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2014年10月

瑞牆山十一面岩 奥壁「Joyful Moment」5.9 5P、左岩稜末端壁

2014.10.25(土)~26(日)
 3週連続で瑞牆山へ。同行者は、先々週も同行した静岡県のS木さん。
 25日(土)は、十一面岩末端壁へ。S木さんは「アストロドーム」5.11aをRP。私は「春うらら」1P目5.11bにトライ。
 26日(日)は、午前中に十一面岩奥壁にある「Joyful Moment」5.9 5Pを登攀したあと、午後は末端壁で登った。

■10/25(土) 十一面岩 左岩稜末端壁
 前夜のうちに植樹祭広場に来て車中泊。寒いけれどよく晴れた朝、やはり前夜のうちに到着したと言うS木さんと合流。この日は十一面の末端壁へ。ここ3週続けて植樹祭広場を訪れいているが、来るたびに紅葉の鮮やかさが増してきていて、今頃が最も紅葉のきれいな時期なのかもしれない。

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(↑植樹祭広場から瑞牆山の岩塔群を望む)

 末端壁に着き、例によって調和の幻想1P目でそれぞれアップ。その後、S木さんはアストロドーム5.11aにトライし見事レッドポイント。これまでクレイジージャム5.10dが最高だったそうで、クラックの自己最高グレードを更新できて喜んでいた。S木さんはその後T&Tにも1便トライしていたけれど、ダイク直下の核心部がなかなかキビしそうだった。

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(↑アストロドーム5.11aRPするS木さん)

○「春うらら」1P目5.11b(通算3~4便目) ×
 さて、私はトップロープとリードで2便触ったことのある「春うらら」1P目5.11bにトライ。出だしの核心部分のムーブについては、まだいまいち分かっておらず、多くの人が右手でピンキージャムする箇所を逆の左手で取って、右手でバンドのワルいパーミングで耐えて無理やりバンドのガバホールドに左手を出すムーブで何とか突破できた。だけど、こんな無理なムーブではいつもうまくいくとは思えない。本当の核心となるかぶり気味のフィンガークラックからコーナーの向きが変わった先の数mのセクションについてはまるで歯が立たずチョンボしまくり。そこを通過した後半は、余裕はないけれどテンションせずに登れるようになった。怖いのでとにかくカムをたくさんきめてしまう。

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(↑春うらら1P目を登る私)
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(↑写真横向き)
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 この日の末端壁はとても混雑していて、春うらら1P目も順番待ちになる。U田さんやガイドのS野さんら、岩場でよく見る顔ぶれの人達がほとんどだった。
 ということで、この日は春うららには2便出せただけ。2便目も1便目と同じような出来具合だった。S木さんもTr.で春うららをトライ。

 春うららの3便目を待っていると時間がもったいなかったので、S木さんと調和の幻想を登ることにした。いつもはアップで1P目を登っているけれど、私がリードして1~2P目をそのまま続けて登った。全5Pの調和の幻想は、何年か前に登っているけれど、どんなルートだったかはまるで覚えていない。機会があったらまた登ってみてもいいかも。

 夕暮れ迫る中、春うらら1P目の核心部を登って行く強い女性クライマーのムーブを見て感心しつつ、ヘッ電を点けて下山。植樹祭広場に張ったテントの中、S木さんのタブレット端末で、海外のクライミングシーンの動画をあれこれ見る。フリーソロとか、断崖に張ったスラックラインをセルフビレイ無しに歩いたりとか、狂気の沙汰としか思えない映像ばかりを見た。

■10/26(日) 十一面岩 奥壁「Joyful Moment」5.9 5P、左岩稜末端壁
 この日は十一面岩の奥壁にあるジョイフルモーメントという5ピッチのルートを登りに行くことにした。6時に植樹祭広場を出発。前日、末端壁にギアをデポしておいたのだが、そのギアから奥壁に持って行くものを選んで正面壁方面へとさらにアプローチを登って行く。開けた岩場状から右岸の樹林帯に入っていくのだが、樹幹越しに見える左上方奥のベルジュエール取付きのある正面壁方面ではなく、ケルンや白テープに導かれるように右上(白熊のコルに上がっていくルンゼ状)へと登って行く。やがて左手に現れる岩壁の途中のテラスへの入口がある。ここが「一粒の麦」5.10c/d 6Pの取付きのようだ。すぐ先のフィックスロープを上がると樹林の中の広場状に出る。目の前の岩壁に顕著なワイドクラックがあり、これがズルムケチムニーの取付きらしい。この広場、水さえあれば小さなテントをいくつか張って泊まれそうなくらいの広さだ。
 目的のJoyful Momentへは、広場から岩壁を右から巻くようにさらに登って行くと、左手の壁に取付きがある。壁に近づいて見上げると、左上するクラックがあるので取付きだと分かる。

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(↑目印のケルンと白テープ)
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(↑一粒の麦取付きへの入口。写真横向き)
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(↑一粒の麦はこの辺りから登るのだろうか)
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(↑樹林の中の広場にあるズルムケチムニー取付き)
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(↑ジョイフルモーメント取付きを見上げる)

○十一面岩奥壁「Joyful Moment」5.9 5P
 参考にしたのは佐藤裕介ガイドのサイトに載っていたもの。5ピッチ登攀後は、奥壁ピークから歩いて下降して樹林の中を取付きまで戻って来られるようだ。シングルロープ1本で登る。
1P目(5.9リード私) 左上するクラックで、右足をクラックにかませながら登って行く。ハンドサイズくらいのカムがきまる。登るにつれて傾斜が弱まり、途中の灌木でピッチを切る。

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(↑1P目をリードする私)

2P目(5.6リードS木) ハイハイ・トラバースと名付けられている(?)ピッチで、前半は歩いていけるが、後半はその名のとおり、這うように進む。頭上に伸びる大フレークの下まで。ビレイ点のテラスはそれなりに広い。

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(↑2P目)

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(↑2P目終了点でビレイするS木さんとハイハイ・トラバース)

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(↑3P目のフレークを望む。写真横向き)

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(↑八ヶ岳がくっきり)
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3P目(5.9リード私) 出だしは頭上に見える左右2つのフレークのうち左側に取り付く。脆そうな感じのフレークをたどって行き、スカイラインに見えていた箇所から左上に乗っ越すと傾斜の緩いスラブ帯に出る。奥壁ピークが見える。右上するように登り、ブッシュの中を右にトラバースすると、4P目のワイドクラックが頭上に見える小広いところに出るのでそこの木でピッチを切る。

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(↑3P目を登る私)
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(↑写真横向き)
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(↑フレーク帯を抜けると奥壁ピークが見える。右はビレイする私)

4P目(5.8リードS木) 3P目のフレークよりも、クライミング的にはこのピッチがハイライトのような気がする。開けて開放感があるし。階段状を上がるとワイドクラックに取り付く。オフィドゥスというほどの広さではない感じ。サイトにリービテーションがきまるとあったので、せっかくだから自分もリービしてみた。リードしたS木さんはリービせずに登ったそうだ。

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(↑4P目を登るS木さん)
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5P目(5.7リード私) 目の前の壁を越えればそのままピークにまで行けたのだろうか。私は巨岩の隙間を歩いていくと、その先に壁があり、右寄りにハンドサイズのクラックが走っていた。このクラックではさすがにカムを使うのだが、4P目終了点からはずいぶんと水平移動してきているので、ビレイヤーにはここまで来てもらってビレイし直してもらったほうが良いだろう。クラックを登ると広い奥壁ピークに立つ。

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(↑5P目の岩場を行く私。写真横向き)

 ピークからの展望は抜群。この日は午前中は良く晴れていて、八ヶ岳はもちろん、南アルプスも南部のほうまで見えるし、噴煙を上げる御嶽山、それから浅間山や草津方面まで眺められた。
 近くには小ヤスリや大ヤスリ、瑞牆山本峰方向、さらに不動沢の岩塔群が見える先の樹林に覆われたなだらかな山は小川山だ。
 下降路は、ピークの北側に少しクライムダウンした先にチムニーが見えている。チムニーを登ってその向こうに降りることもできるようだが、チムニーの足元がトンネル状になっており、それを降りるとすぐに樹林帯に出られる。樹林帯の中の踏み跡を辿ると、荷物を置いたジョイフルモーメント取付きに戻って来られる。5分ほどだったか。8時過ぎに登攀を開始し戻ってきたのが11時過ぎだから3時間くらい。

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(↑奥壁ピークから、正面壁ピークと八ヶ岳を望む)
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(↑不動沢の岩塔群と遠くに小川山を望む)
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(↑記念写真)
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(↑チムニー。写真横向き)
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(↑チムニー。写真横向き)
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(↑チムニーの足元にトンネル入口がある)
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(↑トンネルの中を降りていく。写真横向き)
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(↑取付きに帰着。写真横向き)

○「春うらら」1P目5.11b(通算5~7便目) ×
 末端壁に戻ってくると、Tっちーさん達がいた。春うららに取り付く人はいないということで、易しいとはいえマルチピッチを登ってきたあとに、このルートにトライすることにした。
 出だしのムーブについては、前日S木さんやほかの人がやっているのを見ていたのだが、それを真似てみるとあっさり登れてしまった。あれだけ苦労していたのに、分かってしまえば核心ではなくなった。
 出だしの左手ピンチから左足を一段上げ、伸び上がって逆手で右手手首を決めるようにハンドジャムすると安定する。左手をハンドジャムに移し、左右の足をさらに上げると、右手がピンキージャムに届く。そうすると左上のガバ穴に左手が届く。
 出だしは問題なくなったのだが、本当の核心となるかぶり気味のフィンガークラックとなると、やはり歯が立たない。数メートル先の右壁にある穴までが核心部だが、どのようにジャミングするのがいいのか、足さばきはどうしないといけないのか、ちょっとやそっとでは解決できなさそうだ。
 S木さんがTr.でやるほかは、他に登る人がいないので、順番を気にせずトライできたのはいいが、1~2便目はリード、3便目はTr.でと短い間隔で3便も出したので、指は血だらけだし、くたくたに疲れた。テンションするのは件の核心部だけとなった。出だしはもう問題ないし、核心後の後半は長くて大変だけれど、慎重に行けばテンションせずに登れるようになってきた。
 S木さんが早めに下山したと言うことで16時前に末端壁を離れたが、それまで曇り出していた空から下山中に雨が降り出してきて、結果的に早く下りてきて良かった。植樹祭広場でS木さんと解散。
 今回は帰路一人なので交通費を節約する意味もあってずっと下道で帰ることにした。雨の降る中、延々国道20号線を走って帰宅。
 春うらら1P目にトライできたし、マルチのルートにも行けて、紅葉のきれいな瑞牆でのクライミングを楽しむことができた。

瑞牆山 地獄エリア「N字クラック」5.10d RP、前絵星岩「水平飛行」5.10b

2014.10.18(土)~19(日)
 先週に続き今週も瑞牆へ。ここのところ瑞牆に行く機会が多い。2日間とも秋晴れに恵まれたけれど、訪れるたびに季節が進み寒くなっていくのが分かる。
 メンバーは、所属山岳会のH内さん、K池さん、T城さん、M藤さん、I田さんと私の6人で、いろいろとクラックのルートを楽しく登った。
 18日(土)は、地獄エリアへ。私はこのエリアに行くのは初めてで、「N字クラック」5.10dをオンサイト。
 19日(日)は、前絵星岩へ行き、「水平飛行」5.10bなどを登った。

■10/18(土) 瑞牆山・地獄エリア 「N字クラック」5.10d OS
 前夜、車2台で植樹祭広場へ。途中、須玉IC近くのコンビニに寄った際、所属山岳会のI藤さんとS津さん達に会う。小川山に行くらしい。
 それから深夜の林道では鹿に何度も遭遇。その1頭が突然路上に現れ、ブレーキを踏んだものの私の車は止まりきれず、車の前面にその鹿が接触。タイヤで踏みつけることはなく、そのままヨタヨタと逃げて行ったが、植樹祭広場に到着して車体を見てみると、前側のナンバープレートが少し曲がってしまっていた…。先週もそうだったけれど、今秋は本当に鹿を多く見かける。見通しの効かないカーブではスピードを抑えたほうが無難だ。

 翌朝テントの外に出ると、瑞牆山の岩峰群が少しずつ朝日を浴び始めている。この日の行き先は地獄エリア。日本100岩場には掲載されていないが、Rock&Snow056号で紹介されているエリアで、私は行くのは今回が初めてだ。
 十一面岩末端壁に向かうアプローチ道を途中から左に分かれてしばらく歩くと樹林の中に地獄エリアがある。地下1階エリア、1階エリア、さらに2階、3階とマルチピッチ状に高く壁が続いているようで、今回登った地下1階や1階にあるルート取付きへは歩いていける。

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(↑地獄エリア地下1階)

○「N字クラック」5.10d OS
 まずは地下1階にあるルートにトライ。H内さんがオリジナル1P目5.9という凹角状ルートを登ってトップロープを張るというので、私はその左隣りにあるN字クラック5.10dにいきなりトライすることにした。フィストサイズのクラックで、途中ハングを越えるのが核心部らしい。キャメロットの4番サイズを多用するという。
 出だしは背後の木に足をかけながら登っていく。フィストジャムをしながらハング下に近づく。力尽きそうになるが何とか堪えてさらにフィストジャムで乗り越えて行く。乗り越えた先ではダイク状のホールドもあり、少し易しくなってくるが気は抜けない。チムニー状に身体が入ると終了点はそこだ。終了点と言っても、ボルトなど残置視点は一切ないので、自分たちでカムやスリング、ビナで作る必要がある。こうしてN字クラックをオンサイトできた。やった。

