記録にはよく書いてある。ここでロープを出すことが多いようだが、私もY和さんも見上げたトレースの斜度の緩さを見て、ロープを出す必要はないね、ということになった。トレースは山頂直下の雪庇の右側に付けられていた。露岩にはハーケンが打たれていて、ロープを出す場合はここでビレイできるようになっていた。

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(↑山頂直下のビレイ支点のある露岩)
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(↑ハーケンが打ってある)

 ロープは出さないけれど、ここでバイルを出してダブルアックスでザクザクと登っていく。雪庇の切れ目からあっさり山頂に抜ける。ロープもスノーバーも全く使わなかった。

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(↑撮影のためバイルを大げさに振り上げてもらった)
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(↑雪庇の抜け口から主稜を見下ろす)

 抜けたところから標識の立つ山頂まで50mほど歩く。山頂に出た途端、強い風が吹いていて寒い。それまでが無風みたいなものだったので余計寒く感じる。山頂には登山者が何人もいた。見渡すパノラマは素晴らしく、特に剱岳がカッコいい。記念写真を撮る。

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(↑剱岳)
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(↑山頂にて私)

 強風で寒いので早々に下山を開始。少し降りると白馬山荘があったので、アイゼンを外して中に入る。中に入る際に、前日主稜を登ったという男性が話しかけてきた。天気の悪い中山頂に抜けたそうだ。そういう意味では、天気の良い時を選んで行動し、悪い時はテントの中にいた我々の判断は正解だ。長めの良い中、歩きたいからね。
 山荘の中では山スキーヤーの人達が出発の準備をしていた。ビールが売っていたので完登祝いに飲むことにした。ヱビスビール500ml缶800円を二人で分ける。美味しい。時刻は朝の7時半。朝っぱらからビールを飲むなんていつ以来だろう。

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(↑白馬山荘)

 30分ほど休んでから下山開始。途中、村営頂上宿舎というもう一つの山小屋はまだ閉まっていた。ここから大雪渓へと下っていく。降りるにつれて気温が上がっていくのか、暑くなって途中でジャケットを脱ぐ。

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(↑大雪渓を降り始める)

 大雪渓を降り始めてまだ10分くらいだった辺りだろうか、雪面に広く血の跡が広がっている。何か事故があったようだ。そういえば、今朝主稜を登っているとヘリコプターが頻繁に飛んでいるのが見えた。私はGWだから登山客の様子を撮っているのではと言ったが、北アの山小屋で働くY和さんはその様子に何かあったのではと言っていたのだが、そのとおりだったようだ。
 近くにピッケルが一つ落ちていて、拾い上げるとピッケルにも血痕があった。どうしたものか迷ったけれど、このままここに置いていくのもマズいので、下まで持って行くことにして私のザックに留める。猿倉荘で預ければ良いだろう。少し下ると再び雪面に血痕があり、辺りに菓子パンがいくつか落ちていた。やはりただ事ではないようだ。これらのパンはY和さんが持ってくれた。

 どんどん大雪渓を下っていくと、下から登ってくる人たちとすれ違う。その多くが板を持っている。スキーヤーかスノーボーダーがほとんどだ。そのとき、誰かが「落石~!」と叫ぶ。左後方を振り返ると、後方の岩場の斜面から落ちたらしい岩が音もなく雪面を転がり落ちてくる。大きさはデイパックくらいだったろうか、途中で止まった。大雪渓では大岩が直撃する死亡事故も発生しているが、雪の上を転がり落ちてくる岩は音もしないので気づきにくいだろう。特に下に向かって歩いていたら、後ろから落ちてくる岩にまったく気づかないかもしれない。

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(↑大雪渓を登っていくスノーボーダーたち)
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(↑白馬岳と飛行機)
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 はるか下方に白馬尻が見えてきた辺りで休憩を取る。ほかにも登山中のスキーヤーらがたくさんいる。その中に、Y和さんが以前所属していた山岳会の人達もいた。白馬尻の辺りまで降りてくると昨日登った主稜を登っている人たちが米粒のように眺められた。林道のトレースをずっと歩いていき、10時半頃に猿倉の駐車場に帰着した。

 拾ったピッケルを預けるため猿倉荘に赴くと、建物の前のテーブルに男の人達がいた。遭対協の人達らしく、登山届の受け付けなどをしているようだ。彼らにピッケルを預けると、遭難事故があったと教えてくれた。2人パーティーのうち一人が亡くなったという。このあとネットのニュースを見て事故の概要を知ったけれど、その亡くなった人がピッケルの持ち主がだったようだ。合掌。

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(↑帰り道、カタクリがたくさん咲いていた)
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(↑この花の名前はなんだろう)

 車で大町方面に車を走らせる。湯~ぷる木崎湖という温泉施設で登山の疲れを癒す。北大町駅近くにある鹿肉料理のお店は満席で食べられなかったので、大町駅まで移動して昭和軒というお店でソースかつ丼を食べた。ツーリングマップルに載っているお店だからか、ライダーの客が多かった。注文してから料理が出てくるまでえらく長く待たされたけれど、満腹になった。

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(↑昭和軒。写真横向き)
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(↑ソースかつ丼。写真横向き)

 さて、GW後半4日間のうち、2日間をこうして白馬岳主稜で遊んだ。残りの2日間は別のところで遊ぶのだが、雪山でひと仕事終えた我々は乾いた岩場でクライミングすることにしている。安曇野ICから小淵沢ICまで高速に乗り、小淵沢ICすぐそばにあるスーパーで買い出しをしてから今夜の寝床となる道の駅南きよさとへ。ここに泊まるということは、翌日行く岩場はだいたい想像がつくだろう。道の駅ではたくさんの鯉のぼりが空を泳いでいた。

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(↑道の駅南きよさと)

 駐車場の隅にテントを張って、お酒を飲んでいるとすっかり夜になった。メールで連絡があったHUさんが車でやって来た。HUさん曰く、明日は午後から天気が崩れる予報だから、雨に比較的強い湯川に行ってクラックしようかという話しになった。HUさんはしばらくいたあと、別のところに泊まっているはずの所属山岳会の人達に顔を出すべく再び車で出ていった。疲労でとろとろと眠いので寝ることにした。
 翌5日の早朝、メールチェックすると昨夜会ったHUさんからのメールが届いていた。急用のため東京に帰るとのこと。ということで、湯川行きは白紙にして、改めてこの5日の行動をY和さんと相談する。つづく

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