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越後 三国川芋川ジロト沢右俣 布晒ノ滝

2014.05.31(土)
 越後にある三国川芋川ジロト沢を遡行してきた。ハイライトは右俣に架かる布晒ノ滝(ぬのさらしのたき)の登攀だ。
 同行者は所属山岳会のYT川さん。YT川さんは昨年左俣に行っていて、右俣のこの大滝を登ろうと言うのはYT川さんの提案だ。

 三国川芋川ジロト沢の場所は、関越道の六日町ICから三国川に沿って東へ。三国川ダムに至る手前の野中の集落から南に向かう道に入る。地形図では野中沢と記載されているが、これが芋川のことらしい。その野中沢に沿った車道の終点へ。大きな赤い鉄柱とコンクリートの堰堤が目印だ。
 この辺りには昨夏訪れている。奥利根本谷を遡行した際に丹後山経由で十字峡まで降りてきて、十字峡からは電話で呼んだおいた送迎バスで五十沢温泉まで送ってもらった。その時にこの野中の集落も通り過ぎているはずだ。

 金曜日夜、川越でYT川さんと待ち合わせ、私の車で関越道を走る。日付が替わってから六日町ICを降りる。遠くで稲光が激しく光っているのが見える。六日町ICを降りたあたりは雨は降っていなかったが、遠くではずっと雷が鳴っている。え~、天気予報は良かったはずでは? 三国川ダム方面に向かうにつれて雨が降ってきた。ザーザー降りではないが、小雨というほどでもない。
 三国川ダム下にしゃくなげ観光センターという施設を見つけ、そこの東屋の下で寝ることにした。雨が降っているので軒下で寝られるのは助かる。テントを張る手間も省けるし。風も多少吹いている。地べたにシートを敷いて寝袋に包まる。深夜1時前。4時に起床することにしたので、3時間ほどしか寝られない。

 土曜日4時に起床。昨夜の雨と雷がウソのように収まっていて、空は晴れている。今頃の季節すでに空は明るくなり出している。風が吹いていたせいか、駐車場の路面もすっかり乾いている。その風も冷たくないというか、生暖かい感じで、今日は絶好の沢登り日和となりそうだ。身支度を整えてから出発。
 車を走らせ、前述した野中沢沿いの車道終点の駐車スペースへ。歩き出したのは4時50分頃。注射スペースの奥、目の前の堰堤の右側に山道があるのでそこに入っていく。しばらく沢の左岸の山道を歩くと、右岸、左岸を沢を渡渉するように山道が続いており、最後は大きくガレた場所で山道は右岸へと続くので、山道から離れ沢に戻る。
 滝沢との出合はこの途中の早い段階で現れる。地形図上の車道の終点は野中沢の右岸側で途切れているが、実際はもう少し伸びて左岸側で終わっているので、滝沢の出合いを近く感じたようだ。
 先ほどの山道は帰路にも使うのだが、ガレ場から越路沢の右岸側の山中に作られているらしいこの道は重松越路という鞍部を経て、雨量計小屋まで続いている。この辺りは下山のところでまた触れる。
 ジロト沢を遡行していくのだが、左俣と分かれ、右俣に架かる布晒ノ滝に至るまでこれといって難しいところはなかった。ただ、雪渓がたくさん残っていたので、その上を慎重に歩いて越えていく。こうした雪渓を過ぎていくと、遠くに白い水の流れが見えた。布晒ノ滝。あれを登るのだ。左俣との二俣から布晒ノ滝まではずっと雪渓上を歩くことになる。二俣から左俣を見ると雪渓の先にスラブ状の滝がある。100m大滝らしい。