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(↑N字クラックを登る私)

 私が登ったクラックの5.10dのルートは今回で5本目。城ヶ崎あかねの浜のコモドドラゴン(これはムーブ的にはフェイスだが)、十一面末端壁のペガサス1P目、小川山親指岩のクレイジージャム、十一面末端壁のT&T。そして今回のN字クラックは初めてオンサイトできた。
 なお、クラックの最高RPグレードは、先月登った十一面岩末端壁のアストロドーム5.11a。グレード更新しないとなあ。

 続いて、オリジナル1P目5.9をオンサイト。凹角の途中でクラックが閉じているので、その下できちんとカムをきめておく。

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(↑オリジナル1P目を登る私)
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(↑N字クラック(左)のK池さんとオリジナル1P目(右)のM藤さん)
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(↑N字クラックを登るK池さん)

○「カヌー」5.11a/b ×
 1階に上がって、「カヌー」5.11a/bという長さ30mのフィンガークラックをトライすることにした。しかしこれが難しい。途中ダブルクラックになる箇所があるのだが、その間の細長い岩の形がルート名になっているようだ。
 テンションしまくり、カムエイドもしまくって、ようやくトップアウト。抜けた先の木にトップロープを張って降りる。

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(↑カヌーを登るH内さん)

 同じ1階にあるオリジナル2P目5.10aの取付きへは、狭い岩の隙間を抜けて行く。オンサイト。

 いよいよ暗くなってきたのだが、苦労して登ってTr.を張ったカヌーを登る。ヘッドランプを用意していく。Tr.なので気持ちがラクだ。それでもテンションを交えトップアウト。懸垂下降して荷物置き場に戻るとすでに真っ暗。ヘッ電を点けて下山。
 植樹祭広場から不動沢の駐車場に移動。そこでテントを張って、焚き火を熾し、前夜買い出ししておいた食材で鍋料理を作る。6人で乾杯して、できた鍋を食べ始めるころにT口さん達がやって来た。焼いたニンニクを食べたりワインを飲んだりしつつ、夜遅くまで宴会は続く。

■10/19(日) 前絵星岩 「水平飛行」5.10b
 各テントからなかなか全員が起き出して来ないけれど、散らばった空き缶を片づけたりしながら、朝食の煮込みうどんを作る。

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(↑朝食の煮込みうどん)
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(↑荷物が散らばる朝の風景)

 この日の行き先をどこにしようかと話し合った結果、ここから近い前絵星岩に行くことにした。T口さん達は摩天岩に行くとのこと。前絵星岩へは、私はヨセミテツアー前の練習として5月にT橋さんと訪れたことがある。
 不動沢を石伝いに渡り、踏み跡から前絵星岩の基部へ。ここで3人ずつ2組に分かれ、H内さん、K池さん、I田さんは基部からジキルやハイドの取付きへ行き登って行くことにし、私を含む残り3人は左から回り込んでアプローチ道を登って上部の新緑荒野4P目や晩秋荒野の取付きへ行くことにした。
 上部の取付きに着き、まずは私が既登の新緑荒野4P目を登ってTr.を張る。M藤さんとT城さんがTr,で登る。

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(↑新緑荒野4P目を登るM藤さん)

○「晩秋荒野」5.10a ×
 私は晩秋荒野5.10aをトライすることにした。このルートも5月に一度トライしているのだが、核心の乗っ越しが越えられず途中で降りてきた経緯がある。今回はもちろんRPを狙っているのだが、ハンドジャムをきめながらいよいよ核心部に取り掛かる。左手はジャム気味だが、右手で保持できる良いホールドが見当たらない。何とか乗っ越そうとしていると足が滑ってフォール。その際に腕を岩で擦り剥いて血がにじむ。くそー。

 壁の中央にある「真夏の太陽」5.10cをTr.で登ってみる。出だしのクラックが途切れているところにはボルトが2本ある。ボルトセクションからフレークに取り付き、左トラバースして左上するクラックに至ると後はそれほど難しくない。ロワーダウンの途中に、晩秋荒野のムーブを確かめる。
 時間があれば晩秋荒野にリードでやってみたかったが、この日は時間が無くてできず。

 H内さんがアプローチ道から登ってきた。K池さんとI田さんはジキルかハイドのどちらかを登って、ここにやって来るようだ。

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(↑晩秋荒野を登るK池さん。写真横向き)

○「水平飛行」5.10b
 H内さんと水平飛行を登りに行くことにした。このルートは新緑荒野の左側の壁に、水平に走るワイドクラックを辿るもので、その登り方からルート名が付いているようだ。
 まずは私がTr.で新緑荒野を再び登り、水平飛行との分岐でカムでビレイ支点と取る。H内さんが登ってきて、いよいよ核心となる水平部分はH内さんがリードする。5番と6番のカムをそれぞれ2セット。4番以下のカムも用意。
 出だしからいきなりワルいようだ。すぐに枯れ木に行き当たり、それを手で掴みつつ身体を避けるのが大変そう。下では4人が写真を撮りながら見守っている。じりじりとH内さんは進んで行き、ビレイ点から姿が見えなくなってしばらくしてからビレイ解除の声。
 続いて私のフォローで続く。腹這いになって、右手右足を水平のオフィドウスに入れ、左半身は外に出ている感じで、じりじりと進む。枯れ木を何とか回り込み、さらに腹這いに張って進んで行く。こんなクライミングはやったことがない。普通は上に登っていくからヘンな感じだ。オフィドゥスが狭い箇所があって、4番や3番のカムがきまるくらいになるとハンドジャムもしやすくなり、進むスピードもあがる。
 やがてオフィドゥスが終わり、身体を外に出して左下にクライムダウン気味に進む。その先にビレイしているH内さんがいる。クライムダウンのパートでは、左下するクラックが続いているが、使うカムはずっと小さめ。足元のフェイスにはよく見れば小さなフットホールドがある。とりあえずノーテンで抜けられた。
 また来る機会があったらその時はリードしてみたい。逆水平飛行とか言って、左から右に戻れば、オフィドゥスで身体の左右をどちらも使うから良い練習になるかも。
 そこから上に続くフレアードチムニーのピッチというのがあるらしいのだが、時間もあまりないのでここから懸垂下降で降りることにした。

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(↑水平飛行をリードするH内さん)
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(↑水平飛行フォローの私)
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 今日も暗くなる中を下山する。不動沢の駐車場でM藤さんとT城さんと解散し、4人で帰途へ。先週も寄った韮崎IC近くの台湾料理屋で夕食。この日は珍しく?お客がとても多く店員はてんてこまいだった。私は青椒肉絲定食980円を食す。満腹だ。例によって小仏トンネルの渋滞につかまり、皆を駅や自宅まで送って解散。

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(↑台湾料理 龍福。写真横向き)
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(↑青椒肉絲定食)

 今秋は瑞牆に行く機会が多く、少しばかりクラックの力も付いてきた感じがする。翌日、週明けの月曜日はもちろん勤め先に出勤したけれど、何だか全身の筋肉がいつも以上に疲れて重い。フィストジャムのN字クラックだとか水平飛行をやったせいで、慣れないムーブに余計に疲れたのかもしれない。また、がんばろーっと。

瑞牆山十一面岩・左岩稜末端壁、左岩壁「山河微笑ルート」 ~ 小川山親指岩・お殿様岩

2014.10.10(金)~12(日)
 体育の日の3連休は、前週に続く台風接近の予報から、世間より一日早く出かけ、雨が降り出す前日に帰ることにして、秋晴れの3日間、瑞牆と小川山の岩場を巡りクラックのルートを登ってきた。
 所属山岳会のH内さんおよび静岡県のS木さんと一緒に、また3日目の小川山では他の会員らも加わって、充実したクライミングを楽しめた。
 10日(金)は、3人で瑞牆山十一面岩左岩稜末端壁へ。私は「T&T」5.10dをRPでき、「春うらら」1P目5.11bにトライ。
 11日(土)は、3人で十一面岩左岩壁にある「山河微笑ルート」(4P,5.10a)を登ったあと、小川山に転進。
 12日(日)は、私は「クレイジージャム」5.10dを再登。その後、お殿様岩に移動し、皆で「イムジン河」5.11c/dにトライ。

■10/10(金) 瑞牆山十一面岩・左岩稜末端壁 「T&T」5.10d RP
 朝、H内さんの車で中央道経由で、瑞牆山の植樹祭広場へ。ここで初対面となる静岡県のS木さんと合流。今日はこの3人で末端壁へ。駐車場にはインストラクターなどをやっている名立たるクライマー達が大勢集まっていた。瑞牆の各岩場で登っている写真を撮影するためらしい。
 3週間ぶりの末端壁では、前回「アストロドーム」5.11aをRPできたものの、続く「T&T」5.10dではヨレてRPできないままとなっていたので、この日の目的はまずはT&Tを登ることだ。
 前回訪問時よりさらに秋めいた中、末端壁に到着。岩はよく乾いていそうだ。「調和の幻想」1P目をアップで登る。
 すると、「春うらら」1P目5.11bを登ってテラスに立った女性ペアの一人が、2P目5.12aを登るところだったので、皆で眺めることにした。今回写真撮影のためということで、女性はこのルートはもちろん既登で、離れたところからカメラマンがカメラを構えている。撮影する中、見事再登していた。2P目ということで末端壁の上のほうを登っているので、見栄えがするルートだ。いつか自分もこんなルートを登れるようになりたいものだ。

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(↑春うらら2P目を登る女性P)
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(↑写真横向き)

○「T&T」5.10d RP
 さて、前回力尽きたT&Tにトライ開始。下部のコーナークラックの出だし部分が濡れていたけれど、なんとか登れそう。コーナークラックをこなしテラスで休んでから、上部のフィンガークラックに取りかかる。足の入る縦長穴から先から傾斜の緩くなるリップを乗っ越すまでがフィンガージャムが続く。しかし1便目は寝不足もあって身体が重く感じ、リップを取ったまではいいが乗っ越すことができずフォール。くそ。
 少し昼寝も挟んでから2便目を出す。フェイスのフットホールドもきちんと使い、先ほどよりはずっとラクに核心部をこなすことができた。RP。やった。トップロープで触ったのを含めて通算6便かかった。

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(↑T&Tを登る私。これは登れなかった1便目。写真横向き)
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 S木さんはアストロドームに、H内さんは「トワイライト」5.11cにトライしている。

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(↑アストロドームを登るS木さん)

○「春うらら」1P目5.11b ×
 T&Tが登れたので、夕方で撤収時間が近づいてきていたけれど、前回Tr.で一度だけ触った春うららの1P目をリードしてみることにした。出だしが最初の核心。前回、人が登っているのを見ていたけれど、ムーブを忘れてしまってテンション。チョンボして通過。その後、かぶり気味のところも核心で、何度もテンションしながら越える。このルートはT&Tやアストロと比べると、グレードどおり早々登らせてはくれなさそう。また、登る機会があったら頑張ろう。

 ヘッ電を点けて下山。S木さんの車で、信州峠を越えて川上村のヘルシーの湯で汗を流し、ナナーズで買い出し、ふじもとでビビンバなどの夕食を済ませ、植樹祭広場に戻ってテント泊。

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(↑帰路、夕焼けの八ヶ岳~御嶽山方面を望む)

■10/11(土)  瑞牆山十一面岩・左岩稜末端壁、左岩壁「山河微笑ルート」(4P,5.10a)
 山河微笑ルートは、私は昨秋にも一度登ったことがあるが、2P目では大チムニーとは異なるところを登ったり、テンションしたり、核心の4P目ではカムエイドしまくったりしていたので、今回はできる限り全てテンションせずフリーで登るのが目標だ。
 今日も晴れている。植樹祭広場から十一面岩末端壁までは約40分。さらに正面壁や左岩壁までは20分ほど。ベルジュエールの取付きを確認し、洞窟状のつばめハングを横目に、山河微笑の取付きに到着する。このルートに取り付いている他のパーティーはいないようだが、我々が取付きで準備しているときにやって来たパーティーは、山族79黄昏ルートを登るそうだ。
 山河微笑は全4Pで、核心は4P目の5.10aのワイドクラックだ。3人登攀なので、リードが引いていくロープ2本のそれぞれ先にセカンドとサードが繋がる。

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(↑十一面岩左岩壁を望む)

 1P目(5.8) リード私。昨秋もリードしているので何となく覚えている。登った先の小ハング下からハングを左に抜ける辺りが一応の核心。左上するようにトラバースし、さらに大木に向かって右上すると大きな木が何本かあるテラス内に入れる。前回同様ノーテンで登れた。

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(↑1P目を登る私)

 2P目(5.7) リード私。分厚い板状の岩があり、前回はその左手をチョンボしながら登ったのだが、山河微笑の正規ラインは板状岩の右にある大チムニーだ。チムニーの中に入り込み、壁に背中を押しつけるようににじり上がる。チムニー内を登って行くと、左手にもクラックが出てくるが、そのまま登って頭上のチョックストーンを越えるように左手にクラック側に登って行く。二俣に分かれるようなクラックを左にいくと、またテラスに出る。ノーテンで登れた。

