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北ア・笠ヶ岳 穴毛谷二ノ沢右俣あけぼの壁「夏休みルート」フリー化

2014.07.30(土)~31(日)
 北アルプスは笠ヶ岳の東側にある穴毛谷二ノ沢右俣あけぼの壁「夏休みルート」(1984年初登)をオールフリー、オールナチュラルプロテクションにより登ってきた。

 あけぼの壁は、穴毛谷の二ノ沢を入り右俣を詰めた右岸に立つ大きな岩壁で、左側のドリュ状岩壁と右側のあけぼの壁がある。新穂高からも朝日を受けたこれらの岩壁が眺められるのだが、同行者のF巻さんの話では、夏休みルートを含め拓かれているルートは初登以来ほとんど登られていないだろうとのこと。

 今回トライする夏休みルートは、人工登攀も交えて拓かれたルートだが、今回、登るに当たってのF巻さんの考えは、ひとつにはフリークライミングで登ること、ふたつめはランナー・ビレイ支点とも残置はもちろんハーケンも使用せず、極力カムやナッツといったナチュプロだけを使用するというもの。
 そのうえで、一日で完登するのは難しいとのことから2つの案が示された。ひとつには、初日にロープを伸ばせるだけ登ってフィックスしたロープで懸垂下降して取付に戻り、2日目にユマーリングして残りを登攀するというもの。もうひとつは途中壁の中でビバークするというもの。後者の場合、ビバーク時を含む2日分の水・食料や装備を担ぎ上げる必要がある。結果後者を選んだ。

 ところで、F巻さんが同行者といっても、F巻さんはツヨツヨのアルパインクライマーで、四ノ沢の岩壁にも新ルートをいくつも開拓しているし、ハンノキ滝を冬期初登しているという人。今回私はほとんどお伴で付いていくような感じだ。
 とはいえ本チャンに行く以上、私も主体性を持った態度で臨まなければならず、もちろん頑張るつもりだったのだが、フリークライミングはもちろん危険回避やルーファイなどF巻さんの様々な判断・技術には目からウロコの感心しきりで、100回くらい反省と勉強の連続だった。
 なお、ルート図は参考に「改定日本の岩場(下)」(白山書房)がある。

 金曜日夜、F巻さんと待ち合わせ、深夜に到着した道の駅上宝で前泊。
 3時間ほどの仮眠後、新穂高温泉の駐車場に移動し、穴毛谷に向けて歩き出す。F巻さんに説明されて初めて気づいたのだが、ロープウェイ駅のあるここ新穂からも目的地の岩壁が眺められるのだ。朝日に照らされたドリュ状岩壁やあけぼの壁が遠くに見える。
 左岸側に登山道がある左俣谷から大きな堰堤がいくつも並ぶ穴毛谷に入る。小さな護岸のある堰堤下を石伝いに渡渉した右岸が一ノ沢出合。そのすぐ先が二ノ沢出合なので入って行く。二ノ沢を登って行くと大きな雪渓が現れたので、軽アイゼンを装着し、私はピッケルも持つ。ブリッジ部分が薄くなったスノーブリッジを通過し、滝のところではロープを出してF巻さんがリード。続く少し小さめの滝でもロープを使用。アプローチだけでも立派な沢登りだ。靴はなるべく濡らさないように気をつけたけれど、少しは濡れてしまう。二ノ沢右俣へは自然と導かれる。ドリュ状岩壁とあけぼの壁がいよいよ近い。迫力だ。

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(↑新穂高から左奥に目的の岩壁が見える)
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(↑写真中央の日当り部分がドリュ状岩壁とあけぼの壁)
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(↑F巻さんが立っている護岸のある箇所から穴毛谷を渡る)
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(↑一ノ沢出合)
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(↑二ノ沢出合)
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(↑写真中央がドリュ状岩壁)
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(↑雪渓が出てきた)
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(↑雪渓が長く続く。右俣へは自然と入って行く感じ)
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(↑CS滝の左壁を登るF巻さん)
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(↑二ノ沢下流を振り返る)
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(↑スノーブリッジを行くF巻さん)
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(↑滝の左壁を登るF巻さん)