 雪渓上を歩き布晒ノ滝に近づく。滝の下部は雪渓に隠れているようだ。滝壺周辺は大きなシュルンドになっているので岩壁に取り付けない。どのようにして取り付くか。昨夏奥利根本谷でスノーボラードを作って懸垂下降したように、降りることも考えられるが、支点を作るのが容易ではないし、降りた先がどうなっているか分らない。あとで滝壺を覗くと、岩壁と雪渓の大きな隙間に吸い込まれるように滝の水が落ちていくのを見て、あんなところに降りたら大変なことになっていただろうと思った。
 さて、雪渓から岩壁に戻るため、左俣の略奪点側に少し雪渓を登ると、シュルンドが開いておらず、雪渓が岩壁に接しているところがあった。岩壁にはブッシュが生えていて、それを手掛かりにすれば登れそうだ。取付いてみると確かに登れる。灌木の生えた斜面をトラバースするように行くとルンゼがあり、それを降りていくと布晒ノ滝の左壁に至ることができた。ロープを出すこともなくここまで来れたので、ルートファインディングとしては正解だったろう。右下を見ると、先ほど書いたように滝の水が大きなシュルンドの中に吸い込まれていく。すごい眺めだ。
 少し登った場所でロープを結ぶことにした。YT川さんによると、ここまでですでに雪渓がない時の布晒ノ滝の1ピッチ分くらいを登った高さまで来ているらしい。

 布晒ノ滝そのものは、右俣の出合にかかっているのだが、この滝を登った先もスラブ状の滝が延々と上に続いている。登るラインは、水流の左壁の中、ハングした部分のさらに左側のブッシュの中を選んだ。他の登攀記録を見ると、ここら辺から登ることが多いようだ。
 最初はYT川さんのリードで登り始めることにした。この大滝を登りに行こうと言ったのがYT川さんだから、ぜひリードして登りたいはずだし。この1ピッチ目、滑り落ちそうな草付きなど悪いところがあり、フォローで登った私は、リードしなくて良かった~と思ったものだ。ということで、奇数ピッチはYT川さん、偶数ピッチは私のリード。ピッチと言っても、明確なピッチ支点などもちろん皆無で、50mダブルロープをめいっぱい伸ばす前くらいに灌木などでピッチを切っていった。
 2ピッチ目は私のリードで乾いた岩場を登りつつ、ランナーはところどころ生えている細い灌木で取った。布晒ノ滝そのものはすでに越えているらしいが、傾斜がありまだまだ気が抜けない。
 3ピッチ目をリードしたYT川さんは水流の中に入っていった。基本的には左手のブッシュ帯とのコンタクトライン辺りのスラブ帯を登って行けばよいはずだけれど。水流の中の大きな段差状を登って行ってピッチを切っていた。フォローで登ると上半身に水流をもろにかぶり冷たいのなんの。急激に身体が冷える。ハーケンを打てるようなリスもあまりないところだが、偶然ハンドサイズのカムがきまる隙間があり、YT川さんはそこでピッチを切っていた。
 4ピッチ目は私のリードだが、水の流れるスラブをそのまま登って行けるか試してみる。表面を水が流れる岩のカチホールドを拾いながら3mほど登ってみるが行き詰まってしまう。およそプロテクションが取れる感じがしないし、ハーケンを打つ余裕もないので、登る以上に慎重にクライムダウンしてYT川さんのところに戻る。水流の中を登るのはちょっと無理なので、左の乾いたスラブに戻ることにする。左にぴょんと飛ぶように水の中を移動してから、乾いた岩に取り付く。ところどころ微妙なところもあったけれど、乾いているだけで安心感が違う。
 5ピッチ目以降はずっと易しくなってくるのであまり書くことはない。左側のブッシュとのコンタクトラインをたどって行く感じで、交互にロープを伸ばしていく。終盤はさらに易しくなり、リードのYT川さんがロープ目いっぱい伸ばしたときは私もビレイしながらそのまま登っていった。
 最後、YT川さんがリードした11ピッチ目で雪渓の上を歩くと二俣状になっており、そこで登攀終了とした。振り返ると越後三山が眺められる。右から中ノ岳、越後駒ヶ岳、八海山。私はまだどれも登ったことがない。それにしてもこんな長いスラブ滝をよく登ったものだ。楽しかった。