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(↑2P目の大チムニー内でジャミングする私。写真横向き)

 3P目(5.9) リードS木さん。前回私がリードした時はカムエイドしまくりだったピッチ。木登りから右上気味にコーナークラックが伸びている。S木さんが粘ってノーテンで抜ける。前はチョンボしまくりだったけれど、またこのルートを登る機会があったら、きちんとノーテンでリードしたいもの。このピッチの終了点のテラスは、左上から回り込んでくる山族79黄昏ルートと近づく。そのルートを登っているパーティーがまさにカンテを回り込んで登ってくるところに出合った。

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(↑3P目を登るS木さん。写真横向き)

 4P目(5.10a) リードH内さん。核心のオフィドゥスの取付きに至るには、3P目終了点のテラスから、右上にある岩を乗っ越すようにしてからクライムダウンする。カムでビレイ支点を作る。
 5番や6番といった大きなキャメロットをぶらさげてH内さんが登り始める。出だしのオフィドゥスからして相当ワルそうだ。H内さんは右足をオフィドゥスに入れるようにじわじわと登っていき、寄りかかれるようなところでレスト。さらに右上気味のところに入っていくも、さらに難しそうでそこでテンション。
 フォローで続くと、出だしのOWはやはり難しい。OWの左縁をレイバック気味にして登って、ある程度のぼったところからOWに入った。これではリードだとカムがきめられないだろう。レストポイントから左手のOWに入って行くのだが、ここもやはり難しい。フィストがきまらない幅なので、私は両手の甲と甲を合わせたリービテーションにして、その手を上にスライドさせながら登ったが、これではやはりリードではカムがきめられない。
 何とかノーテンで突破できたとはいえ、ロープで吊られているという安心感からできただけだ。後半は左にカムをきめながらフェイスを登るセクションで、頭上の小ハングを右に抜けると眺めの良い岩棚上に出て終了。

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(↑4P目を登るH内さん)
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 小ヤスリ岩に大ヤスリ岩、ベルジュエールのある隣りの十一面岩正面壁、沢筋を挟んだ対岸には大面岩やカンマンボロンが見える。富士山も眺められた。

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(↑小ヤスリ岩、大ヤスリ岩方面を望む)
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(↑奥壁に立つパーティー)
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(↑植樹祭広場を遠くに見下ろす)

 先行パーティーに続いて懸垂下降で取付きに戻る。途中、ヤブの中に入ったりしたものの、懸垂4回で暗くなる頃取付きに帰着。今日もヘッ電下山。台風が接近しているが、明日までは天気が持つという予報。この土日で所属山岳会もメンバーら3人が小川山に来ているとのことで、我々も今夜中に廻り目平に入り、彼らに合流することにした。
 車2台で信州峠を越え、ヘルシーの湯とナナーズに寄ってから廻り目平へ。所属山岳会のO田さん、K藤さん、それから富山県から来たMさんがバーベキューをやっているところに合流。

■10/12(日)  小川山親指岩・お殿様岩
 ちょっと早めに起きて、先にS木さんと岩場に向かうことにした。今日の予定は、まずは親指岩の「クレイジージャム」5.10dでアップしてから、お殿様岩の「イムジン河」5.11c/dをトライするというものだ。私は3週間前にクレジャムをRPしたばかりなので、アップというにはキビしいけれど、これくらいのルートをノーテンで安定的に登れるようになるためにも機会を見つけて登らないと。
 親指岩に向かう途中、昨夜お邪魔したO田さん達のテントに寄ると、ちょうど朝食を作っているところだった。彼らも後で親指岩に来るとのこと。

 クレジャムにはまだ誰も取り付いておらず、まずはS木さんが登る。S木さんは二日酔い気味なのと風邪気味という不調を訴えながらもノーテンで登る。私が登り出そうとしたところで、O田さん達もやって来たので、彼らがトップロープで登るのを兼ねて、彼らのロープを貸してもらうことにした。
 アップといえるほど余裕はなかったけれど、9月に登ったばかりなので、その時よりは余力を持って登ることができた。こうして再RP。

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(↑クレイジージャムを登る私。以下の写真も。横向きの写真あり)
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 O田さん達がTr.でクレジャムを登り出した頃、先日、瑞牆十一面末端壁で会ったH内さんの知り合いのHマさんがやって来た。HマさんはM田さんと待ち合わせをしているそうで、クレジャムのあと、我々と同様、イムジン河に移動するという。
 のんびり朝を過ごしているらしいH内さんはまだ親指岩に来ていなかったけれど、10時を過ぎた頃、私とS木さんは先にお殿様岩に向かうことにした。ほぼ水平の踏み跡を辿ると10分もかからずにお殿様岩に到着。

○「イムジン河」5.11c/d(1便目) ×
 イムジン河を触るのはもちろん初めて。昨秋、お殿様岩の下を通りかかった際にちらと見ただけだ。こんなキビしいグレードのルートは自分には関係ないと考えていたからだけど、ダメ元でもトライしてみる意義はあるだろう。
 フィックスロープの張られた斜面と岩を登ったところが取付きだ。ここでカムなどでビレイ支点を作る。見上げるクラックは、フィンガーよりも細そうなサイズだ。出だしのクラックから、途中で右隣りのクラックに移るようだ。フットジャムががっつりきまるようなところはなく、フェイス的な登りになると聞いていたので、シューズもフェイスルートで履いているキツめサイズのものを用意。

 まずは私がリードでトライ。エイリアンやナッツをぶらさげて登り始める。しかし、出だしからいきなりキビしい。細かく書いても仕方ないのだが、とにかく延々とカムエイドを繰り返して終了点に達するという高所作業だけで終わってしまった。
 細いクラックに小さなカムやナッツをきめながら登るのだが、フォールした際に本当にプロテクションが持ち堪えてくれるかどうか自信がないので、リード状態でカムをセットしていくのが怖いのなんの。
 とにかく、高所作業を終えて、S木さんと、後から来たH内さんがTr.で登る。二人とも何度もテンションしながら登っていったものの、H内さんは昔4撃で登っているそうだ。すごいなあ。
 その後、M田さん、Hマさん達がやって来たので、M田さんの華麗な登りを見たかったけれど、親指岩でクレジャムを登っているはずのO田さん達の様子を見に行くことにした。

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(↑イムジン河を登る私。カムエイドしまくりで鯉のぼり状態。写真横向き)
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(↑イムジン河を登るS木さん。写真横向き)

 親指岩に着くと、ちょうどK藤さんがトップアウトしてトップロープ支点を回収するところだった。Mさんは途中のOWまでで降りたらしいけれど3人ともそれなりにトライしたようだ。反対側の小川山レイバックも登りたいとのことだが、別パーティーが大勢いて時間がかかりそうだったので、皆でイムジン河を見に行くことにした。

○「イムジン河」5.11c/d(2便目) ×
 お殿様岩に戻って、M田さんが再び架けてくれたTr.を借りて2便目を出すことにした。Tr.支点は、右上のイムジン河終了点ではなく、そこからスラブを登ったところにあるスーパーイムジンの終了点に作られており、そうするとクラックに沿ってロープがまっすぐ架かるようになっている。
 S木さんにビレイしてもらい、Tr.で登り始める。そうすると先ほどは30㎝ごとにテンションしていたところがさくさくと登れた。右上の終了点テラスのリップガバに至る手前のごく小さなハング状の難しめのところでフォールしてしまったけれど、そこまではノーテンでいけ、結局Tr.で1テンで登れてしまった。
 Tr.の安心感というのは絶大だなあと思いつつ、これがボルトルートだったらムーブ的には、グレードどおりのイレブンプラス程度なのかもしれないと思った。まともなジャミングというのはあまり無くて、クラックの縁を保持したりと、フェイス要素が強いルートなのだが、ボルトルートのフェイスの5.12aならもっとキビしいと思われるからだ。
 となると、ボルトルートに比べてナチュプロルートは総じてグレードがずっとキビしく感じるのだが、このルートについて言えば、その差はプロテクションをきめるキビしさや怖さなのかも。
 クラックが今よりもずっと登れなかった以前に、屋根岩2峰にある蜘蛛の糸5.11cをトライして1テンまで持ち込んだことがあったけれど(結局未だRPせず)、あのルートのクラックもフェイス的なホールド保持だったので、そこまで持ち込めたのだろう。
 いかにプロテクションをきちんときめて、それを信頼して登れるかが完登の成否となりそうだ。また機会があればトライしたいものだ。

 S木さん達がイムジン河に2便目を出している間に、O田さん達とともに私は再び親指岩へ。小川山レイバックには別Pが取り付いていたので、それを待って、私がリードしてTr.を架けた。O田さんとMさんがTr.で登った。

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(↑小川山レイバックを登る私。写真横向き)
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(↑小川山レイバックを登るMさん)

 再びお殿様岩に戻ると、私が親指岩に行っている間にS木さんは下山して先に帰ったとのこと。やはり体調が思わしくないようだ。暗くなる中、H内さんと下山。道の駅南きよさとを経て、韮崎ICに入り前に、中華料理屋で夕食。大月の先で例によって渋滞に巻き込まれたけれど、日付が替わる前には帰宅。

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(↑台湾料理屋のカシューナッツ炒め定食。ボリュームたっぷり)

 体育の日の月曜日。朝から降り出した雨は午後になると雨脚が強くなってきた。台風が近づいてきているらしい。この日は、クライミングの疲れと寝不足もあって、家から一歩も出ずに過ごすと決めて、昼寝したり読書したりと本当にごろごろして一日を過ごした。

甲府・兜岩(かぶといわ)

2014.10.04(土)

 台風の接近に伴う前線の影響で日曜日は雨の予報だったので、土曜日に日帰りでクライミング。
 行き先はこれまで3回訪れたことのある甲府の兜岩。過去3回とも大手門というエリアでばかり登ったけれど、今回初めて甲府城というエリアを訪れた。さらにそのすぐ上にあるのろし台というエリアでも登った。
 メンバーはI澤さんとT橋さん、私の3人。T橋さんとは6月にヨセミテに一緒に行ったし、先々週も小川山で会ったばかりだけど、I澤さんに会うのはずいぶん久しぶりだ。
 兜岩では、2年ほど前だったかクライマーが山火事を起こしてしまって、一時クライミングが自粛されたけれど、昨年6月に私が訪れた時のように、再び少しずつ登られ出しているようだ。

 現地登山口の駐車場に集合することになり、私は前夜のうちに出発することにした。中央道には乗らず、国道20号線を延々走って、深夜に道の駅甲斐大和に着いたところで車中泊。
 翌朝は途中のコンビニで弁当やコーヒーを買いつつ、兜山の登山口へ。よく晴れている。9時に集合。3人で岩場へ向かう登山道を歩いていくと、足元に栗のイガがたくさん落ちている。ヤマグリだという。T橋さんがいくつも拾っているので、私も拾った。皮を剥くのに手間がかかりそうだが、栗ご飯など作れそうだ。あと、クルミもたくさん落ちていたので拾った。オニグルミとのこと。外側の果肉を取り除かないと中の硬い殻が出てこないのだが、その果肉はしばらく土の中に埋めて腐らせれば良いらしい。殻の中の実の部分は生で食べられるという。これも手間がかかりそう。

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(↑拾ったヤマグリ)

 通り過ぎた大手門エリアは、昨年来たときよりも落ち葉などに埋もれた分だけ山火事の跡が少なくなっていた。大手門を過ぎてもう少し歩くと、甲府城エリアに着く。ここで荷物を広げる。

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(↑甲府城エリア)

 左奥に一段上がったところにある壁に行き、「MY SONS」5.10cと「のりピー」5.9でアップ。MY SONSは核心となる後半に右上にハンドジャムをきめるところがある。ここのところクラックを登る機会が多かったので、無理にフェイスのカチを保持するよりジャミングするほうが安心感があったりする。

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(↑MY SONSを登るT橋さん。写真横向き)

 それから私は、「ディライト」5.11bをトライ。T橋さんによると、このエリアの看板ルートとのこと。中盤にあるパーミング気味から左トラバースから凹角への直上が最初の核心で、テラスから終盤の右上クラックのフレークを取る一手が次の核心。オンサイト。

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(↑ディライトを登る私。写真横向き)


 T橋さんがのろし台のルートをトライしに行くということで、私もこのエリアのルートを登ることにした。「クニマス」5.11aをオンサイト。
T橋さんは「大吉」5.11bをトライしていたけれど手強そう。甲府城とのろし台を往復しながら、I澤さんもディライトにトライ。

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(↑大吉を登るT橋さん)

 私は、甲府城の「沢のあいまに」5.11b/cにトライ。これは出だしの数手がカチホールドの核心。1便目はテンションしつつムーブ探りとなる。右側のカンテは限定とのこと。2ピン目をクリップして頭上のクラック状に手が届けば実質終わりだ。2便目でレッドポイント。
 T橋さんは大吉のトライをやめて、となりにある「キープ・ライト」5.11bをトライして2便目で見事RP。
 最後に私はその「大吉」5.11bをトライ。柱状の岩の両側のカンテを持ちながら登って行く。ところどころ右足をカンテにトゥフックしたりする。両側のカンテに手を伸ばすので、リーチ次第で成否が分かれそう。T橋さんもそれでトライを断念したようだ。上部に至ると足を置けるところもなくなる核心となる。頭上のフェイスに右手サイドで持てそうな大きなホールドがある。それを右手で保持するのを利かすため、右足はほとんどスメア気味に壁の中に当てる。左手は左カンテ。そうしておいて左カンテ上方に突き出たホールドが見えるので、伸び上がってキャッチ。思わず声が出る。さらに終了点直下のバンドのリップを保持するが、目の前のボルトにクリップする余裕がないので、クリップを飛ばしてバンドに上がると終了点。ふう、オンサイトできた。