 壁の基部付近に荷物を広げて登攀の準備をする。F巻さんは前述したとおり、初日にいったん取付まで降りることなく、壁の中でビバークしてそのまま登る作戦を選んだ。そのため、ビバーク装備と2日分の水をたくさん持ち上げる必要がある。水はプラティパス2個にナルゲンボトル2個で6.5Lくらい。F巻さんのザック一つにまとめて、アプローチシューズなど不要なものは基部にデポしておく。
 でも、水は登り始めて2P目頃にプラティパスのうちの一つが漏れてしまい、結局1.5Lほどは漏れ出てしまったようだ。後述するテラスでのビバーク時の夜と翌朝で結構水を消費するので、行動中の水はたっぷりあるとは言えなかった。それでも、2日目は曇り空で暑くなかったのが幸いしてそれほど水を飲みたい状況にならずに済んだのは良かった。

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(↑左がドリュ状岩壁、右があけぼの壁)
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(↑あけぼの壁の右への食い込む二ノ沢右俣)

 以下、記載の最初のピッチ数は今回のもの、[ ]内は体感グレード、( )内のピッチ数・グレードは「改定日本の岩場(下)」(白山書房)記載のもの(1~2Pはバリエーションのため記載無し)、名前はリード者。
 体感グレードは、帰り道で話したF巻さんの感想だけど、「日本の岩場」に記載してある3P目の5.10cはそのまま引用するとして、その他のピッチは落ちずに登れたから5.7かなと言った感じ。結局どれも5.7になってしまい、明らかにもっと易しく感じたものを5.6にした。実際は浮石など危険要素も加わるので、フリーの岩場の同じ感覚ではないと思う。

○1P [5.7] 私
 1P目のラインが判然とせず、またどこでも好きに登ってとのF巻さんの言から、ロープを解いた場所から登り始める。垂壁の中のいくつかある適当な短いクラック状のひとつを選んで直上。フォローのF巻さんは10数㎏のザックを背負う。重そうだ。

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(↑1P目をリードする私)
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(↑1P目フォローのF巻さん)
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(↑1P目のビレイ支点。ナチュプロのみで構築)

○2P [5.6] F巻
 私がオリジナルのずっと左側から取り付いたため、右へトラバースして黒いスラブの左側の凹角下へ。黒いスラブの左縁だと思われるハングした岩下でピッチを切り、オリジナルラインに合流。小型冷蔵庫くらいの浮石があると言うので、F巻さんはそれを足で押して崖下に落とす。浮石は轟音を立てながら落ちて砕け散って行った。
 フォローの私はザックが重すぎるため背負わず、登りながらF巻さんがロープでザックを引き上げる際に手で引っ張り上げた。それでも岩を保持しながらザックを持ち上げるのは大変だ。特にトラバースの際は大変で、ザックの振られ止めのロープをそのまま握ってしまったため、荷物が降られた際に手のひらをロープバーンしてしまった。痛っ。こういう場合、ロープを支点で折り返して制動するべきだったのだ。反省。

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(↑2P目をリードするF巻さん)
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(↑ビレイ支点を構築するF巻さん)

○3P [5.10c] (2P 5.10c AA1) F巻
 黒いスラブ左側の凹角を登る。ハング気味のところを乗っ越すのにムーブを組み立てる必要がある。どうやらここで5.10cのグレードを与えているようだ。ポケットをうまく使うこと。このピッチでもザックはロープに吊るして引き上げたけれど、直上するラインなので、前ピッチよりは引き揚げ作業はラクだった。

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(↑3P目をリードするF巻さん)
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○4P [5.7] (3P ⅤAA1) 私
 短いチムニー状の凹角では右上のクラックでフィストからハンドがきまるのだが結構伸び上がらないと手が届かない。そこを乗っ越すと、プロテクションの取れないスラブ帯なのだが、スラブを登り出す前に目の前の岩溝をハンマーのピックでほじくる。ピックで細い溝を掘って詰まった土をかき出すと、深さ1㎝ほどの溝が出てきた。そこに気休めにもならないマイクロカムを2つきめてから、ランナウトするスラブを右上するように慎重に登っていく。
 万一落ちればマイクロカムは簡単に吹っ飛ぶだろうことは想像していたので、相当な距離を落ちてケガは避けられない。落ちずに登れてよかった。

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(↑4P目をリードする私。前半の凹角)
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(↑4P目フォローのF巻さん。凹角を抜けたところ)
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(↑あの辺りで、私はまるで効いていないマイクロカムをセットしておいた)