 休憩してから下山開始。まずは左俣を越えてさらにその左の尾根上にある展望台を目指す。展望台と言っても東屋があるワケではなく、尾根上の露岩があるだけだ。登攀終了点からは真東を目指すようにヤブ漕ぎしていく。どこで左俣を通り過ぎたのかよく分らないのだが、昨年来ているYT川さんが先行してヤブ漕ぎする。久しぶりのヤブ漕ぎは疲れるし、とにかく暑い。途中、見晴らしのきくところからは露岩と、さらに先の雨量計小屋が見えた。露岩の展望台から雨量計小屋までは何となく踏み跡があるところもあるのだが、ほとんどヤブ漕ぎだ。汗だくになる。
 ようやく雨量計小屋に着く。ここから先は平たんな明瞭な道がしばらく続く。が、この快適な道はずっとは続いてくれなかった。重松越路という鞍部をどこで通過したのか気づかなかったのだが、下りの急坂になりだすのに合わせて、道も悪くなってきた。滑りやすい土斜面で、すり減った沢靴だと滑りやすい。フィックスロープが延々と張られているので、それを伝って下っていく。この下りが結構長い。とっくにイヤになった頃に開けたガレ場に出る。朝通過したガレ場だ。ここからは沢を何度か渡り返したりしながら朝通った山道を通ると駐車場所に戻る。17時前。丸々12時間の行動だった。こうして無事に下山。天気にも恵まれ充実した山行となった。YT川さん、ありがとう。

 濡れた服を着替えてから、帰途につく。関越道に乗る前に五十沢温泉旧館に寄って、疲れた身体を癒す。冒頭書いたとおり、昨夏に奥利根本谷から下山した時にここを利用している。お風呂はもちろん、ここで1泊して皆で打ち上げをした。その時は近くのおあしす食堂という定食屋で晩ご飯を食べた。
 今回はお風呂に入っただけで、すぐに関越道に乗って帰った。東松山ICで降りて、YT川さんおススメのラーメン屋で夕食をとることにした。ラーメンショップ吉間家(よしまけ)。20時の閉店にぎりぎり間に合った。私はみそラーメン中盛を注文。ニンニクがきいていて美味しい。満腹になったところで川越までYT川さんを送って解散。

 さて、一人になった私は東京に帰らず、そのまま車を走らせる。秩父、小鹿野を経て志賀坂峠を越えて群馬県上野村へ。上野村ふれあい館という道の駅に似た施設の駐車場に着いたのは日付を回った頃。ビールを飲んでから車中泊。ああ、疲れた。

P5310002
(↑しゃくなげ観光センター)
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(↑東屋の下で寝た)
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(↑車道終点)
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(↑出発)
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(↑沢に降りる)
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(↑ガレ場を通過)
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(↑雪渓が出てきた)
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(↑雪渓の上を歩く)
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(↑また雪渓。写真横向き)
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(↑ポットホール)
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(↑まだまだ雪渓。写真横向き)
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(↑布晒ノ滝が見えてきた)
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(↑おお~っ)
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(↑布晒ノ滝の手前も延々と雪渓が残る)
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(↑左俣の100m大滝)

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(↑布晒ノ滝に近づく)
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(↑左上を見ると略奪点)
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(↑滝には虹がかかる。写真横向き)
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(↑横から覗くとシュルンドが開いている)
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(↑雪渓から草付きへ。後ろを振り返るとYT川さんが雪渓上に)
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(↑ブッシュ帯から滝の左壁に下降気味に近づく)
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(↑滝つぼを覗く)
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(↑1P目を登り始めるYT川さん)
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(↑2P目フォローのYT川さん)
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(↑3P目を行くYT川さん)
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(↑4P目フォローのYT川さん)
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(↑何ピッチ目か)
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(↑上のほうを見る)
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(↑後ろを振り返ると越後三山。写真横向き)
P5310092
(↑もうすぐ終わりかな)
P5310094
(↑あそこで終わりだ。最後も雪渓)
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(↑振り返ると越後三山)
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(↑大兜山)
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(↑写真の尾根上、右下側に展望台の露岩。左上側に雨量計小屋が見える。)
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(↑展望台の露岩)
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(↑雨量計小屋)
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(↑朝通過したガレ場に)
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(↑車道終点に私の車が見える)
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(↑五十沢温泉旧館)
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(↑東松山にあるラーメンショップ吉間家のみそラーメン。写真横向き)

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