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(↑甲府盆地を望む)

 こうして5.11台前半ばか4本登った。私は5.11a以上の完登ルートはこつこつと記録をつけていて、2週間前の瑞牆十一面末端壁のアストロドームで500本を数えたのだが、今日の4本を加えて504本となった。5年弱で500本だから、年100本ペースか。イレブン台ばかり登って本数稼ぎしてないで、グレードも上げていかないとなあ。
 I澤さんは夏頃から風邪なのか体調不良が続いているそうで、この日も調子が悪いみたいだった。暗くなりヘッ電を点けて下山。

 I澤さん達と解散して、私は近くにある岩下温泉旧館に寄って疲れた身体を癒す。源泉の浴室のほうは廊下から半分丸見えといった感じ。400円。
 やはり中央道には乗らず、青梅街道を柳沢峠経由で帰る。御岳まで来たところで車中泊することにした。御岳ボルダーで以前よく通った場所だが、発電所の駐車場はゲートができて有料化されてしまっていた。冬期は無料になるらしいが、ここの使い勝手が悪くなってしまったのは残念。寒山寺駐車場のほうは従来のままだった。

 台風接近に伴う前線の影響か、未明から雨が降り出す。車中泊した日曜日の朝はゆっくり起き出して、途中マックで読書をしたりしながら帰宅。

糸魚川・明星山P6南壁 墜落事故

2014.09.27()28()

 明星山P6南壁にあるマルチピッチルート「マニフェスト」の登攀中、同行者が墜落、グラウンドフォールし負傷した。

 ケガを負い入院したこともあり、本人の容体などに触れるのは憚られるので書かないが、事故発生時の様子からその後の救助活動について、事故事例の一つとして、他のクライマーへの事故防止の注意喚起の一助となればと思い筆を執る。

 メンバーは私および所属山岳会のAさんの2人。

記録の内容は基本的に私の視点から書いたもの。

 

 

1 行動時間

ただし、時間は概ね

 

9/26()

20:30 都内待ち合わせ

 

9/27()

 

1:00 明星山駐車場到着、仮眠

5:00 起床

5:30 駐車場出発

5:50 小滝川渡渉

6:35 マニフェスト登攀開始

6:40 事故発生

7:45 旅行者に救助要請

8:16 消防へ通報

8:40 私、通報者の元へ

8:45 消防隊員到着

8:55 消防隊員を案内開始

9:40 負傷者を中州に搬送

9:50 ヘリ飛来

10:00 隊員下降

10:20 負傷者をヘリでピックアップ

11:15 救助関係者解散

12:00 所属山岳会に一報

13:00 私、病院到着

21:30 負傷者家族、病院最寄駅に到着

 

 

2 事故発生まで

 前夜都内でAさんと待ち合わせ、私の車で中央道~長野道を走り、日付が替わった深夜1時頃に明星山P6南壁を望む駐車場に到着。テントを張って仮眠。

5時起床、少し明るくなってきた5時半に出発。土産物屋脇から草むらのアプローチ道へ。草むらを通過中にAさんがヘッ電を紛失。草むらをしばらく探すも見つからず。そのうちすっかり明るくなる。

河原に降り立った場所から10mほど上流側で渡渉。深いところで膝上程度の水深で無事に通過。南壁側の小滝川左岸を下流に歩き、南壁基部に沿ってガレたアプローチ道を登る。

フリースピリッツの取付のあたりを確認し、さらに登ってマニフェストやクイーンズウェイの取付のあたり(残置リングボルト2)を確認。

ボルトの5mほど右上のやや平たんなガレ場に荷物を降ろす。

ここで私もヘッ電を紛失したことが判明。河原のどこかで落としたものか。この日の目標ルート・マニフェストは登攀後に同ルートを下降することになっている。

ヘッ電を紛失していないとしても、暗い中を懸垂下降することを避けるため、明るいうちに下山することとし、糸魚川の街で懐中電灯を買えれば買おうという話をする。

天気は晴れ。特に風もなく寒くない。岩はよく乾いている様子。

2人でルート図と実際に見上げた岩壁を見比べる。

マニフェストは、クイーンズウェイと取付きが同じ。左上方遠くに右上する形をしたハングが2段ある。最初のハングを越えたあと、クイーンズウェイはさらに次のハングを越えて左上するが、マニフェストは最初と次のハングの間を右上するものと、ルート図から読み取れる。実際の岩も見て、あの辺りで1P目のピッチを切るのだろうと話す。

主な登攀装備は、ダブルロープ2本、ヌンチャク10数本、カム一式、その他に確保器、スリング、ビナなど。

西面下降路ではなく、同ルート懸垂下降なので下山用のアプローチシューズは持たず取付きにデポする。

サブザック1つに2人分の水・食料と救急用品をまとめ、フォローが背負うこととする。

基本的につるべ登攀することとし、順番については、1P5.10aAさんリード、2P5.10bを私がリードすることとした。

なお、この日マニフェストを登攀した場合、翌日は最初と最後をマニフェストと共用するJADEを登攀する計画であった。

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(↑早朝の明星山P6南壁)
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(↑小滝川に降りる)

 

3 事故発生時

 

6:35頃、Aさんのリードで登攀開始。

取付き箇所は、リングボルト地点から5mほど上の荷物を置いた少し平たんな場所。

34mほど直上すると1mほどの垂壁があり、リードするAさんは越えられないようで、その基部を左にトラバースしていこうとしている。そのトラバースが悪いようで、Aさんの動きが慎重になる。いったん右に戻るが、再び左に進みだす。

数メートル左にトラバースしたあたり、左足を置くのも慎重にしているのが見て分かる。私の位置からAさんの姿は左上に見える。

この間、Aさんはカムをセットできるところを探す素振りは特に見受けられず。

 

つぎの瞬間、Aさんが墜落する!

一瞬の出来事であるが、始めは壁のほうを向いたまま直立した姿勢のまま落下する。直後、反転して頭が下となり、岩壁の基部から下に続くアプローチ道のガレ場の上を、頭を下にうつ伏せ(ダイビングするような姿勢)で滑り落ちて止まる。

スラブ状の岩壁の墜落距離が概ね5メートル、その後のガレ場の滑落距離は34メートルくらいか。

1P目を取る前に墜落し、そのままグラウンドフォールしてしまった。

ビレイしていた私のロープが引っ張られることはなく、その前にAさんの身体は止まった。スタート地点から左上に出ていたロープがそのまま左下に向いたという感じ。

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(↑Aさんの落下地点付近を見上げる。写真横向き)

 

4 セルフレスキュー

 

消防の救助が来るまでを、ここではセルフレスキューとする。

Aさんのグラウンドフォールは一瞬のことで、落下中にAさんの声は聞こえなかった。

私は名前を叫びながらすぐに駆け寄り、うつ伏せに倒れたAさんを抱き起して仰向けにさせる。

Aさんは目を閉じ身体の動きもなく全くの無反応。見た瞬間は、生死が不明だった。私は声をかけ、仰向けにさせながら胸部を押したりする。

直後、Aさんはグ~という大きな鼾のような音を出す。

突然倒れてグーグーと鼾をかき始めたという話を瞬間的に思い出して、脳卒中という言葉が浮かんだ。が、その鼾の音は一度だけで、その後は当初ほとんど呼吸をしているのかどうか分からない感じだった。あとで思うと、鼾のような音は停止していた呼吸が急に回復した音だったと思われる。

Aさんの墜落から呼吸回復までの時間は、駆け寄り抱き起しマッサージまでの一連の動作で、おそらく10秒かもう少しくらいと思われる。

この最初の呼吸音を聞いて、生きていることが分かったが、完全に意識を失っている状態には変わりはない。とにかく声をかけながら胸部マッサージを続け、仰向けに下Aさんの姿勢を手足を伸ばせるように変えていく。

 

以後、声がけはずっと続けていたので記載は省略するが、私は「Aさん」「しっかり」「大丈夫ですよ」などと声をかけ続ける。

ガレ場で足元が安定しないので、ずり落ちないように私はAさんの下側に回り込み身体を支える。

Aさんは最初の呼吸回復後も、当初はほとんど呼吸をしているかどうか分らない状態のため、私は胸部を手で押してマッサージを続ける。10数回押して、押すのを止めた直後はハッハッと浅く呼吸をしているのが見受けられた。

私はAさんのヘルメット、ロープ、ハーネス、ギアラックを少しずつ解く作業をする。ヘルメットは呼吸回復直後にすぐに外してある。一つ外すごとにマッサージを行って呼吸を確認することの繰り返しで行う。あとでクライミングシューズも運動靴に履き替えさせる。

ガレ場で不安定のため、作業ごとに身体を支えたまま位置がズルズルとガレたアプローチ道に沿って下がる。最終的には数10分かけて落下停止地点から10mほど下までガレ場を移動した。

Aさんは舌が落ち込むようなことはなかったが、当初は顔をなるべく横向きになるようにする。口を閉じてしまうので、鼻で呼吸できているのか分らなかったため、何度か手で口を開くようにした。

視認した範囲では、大きな出血はなく、明らかな骨折も無いと思われた。

Aさんの頭の下には、引き寄せたロープの束を枕代わりに当てる。Aさんは呼吸以外にも、手足をわずかにもぞもぞという感じで動かす仕草も時々するようなった。ずっと目は閉じていて声を出すこともない。

 

事故発生からその後発見者が現れるまでの約1時間のうち、呼吸がほとんど分からずマッサージを頻繁に行っていたのを概ね前半とし、呼吸が見ても分かるようになり、後述する受け答えや水飲みなど、当初よりも少しだけ安定した様子を後半とする。

最終位置では、Aさんを支えながらその下のガレ場を足でけり崩して斜めに腰かけられるような形にして横たえる。

後半では胸部が上下して呼吸しているのが分かるようになったため、以後マッサージは止める。それでも気を失わせないように、常時声をかけたり手足や背中をさする。

呼びかけに対し、はっきりとした声ではないがAさんが「はい」と答えることが23度あった。また、目を時々ゆっくりと開閉していた。手で顔を掻くしぐさも。しかし、意思表示はハイの返事以外は無く、半分意識を失う感じで半分寝ている感じに見受けられた。

後半では、プラティパスの水を口に含ませることを試みる。Aさんの口元にプラティパスを近づけるとわずかに口を開くので、間隔をあけて湿らせる程度に何度か飲ませる。

まだ岩場基部に陽が当たる前の時間帯で、Aさんが少し寒がる仕草を見せたので、ダウンジャケットをかけ保温する。

 

後半になると、これらの介抱を続けるのと並行して、今後の救助の方法を考える。

介抱をしながら頻繁に対岸上方の車道を見上げ、通りかかる人がいないかを見る。車道は対岸の50m位上を通っている。

Aさんを運ぶ場合を考え、介抱と並行して、リングボルトを支点にロープを懸垂下降用にセットする(下の河原までまっすぐ降りるにしてもまだ10メートルくらいはガレたヤブの斜面を下りる必要があるため)

また、空にしたザックの伸ばしたショルダーベルトに横木を通して背負子も作る。ひとつやりながらAさんの介抱をするということを繰り返す。

 

救助について当時の考え

自力でAさんを運ぶ、または他人に救助を求める、あるいはそのミックス。

自力でAさんを運ぶ場合に備え、ロープや背負子の用意をしながらも、一方で、無理に背負って運ぶことによるAさんへの負担を想像した。

体重の軽いAさんを力尽くで背負ってガレ場を懸垂下降することは私一人でも可能と思われたが、Aさん側からすると、無理に起き上げさせられ、落ちないようにスリングでぎゅうぎゅうに縛られて、さらにヤブ漕ぎ懸垂下降となっては、Aさんに計り知れない負荷となることが想像された。

河原まで降り立ったところで、さらに渡渉、対岸の車道までのヤブ漕ぎ登りが続き、Aさんへの負担の大きさを考えると現実的ではないと躊躇した。

一方で、ここはヒスイ峡という観光地で、岩壁を眺めて登っているクライマーを見つける観光客がいることも知っていたので、他人に救助を求めるほうが現実的とも考える。

 

これらを考えているちょうどその時に、車道を歩く人の姿を認める。事故発生から約1時間後の7:45頃。

叫びながらAさんの雨具を振り回すと、歩行者が立ち止まってこちらに気づいてくれた。返事の声は聞こえない。その後、その人が腕で丸印を作るジェスチャーをしたので了解したものと分かる。

あとで対岸に戻って聞いたところでは、この発見者は通りかかったフィッシングセンターの管理人の車を呼び止め、管理人が消防に通報してくれたとのこと。通報は8:16

フィッシングセンターは、駐車場から少し先に行ったところにある観光施設。その管理人がちょうど朝やって来たところだったという。

発見してもらったものの、消防隊が土産物屋脇のアプローチを知っているとは限らず、また状況をすぐに伝えるためにも、Aさんを残して一人で車道に戻ることを考える。

Aさんを残していくのは極めて不安であったが、当初よりは容体がほんの少し安定したように見えたので、なるべく早く戻ってことを言い残して、走って戻る。

10分ちょっとで車道に戻ると、発見者(写真を取りに訪れたという旅行者の男性)とフィッシングセンターの男性がいた。聞くと、消防には通報済みで、もうすぐ到着するだろうとのこと。