○5P [5.7] (4P Ⅳ+AA1) F巻
 ビレイ点から左上に見える途中のテラスを今夜の寝床とすることになった。F巻さんはそのままテラス右端の凹角を登ったところでピッチを切る。フォローの私はテラスにザックを置いてから、残りを登る。もう少しピッチを伸ばそうかとも話したが、その時ごく弱い雨がポツリと降った感じだったので、夕刻も迫っていることもあり今日の行動はここまでとした。頭上にダブルジェードルを見上げるビレイポイントに、フィックスロープを張る。それにしてもF巻さんの支点構築の入念さと的確さには感心するばかりだ。

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(↑5P目をリードするF巻さん。写真左下のテラスが今夜の寝床)

 フィックスしたロープでテラスまで懸垂下降する。先に降りたF巻さんに続いて、私も懸垂下降していると、ふと右足を当てた壁面の岩が動いた。見ると、50㎝四方厚み10㎝以上のフレーク状が剥がれかけている。ヤバい。当てている右足を離した瞬間に落ちてしまう。下のテラスにはF巻さんがいるし。とはいえ、手はロープを持っているし、ほとんど横向きに近い体勢で、かかとを脱いだシューズで押さえているだけなので絵、身体を起こして片手を伸ばしてフレークを持つこともできない。バックアップを取っていて両手を離せたとしても、フレークは手が届きそうにない。下にいるF巻さんに声をかけて足を離すとフレークがごそりと壁から剥がれて落ちていき、テラスにぶつかって砕け散っていった。幸いF巻さんにぶつからずに済んだ。

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(↑テラスまで懸垂下降するF巻さん)

○ビバーク
 横長のテラスには壁に沿って腰高さのフレークの水平クラックがあり、そのクラックに詰まった土や草をバイルでかき出してカムをきめる。F巻さんがテラス全幅に渡ってトラバース用のロープを張る。手際が本当に早い。横に張ったロープはところどころカムでランナーを取っておく。今夜はずっとハーネスを付けたまま、このロープからセルフビレイを取って寝るのだ。F巻さんはさらに草付き部分を整地して、タープを張った。なんとか二人が横になるくらいはできそうなスペースだ。
 空はガスってきたけれど幸い雨が降り出すまでには至らなかった。ちょっと外傾したテラスでお湯を沸かしてアルファ米の食事を済ます。F巻さんが持ってきたお酒を少し分けてもらう。すっかり暗くなったのでツエルトの中に移動して横になる。セルフを取ったままシュラフカバーに入り、足を折りたたんで寝ることにする。固い地面に身体が痛くなるので夜中に何度も寝返りを打ったけれど、その時外を見ると星が見えていた。ガスが晴れたようだ。風もなく、寒さでどうしようもないと言うほどではない。

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(↑テラスを整地するF巻さん)
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(↑こんなふうに荷物を広げた)
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(↑タープというか、ツエルトのフライシートを張った様子)

 翌朝、暗いうちに起き出して、やはりアルファ米の朝食。残りの水は1.5Lほど。そのおかげで、ザックはずいぶんと軽くなった。けれど、10㎏弱はありそう。
 まずは昨日フィックスしたロープを伝って5P目終了点まで上がるのだが、ユマールは持っていれど、やったことのない私はコツがわからず、ユマーリングはうまくできない。仕方がないのでF巻さんが先行してユマーリングであがることになった。F巻さんはみるみるうちにユマーリングで登って行く。私はフォローで前日のぼった凹角を登る。

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(↑清々しい朝を迎えた)
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(↑ユマーリングするF巻さん)

○6P [5.7] (5P ⅣAA1~6P Ⅳ) F巻
 ビレイ点から右にトラバースし、頭上右側のジェードルを登る。さらに左上して南東カンテを越える辺りまで。

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(↑6P目のダブルジェードル右をリードするF巻さん)
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(↑ジェードルを抜けた先の草付き。この辺りが南東カンテか)

○7P [Ⅲ] (7P Ⅲ) 私
 緩傾斜のスラブだがほとんどプロテクションが取れない。ビレイ支点作れる岩のクラックがほとんど見当たらず、ロープが伸びきるあたりの岩で何とか構築。結果的にはもっと左寄りのチムニー取付に進めば良かった。

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(↑7P目をリードする私)
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(↑7P目フォローのF巻さん)