私はすぐにもAさんのもとに戻りたかったが、消防を案内する必要があるため待っていると、数分後に消防車がやってきた。8:45。糸魚川の消防隊員約10名。警察官もパトカーで一人到着。

消防隊と私は車道から、対岸下方を見下ろして、色の目立つ雨具をかけたAさんの場所を教えると、消防隊は無線でヘリコプターの出動要請をした。

Aさんと私の氏名等を聞かれたので、山行計画書を渡して見てもらう。

私はすぐに消防隊員を現場に案内する必要があるので、発見者には紙に連絡先を書いて私の車のワイパーに挟んでおくようお願いする。また通報者はフィッシングセンターの管理人であることも聞く。

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(↑対岸の車道から、眼下にAさんのいる岩壁基部を望む)

 

5 消防隊救助活動

 

8:55、隊員一人を連れてアプローチ道を下る。ほかの隊員もその後続く。河原に降りると、登攀に来ていた某山岳会の3人パーティーがいた。

私は上流側の渡渉地点から渡り、ひとまず先にAさんのもとへ。40分くらいその場を離れていたが、反応があることを確認しながら、Aさんに消防が救助に来たと声をかける。すでにガレ場にも陽が当たり出して、Aさんは逆に暑いくらいの様子だった。

山岳会の一人がAさんのもとに付いてきてくれたので、私は対岸にいるままの消防隊のところへ戻る。

私の渡渉地点よりも下流側に大岩の間に、チロリアンブリッジのように残置の固定ロープが張ってあり、そこを渡る準備ですでに消防隊員が集まっていた。

山岳会の人達が自分達のロープでもう1本固定ロープを張りつつ、私はロープにセルフを取って大岩の間に足を伸ばして立つ。

ストレッチャーやAEDなどの機材をリレーで渡していく。その後、隊員が一人ずつロープにセルフを取って渡る際に、間にいる私は隊員のベルトを掴んでひきあげるのを手伝う。

先に渡った隊員は順次Aさんのもとへ行く。6人ほどの隊員が渡り終えたところで私も後を追う。

Aさんのもとに到着すると、先ほどボルトに張った懸垂下降用のロープがすでに真下の河原まで流してあり、Aさんをストレッチャーに載せるところだった。

ベルトでAさんをストレッチャーに固定してから、ロープ伝いに、消防隊員6名、某山岳会および私でストレッチャーを担いで河原まで降ろす。

中州まで運んだところで下すと、Aさんが頭が痛いと訴えたため、一時、隊員が酸素マスクをつけた。

消防隊員から、もうすぐヘリが来るが、風圧で岩壁から落石があるかもしれないので、離れて待機するように指示される。

9:50頃ヘリが飛来する。下流側でゆっくりホバリングした後、上流側に移動しゆっくりと谷間に進入してきて、中州上空で停止すると、隊員2人がホイストで下降。その後、ヘリはしばらく周囲を旋回している。

ヘリが再び谷間に進入してきて、10:20Tさんを乗せたストレッチャーに隊員1人が付いて引き上げられる。続いてもう1人の隊員も引き上げられ、そのまま飛び去って行く。

地上に残る消防隊員らが、我々2人分の装備まで回収して持ってくれて撤収を開始。固定ロープを渡る際に某山岳会の人が再び応援してくれる。山岳会の人達はしばらく河原に残るとのことで、連絡先を聞いてお礼を言う。

消防隊員たちと上の駐車場にあがる。Aさんの搬送先は、富山県内の某病院だと教えてもらった。

待機していた警察官に、事故時の状況を答える。病院搬送後のAさんの容体について、警察宛てに電話をくれるように言われる。

私の車にワイパーに発見者の連絡先メモを見つける。11:15、解散。消防車両、パトカーを見送る。

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(↑Aさんを中州に搬送後、ヘリを待つ消防隊員)
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(↑救助のヘリが谷間に進入してくる)
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(↑隊員2名がホイストで下降してくる)
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(↑同上)
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(↑ヘリの隊員が河原に降り立ったところ)
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(↑上の駐車場で解散後、消防車が帰っていく)
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(↑明星山P6南壁を望む。写真横向き)

 

6 病院

 

私は病院に向かう前にフィッシングパークへ寄り、お礼を言う。管理人は、発見者に呼び止められた時の様子などを話してくれた。

駐車場付近は電波が入らないため、車で国道に出てから所属山岳会の下山連絡担当者に事故一報を電話する。Aさんの家族への連絡は、私が病院に到着して状況を確認できてからとした。

13時頃、北陸道経由で富山県内の某病院に到着。病院の受付で、健康保険証が無いか聞かれるが、Aさんの手荷物の中には見当たらず。AさんはICU(集中治療室)に収容されているとのこと。

病院側からAさんの家族へ電話するとのことで、緊急連絡先の電話番号を伝える。病院側が電話した時点で留守だったが、警察からすでにAさんの家族宛てに電話がいっており、その後、家族と病院間で連絡が行われた模様。

看護師によると、緊急に手術が必要になる場合に備え、家族が病院に直接来る必要があるとのこと。看護師から、それまでの間、私は控室で待機するように言われる。

その後、私もAさんの家族と電話連絡がつくようになり、家族の人は今夜中にこちらに到着するとのこと。

家族の人が今夜到着する見込みとのことから、私は夕方に控え室を退室する(控室で待機中に、室内のテレビで御嶽山噴火のニュースを知る)

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(↑御嶽山噴火を知らせるテレビのニュース)

家族到着までの時間、私はごちゃごちゃになったままのロープなどの装備を整理したり、近くの銭湯に行ったりして過ごす。

21時半、家族から病院の最寄駅に到着したと電話があり、車で迎えに行く。Aさんの家族が、Aさんに面会して医師から説明を受けている間、私はロビーで待機。

面会終了後、Aさんの容体について警察が連絡を求めていることから、家族から警察に電話する。

待機中の昼間、所属山岳会に事故一報を入れておいたところ、会員のBさんからメールがあった。Bさんはごく最近白馬に引っ越したばかりなのだが、明日は時間があるので病院まで応援に行けるとのこと。ありがたくお願いする。

この日の夜は、家族の人は控え室で泊まることにして、私は某所で車中泊。

 

28()、応援に来てくれたBさんを含め家族の人と3人で再び集まって相談する。午前中の面会を終えた家族の人にAさんの様子を教えてもらう。AさんはICUに収容中で、家族でも面会時間が限られることから、昼ごろに解散することとなった。明日再び検査があるとのことから、家族の人はもう一晩泊まるとのこと。

 

以上、家族以外の部外者は、Aさんとの面会や容体等のプライバシーに立ち入れないこともあり、Aさんが病院に収容され、その後家族が病院に到着して医師と会ったことをもって、事故発生以降の区切りとした。

 

 今回の事故については、所属山岳会に対し、事故報告書を作成して、その中で事故発生時の状況からその後の救助活動、さらに考えられる事故原因について報告しているところである。

 よって、このブログで事故原因の考察は書くことはしないが、今回、カム等で1ピン目をセットする前に墜落してグラウンドフォールしたことから、たった一言で書くとすると、当然のことであるが早めにランナーを取らないといけないということだけを申し添えておく。

とにかく今はAさんの一日も早い回復を願うばかりである。

 

 

 

解散後、御嶽山の麓へ

 28()昼に解散し、私はこの日のうちに車で東京に帰ることにした。御嶽山噴火のニュースを聞いていたので、帰る道すがら、御嶽山の近くを通って帰ることにした。富山県内から岐阜高山経由で延々と下道を走って行ったので、とにかく時間がかかった。

高山から国道361号線を走り、御嶽山の麓の開田高原に至る県道20号線の分岐に至ったのは陽が御嶽山に隠れた日没後で、夕闇が迫るころだった。

ここでは御嶽山に向けて望遠カメラを向ける人がいて、話しかけると、噴火当日の昨日よりは噴煙が減っているとのこと。某テレビ局の取材班も居合わせて、近所の男性と話していた。聞くと、この男性は御嶽山が昭和54年に噴火した時も目撃していて、その時撮影した写真を見せてくれて、噴火の様子を話してくれた。

山頂付近では大勢の登山者が噴火に巻き込まれて犠牲となり、消防や自衛隊が決死の救助活動を始めているところであったが、噴煙を上げる御嶽山をこうして皆で眺めていると、夜の闇が少しずつ訪れる中とても静かだった。犠牲になった多くの方々に合掌。

 その先の展望のきく道路脇では、いよいよ闇に包まれていく御嶽山を撮影するカメラマンの姿が何人もあった。

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(↑噴煙を上げる夕暮れの御岳山を望む)
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(↑月と御嶽山。写真横向き)

 御嶽山を離れた後は、再び下道を延々走って、伊那ICから中央道へ。辰野SAで夕食。龍王らぁめん(半ライス付)760円。帰宅したのは日付が替わる頃。

以上。

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(↑龍王らぁめん)

瑞牆山不動沢不動岩 ~ 小川山親指岩「クレイジージャム」5.10d RP、小川山「大聖堂」5.11c/d Try、瑞牆山十一面岩左岩稜末端壁「アストロドーム」5.11a RP

2014.09.20(土)~23(火)
 天気に恵まれた4日間、瑞牆と小川山の岩場を巡りクラックのルートをたくさん登ってきた。
 所属山岳会のH内さんと一緒に、またその他の会員らも入れ替わり加わって、充実したクライミングを楽しめた。
 20日(土)は、5人で瑞牆山不動沢不動岩で、「牛乳びんクラック」5.10bなどを登った。
 21日(日)は、小川山に転進し、7人で親指岩へ。私は「クレイジージャム」5.10dをRPできた。
 22日(月)は、H内さんと2人で小川山にある「大聖堂」5.11c/dというアプローチの長いルートをトライ。
 23日(火)は、再び瑞牆山に戻り、6人でと一面岩末端壁へ。私は「アストロドーム」5.11aをRPできて、クラックで初イレブン台となった。

■9/20(土)  瑞牆山不動沢不動岩
 金曜日夜、私の車でH内さん・F田さんと待ち合わせ、北杜市内の某所でテント泊。翌朝、T塚さん・S原さんと合流してから、植樹祭広場を経て不動沢の駐車場へ。今日はこの5人で登る。
 不動沢の岩場は、私は最も近い屏風岩に今年5月に二度行ったことがあるだけで、今回はもっと奥にある不動岩に行くことができた。
 小一時間ほど歩くと右岸に不動岩があり、そのすぐ先に不動滝がある。「牛乳びんクラック」などのルート取付へは、沢に面した岩の基部から左の急な斜面を登って行く。不動岩に寄りかかるように立つ木の根元付近から岩に取り付くのでそこでロープを出す。H内さんがリードして木を越えて岩を右に回り込むように登って行く。5人でロープが4本あるのでフォローがバックロープを引きながら続いて登る。ギアを入れたザックを背負ってのトラバース部分は結構微妙なムーブだ。
 木の生えた狭いテラス状に到着。見上げると凹角の先にハング下岩の左右にクラックがあるようだ。さらにその左にももう1本。右から「牛乳びんクラック」5.10b、牛乳びんと出だしを共用する「未来の力」5.10d、それから「ワイルドハート」5.10a。

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(↑不動滝)

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(↑不動岩の上部ルートへのアプローチを登るH内さん)

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(↑あぷろーとのトラバースを行くF田さん)
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(↑頭上のクラックを見上げる)

○「牛乳びんクラック」5.10b
 まずは私が牛乳びんクラックをリードする。ハング下に至る途中のオフウィドゥスも慣れない最初は手こずる。ハング下はアンダーでハンドジャムがきめながら右上へと抜ける。その先をずっと登って行くとオフウィドゥスを過ぎピナクルに立つ。トップロープを張る場合、ここでスリングやカムで支点を構築すべきだったのだが、そのまま左上に登った私はボルト支点でトップロープを張る。オンサイト。
 そのままロワーダウンすると60mロープではわずかに足りなくなってしまう。途中、もう1本のロープを繋いでとりあえず取付に降り立つ。ロープの流れが非常にワルく、ロープを引くのにひどく力を要するようになってしまった。とりあえずT塚さんにTr.で登ってもらい、S原さんがフォローで登って、2人で懸垂下降2ピッチで降りてきた。

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(↑牛乳びんクラックを登るF田さん)

○「未来の力」5.10d
 続いてH内さんが登って架けたTr.で未来の力にトライ。出だしは牛乳びんと同じ。牛乳びんのハング岩を右手に通り過ぎ、もっと上にあるハングした岩を越えるのが核心だった。ハング下をレイバックやフィストなどを試みて突破を試みるがキビしい。Tr.なので、一度フェイスのホールドを使って身体を引き上げてハングを越えられたけれど、つぎにリードでトライした時は、Tr.との勝手の違いから歯が立たずAゼロしながら越えざるを得なかった。このルートは今の私の実力では無理そう。

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(↑未来の力を登る私)
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(↑未来の力を登るH内さん)

○「ワイルドハート」5.10a
 こまかなムーブは覚えていないが、ハンドやフィストだったような。ある意味、牛乳びんよりも難しい感じだが、オンサイトできた。
 ほかの人達もそれぞれルートを登った。テラスからは懸垂下降で、朝上がってきた寄りかかる木のところに降り立つ。さらに沢近くまで降りるのも急なので懸垂下降する。沢近くに降り立った時はほとんど暗くなっていた。ヘッ電を点けて不動沢の駐車場に戻る。疲れた。F田さん・T塚さん・S原さんと解散し、H内さんとともに信州峠を越え川上村へ。ナナーズに寄ってから廻り目平キャンプ場入り。この週末、所属山岳会のメンバー10数名がキノコ狩りをしながらクライミングをしているので、そこに飛び入り。ちょうど夕食を食べ始めるところで、キノコや焼き肉をいただく。23時頃になって張ったテントに戻り寝る。

■9/21(日)  小川山親指岩「クレイジージャム」5.10d RP
 朝、ゆっくりと起きて所属山岳会のグループのテントサイトへ。H内さんとこの日の行き先を相談して、親指岩に行くことになった。親指岩と言えば「クレイジージャム」5.10dだ。私は昨年9月にトップロープで一度だけ登っている。その時はテンションしまくりで、とてもリードなんてできそうにないと感じたけれど、今回親指岩に行くとなればもちろんリードしてレッドポイントを狙いたいところだ。H内さんと私がクレイジージャムに行くと話したところ、10数人のうち5人も登ってみたいということになった。I田さん・K池さん・K寅さん・T橋さん・K島さん。7人で哲学岩を見物しながら親指岩へ。小川山レイバックには1パーティー取り付いてたが、回り込んだクレジャムには10時頃にも関わらず誰もおらず。
○「クレイジージャム」5.10d RP
 クレジャムは反対側の小川山レイバックを2P登って岩塔に出てトップロープを張ることもできるが、ほかのパーティーが取り付いている。Tr.架けも兼ねて私がリードで登ることにする。使用するカムのサイズをH内さんに聞きながら選ぶが、どうしても多くなってしまう。結果的には出だしで0.75番キャメ、2番の快適なハンドサイズを経て、オフィドゥスでは3~4番、最後右上するところでは0.3~0.5番を使って岩塔へ出た。
 ということでトライ開始。ビレイヤーはK島さん。出だしでハンドジャムをきめて身体を引き上げると両サイドの壁のフットホールドに立てる。レイバック気味を交えながら序盤を終えると快適なハンドクラックに入る。落ちるのがコワいと思い、序盤では0.75番を3つも使った。ハンドクラック部分は本当に快適。ハンドジャムとフットジャムを交互にきめながらさくさくと登っていける。
 そして核心のオフィドゥスのセクションに入って行く。いつまでも両手でジャムはしていられなくなり、左半身をオフィドゥスに入れるようになる。左手左足はオフィソゥスの奥でジャム。右手はチキンウイングで右側の内壁に手のひらを当てる感じ。右足をどうすべきか分かっておらず戸惑っていた私に、下からH内さんがヒール&トゥとアドバイスをしてくれた。右足のつま先とかかとを前後の壁に当てると姿勢が安定する。四肢をひとつずつ少しずつ動かしながら背中ももぞもぞと上に動かしていく。息が荒くなるが、それでもじわじわと高度を稼いでいく。傾斜が緩くなってきて、ガバをつかむとオフィドゥスを抜けることができた。
まずは一安心だが、ここで気を抜くワケにはいかない。見上げると右上するクラックがある。水平に走るフットホールドもあるので、クラックに0.3番キャメなどをきめながら少し右にトラバース。それからフェイスのフットホールドを拾いながらクラック右上抜け口にハンドジャムをきめると右上の棚に出る。そこから左上に乗りがると広い岩上だ。終了点のボルトにセルフビレイを取る。やったーと叫ぶ。下から皆の祝福の声が聞こえる。初めてのリード、通算2便目でRPできた。
 カムを回収しながら取付にロワーダウン。ビレイしてくれたK島さんと握手。昨年Tr.でトライした時は、およそリードできるとは思えなかったけれど、1年後にこうしてリード1撃で登れるとは思ってもみなかった。

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(↑クレイジージャムをRPする私。写真横向き)
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(↑写真横向き)

 Tr.でI田さん、K池さん、K寅さん、T橋さんがクレジャムにトライ。I田さんは何度もテンションしつつもトップアウト。K池さんはオフィドゥスで1テンしただけでトップアウト。K寅さんは出だしで苦戦しつつ、OWまで登った。T橋さんも頑張ってOWまで登る。

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(↑クレイジージャムを登るI田さん)
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(↑クレイジージャムを登るK池さん)
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(↑クレイジージャムを登る喜寅さん)
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(↑クレイジージャムを登るH内さん)
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(↑クレイジージャムを登るT橋さん)
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(↑M田さんのクレイジージャムの華麗な登り)

○「小川山レイバック」1P目5.9+
 合間に皆で小川山レイバック1P目5.9+にもトライ。H内さんが登って張ったTr.でI田さん、K島さん、T橋さん達がトライ。最初のリードトライの出だしで苦戦していたI田さんはその次のトライでRPできたらしい。
 私も何年かぶりにリードしてみたが、レイバック姿勢になることもなく、ビレイヤーとおしゃべりをしながら余裕をもって登ることができた。ほとんどクライミングを始めたばかりの頃に、初めてこのルートに触った時はテンションしまくったものだが、あの頃よりはずっと力が付いたのだと思う。

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(↑小川山レイバック1P目を登るK島さん。写真横向き)

○親指岩上ボルダー 3級
 残った時間で、親指岩上ボルダーへ。H内さんによると、フィンガークラックのあるボルダーで、トップロープを張れるという。
 着くと、ボルダーの山側に数メートルのフィンガークラックが走っている。ボルダリングのグレードで3級とのこと。となりに残置ロープが下がっているので、それを掴んで岩上へあがり、Tr.を張る。
 まずは私がトライしてみる。右手はサムロックにしてフィンガーを辿るが結構キビしい。ロープで吊られているから良いものの、ボルダリングするのはマットがあってもコワい。とりあえずノーテンで登れた。皆も登ってみる。
 私はもう一度トライ。足もクラックだけという限定だと1級とか。足限定だと格段に難しくなる。1テンで登ったけれど、吊られているからよく分らない。

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(↑親指岩上ボルダー3級を登るI田さん。写真横向き)

 こうしてこの日のクライミングを終える。同行した5人を含むキノコパーティーは土日だけなので、キャンプサイトで解散する。自分たちのテントサイトに戻る途中、ヨセミテに一緒に行ったT橋さんに会った。
 すっかり暗くなった頃、T沢さんの車を見つけ、T沢さんのいるテントを訪ねる。私とH内さんは、いったん川上村に買い出しに降りるので、ワインを買ってきてと頼まれる。
 ヘルシーの湯に寄ると、H内さんの知り合いのクライマーが何人もいて、しばし歓談。それからナナーズで買い出しを済まし、すっかり遅くなってしまったがT沢さんを訪ねる。Iロンさんという人もいた。確か3月に名張に来ていた人だ。焚火を囲んで歓談。

■9/22(月) 小川山「大聖堂」5.11c/d Try
 飛び石連休の谷間、人がぐっと少なくなった廻り目平の朝を迎える。出かける準備をしていると、岩場に向かうT橋さん達にまた会った。
 この日は、H内さんの提案で、大聖堂という長くかぶったルートを登りに行く。このルートは、Rock&Snow(ロクスノ)の029号で杉野保さんのOld but Goldという特集で紹介されているルートだが、アプローチの長さもあってか、ほとんど登られていないらしい。グレードは、特集記事では5.12a、でも体感5.11cとも。日本100岩場改訂版では5.11c/dとなっていたので、ここではそのグレードを記載した。
 アプローチは、1時間15分ほどかかった。林道から沢を渡渉してマラ岩に向かう道と分けて旧林道へ。枯沢を過ぎ、対岸にボルダーのある沢に出たら、最初は右岸の踏み跡を歩いていく。ところどころ不明瞭。右岸から枝沢が出合うところでケルンに沿って対岸に渡ったりと、その後は数回沢を渡り返す。上に行くほど踏み跡はさらに不明瞭になる。小滝状に水の落ちるボルダーの手前を左岸に渡ると、ごく小さな水流に沿って斜面を登って行くと、やがて水も無くなり、その先に岩壁が樹間越しに見えてくる。最初に着く岩はこけし岩らしい。基部に沿って左に登って行き、岩を回り込んだ頭上に、見間違えようがないかぶった岩が現れる。大聖堂だ。思わず持参したロクスノ029号と一緒に写真を撮る。

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(↑大聖堂へのアプローチを行くH内さん)
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(↑大聖堂を見上げる)
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(↑大聖堂)
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(↑ロクスノ29号と一緒に撮る。ちなみに、この号には私の写真が載っている。でも、見つけるは困難。「今、注目のクライマー」なんて記事では全くないので…。だけど、初めてロクスノを買ったのはそのため。 なお、この時の注目のクライマーは言うまでもなく表紙のこの人)

 大聖堂は2ピッチのルートで、コーナークラックが長く走っていて、1P目は寝た傾斜だが、2P目はぐんとかぶっている。1P目の終了点に水や食料、防寒着などを荷揚げするため袋に荷物をまとめる。
 1P目は5.9。60mロープ1本を使用。H内さんのリードで登って行く。右側のコーナークラックは出だしが多少苔生した感じだが特にワルくはなく、登るにつれてハンドジャムが快適にきまる。長さは15mくらいだろうか。終了点にはRCCボルトが2本打たれてスリングが結んである。念のためカムでバックアップを取っておいたほうが良いかも。荷物を入れた袋を先に引き上げてから、フォローで私が続く。

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(↑1P目を登るH内さん)
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(↑こんな感じでハンドジャムがバチ効き)
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(↑1P目終了点はRCCボルト2本にスリング、カラビナ)

 いよいよ2P目5.11c/dをトライ。4番までのキャメロットをどっさりぶら下げて私がリードする。ロクスノの特集記事を詳しくは読んでいないのでどんなルートなのか分かっていない。見上げると、ハングした鋭角のコーナークラックの左壁にボルトがいくつか打たれている。ハングを越えた先は見えない。
 ハンドジャムでカムをきめながら登って行くと傾斜が増してくる。RCCボルトにヌンチャクをかけランナーを取るとやはり安心感がある。登って行くと左壁に5番キャメがきまりそうな水平クラックが左へと伸びているのだが、「おしおきマシーン」というルートらしい。この水平クラックにどっかと足を置けるので傾斜を殺しながら少しレストできる。ボルトはまだ続いている。ハンドジャムからアンダーガバホールドを取りに行く。このガバアンダーから先がさらにキツくなる。ハンドジャムがきめられる隙間があるので、ガバアンダーを左で持ち、右手(クラック内にカタカタと動く小石のある箇所)、ちょっとワルい左手のハンドジャムを伸ばし、さらにもっと遠いクラックに右手を伸ばすのだが傾斜に耐えきれずここでフォール。最後のボルトの一つ手前のボルトまではノーテンで行けたワケだ。最後のボルトにチョンボがけする。
 フォールしたハンドから先はフィンガーになる。まだハングを抜けきっておらず、この先はカムエイドをしまくって身体を上げて行く。右側のフィンガーサイズのコーナークラックと左壁を使う感じで登って行くが、この便ではチョンボしまくり。それをずっと登って行くと3~4番がきまるサイズになってきて、終了点が近い。傾斜が緩くなり右上に上がると灌木に古びたロープやスリングとカラビナのかかる終了点があった。ロワーダウンするのに、手持ちのスリングでバックアップを取ったけれど、今後行く人がいたら、長い捨て縄を持参して掛け直したほうがよいだろう。

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(↑2P目を登る私。写真横向き、というか仰ぎ見る)
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 カムをそのまま残してロワーダウンすると、1P目終了点の10mくらい左下に降り立つので、右上して終了点に戻る。終了点直下のクラックにロープが入ってしまうようで、引き抜くロープがえらく重い。トップロープよりはリード&フォローのほうが良いだろう。
続いて、H内さんがカムを残したピンクポイントトライで登る。やはりフィンガーに代わる手前のハング抜け口がワルいようだ。その後のフィンガーのセクションはさくさく登れたようだ。左手は左壁をプッシュしたり左カンテを持つのがミソらしい。




 それぞれ1便ずつ出したところで時刻は15時。今度はリード&フォローで登ることにして、私がPPで登る。先ほどフォールしたところでやはりフォール。カムが無いので身体はずっと軽いのだがキビしい。しかしカムが残置されてクリップするだけでよいというのはラクだ。フィンガーのセクションではテンションはしたものの、チョンボせずにフリーで登れた。
 眺めの良い終了点でフォローで登ってくるH内さんをビレイする。懸垂下降2回でルート取付きへ。途中、1P目終了点にデポした荷物も回収しておく。なかなか大変なルートで、私の実力ではRPは遥か遠い話だが、またトライに来ても良いかも。

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(↑2P目を登るH内さん)

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(↑おしおきマシーンはこんな感じ。ボルトがいくつかある)
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(↑2P目の終了点は、ご覧のとおりかなりロープが傷んでいる…)

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(↑終了点からの眺め)
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(↑2P目フォローのH内さん)