○8P [5.7] (8P Ⅳ+AA1) F巻
 F巻さんが再構築したチムニー下のビレイ支点まで移動する。それから改めてF巻さんリードでチムニーを登る。チムニーは上下2階建てのような感じで、2階部分は内面が濡れていて、左内面壁のクラックに2番キャメが残置してあった。キャメを見ると開拓した頃と古いものではなく、もっと最近登った際のものだろう。
 フォローの私はザックがチムニーで使えそうなので吊るして引き上げることも考えたけれど、結局そのまま背負って登り、ノーテンで抜けられた。

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(↑8P目チムニーをリードするF巻さん)
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(↑チムニー2階部分の左壁に残置されていた2番キャメ)

○9P [5.7] (9P ⅣAA1) F巻
 最終ピッチ。ビレイ点から見上げると右上の蛇腹状のような岩の凹角が見える。そこを登り左に行くとチムニー状にすっぽりと入る。チムニーを抜けるとブッシュ帯となり登攀終了。

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(↑最終ピッチを見上げる。まずは写真左のサイコロ状岩まで行ってビレイ点を再構築)
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(↑最終9P目をリードするF巻さん)
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○下降
 終了点から少しヤブ漕ぎし、ブッシュの中を2ピッチ斜めに懸垂下降すると、NEW DAWNの終了点がある。終了点と言ってももちろん残置物はない。F巻さんは昨年NEW DAWNを登っているそうで、その終了地点を見つけ出したワケだ。そこからは3回の空中懸垂で二ノ沢右俣のガレ場に降り立つ。3回とも大きな空中懸垂が続くので見上げると巨大なルーフが張り出している。懸垂支点はハーケンなどで、昨年F巻さんが使用した際に補強したそうだ。
 ニノ沢右俣自体も激しくガレているので、F巻さんの指示で一人ずつ降りて行くことにする。私が先行し、荷物をデポしたところまでほとんど降り着くあたりに至ってF巻さんが降り始めるほど距離を空けて歩いた。

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(↑ブッシュの中を下降するF巻さん)
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(↑ブッシュを抜け、1回目の空中権するをするF巻さん)
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(↑2回目の空中懸垂をするF巻さん)
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(↑2回目の懸垂を終えたところから上を見上げる)
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(↑3回目の懸垂で二ノ右俣に降り立ったF巻さん)
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(↑NEW DAWNはこの辺りらしい)
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(↑ガレガレを下って荷物をデポした取付に戻る)

○下山
 デポ地に帰着し、休憩がてら荷物をまとめる。下山を開始。滝のところではロープを出して懸垂下降。前日登った大きな雪渓では、爪の数が少ない軽アイゼンでの下りに私が苦戦。
 雪渓を通過した頃に雨が降り出す。それも雨脚がかなり強い。しかも雷雨で、雷鳴がゴロゴロと聞こえる。雨具の上衣を着るも、土砂降りのような雨に全身ビショビショになりながら二ノ沢を降りて行く。

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(↑雪渓の間を下山)
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★増水した穴毛谷本流の渡渉!
 堰堤がいくつも並ぶ穴毛谷に至ると、堰堤からは前日とは比較にならないほどの水がドウドウと落ちている。その下を渡渉していく。相変わらず雨も強い。最初と二つ目の渡渉はまだラクだったが、最後の3つ目が困難というより、極めて危険だった。中州にある足元の岩に立ち、その先1.5mほど先に幅数㎝のコンクリート製の小さな護岸が見える。この間の流れが強すぎて歩いて渡れそうにない。その護岸の先も流れがあるのだが、それはまだ浅くて弱そう。その弱い流れの向こうは対岸で草むらを入っていけばよい。
 この流れの強いところを越えなければならない。まずはF巻さんが空身でジャンプして護岸に着地。荷物の軽いF巻さんのザックを私が投げて護岸に立つF巻さんが受け取る。そうして私が空身でジャンプ。F巻さんは再び中州側にジャンプして戻り、重い私のザックを私のいる護岸側に投げようとする。その時、F巻さんがバランスを崩し水の中に落ちてしまう。流れが強くそのまま数m流されてしまう。対岸にいる私は声を上げることしかできない。何mか流されたF巻さんは近くにあった岩にしがみついた。私のザックも手にしたままだ。マジで危ないところだった。あのまま流されていたらさらに下の堰堤から落ちていたかもしれない。
 さて、何とか水から這い上がったF巻さんは私のザックからロープを取り出し、末端を私に投げる。ロープをザックに結び、手繰り寄せようというワケだ。なんとかザックを手繰り寄せることができたのだが、そうしているうちに浅かった流れの部分も気が付けば20㎝ほど水かさが増している。激しい部分はさらに増している。
 どんどん増水していてヤバい状態だ。F巻さんは3度ジャンプして護岸に移り、2人で最後の流れも急いで渡って草むらに入る。
 草むらに入ったところで、後ろを振り返ると上の堰堤から茶色い濁流が一気に流れ出してきて、つい1分も経っていない前にいた小さな護岸も完全に濁流に覆われていた。中州部分も激しい濁流をかぶっている。間一髪だった。ほんの少しでも堰堤に下山してくるのが遅れたり、ジャンプするところで手間取っていたら、戻ることも進むこともできずに濁流に押し流されていたところだった。
 もっと下山が遅れていれば、そもそも渡渉を諦めて、渡渉前の対岸に待機するなりしたのだろうが、ほんのわずかのタイミングで押し寄せる濁流を避けられたのは運が良かったとしか言いようがない。それとF巻さんの臨機応変なジン俗な判断と行動だ。加えて私のザックを手放さずに握っていてくれたことに感謝。装備が全部濡れてしまったけれど、それは家に帰ってから乾かせば済むことだ。