 17時を過ぎて下山を開始。途中で暗くなってヘッ電を点ける。すっかり暗くなった旧林道を歩き、廻り目平に帰着する。明日は再び瑞牆で登ることになっているので、ゲートが閉まる19時前にキャンプ場をあとにする。ヘルシーの湯は定休日だった。ふじもとで夕食を食べてから、お店のおばさんにまだ開いているお風呂を聞くと、南相木村にある施設を教えてくれた。閉館まであまり時間がないので、急いでナナーズで買い出しを済ませ、滝見の湯という温泉施設へ。私は以前一度ここに来た記憶がある。入浴した時間は短かったけれど、汗を流して身体を温められたのは良かった。
 再び川上村に戻り信州峠を経て、22時頃に瑞牆山の植樹祭広場に到着。テントを張って寝るが、明日一緒に登ることになっている人達が深夜にやって来るので、彼らのためにもう一張りテントを張っておく。

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(↑ふじもとのビビンバ)

■9/23(火)  瑞牆山十一面岩左岩稜末端壁「アストロドーム」5.11a RP
 深夜に日帰りでやって来たメンバー達が来た気配は分ったが、そのまま寝続ける。すっかり明るくなってテントの外を覗くと瑞牆山の花崗岩の岩塔群がきれいに見える。4日連続で絶好のクライミング日和だ。
 夜中にやって来たのは、所属山岳会のI田さん・F田さん・T塚さん・M藤さんの4人。F田さん・T塚さんとは初日に一緒に不動沢不動岩に行ったし、I田さんは2日目に小川山親指岩に行っている。
 H内さんも起き出してきて、朝露で濡れたテントを干しながら、朝食を取ったり装備をまとめたりする。今日の行き先は十一面岩左岩稜末端壁。植樹祭広場で静岡の5.10さんに会う。5.10さんも末端壁に行くと言う。

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(↑朝の植樹祭広場にて)

 末端壁へはひと月前に行った以来だ。行くたびにトライしている「アストロドーム」5.11aだが、前回はテンションしまくりで、およそRPを狙える内容ではなかった。あれからひと月、この日の目標は言うまでもなくアストロドームのRPだ。一昨日クレイジージャムをRPした勢いで完登したいものだ。
 40分ほどのアプローチで着いた末端壁の岩壁はよく乾いている。まずはアップで「調和の幻想」1P目5.10aを登り、トップロープをかける。T塚さん達もTr.で登る。H内さんが「ペガサス」1P目5.10dにもTr.を架ける。

○「アストロドーム」5.11a RP
 アップ後、さっそくアストロドームにトライ開始。前半のバンドのリップを取れるかが最初の核心だ。T塚さんにビレイしてもらい、カムをぶら下げて登り始める。序盤はダブルクラック間の壁の凹みを活かして右足を深くキョンして膝を当てると身体が安定してラクになる。左右の壁にあるフットホールドに足を乗せられる高さまで来るといよいよバンドのリップ取りの核心になる。上に行くにつれてジャムが効きづらくなり、リップのガバを取るのにデッドで左手を出していたのだが、今回はこれまでよりもはるかにラクにジャムを保持できていて、気が付くとすぐそこにリップガバがあるのでスタティックに左手を出すだけで済んだ。そうしてバンド上に乗り上がる。
 連日のクラックで少しは鍛えられたのだろうか、疲れているはずなのに調子は前回よりはるかに良いようだ。後半も苦手意識があるのだが、ここまで来たら落ちるワケにはいかない。少しずつ高さを上げて行くのだが、やはり前回よりは余裕を感じる。頭上のハングした岩を左壁のガバホールドも使って凹角へと抜けると終了点だ。やった、RPできた。通算で10便近く出したのかもしれない。
 これまでのクラックのルートの自己最高グレードは5.10d。今年4月の城ヶ崎あかねの浜の「コモドドラゴン」が初めてで(フェイスのムーブだけど)、5月のここ末端壁の「ペガサス」1P目、6月の湯川の「サイコキネシス」。
 ということで、今回アストロドームが登れたことでクラックのグレードを更新できて、ようやくイレブン台の入口に立つことができた。

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(↑アストロドームをRPする私)
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(↑写真横向き)
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(↑写真横向き)
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 ちなみに、5.11a以上の完登ルートはこつこつと記録を付けているのだが、5年前の11月から数えだして、今回のアストロドームでちょうど500本となった。今年はそうでもないが、昨年までは年100以上のペースで5.11a以上のルートを登っていた。節目となる500本が初クラックとなったのは嬉しい。

○「T&T」5.10d ×
 「春うらら」1P目5.11bは前回8月にTr.で一度だけ触ったことがある。あの時はテンションしまくりだった。このルートを登ってみても良かったのだが、4月にやはりTr.で一度だけ触ったT&Tをやってみることにした。
 まずはTr.で登ってみる。コーナークラックになっている一番下からスタートする。後半部分のフィンガー部分も以前よりはずっとラクに保持できて、ノーテンで登れた。これはリードしてもイケるかもしれない感触を得た。
 ということで2便目はリードでトライ。序盤のコーナークラックをこなし、テラスでレスト。オフセットしたクラックに取り付く。途中の縦長穴から先がいよいよフィンガークラックの続くセクションだ。やはりTr.とは勝手が違うが、カムをセットしながら何とか登って行く。右手のサムカムがところどころよく効くところがあるので、そこでカムをセットする。いよいよ傾斜が緩くなる手前の水平ガバに至る。ガバを取った後、さらに左手をその先に続くクラックにジャムしながら乗っ越したいのだが、左手が出せない。そうこうするうちに力尽きてフォール。ああ。トップアウトして降りる。
 前のTr.トライの時から時間が短かったのでヨレていたのもあると思い、3便目はずっと長く休んでからトライ。しかし、4日間の疲れが蓄積しているのか、先ほど到達したところよりも下でフォールしてしまう。結局、この日のRPは諦めることにした。

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(↑T&Tを登る私)

 あとは皆があれこれトライしているのをビレイしたり眺めていたりして過ごす。H内さんはトワイライト5.11cにTr.で登っていた。I田さんも春うらら1P目5.11bにTr.で苦戦しながらも登っていた。M藤さんはアストロドームなど。以前もそうだったが、この日も岩場にいる他のパーティーは知った顔が多かった。

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(↑ペガサス1P目を登るF田さん)
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(↑春うらら1P目を登るUっちーさん)
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(↑ペガサス1P目を登るM藤さん)
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(↑トワイライトを登るUっちーさん)

 ヘッ電を点けて下山する。植樹祭広場でM藤さんの車に乗る3人と解散し、それぞれ帰途に就く。中央道では渋滞が解消されつつあるタイミングで助かった。
 それにしても、今回はクラックをいろいろ登ることができて、充実した4日間となった。クレイジージャムとアストロドームがRPできたし、大聖堂にもトライできたし。H内さん、ありがとうございました。

クライミングジム通い(8~9月)

■エナジー高田馬場
2014.08.13(水)
 約4か月ぶりに馬場エナへ。緑色4級はだいたい1撃か、あるいは2便目で登れた。紺色3級は130°壁の2課題を含め3本登れたので、まずまずの出来かな。一昨日クエールでも登ったので今週は平日2回ジムに行ったし、少しずつフリーの力を戻しているところ。

■B-PUMP荻窪
2014.08.21(木)
 半月ぶりのオギパン。いつ替わったのか知らないが、1階奥の壁の一部がホールド替えされてた。一昨日、所属山岳会メンバーの捜索関連で北ア太郎平に行ったこともあり、ここ数日は寝不足気味で疲れているのだが、そこそこ登った。とはいえ白色3級がいくつか登れたくらいだけど。

○献血
2014.08.22(金)
 今年1月以来の献血。職場に赤十字の献血が巡回に来たので400㎖献血をしてきた。これまで献血は40回超やっていると思う。こうしてたまに血を抜くのも良いもの。

■クライミングジム・ドラセナ
2014.08.26(火)
 板橋区にあるジム・ドラセナに行ってきた。板橋区立小豆沢(あずさわ)体育館の向かいにあるこじんまりとしたジムだ。
 会員登録を済ませさっそく登る。ごく易しい課題でアップをしてから、緑色4級をやってみるとこれが結構難しい。1撃できるのもあるけれど、これが4級かと思うほどキビしいのも。
 その後、茶色3級をやってみると、もちろんさらに難しい。それでもしつこくトライしていると、登れるようになって3級も3つほど登ることができた。バスの時刻の関係でヨレヨレになるほどまでは登っていられなかったけれど、ウィークリー課題もあるし、課題の内容もひとひねりしたものもあって、それなりに良かったと思う。

■エナジー高田馬場
2014.08.28(木)
 カモシカスポーツへの買い物ついでに、半月前にも行った馬場エナへ。紺色3級がいくつか登れたあと、茶色2級にもトライ。130°壁にある茶色課題は結局落とせなかったけれど、R壁にある茶色課題が登れた。出だしで斜めランジでガバに飛びつく課題なので、これさえできればよいのだが、ずいぶん久しぶりに2級課題が登れたのは良かった。

■ベースキャンプ
2014.09.07(日)
 雨で岩場に行く予定が中止になり、代わりに所属山岳会のF田さん・I田さんとベースキャンプへ。ベーキャンに行くのは3ヶ月ぶり。前日に北海道から帰って来たのだが、その疲れがまだ残っている感じだったが、どっかぶりのルートなどあれこれ登った。この1年で増えてしまった体重を頑張って落とさないと、前のようなグレードは登れないなあ。

■B-PUMP秋葉原
2014.09.09(火)
 7月下旬以来のアキパンに行くと、ずいぶんとホールド替えされていた。白色3級をいくつか登ったあと、水色2級にトライするも格段に難しくなって歯が立たず。再び3級を登りまくって、2階にある3級課題は2つを残して他は皆登った。
 ここのところ、少しずつ登る量は増えてきているものの、グレードは落ちはしないものの上がりもしないという、いつもの感じかな。

○映画「クライマー パタゴニアの彼方へ」
2104.09.16(火)
 連休に行った水無川真沢でヒドく疲れたのでさっさと帰宅して寝たかったけれど、映画を観に新宿ピカデリーへ。
 デビッド・ラマがセロトーレをフリーで登るというドキュメンタリー。
 ヘリからの空撮がすごい高度感。ヘリが旋回しながら撮る映像で、背後の景色がぐるぐる回るものだからちょっと酔った。

Photo

越後 魚野川水系 水無川真沢~祓川

2014.09.14(日)~15(月)
 敬老の日の3連休。越後水無川真沢を遡行する計画だったが、連休初日の天気予報がいまいちのため、入渓を一日遅らせ1泊2日の計画に変更した。初日の土曜日に越後湯沢の飯士山の負欠(ふっかけ)スラブを登ったことは、前回の日記に書いたとおり。
 そして、翌日曜日からの2日間で真沢を遡行してきた。
 メンバーは、Kぽんさん、富山のF野さん、私の3人。

■9/14(日) 入渓~逆くの字滝上
 関越道近くの某所で泊まり、未明の4時に起床。越後三山森林公園という水無川に沿って走った先にある駐車場へ。近くで大きな堰堤を造る工事が行われていて、工事車両も停まっている。駐車場には、あらやまの森千ノ沢小屋という避難小屋が建っている。弱い雨が降っており入渓したものかどうか悩ましいが、支度をしていると雨が上がったので明るくなった5時半に歩き出す。何年か前までは一般車も通行できたらしい林道を歩いていく。現在は相当に荒れていて入ることはできない。途中、一時的に雨に降られ、真沢をやめてどこか別の沢にでも転進しようかとも話したが、じきに止んだのでそのまま歩き続ける。

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(↑越後三山森林公園駐車場)
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(↑堰堤の工事をしている)

 オツルミズ沢の出合いを通過。オツルミズ沢にもいつか行ってみたいものだ。さらにモチガハナ沢出合を通過する(モチガハナ沢は、地形図上はブナツルネ沢と記載されている)。その先で、グシガハナ方面へと続く登山道入口があるのだが、草で覆われていて相当に荒れていることを予感させる。

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(↑オツルミズ沢を望む)
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(↑オツルミズ沢出合)
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(↑モチガハナサ沢出合)

○入渓
 鉄柱の組まれた大きな堰堤が現れ、ここから入渓する。鉄柱の間を抜け、1カ所ほど簡単な巻きはあるものの、基本的には河原の中を歩いていく感じだ。

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(↑この堰堤の間から入渓する)

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(↑河原を行く)
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 本流が大きく左に曲がるところで左岸から不動沢が出合う。このあたりがデトノアイソメのようだ。空も良く晴れてきた。
 なおも河原を歩いていき、滝沢を分けると、暗峡(あんきょうではなく、くらがりきょうと読むそう)というゴルジュ状が現れる。腰ほどの深さの水の中を進み、左側壁をへつって一段上がると暗峡を抜けられる。思っていたよりあっさり通過できた。

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(↑デトノアイソメ)
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(↑滝沢出合)
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(↑暗峡を行くF野さん)

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(↑これは私)
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(↑暗峡最狭部を行くF野さん。写真横向き)
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(↑Kぽんさん)

○御月山沢出合付近の大高巻き
 左岸から出合うオカメ沢を過ぎ、大きな岩が続く巨岩帯を歩いていくと、現れた滝の奥に大きな雪渓の末端が覗いている。御月山沢出合前後にかかる雪渓のようだ。これは左岸から大きく高巻かねばならない。手前にある左岸のルンゼを念のためロープを出して登って行く。沢床から結構な高さまで登ったようだ。ヤブ漕ぎしながら進んで行くと、眼下に大きな雪渓が眺められた。大きく裂けたところもあり、これでは雪渓の上を歩くのもキビしいし、スノーブリッジの下を通過するなんてあり得ない。
 ヤブ漕ぎしているとスラブが現れた。手掛かりとなるブッシュのない岩場をトラバースするのは危険なので、それを避けるようにブッシュに沿ってどんどん上に巻き上げられてしまう。現れた枝沢で1ピッチ懸垂下降。これが御月山沢なのかな。さらにヤブ漕ぎを続け、つぎのルンゼでは2ピッチの懸垂下降。相当上まで巻き上げられていたわけだ。
 2時間で越えたとか、3時間かかったとかといった記録があるけれど、我々はこの大高巻きに4時間も要した。御月山沢出合からさらに上流にも大きく雪渓が続いていて、巻きが長かったこともあるし、スラブを避けて相当高いところまで登ったこともあるだろう。

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(↑雪渓が覗く)
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(↑高巻きのルンゼ)
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(↑大きな雪渓を眼下に見る)
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(↑大高巻きが続く)
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(↑懸垂下降するKぽんさん)
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(↑なおも高巻きは続く)
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(↑2Pの懸垂下降)

 ようやく沢床に復帰し、小滝などを越えて行くと関門ノ滝手前にある10m滝が現れる。これは右岸から巻く。巻いている最中、上流側にある連続する滝が見える。関門ノ滝か、あるいはその先の逆くの字滝だろうか。
 関門ノ滝の手前に懸垂下降で降り立つ。関門ノ滝50mは左壁から登れるので、ロープを出して私がリード。先ほどの大高巻きで時間を要したため、予定していた幣ノ滝の下まで今日中に到達するのはキビしそうだ。

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(↑高巻きから、関門ノ滝や逆くの字滝を望む。写真横向き)
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(↑関門ノ滝手前に懸垂下降)
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(↑関門ノ滝。写真横向き)
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(↑関門ノ滝をリードする私)

 逆くの字滝が現れるのでそれも登る。巻きが多く、今日まともに登れた滝は、関門ノ滝と逆くの字滝だけだ。逆くの字滝のすぐ先にも巻かないといけない滝がある。時刻はすでに17時頃。18時には暗くなってしまうので、今日の行動を打ち切る頃合いだ。

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(↑逆くの字滝をリードする私)

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(↑逆くの字滝2P目をリードするKぽんさん)
 ということで、逆くの字滝の落口付近でビバークすることにした。岩棚状になっていて、ところどころ窪んだところがあるので、3人ばらばらにその窪みに身体を横たえながら何とか寝られそうだ。
 まだ暗くなるまで少し時間があったので、ビバーク地点から翌朝すぐに始まる右岸巻きのためにフィックスロープを張っておくことにした。ここも私がリード。少し登るとすぐにブッシュだ。F野さんがそれほどヤブ漕ぎに慣れていないため、ロープを張っておいたほうが翌日の時間の節約になる。1ピッチ分ロープを伸ばして懸垂下降しながら戻る。戻りながら、灌木で取ったランナーそれぞれにロープをフィックスしておく。
 ビバーク地に戻ると、Kぽんさん達がハーケンを打ってビバーク地にフィックスロープを渡していた。夜中に寝ぼけて足を滑らせたりしたら、滝から落ちてしまいかねないので、今夜はロープにセルフビレイを取りながら寝ることになる。
 打ったハーケンでタープを張ると一応各自の寝床ができた。私が寝る場所は斜めの椅子状でうまく腰を落ち着けられそうだ。シートやマットを敷いたり、ギアは落とさないようにハーケンに吊るしておく。そうしておいてから、Kぽんさんのジェットボイルの鍋でお湯を沸かす。各自アルファ米など軽量の食事をとる。私が持って来た少ない焼酎を3人で分けて飲む。
 午後に曇ったりした空も星が見えている。雨に降られずに寝ることができそうだ。明日は4時に起き出すことにして、各自寝床に移る。私は下着まで全て乾いた服に着替えて薄いシュラフに包まる。ハーネスを履いたまま、スリングを伸ばして固定ロープにセルフを取っておく。日付が替わるまでの4時間ほどは一気に寝ることができたようだが、深夜になると気温が下がってきて寒くてなかなか寝付けなかった。加えて、下が岩で固いため同じ姿勢のままだと身体が痛くなってくるのだ。それでも風が吹いてなかったのは良かった。滝の音がうるさいけれど。

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(↑こんなふうな岩棚の窪みに各自寝る)

■9/15(月) 幣ノ滝~白龍ノ滝~祓川大滝~中ノ岳~十字峡
 まだ暗い4時に起き出す。着替えてからタープを撤収し、お湯を沸かして朝食を取る。薄明るくなってきた5時過ぎには遡行開始できた。まずは前日張っておいたフィックスロープを伝って高巻きだ。朝イチからヤブ漕ぎするのはなかなか堪える。
○幣ノ滝150m
 沢床に復帰し進んで行き、北沢と分けると大きな滝がある。幣ノ滝150mだ。まずはロープを使わずに登れるところまでは登って行く。全体の半分くらい登ったところだろうか、水流の右側でロープを出すことにする。
 1P目はKぽんさんのリード。水流の右側の乾いたスラブの傾斜の緩いところを選びながら登って行く。
 2P目は私のリード。左上するように水流を横断する。水流の中は意外とガバホールドが豊富で思っていたより登りやすい。登りやすそうなところを選びながらロープを伸ばしていく。ところどころハーケンを打ってランナーを取るが、たまたま見つけた残置ハーケン1本を含め3カ所くらいだけ。水流から左側の乾いた壁に上がりブッシュが出てきてピッチを切る。ラインとしてはなかなか良いだろう。
 3P目はKぽんさんのリード。スラブとブッシュの間を登って行くとすぐに滝の落ち口だ。

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(↑2条20m滝の右を登る私)
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(↑幣ノ滝150mが見えてきた。写真横向き)
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(↑幣ノ滝と私)
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(↑幣ノ滝中盤から1P目をリードするKぽんさんと、ビレイするF野さん)
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(↑1P目フォローのF野さんと私)
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(↑2P目の水流をリードする私)
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(↑2P目フォローのF野さんとKぽんさん)
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(↑3P目フォローのF野さん)
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(↑3P目フォローのF野さんと私)

 幣ノ滝を越え、なおも進んで行くと25m滝がある。この滝は右から登った。そして進む先に細い滝が見える。最初あれが白龍ノ滝かと思ったが違う。白龍ノ滝は沢が右に曲がったところにあって、近くまで行かないと見えないはずなのだ。滝の100mほど手前でザックを置いて白龍ノ滝を見に行く。手前から見えた細い滝の右側に大きな滝が現れた。これが白龍ノ滝50mだ。右側の岩壁を登れないこともないだろうと思ったけれど、Kぽんさんの話では登攀していると数時間かかる可能性があるので、荷物を置いたあたりから高巻くことにした。
 草付きのスラブ斜面を登って行くのだが、結構ワルくて途中でロープを出す。ブッシュ帯に入ってヤブ漕ぎしていくと、白龍ノ滝の落ち口の上に出るので、そこに向かって懸垂下降。白龍ノ滝の上部には滝が続いているが緩傾斜で易しい。

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(↑25m滝を右からリードする私)
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(↑奥に白竜ノ滝の左の枝沢の滝が見える。写真横向き)
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(↑白竜ノ滝は手前のこのスラブから巻いた)
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(↑白竜ノ滝とKぽんさんとF野さん。写真横向き)
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(↑白竜ノ滝を巻いて懸垂下降する私)
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(↑白竜ノ滝上のゆるい滝)

○祓川大滝250m
 真沢本流と分れて、祓川(はらいがわ)という沢の出合に祓川大滝250mが現れる。祓川というけれどもちろん川というような規模ではなく、本流に合わさる一つの沢の名前らしい。
 祓川大滝では落ち口手前で1ピッチロープを出しただけであとはずっとノーロープで登って行った。傾斜が緩いからそうしたワケだが、もちろん落ちたらはるか下まで止まらないので慎重に。途中のぼっている際に、落ち口近くに熊がいると、Kぽんさんが言う。私が見た時には熊の姿は見えなくなっていたが、これから登って行くところに熊がいるなんてイヤだなあ。最後はロープを出して私がリード。抜けた先には幸い熊はいなかった。

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(↑祓川大滝が右上に見えてきた)
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(↑祓川大滝全景)
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(↑祓川大滝を登るKぽんさんとF野さん。写真横向き)
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(↑写真横向き)
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(↑対岸には大きなスラブ壁が並ぶ)
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(↑祓川大滝の最後でリードする私)
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(↑フォローのF野さん)

 祓川大滝のすぐ先に10mもない滝が2つ連続している。滝登りはこれでお終いで、風景が一気に開けて草原状になり源頭の雰囲気になってくる。

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(↑祓川大滝の先の1つ目の滝。登るKぽんさん)
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(↑2つ目の滝を登るF野さん)

 すぐに二俣が現れるのだが、我々はここが三俣だと勘違いしてしまった。この二俣は左の垂量が多く、右はすぐに涸れる。水流のある左に進んで行けばやがて三俣が現れ、その三俣では右を選べばヤブ漕ぎ無しで、御月山と中ノ岳の鞍部で登山道に出られるはずだ。
 その手前の二俣で右に進んだ我々は、枯れた沢筋から草原状を登って行く。途中、カモシカを見かけた。すると御月山の東側付近の枝尾根に行ってしまった。後ろを振り返ると、遠く眼下に三俣らしい地形が眺められる。今更引き返すワケにもいかないので、御月山の山頂下の南面を巻くようにヤブ漕ぎしていくと、ようやく登山道に出ることができた。中ノ岳が目の前に聳えている。

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(↑間違えた二俣。左に進めば三俣があるはず)
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(↑草原状。写真横向き)
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(↑カモシカに遭遇)
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(↑八海山)
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(↑登山道に出て中ノ岳を望む。写真横向き)
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(↑中ノ岳避難小屋と左奥に山頂)

 ここでハーネスを脱いだりして、中ノ岳へと向かう。まずは鞍部へと降りる。鞍部から中ノ岳山頂までの標高差は約350m。沢を詰めてきて疲れた身体には堪える登りだ。
 各自のペースで黙々と歩いていき、1時間以上歩いただろうか、山頂手前の中ノ岳避難小屋に到着する。私が一番乗りだ。小屋に入って荷物を解く。小屋は2階建て。混ぜこぜになった3人のギアを整理するためだ。先ほど山頂付近に姿が見えた登山者が小屋に入ってきた。その人は、単独で中ノ岳を登りに来て今夜はこの小屋に泊まるらしい。前日はこの小屋に60人もの登山者が泊まったそうで、入りきれなくて入口の土間に寝た人もいたそうだ。すご。他にも一人が2階で休んでいるようだ。
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(↑越後駒ヶ岳)

 
 小屋で休憩してから外に出るとガスって肌寒くなっていた。先ほどは越後駒ヶ岳や八海山が眺められたのに。山頂で3人で記念写真を撮ってから十字峡に向けて下山開始。
 十字峡までの標高差は約1,500m。結構な下りだ。時刻は15時半頃。さくさくと下って行く。途中、日向山で休憩したあとは、デポしたF野さんの車のカギを私が預かって、先に下って行く。なかなかシンドイが、黙々と歩いていく。18時を過ぎるといよいよ暗くなってきたのでヘッ電を点け、18時半少し前に十字峡登山センターの建物前に降り立った。中ノ岳山頂から3時間を少し切るくらいで下れたが疲れた。辺りはもう真っ暗だ。建物前の駐車場には4人ほどの登山パーティーがいた。彼らもちょうど下山してきたところのようだ。自販機でコーラを買う。おいしい。
 デポ下車はトンネルの向こう側の駐車場にあるので、ザックを置いて車を取りに行く。戻って、沢靴をスリッパに履き替え、Kぽんさん達が降りてくるのを車内で待つ。19時10分頃に2人が降りてきた。彼らも相当疲れているようだ。2人とも股擦れして痛いと言う。
 Kぽんさんが自宅に帰る終電に間に合うために、のんびりもしていられない。まずは水無川側に停めた私の車の回収に行かなければならない。車で行っても結構距離がある。私の車を回収してから、コンビニに移動して手早く空腹を満たす。F野さんとはそこで解散。あとは関越道をひた走り、JR武蔵野線東所沢駅に終電の時間より余裕をもって到着。Kぽんさんと解散。
 帰宅したけれどクタクタに疲れた。濡れた装備を解く気力もなく、シャワーだけ浴びてベッドになだれ込む。

 3連休明けの火曜日、朝起きると両足の太ももがヒドい筋肉痛になっていた。これほどの筋肉痛は久しくないことだ。歳のせいかもしれないが、中ノ岳から一気に下ったのが原因だろう。痛む足を引きずるように疲れた身体を押して出勤。その日の夜はすぐに帰宅して寝るべきだったのだが、新宿で映画を観た。デビッド・ラマがセロ・とーれをフリー初登する「クライマー パタゴニアの彼方へ」。
 件の筋肉痛は日ごとに痛みが減ってきてはいるが、4日目の金曜日になってもまだ少し痛い。今夜からクライミングに出かけるというのに。
とはいえ、今回Kぽんさん達と真沢を遡行できたのはとても良かった。

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