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(↑穴毛谷は増水している)
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(↑この渡渉はまだラクだった)
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(↑最後の渡渉がヤバい。F巻さんの先に護岸が見える。護岸の先にも流れがある)
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(↑必死に渡渉を終え岸を上がると、一気に濁流が押し寄せてきた。つい先ほどまで我々が立っていた護岸も水の中に)
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(↑みるみるうちにさらに水嵩が増してくる。水も茶色く濁っている)
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(↑渡渉地点からひとつ下の堰堤を見る。濁った水が吐き出されている)

 草むらの中を歩き、林道からやがて新穂に至る車道に出る。雨が降る中、ビショ濡れのまま歩き、ニューホタカという旅館前に着く。19時頃。F巻さんが足を痛めたとのことなので、ここからは私が空身で駐車場まで行って車で戻ってくる。
 ビショビショのまま帰途につく。安房トンネルを越え、松本側のコンビニに着いたところで、私は服を着替え、運転もF巻さんに代わってもらった。再び私がハンドルを握って中央道を走っているとパトカーに捕まったしまった。反則金9,000円はかかったものの、違反内容は免停になるようなものではなかったので、まあいいや。
 そんなこともあって、F巻さんを某駅まで送る終電には間に合わなかったが、深夜日付を回る頃に解散。帰宅した私は濡れた荷物をひと通り広げてからシャワーを浴びる気力もなくベッドに倒れ込んだ。

 と、こんな顛末で今回の山行を終えた。F巻さんの判断・行動がスゴかったのは冒頭触れたとおり。壁の中で1泊してオールフリー、オールナチュプロで登ったのに加えて、最後の間一髪の渡渉もハンパなくスゴかったので、翌日職場に出勤しても何だか昨日のことを思い出すとフワフワした感じだ。生きて還れて良かった。F巻さん、ありがとうございました。

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アルパインクライミング」カテゴリの記事

コメント

ミノル様
突然のメールにて失礼します。
ふと見つけたあけぼの壁の記録を読ませて頂きました。実は私も99年の年末に同ルートの冬季登攀に3名の仲間と成功しました。貴方の記録を読むにつれ、その時の記憶がよみがえり、ついうれしくてコメントさせて頂いたしだいです。
お二人のフリーでのチャレンジには、深く感銘いたしました。
あの横長のテラスでは私たちも2回目のビバークしました。8ピッチ目のチムニー2階では一面ベルグラで、唯一左壁のクラックに弱点を見つけ突破しました。残置されたキャメロット#2はその時のものです。たしか20時を過ぎてヘットランプをつけていたのを覚えています。残置してしまったのはとても心に残っていて、いつか回収に行かなければと思いつつ今日に至っています。
今では体力も落ちて、なかなかクライミングにはいけませんが、15年前の冬のあけぼの壁は良き思い出となっています。あまり再登の記録も見ることがないので、久しぶりに読みワクワクしました。

これからも素晴らしいクライミングをされる事を願っています。
ありがとうございました。
                                      名古屋山岳会会員

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